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俳句三昧

四九八句会 だくだく連句 句集諸々


 第3回 四九八句会

例会は 月に一度
初回 2002年1月30日
第2回 2002年2月28日
18:30(木)
会場 ”オフィス樹”稽古場


  兼 題 「亀鳴く」一句 「当季雑詠」三句
  席 題 「花冷え」一句
  提出句  七十句
  五句選 (◎特選一句 3点)(〇秀逸一句 2点)(●佳作四句 1点)


出席者: ひでを 大蛇 初鰹 さりあ
 清女 花留 円ドル 無弦
 あきら 圓窓 吉窓 窓輝
   12名
           投句者: 無銭 わかめ 弥助
  円フラン 木の葉
                 5名
欠席者: 代脈 仮名
2名
合計 会員 19名





               句 作者 選(◎特選 ○秀悦 ●並選) 点数
圓窓 15点
 散る桜ひとまず傘に運ばれて ◎輝●吉●ド●あ
 好きな子に向けて飛ばせてシャボン玉 ◎吉●輝
 父の息途絶へて蛙鳴きやまず ○吉●ひ
 神田川捨てられし身の亀鳴けり ●ひ  1
 花冷えや路地駆け抜ける親子猫 ●弦
              
ひでお 13点
 風船の雲ともならず流れゆく ◎ド◎花○蛇
 迷ひつつやはり行きけり花の冷え ◎蛇●吉
 春の夜の居酒屋(パブ)は芝居を見るがごと ●花
 亀鳴いてスイカかイオか悩みをり
 若芝やタイガーウッズといふ男
      
円ドル 13点
 春雷を霞ヶ浦ははね返し ○鰹●窓●蛇
 亀鳴くか話は尽きず五合酒 ○花●蛇●輝
 花冷えに一人作りし焼うどん ●あ●窓●輝
 春疾風(はるはやて)力の限り風車 ●吉●清
              
木の葉 10点
 傘をとづひとひら花の土産かな ◎窓○輝●蛇●弦
 亀鳴くや新築現場のつ鎚の音 ○ひ
 時刻む針の音のみ春炬燵 ●あ
 病床の窓にやさしき春の雨
 
             わかめ 7点
 亀鳴くをたしかめ胸の谺(こだま)かな ●ド●あ●弦
 西行忌ふっと遠のく死のおそれ ○窓
 ひなだんに降り積む夜の神話かな ○弦
 軽やかに桜ふぶきが語る過去
            
大蛇 6点
 四神旗のだらりと垂れて亀の鳴く ◎鰹
 花冷えに灯油売り屋の車追い ●花●窓
 夕闇に何やらのそり亀の鳴く ●窓
 落ち椿そのままふわり池でも咲き
 老木の桜命のかぎり咲き
 春塵を清める雨のありがたさ
               弥助   6点
 しまいにはだれでも誘う花見酒 ◎あ●蛇●輝
 浦島は亀鳴く声に誘われて ●ひ  
 客席も馬場のむこうも花吹雪
 春風や時計の針は午後三時
円フラン 5点
 花吹雪はじめて触れた君の髪 ◎清●吉
 誰と来たセピア色した桜道      ●清
初鰹 5点
 この月の花をそろえて利休の忌 ●ド●花●窓●ひ
 花の下達治(たつじ)がうたう女子(おみなご)が ●吉
 境内の亀鳴く笑う不動明王
 花の冷え肩をわたしてストールで
 シュタイナー天使がまねく春の夢
              
あきら 5点
 亀鳴くや事務所泊りも今夜まで ◎ひ
 昼よりも夜に紅さす桜かな ●蛇
 飲み明かし眩む景色に初音かな
 花冷やコアラァと鳴くカラスいて
 彩卵に一つペルーの交じりけり
             
吉窓 4点
 花冷えの楽屋で着換え腕さすり ●花●輝
 雨降りの何が嬉しや亀が鳴く ●鰹
 花冷えの笑みを囲みてお喰い初め ●清
 投函の葉書き手に持ち亀が鳴く
 子供には怪獣の声亀が鳴く
              
無弦 4点
 遠き日も桜踏みしめやわらかに ●清●鰹
 春風に躍るよ舞うよ花いちりん ○あ
 はなびえにはなひらひらとちりぬるを
 指踊りきしむ音(ね)のごと亀の鳴く
 春埃黄砂の向こうで亀が鳴く
               無銭 2点
 亀鳴くや二番でよいと言い聞かす ●鰹●ひ
 昼席の追い出し太鼓鳥帰る
 佐保姫の声聞きしかと人の問ふ
 春風に誘われて出る大あくび
清女 2点
 あの人の面影写す春の池 ●鰹 
 初恋の淡き思いで桜色 ●あ
 冴え返り池の中をも静まりし
 並木道桜吹雪に躍る息子(せこ)
 亀が鳴き恐竜現る夢の中
              
窓輝 2点
 亀鳴きてミニに生足(なまあし)繁華街 ●清●弦
 亀鳴くや花粉飛び散り人も泣く
 花冷えやネコを抱えて床につく
 

 駄句学事始       文 圓窓
 今月の兼題が「亀鳴く」。
 俳句とは「生活の中や身の回りをじっと観察して独自な感性を表現するもの」
と書かれた本を読んだことがある。
 が、この「亀鳴く」は架空の季語。
 この点を宗匠に訊くと「昔から亀の鳴き声を聞いた俳人は一人もいない。だけ
ど、この季語に挑戦する俳人は多い。
 俳句の世界は間口が広くて奥が深いんです」と断言する。
 連中も「難しい、どしよう」と言いながらも、作句していました。
 広くて深い世界へ足を踏み入れましたよ、みなさんは。

 さて、次 4回は、4月25日(木) オフイス樹 稽古場
  兼題・「葱坊主」一句、「当季雑詠」三句
  席題・「?」一句

2002・9・18 UP









 第2回 四九八句会

例会は 月に一度
初回 2002年1月29日
第2回 2002年2月28日
18:30(木)
会場 ”オフィス樹”稽古場


正月晦日
兼 題 「春眠」一句 「当季雑詠」三句
席 題 「沈丁花 または 二月尽」一句
提出句  八二句
五句選 (◎特選一句 3点)(〇秀逸一句 2点)(●並選四句 1点)


出席者:ひでを 木の葉 大蛇 初鰹
代脈 清女 花留 円ドル
あきら 圓窓 吉窓 窓輝
12名
投句者:仮名 さりあ わかめ 弥助
代脈 無銭
6名
合計 参加者 18名








作者 選(◎特選 ○秀悦 ●並選) 点数
ひでを 19点
 やはらかき雨となりたる二月尽 ◎ド○蛇●葉●あ●窓
 沙漠にも春の闇あり生臭し ◎吉○あ●蛇●葉
 うなぎ屋のなくなっていて沈丁花 ○窓●吉●蛇
 春眠やエサを待つものあまた居て
 沈丁花さがしてをれば目と合ひぬ
無銭 13点
 春愁やそば一枚を持て余す ◎葉●輝●蛇●窓
 富士山を大きく見せて春の雪 ◎蛇○鰹●輝
 安房上総下総常陸山笑う ●清
 春眠し明けの烏の啼くを聞く
仮名 11点
 別れ際振る手の白さ春の宵 ◎窓◎清○葉●鰹
 春眠や電話のベルの憎らしさ ●さば
 桜餅一つあり皆よそ見して ●窓
 山城よ天下へ出で来と遠霞
大蛇 10点
 おさなごがツクシを見つけ親を呼び ◎あ●清●さば
 ジグザグに近づいてくる春を愛で ◎鰹
 正月もきのうのごとし二月尽 ●輝●ド
 春あさし江戸川の土手寅がいて
 春眠や猫にアクビもうつりけり
 春眠を覚ましさえずるむら雀
木の葉 8点
 二月尽到来物の酒まろし ◎花●蛇●窓
 海苔買ふや朝市とうに昼さがり ●吉
 すれ違ふ人知り人か月おぼろ ●花
 春眠や雨だれ遠く耳にして ●窓
 酔ひ冷めの夜道誘ふ沈丁花
 ふらここをいくつ漕ひでも迷ひ道
清女 7点
 振り返るひと女性(ひと)の残り香沈丁花 ◎輝●蛇●さば
 雪解けと共に消えゆく恋心 ●鰹●さば
 ふきのとう良薬でなくても口苦し
 春眠を理由に遅刻リストラに
 雪遊び計画中に二月尽
 山焼きを見ながら頭をなでる君
窓輝 7点
 春浅しひなた選びて散歩道 ○さ●あ
 春浅く動きが鈍い草野球 ○吉●さ
 春眠がけいこ不足に拍車かけ ●葉
あきら 6点
 二月尽畳の上に光射す ◎さば●葉
 摘みたてをサクッと揚げたふきのとう ●輝●鰹
 耕しつ「始まりました」と吾答ふ 
 春眠や子供の頃の夢を見つ
 枯山の枯木の枝に春の雨
わかめ 6点
 恋文がひんやり届く早春譜 ●清●ド
 逢いびきの夢で春眠めざめなん ○清
 春眠の陽だまり猫にうばわれり ●ド
 早春の川きらきらともりあがる ●清
花留 4点
 花まつり稚児の顔(かんばせ)顔貝の紅 ○ド
 剪定の音聞いて猫ねむり ●鰹
 角二つ曲りてふりむく沈丁花 ●輝
 行く先をここぞと決めて落椿
 春眠を間断するや音花火
圓窓 4点
 春眠やなされしままに漂うて ●あ●ド●花
 紅梅の枝の向ふの人通り ●葉
 岩肌にしがみつきをり残り雪
 猫の尾の短かに切られ二月尽
 春の川落とせし下駄を追ふ少年
吉窓 4点
 春めくやCDかけてくつ洗う ○花
 春眠や留守電作動時計見る ○輝
 大声の酔人夜の沈丁花
 図書館の新聞の音東風ふきぬ
 駅前の菓子屋の雛を母が指す
円ドル 2点
 沈丁花遠き闇より我召く ●花
 少しだけ朝の光に春の色 ●鰹
 春眠はカラスかあでも夜が明けず
 オープン戦ことしはどうだたての縞
 早春は今だ冷たき雨の中
 春眠さ行きつ戻りつ朝八時
さばく屋 2点
 春眠や猫を横目に旅仕度 ●吉
 事務室で一人渡さる卒業証書 ●あ
 居酒屋の菜の花漬けに知らされる
弥助 2点
 学割をこっそりつかう春休み ●あ
 春駒の背に名人の鞍もなく ●吉
 なき人のうぐいすの声谷間から
 春眠をするもさせぬも授業中
さりあ 1点
 飽きもせず冬眠抜けても春眠る ●清
 春眠で覚えず赤付き期末試験
 うたた寝で春の到来知る早朝
代脈 1点
 ホワイトデーお礼の山に苦笑い ●吉
 春眠や目覚めてみたら夕焼けに
 ビル街で明るく微笑むヒヤシンス
初鰹
 給料があがるはずもない二月尽
 春あさき君が想いを陽と共に
 春うらら君がみむね御胸(みむね)にぼくの夢
 春眠のたがいの夢やあらおかし
 春の香のまだまだ見えぬ雪の下


 駄句学事始  = 文 圓窓
 第一回では「雪おんな霜とつららで飾りけり 窓輝」が6点という最高点句。
 驚いたのは本人。
 季語が三つ入っていようがいまいが、なにしろ生まれて初めての句作でこういうこ
とですから、病み付きとなることでしょう、きっと。
 第二回は、「投句て近句」の活躍が目立って、目立って、賑わいましたね。
 蝦夷の無銭さん、薩摩の仮名さんの二人が並んで上位を占め、それに、初参加のワ
カメさんがスルスルスルッときました。


 さて、次 三回は、三月二九日(金) オフイス樹 稽古場
  兼題・「亀鳴く」一句、「当季雑詠」三句
  席題・「?」一句
   








第1回 四九八句会

例会は 月に一度
第1回 2002年1月30日
18:30(水)
会場 ”オフィス樹”稽古場


圓 窓 口 上

 木下ひでを氏の俳句と雑学に惚れて、臆面もなく「初心者ばかりなんですが、指導
していただきたいのです。お金はありません。お酒なら少々だせます」と頼み込んで
始まったのが、この四九八句会。
 誰もが当然のごとく体験するであろう「四苦八苦」を洒落て「四九八句会(しくは
っくかい)」。

 落語やインターネットを通じての友人が参加してくれました。もちろん、メールに
よる投句も大歓迎。「投句て近句」という情も通うことでしょう。
 噺家として「落語にもっと季節感を大切にしよう」という夢を実現させるため、弟
子の吉窓、窓輝にも参加させました。
 この四九八句会は月に一度の会合を持ち、挫折することなく、少なくとも、498
回までは続けるつもりでます。計算すると、41年と半年かかります。
 そうなると、メンバーのほとんどがもうこの世にはいないでしょうが、窓輝をはじ
めとする何人かの若者が老人となって、苦吟できるかもしれません。
 運営費は宗匠や会場主からご理解をいただいて、お安くなっております。
「出席会費 2000円、投句会費 1000円」という次第。
正月晦日





 兼 題 「梅」一句 「当季雑詠」三句
 席 題 「雪女・雪女郎」一句
 五句選 (◎特選一句 2点) (●並選四句 1点)


出席者:ひでを 木の葉 大蛇 初鰹
         代脈 清女 花留 円ドル
 円フラン 圓窓 吉窓 窓輝
            12名
投句者:    あきら、仮名、無銭
                 3名
合計参加者 15名








作者 選(◎特選 ●並選) 点数
 雪おんな霜とつららで飾りけり  窓輝 ◎葉●鰹●フ●花●窓  6
 日本酒はひやにかぎると雪女郎  ひでを ◎フ●ド●窓
 少年の指のふるへや雪女郎  木の葉 ◎蛇◎吉  
 梅が香に思ひ出したる人のあり  無銭 ●蛇●鰹●窓 
 居酒屋の梅のはなしも湯島かな  ひでを ●葉●代●窓  
 梅まつり甘酒売りの声高し  円ドル ◎輝●花
 かじかみし莟に日差し手を延べて  圓窓 ●代●花●吉
 くらやみの細き風音雪女  木の葉 ◎花●吉  3
 いろりからだるそうに立つ雪女郎  圓窓 ●清●フ●吉  3
 手入れせぬ空き地の梅のリンと咲き  大蛇 ◎代●ド
 実をつけた娘と同い歳の梅  あきら ◎清●蛇
 梅が枝に今年も待てりうぐいすを  円フラン ●清●ド
 雪女熱き想いに心溶け  円ドル ●清●輝
 梅園へ友をつのりてバスツアー  吉窓 ●輝●ドル
 白梅や行き交う人の紅い顔  清女 ●葉●純
 吐く息と強さ競うや梅の白  仮名 ●清●蛇
 雪女洗髪をしてくしゃみする  吉窓 ◎鰹
 この花も後には酸っぱい梅干か  あきら ●葉●フ  2
 梅の影ゆれて仔猫にさわりけり  圓窓 ◎ド
 寒梅やふたりの答へ見へぬまま  木の葉 ●鰹●窓
 絵馬握る子らをたばねて梅キリリ  仮名 ●蛇
 ロウ梅がかすかににおう路地の裏  初鰹 ●代
 厚着して手には団子の梅花見  清女 ●輝
 白梅や通院帰りの坂の道  木の葉 ●輝
 うぐいすよ来て止まれよと枝まびく  大蛇 ●吉
 雪女肩身の狭い昨日今日  円ドル ●葉
 ロウ梅がかすかににおう路地の裏  初鰹 ●代
 うぐいすよ来て止まれよと枝まびく  大蛇 ●吉
 湯けむりに見えるはずない雪女郎  清女 ●代
 梅のうた考えすぎてねむられず  円ドル ●鰹
 合格の絵馬が咲きそう湯島宮  初鰹 ●花


  髪乱れ思う姿は雪女
  梅が枝に太きカラスや月曜日
  涙目で梅の句を詠む花粉症
  造成地に仁王立ちする古き梅
  半月の淡き影抱きしだれ梅
  ふぶく宵まなじりけっする雪女郎
  ふぶく朝足とられしや雪女
  梅散るや祈りの宮に絵馬ヒラリ
  紅梅の色香に咲く音ありぬべし
  山小屋へスロープ描く雪女
  梅咲けど人影まばら山の里
  終電車手もちぶたさや雪女郎
  城址の匂ひこぼるる梅の花
  梅林の空気胸いっぱいに吸いにけり
  花ごよみ梅にせかされ買い求め
  夕暮れに燃ゆる姿の寒紅梅
  住む人の心にふれる梅の里
  梅の香が集めたのかなアリマキを
  急カーブすべってころんで雪女郎
  梅も咲きやっと梅酒が呑める頃
  梅が好き先へ行く連れ待たせても
  ほころんで心の隙間を梅の花



 個人別綜合点
   木の葉 10点
   圓窓   8点
   ひでを  7点
   窓輝   6点
   あきら  5点
   大蛇   4点
   清女   4点
   円ドル  4点
   仮名   3点
   無銭   3点
   
(木の葉 記)


 初めての四九八句会、初めての会報。
 馴れないことばかりでしたが、木下宗匠、木の葉さんの指導の許になんとか形にな
りました。
「感想は?」と訊きますと、みなが「お腹が空いたよ」と。
 なにしろ、会場は演劇の稽古場。そこのオーナーの平樹さんも「句会にお貸しした
のは初めてで、勝手がわかりませんで。みなさんが芝居の本読み、読み合わせのよう
に静かで真剣だったので、飲食類を出すタイミングがわからなくて。本読みは飲食し
ませんもんで(笑)」とおっしゃる。
 二回目からは、最初から宴会のように飲食物は出しますので、ご安心くださいませ。
 会報をサイト用に編集しましたので、よろしく。       (編集後記 圓窓)


 次回・二月二八日(木)
 兼題・「春眠」一句、「当季雑詠」三句、席題「?」一句