左右対称星取り法<<ドールヘッド製作編>>

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■用意する物
@垂直板 (L字金具を付けて板を垂直に立てたもの。スコヤや定規で垂直であるかを確認してください。写真は裏側です、表側にベース板を貼り付けます。)

A天板 (トースカンを使う作業スペース。だだの板です。机の上で作業する場合は必要ありません。)

Bレンガ (垂直板が倒れたり容易に動かないようにL字金具の上に重しとして乗せます。ようかんサイズ、1.1kg。重しになるならレンガでなくても何でもOKです。)

Cベース板 (この板は正確な直方形で、中心線を引いておきます。その中心線に合わせて造形物を固定し、左右対称星取り法をします。写真は幅広定規です。 絵や図面を参照する場合は同じものをもうひとつご用意下さい。)

Dクリップ (垂直板にベース板を貼り付けるときに使用します。)

Eトースカン (台座を持ってスライドさせ、立体物に水平線を引くものです。こちらで購入できます。)

■垂直板を作る
サイズは下記Dの作業が出来る大きさ。L字金具を取り付け、垂直に立てた板。
スコヤや三角定規で垂直を確認して下さい。垂直の微調整はL字金具にマスキングテープを巻いて行います。
レンガ等をL字金具の上に乗せて重しにします。
垂直がでていない状態で、中心線を引いた場合(E中心線を引く参照)、ベース板上で同一線上にあってもヘッドに引いた場合2重線になります、上に行くほどV字に広がっているのがわかります。

■ベース板を作る
ベース板は両サイドの側面にトースカンの台座の1辺を合わせて星取り法を行うための基準になる物です。
横幅は製作物のサイズのより2〜4p大きく、縦はさらにそれにトースカンの台座の1辺分を加えた大きさです。
大きすぎると造形の邪魔になるので小さい方がいいです。
アクリル板や板を切って作ります。
アクリル板の切断方法はPカッターで溝を掘りパキッと折ると切れます。詳しくは「アクリル板 切断」で検索してください。
スコヤやトースカンを使って正確な平行や直角を出して下さい。これが正確でないと左右対称に作れません。
この製作例で使用している写真のベース板は100均で売ってる幅広透明定規をそのまま使用しています。目盛も引いてあるので便利です。

■ここで解説しているのはトースカンを使った左右対称星取り法の造形方法です。
 人形制作の詳細は技法書や製作講座サイトを参照下さい。


■ドールヘッド製作@ 粘土の荒付け(製作しているのは60pドール用です。)
製作するサイズに描いた絵(中心線を引いておきます。)・粘土・芯にする発泡スチロールを用意します。
実際に作るサイズの粘土の分小さく発泡スチロールを切り、板状に伸ばした粘土を巻きつけて絵を見ながら荒付けします。中心線は常に描いておき左右対象を意識しながら造形していきます。

■ドールヘッド製作A 左右対称や全体のサイズをおおまかに作る
透明な定規の中心線を絵とヘッドの中心線に合わせて透かして見ながら絵と同じサイズや目鼻口の位置になるように造形していきます。
デバイダーを使っても同様なことが出来ます。
特に顔の横幅の中心に中心線があるかを確認してください。星取り法でベース板に固定する際、その中心線を元にするため、それがずれていると大幅な修正になるためです。

■ドールヘッド製作B ベース板への固定用ベース部を作る
ベース板に取り付けられるようにヘッドにベース部を作ります。
円盤状に粘土を盛り、濡らしたヘッドの後頭部を押し付けます。左右前後の傾きが平行になるようにします。
乾燥後、ヤスリで底面を平らにします。

■ドールヘッド製作C ベース板にヘッドを固定する
ベース板にネジを通す穴とネジ頭を埋める座グリをあける。ネジは3本以上。2本だと安定しません。
ベース板とヘッドの中心線を合わせ、ネジで固定します。
全体的に中心に固定しないと修正が大きくなります。「■ドールヘッド製作E 左右の側面の左右対称を求める」を参照下さい。
※注意/定規を使用する場合、定規の裏面がベース板の上面になるようにして下さい。
斜めにカットしてある側の端面の幅が狭いためトースカンの台座を当てた時に誤差が出る可能性がある為です。(写真は間違いです。)

■ドールヘッド製作D 絵からパーツの位置を割り出す。※絵を参照しない場合はこの作業は省略します。

絵を同じベース板に中心線を合わせて貼り付けます。縦位置はトースカンで上下の端を測って割り出します。

眉・目・鼻・口・耳の縦位置を絵より測定しヘッドに線を引いていきます。

次に絵のベース板を横にし、眉・目・鼻・口の横位置(幅)を測定しヘッドに線を引いていきます。
測定するのは絵の片方だけです。ヘッドは片方が終わったら180度回転させ同様に線を引きます。
これで左右対称に線が引ける訳です。
これは1箇所ごとに絵とヘッドのベース板を取替えながらの作業となります。

■ドールヘッド製作E 中心線を引く
ベース板を横にクリップで貼り付け、ベース板の中心線(赤線)にトースカンのシャーペンの先端を合わせます。 マスキングテープを貼りトースカンで線を引きます。次にベース板を180度回転させ、同様に線を引き、同じ線上にあればそれが中心線です。
そこで線がずれて2重になった場合はその2本の線の真ん中が中心になります。
中心線が出たトースカンでヘッドの端から端まで中心線を引きます。

■ドールヘッド製作F 左右の側面の左右対称を求める
横線をトースカンで数本引き、下記Hで説明の左右対称星取り法で左右の側面の対称を出します。
これで、ベースとなる全体的に左右対称で希望のサイズが出た荒付け造形が出来ました。
これをベースにパーツの位置を参考に作りこみをしていきます。
※写真を見ると鼻がずれていますが側面はほぼ左右対称でした。よって鼻筋をずらせば済みますが、これを鼻筋を中心にベース板に固定した場合、 左側を削って右側を盛り付けなければならず大幅な修正になってしまいます。

■ドールヘッド製作G 造形を作りこむ
Eで割り出した位置やサイズを元に目口鼻耳等の細部と全体の肉付けを作り込んでいきます。
左右対称は鏡に写したりAのような方法で確認します。
ベース板に固定したままだとやりにくい場合は、はずして造形します。この場合、はずす前にヘッドのベース部分に中心線を引いておき、再度ベース板に付ける際の確認用にします。

■ドールヘッド製作H 左右対称星取り法
@まず測定したいY座標の水平線を引きます。
A次にベース板を水平におきます。
Bトースカンの台座の側面をベース板の側面にぴったり合わせ、測定したいY座標の線上にPポイント(シャープペンの先端)を合わせ固定します。
Cそのままトースカンを反対側のベース板の側面にぴったり合わせ、Y座標の線上に持って行きます。

ここでPポイントが造形面より低ければ粘土を盛り、高ければ削って同じ3次元座標にします。

D水平線を数本引き、その線上のいくつかのポイントでこの作業を繰り返し、左右対称に造形していきます。

動画はこちら

◎星取り法は、古代ローマ時代からあると言う石膏原型から星(原型面上に無数に在る三次元座標)を写し取りながら石や木を彫っていく技法です。 これを左右対称の造形に応用したのがここで説明しているトースカンを使った左右対称星取り法です。
ヘッドの上面のポイントを測定する。
この作業が最も重要でメインの作業です。
ヘッドの側面のポイントを測定する。
顔の輪郭線の左右対称確認できます。

■ドールヘッド製作I トースカンを使って各座標の線を引く
Y座標の線を引く。
垂直板に立てて引きます。
左右対称星取り法を行う際や目口鼻耳眉等の縦位置を見る時に引きます。
写真では全体的に引いていますが必要な箇所だけ引けばいいです。
X座標の線を引く。
垂直板に横向きに立てて引きます。
Dの最後で説明していますが片側の線を引いたら、ベース板を180度回転させ、トースカンはそのままで反対側の線を引きます。
目口鼻耳眉等の横位置を見る時に引きます。
Z座標の線を引く。
水平に置いて引きます。等高線になります。
この線が左右対称の形になっているか確認します。
耳の位置も確認します。
この等高線を引くだけも全体的に左右対称であるかがわかります。

■ドールヘッド製作J 後頭部の切断線を引く
切断線が通る点を耳の少し上と中心線上の2ヶ所に描く。 ベース板を写真のように2点の高さが同じになる様(トースカンを使用)に傾け、油土で保持する。ベース板の下部は垂直板にぴったり当てておきます。先の2点を通る線をトースカンで引いて左右対称の切断線を引きます。

■ドールヘッド製作K ヘッド後頭部を造形し切断。
Bで付けたベース部分を削りとり、きれいに造形します。
切断する前に位置合わせのマーキング。Jの切断線をノコギリで切断して芯材の発泡スチロールを取り出します。
◎この後の、内側の整形、ドールアイ入れ、ペーパーがけ表面処理、塗装と言った工程は技法書を参照してください。

■ドールヘッド製作L ヘッド後頭部を左右対称星取り法で造形する。
この方法は特にお薦めはいたしません、ヘッドを正確に反転してベース板に取り付けることが難しく面倒だからです。
後頭部は髪の毛で隠れますし面積も小さいので左右対称星取り法を使わなくても左右対称に造形出来るからです。
ベース板から外す前に中心線とYZ座標の線を引いておく。油土に乗せて、Pポイントが引いておいた中心線上を通るようにヘッドの傾きを調節し、調節し終わったらそのまま後頭部に中心線を引く。
L字金具でベース板に固定しベース板の中心線とヘッドの中心線を合わせ、Z座標の線で左右の傾きも合わせます。
油土で固定します。油土はやわらかすぎるとぐらつきますので注意。
これでベース板に反転して固定できましたので、前述のとおり左右対称星取り法を行います。
このように大変面倒です、次回ボディ製作編で解決できるはずですのでお待ち下さい。