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第136回 『”蒲郡落語を聴く会”

圓窓五百噺達成記念 圓窓独演会』
2002・3・17(日)
18:30 開演
蒲郡市 生きがいセンター


紙入れ
そば食い地蔵
はなし
お好味家喜楽
圓窓
関山和夫
中 入 り
鼎談
橘右太治
圓窓
大島幸郎
妾馬 圓窓





新しいサゲの 工夫の成果

文 亀助


 師匠は”蒲郡落語を聴く会”には通算13回目の出演です。
 過去には圓窓師匠率いる野球チーム「ダジャレーズ」と中日球場で落語会世話人チ
ームとの野球の対戦や、落語「ぞろぞろ」にコンピュータで音楽をつけ、振りまで付
けた「ぞろぞろ音頭」を披露したこともありました。


 本日は図書館で師匠の「おもしろ落語図書館(全10巻)」を読破した小学生も客
席に顔を出しました。
 私・亀助も現在は中学校教師で中学校年生の担任ですが、学級文庫には師匠の「お
もしろ落語図書館(全10巻)」が揃っています。


[そば喰い地蔵](圓窓師匠の自作)
 ほそぼそとそばを打つ老夫と信心深い老婦の営むそば屋へ地蔵が人間に姿を変えて
客を装い、そばを食いにくる。
 そのうちに「地蔵がそばを食いに来る店」と、評判となり繁盛をするという昔話を
題材にした創作落語。
 昔話らしい田舎の原風景を感じさせるようなのんびりとした老夫婦の描写には、殺
伐とした現代社会を忘れさせてくれるものがありました。
 また、そばを食うしぐさは言うに及ばず、噺の中心になるネギの香りまでも感じさ
せる演出には食欲をそそるものがありました。


[妾馬]
 赤井御門守が城下で町娘のお鶴を見初めるところ、使いが長屋にお鶴をもらいに行
くところ、そしてお鶴の兄、八五郎の粗暴でがさつな描写は圓窓師匠の師匠、六代目
圓生師匠の演じる[妾馬]を感じさせる。
 特に八五郎の長屋での生活や吉原に通いつめる描写は圓生師匠の[妾馬]よりも細
かく表現されています。
 八五郎を粗野に表現すればするほど、八五郎に妹のお鶴を城内に妾に出させる説得
をする大家さん、城内で八五郎を案内し赤井御門守に対面、指示を出す田中三太夫、
何よりも自分に対して「タメ口」をきく八五郎を侍として雇う決心をする赤井御門守
らが、よりいっそう懐が深い大人物に見えてきます。
 サゲについてですが、今回のサゲは初めて聞きました。師匠の自作と断定します。
 サゲを変えるのに、サゲにつながる最後の会話辺りを変更する場合が多いのですが、
圓窓師匠の場合は違いました。
 噺の筋は変えないが、話の途中に自作のサゲに継げるいくつかの新しい演出を加え
ているのです。
 例えば、八五郎が吉原に入り浸りで馬(借金取り)を連れて帰ってくる事、また、
侍になった八五郎が馬に乗って長屋に凱旋する事などを付け加え、自作のサゲをより
効果的なものに導いていることに師匠の研究の成果が表れていると思います。





 [そば食い地蔵] 一番好き

文 もて


 蒲郡は、海沿いの町。
 名所は竹島とガン封じ寺と「蒲郡落語を聴く会」。
 圓窓師匠は、この会の最多出場の噺家さんということです。
 136回の例会の内、13回の出場(前回の出場からは8年目)を果たしたことに
なるそうです。師匠にとっては古巣のごとき蒲郡の会といえそうです。


 昭和45年に始まって以来、30年余の歴史を持つという立派な落語鑑賞の会です。
 関山先生の話芸への情熱とそれに答える噺家さんとお客さんと世話人さんの心意気
。含笑長屋で感じるような落語を愛する人たちの静かな熱意がこの会場にもこもって
います。
 会場設営、後片付け、案内発送、プログラム作成(毎回、読み応えのある内容)、
会員になるともらえる寄席文字の名札の作成などを黙々と営々と準備してくれる人々
がいて、落語の会は成立できるのです。
 魅力は携帯ストラップに名札(豆札と言いたい)が付いていて、とてもカワユイの
だ! 私は財布にぶら下げている。
 蒲郡へ行くには、自宅(名鉄沿線)から、いったん名古屋まで出てそこからJRに
乗り換える方法が一番の早道です。
 行きはよいよい・・・帰りは、誰もいない蒲郡駅のプラットホームで海からの強い
風に吹かれながら、噺と現実との境目に漂う気分でいることもままあります。
「五百噺達成記念 三遊亭円窓 独演会」と銘打ったもので、主催者の気合の入った立
派な祝いの花が高座の両脇に飾られていました。


[そば喰い地蔵]
 今までの師匠の創作民話落語の中で一番好きです。
 原話は本当に短いものですが、味わいのある落語に仕立てられました。
 葱の香気が立つようなムード。
 師匠の蕎麦の食べっぷりも豪快。
 じいさん、ばあさんの話のやりとりから見えてくる地蔵様への信心。
 客にもてなす蕎麦と葱のあしらい。
 葱ッ喰いのお客には、なにやらわけがありそう。
 葱、蕎麦、地蔵様、よだれ掛け、とたたみこんで納得のいく落ちでした。


 おはなし 関山先生
「人間にとって一番悲しいことは、教養がないこと。
 これは学歴のことではない。
 いろいろ知っていても、知らない顔をして想像して聞く事が大事。
 五百噺完結は偉業である」
 そして、五百噺の最後を飾った圓窓創作の[五百羅漢]の阿羅漢のたとえを引いて
こうおっしゃった。
「私は、なすべきことをなした圓窓師匠のファンです」


[妾馬]
 今の若者はまず落語の言葉がわからないからと、別名[八五郎出世]の解説を
されてから始まる。
 八五郎の飾らぬ率直さがお殿様に気にいられる。
 実は八五郎の異文化間コミュニケーションギャップのおかしさを汲み取れずに、ぼ
ーーっと聴いてしまいました。
 お殿様にとって、庶民の言うことなすことが面白いと感じられる。それほど格式ば
った生活をしていて窮屈だったのでしょう。八五郎が格好の気晴らしになったのでし
ょうか。


 白状しますと、噺の途中の記憶が抜けていて感想にまとまりません。書くほどに落
語との
 ギャップを感じて困っています。
[妾馬]はギブアップです。


(圓窓注:あたしの出来もよくなかったので、もてさんを寝かしちゃったかな(笑))


[そば食い地蔵]の梗概は、圓窓五百噺付録袋/圓窓五百噺ダイジェスト/そば食い地蔵
[妾馬]の梗概は、圓窓五百噺付録袋/圓窓五百噺ダイジェスト/妾馬
2002・6・26 UP