上海の印象 ・・・ 出張報告書から  


なにしろ人が多い。繁華街の南京路では、平日の朝から人が道路と言わず、店にも溢れていると云った感じである。

街を歩いていたり、店で買物をしていると、必ず日本語や英語で話しかけられる。
若い人達は外国語を一生懸命勉強していて、腕だめしに外国人を見ると話しかける。
年配者には日本語を覚えている人が多く、やはり公園などで声を掛けてくる。

中国の平均的労働者の月給は約50元(日本円6,500円)位であり、
電気製品などは日本での値段と同じ位であるから、生活はまだまだ貧しい。

しかしプライドは高く、相手方の公司のメンバーからも、中国の造船技術のレベルは決して低くないとか、
ノーベル賞を貰った人も多いとか、頻繁に聞かされた。

人口が多いので、国民を食べさせるだけでも容易でないと思われるが、経済活動がうまく回転していない印象も強い。
例えば、学校を卒業しても就職するところが無く、一年ぐらい遊ぶ人が多いと聞いた。

観光客はオフシーズンにもかかわらず結構多い。
外国人専門の友誼商店(国営土産物店)では、店員の愛想も悪くすこぶる官僚的であるが、
街中の商店ではまだまだ純朴である。

行きがけの上海空港で、帰国者の持ち帰ったカレンダーのホットパンツを穿いた女性のページを
税関史に引き千切られたのには、驚かされた。
まだまだ風俗面には閉鎖的であるが、公園などでは若い男女が身体をピッタリ寄せ合っている光景が多く見られる。

街中ではツバを吐く人が多く、風紀係の老人があちらこちらに立っていて注意している。
自動車はひっきりなしにクラクションを鳴らしながら走り回り、まことにやかましい。

ゴッタ煮の中に投げ込まれたみたいで、中国の印象を一言で語ることは不可能である。
ただ、これだけの人間のエネルギーが上手に活用された時には、中国の力は脅威となろう。