宝くじトラブル       ホームへ戻る

        

 上の額の中の言葉は「お母さん、宝くじって当たったら、たけしさんが言ってたけど、換金は買った本人の僕じゃないとダメ、当たらんよだって」と書いてあります。この宝くじは話し合って探したという10枚セットを入れておきました。とこのように当たったつもりで換金の心配をしていました。

 年末ジャンボの宝くじを一樹が買いました。大事にしまって、しまい場所を忘れてしまうのではないかと思い、目に見える場所に置いておきなさいと言いました。普段お金にシビアな彼は
1億円当たったらどうしよう?何に使おうか?と夢は大きく膨らみました。
 
 私はしょっちゅう、どこへしまったか覚えている?と彼に聞きました。そして一樹は宝くじの発表が楽しみで年末を待っていました。ところが、年末までの間に案の定宝くじは紛失してしまいました。彼は自分の部屋のどこにしまいこんだのか全く覚えておらず、家族の誰かが盗ったと思い、中でも母親が一番疑われ、「部屋の掃除をした時お母さんがどこかへしまったのを忘れているんじゃない?」との疑いが強くなりました。


 また、運が悪いときにテレビ番組で所ジョウジと北野たけしの番組で宝くじのことをやっていました。その中で茶の間に向かって「君の宝くじは当たっている!」と念じてくれたのです。テレビを見ている茶の間に指を指して言うものですから、一樹はこの動作に、はまってしまいました。所さんが僕の宝くじは当たっているって言ったよ、お母さん僕の宝くじ何処へやった?それはもうとてもしつこく、うんざりしました。「お母さん、あの宝くじは当たったら買った人が換金にいかなあかんのだって」「当たったら、お金はお母さんにあげるでね」こんなことも言ってきました。ワークスでも何度も宝くじの話がでました。「名駅のチャンスセンターでたけしさんに遭ったよ」「たけしさんは背が高くてがっちりしていたよ」どんなにその人は違うよと言っても信じません。ワークスでは北野たけしのプロフィールを印刷してパウチをしてくれました。一樹の見た人は違うという印象を植え付けるようにまた、トイレの壁に紐でしばって飾っておきました。


 ある日家族で話し合って長男に頼んで「お母さんが買っておいた、この
10枚のセットをどこかの本の間に隠して何気ない振りをして“あったぞ”お前こんな本の間に隠すもんだから分からなくなっちゃうんだぞ、トイレの壁にセロテープで貼り付けとけよ、というふうにしてくれない?」この意見に皆は賛成でした。額に入れてトイレの壁にいつでも見えるように下げておきました。でも、またこの額を自分の部屋に持っていき、タンスの上に隠すように置いてありました。それから年末がきて、宝くじははずれました。12日の新聞で一樹に確かめさせ、納得させました。本人の買った宝くじはそれから暫くしてCDケースの間から発見されました。それを見て一言「お母さん、僕が買った宝くじ、これが僕のだよ、こっちはお母さんが気を使って出してくれたやつ?僕が買ったとき青い袋に入っていたよ、これは赤い袋だから違うよ」と。がーんときました。青い袋まで覚えているんならもっと早く思い出しなさいよ。

 これで、宝くじの件は何とか終わりましたが、本当に大変な毎日でした。それからは、一樹に宝くじは買っても当たらないし、また騒ぐので、もう買わないでねと話しました。本人は騒いだり、自分がしまい忘れたことなど強く覚えていましたので、その後は宝くじのことは一切口に出しません。