特定の頭部損傷-2

 頭蓋骨折、振とう、大脳の挫傷と裂傷、頭蓋内血腫など多くの種類の頭部損傷がある。
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頭蓋骨折

頭蓋骨折は、頭蓋骨の破壊である。
 頭蓋骨折は動脈と静脈を傷つけ、脳組織の周りの部分に出血する。特に頭蓋底骨折は、脳の内側を覆う組織の層である髄膜を引き裂き、脳と髄膜の間に循環する脳脊髄液が、鼻や耳を通して漏出することがある。細菌が、このような骨折を通して頭蓋内へ侵入し、脳の感染症と重度の損傷を起こす。
 大部分の頭蓋骨折は、骨片が脳を圧迫しているか、頭蓋骨がずれていない限り外科手術の必要はない。
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脳振とう

脳振とうは、脳への損傷後、外見上は明白な外傷もないのに、短い意識喪失と時に記憶喪失を起こす。
 脳振とうは脳の機能障害を起こすが、目に見える構造上の損害はもたらさない。これは頭部損傷が軽度であっても生じ頭蓋中の脳の振動の程度による。脳振とうは、意識不鮮明、頭痛、睡眠異常をいくらか残すが、大部分の患者は数時間から数日以内に完全に回復する。
 めまい、意識の集中困難、健忘症、うつ病、情緒の欠如、不安感を発現する人もある。これらの症状は、数日から数週間続き、それ以上長く続くことはあまりない。一方、仕事、勉強、社交的なことなどに問題が生じることがある。この状態は、脳振とう後症候群と呼ばれる。
 脳振とう後症候群には分からないことが多い。なぜこれらの問題が軽度な頭部損傷後に生じやすいかが分からないのである。専門家は、症状が顕微鏡下の損傷なのか、精神的要素によるのか、に関して意見を異にする。薬物療法や精神科的療法は、脳振とう後症候群患者の少数の人には有用であるが、すべての人には有効ではない。
 脳振とう後症候群より厄介なのは、最初の損傷から数時間から数日後に、より重い症状を起こすことがあるという事実である。頭痛の悪化、錯乱、眠けの亢進があれば、緊急医療が必要である。
 いったん医師がそれほど重度の損傷は起きていないと判断した場合には、治療は必要ではない。それでもなお、頭部損傷患者に対し脳機能を悪化させる警告徴候を話しておく。小児では、その親に対し損傷後数時間以内に起きる変化について、小児をよく見守る方法を聞かせる。症状の悪化がなければ、痛みに対してアセトアミノフェンを使うことがある。損傷が重度でない場合には3〜4日後からアスピリンを使う。