傷害年金

公的年金に加入している人は、けがや病気で障害を負った場合、一定の条件を満たせば傷害年金を受け取れます。今回は傷害年金の基本的な仕組みを見ていきましょう。

公的年金の加入者のうち、国民年金に加入する自営業者など(1号被保険者)、サラリーマン世帯の専業主婦など(第3号被保険者)が障害を負った場合、障害基礎年金を受給できます。

厚生年金に加入する会社員(第2号被保険者)は、障害基礎年金のほかに障害厚生年金も受け取れます。障害の程度は、障害基礎年金では重い順に1級と2級、障害基礎年金には3級とさらに軽い人を対象とする障害手当金という一時金も設けられています。

障害基礎年金 @初診日に65歳未満だった

       A「障害認定日」に1級または2級に該当する障害の状態だった

       B「保険料納付要件」を満たしている

の3つの条件を満たした場合に受け取れます。

 この内Aの障害認定日とは、症状が固定して治療の効果が期待できなくなった日、または初診から16ヶ月たった日です。障害を負った直後だと、状態が安定せず障害の判断しにくい場合が多い事からこのような仕組みになっています。

 Bの保険料納付要件とは、保険料をきちんと納めていた人しか受けられないというルールです。初診を受けた月の前々月までに、「加入すべき期間のうち、保険料の滞納が三分の一未満」であることが条件です。また、200641日までは、直近の1年間に滞納がなければ、この要件を満たしているという特例もあります。

 この他初診日が20歳より前だった人に対してはその時点で公的年金に加入していなくても、20歳以降に障害基礎年金が支給されます。ただし、本人に一定以上の所得がある場合は支給が停止されます。

 一方、障害厚生年金を受給するためには、初診日に厚生年金加入していたことのほか、障害基礎年金と同様の保険料納付要件を満たしていることなどの条件があります。

このように、傷害年金には障害を負って働けなくなった場合、生活の支えとなる重要な役割があります。2004年の年金改革について議論している社会保障審議会の年金部会では、障害年金に関する見直しの議論はほとんど出ていません。今のところ、現行制度がほぼそのまま維持される方向になっています。

ただ、自営業者などが加入する国民年金は最近、月額13300円の保険料を払わない人が増え、空洞化問題が深刻になっています。保険料の滞納を続けた場合、障害基礎年金の保険料納付要件を満たせなくなり、障害を負っても無年金になってしまうおそれがあります。こうした事態を防ぐためにも、空洞化に歯止めをかける対策が必要です。