成年後見制度Q&A

Q 本人が後見、保佐、補助のどの類型にあたるのかがわからないのですが。
A 後見と保佐の区別や保佐と補助の区別はそれほど明確ではありません。どちらか迷うときは上位(後見と保佐なら、後見)を申し立てればよいと言われています。鑑定において申立の類型と異なる結果が出た場合には、「申立の趣旨の変更」という手続をすればよいのです。

Q 後見人等は誰がなるのですか。
A 最高裁判所がまとめている成年後見関係事件の概況〜平成15年4月から平成16年3月〜によると、親族が成年後見人等に選任されたものが全体の約83%、親族以外の第三者が選任されたものは約17%です。年々、前者が減少し、後者が増加する傾向があります。
  親族の中での割合は子、兄弟姉妹、親、配偶者の順です。
  第三者の中での割合は司法書士、弁護士、社会福祉士の順です。

Q 後見人等が選ばれるのにどのくらいの期間が必要ですか。
A 裁判所への申立書の提出から後見人等の選任の審判までの期間は年々、短縮していて、現在は約2ヶ月といわれています。当事務所では平成16年11月22日に申し立てた案件で同年12月21日に後見人の選任の審判がなされた経験があります。

Q 不動産の所有者の判断能力がない場合は、不動産の売却はできないのですか。
A 判断能力がなければ売買契約が成立しません。また、たとえ本人の子であっても、本人の不動産を売却する権限(代理権)はありません。 したがってこのような不動産を売却するには後見人等の選任が必要です。 

Q 後見人等は本人所有の不動産を売却できますか。
A 本人が所有している不動産を売却して、医療費や施設入所費を捻出するというのが成年後見制度を利用する典型的なケースです。そのため後見人には本人の財産を処分する権限(代理権)が与えられています。もちろん売却代金は本人のために使うか、本人名義で預金しなければなりません。また不動産が本人の居住用である場合は、居住用不動産の処分許可の申立が必要です。
 これに対し、保佐人や補助人には当然に代理権があるわけではありませんが、家庭裁判所が代理権の付与を認めれば後見人と同じことになります。

Q 本人所有の不動産の売却後も後見人等の役目は続くのですか。
A 本人の不動産を売却するために選任された後見人等であっても、本人の死亡等により後見が終了するまで後見人等の役目は続きます。

Q 後見人等は辞めることができますか。
A 後見人等は自分の都合で自由に辞任することはできません。これに対し、病気や高齢、遠隔地への転居などによって後見人の職務が行えなくなった場合は家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。ただしその場合も新たな後見人の選任が必要です。