テーマ「高次脳機能障害者の支援の経過〜親として関わってきた体験から〜」

                     NPO法人脳外傷友の会みずほ 尾山芳子

1・息子の事故 〜 退院 〜 名身連第二ワークス

 18年前平成41115日 19歳の時に暴走族に巻き込まれてオートバイ事故名古屋国立病院へ搬送 意識不明6ヶ月,運良く名古屋市総合リハビリテーションセンターへ転院 
 平成
510月退院 名身連第二ワークスのディサービスへ週3日くらい通所、当時は記憶も続かなく,通所することに何度も道順を教える。ディサービスから3ヶ月くらいで福祉就労へ 事故前のプライドがあり,授産所へ通う今の自分が情けなく,何度も死にたいと言う。
 
 この頃の名古屋リハは身体障害のリハビリや老人のリハビリが主でした。また、高次脳機能障害の研究は今のようには進んではおらず、息子は脳のリハビリは一切受けていません。


2・みずほの立ち上げ 〜 活動 〜 全国友の会

 
 平成5年〜7年ころ息子と同じような若者が多くリハビリセンターへ通院してくるようになり当時の整形外科の先生から「若者のこの障害を世の中に理解していただくために家族会を立ち上げませんか」と後押しがあり,70家族で1997年(H9年)に「脳外傷友の会みずほ」をたちあげ、今年で13年目になります。「脳外傷友の会」は全国で、はじめて愛知県が立ち上げました。次の年1998年(H10年)には神奈川「ナナ」1999年(H11年)には北海道「コロポックル」が立ち上がりました。

 みずほが立ち上げてすぐその年に,中京テレビで息子のこと,高次脳機能障害を
6ヶ月取材,放映されました。(息子はこの頃は事故から5年経過)この放映は全国ネットで放映され,北は北海道,南は沖縄までの全国の家族の方々から相談,及び申し込みが殺到しました。(現在の会員数は250名、賛助会員50名)「日本脳外傷友の会」も立ち上がり,全国的に脳外傷友の会が活動し始めました。今では全国47都道府県のうち正会員・準会員合わせて45団体、その他に関連作業所も入れると28ヶ所が友の会に参加しています。


3・みずほ 〜 最近の活動


 みずほでは助成金を受けてリハビリテーション講習会など大きな講演を年に2回、その他に勉強会、研修会、クリスマス会、バス旅行、家族相談会などの活動もしております。また、最近の小児の高次脳機能障害者のために「キッズサポート」や妻しか分からない悩みを妻同士で話し合う「ミラクル」そして今後は親亡き後に必要となってくる「兄妹」の活動も必要になってくると考えています。
 
 その他に、みずほではみかんやま作業所を立ち上げています。このみかんやま作業所では事故後の復帰や復職、復学に向けて日常の訓練、そして就労を目指してる人の為に簡単な作業や、生活のリズムなどの訓練・支援をさせていただいています。
 また、事業として毎月第2土曜日に日常訓練として「サポート堀川」を運営しています。この講師は金山先生です。メンバーは5名、そのうちの1名が息子です。買い物から調理の準備、調理、配膳、片付け、ティータイム、反省会となっています。


4・最近の息子 〜 親亡き後へ 

 第二ワークスへ普段は自転車で通所しています。
地下鉄・バスだとトラブルが起きることが多く、トラブルを避けるためです。地下鉄。バスのトラブルとは,正義感が強く融通が利きませ  ん。人に注意をすることです,今ではこの注意も少しずつですが改善されては来ています。先日この通所に必要な自転車を置き忘れました。今では6台目になります。止めた場所を忘れてしまう、また自転車に乗ってきたことを忘れてしまうなど行動範囲が広くて探す手立てもありません。 また、宝くじにも嵌っています。お金の使い方も事故後から指導していますが、上手くできません。

 今後の課題として親亡き後、食事のことはどうするのか?お金の管理はどうするのか、行政・福祉の窓口相談はどのようにするのか、トラブルが発生したときは誰に電話をかけるのか、災害が起きたときにどこに助けを求めればいいのか、地域の人が高次脳機能障害者だと理解してくれるだろうか、などなど本当に不安なことがたくさんあります。


 地域で暮らすことは簡単なことではありません,大勢の人の手によって支えられ,数多くのつながりが障害のある人を支え,その生活を安心できるものにしていくと同時に更に,豊かなものにしていくのかもしれません。高次脳機能障害を持つこととなる人たちは事故だけではありません。誰にでも起きる病気からも起こる可能性があります。今できること、親が元気なうちに食べることとお金の使い方だけでも訓練させようと考えています。最後に皆さんに今年の夏放映されたテレビ大阪の「ボランティア21」を見ていただき、質問やご意見を伺いたいと思います。

                 平成21年12月21日(月)

                 NPO法人脳外傷友の会みずほ  理事長 尾山芳子

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※ この1〜4までの課題の内容に事例を交えてまた、高次脳機能障害者のこだわりについての説明をさせていただきました。
  
 最後に質問や意見の時間をとらせていただきました、友達の中に今考えると高次脳機能障害ではなかったのかな?と思える人もいるがそんなこともあるでしょうか?との質問に
「小さい頃、階段から落ちたり、滑り台で頭を打ったり、思わぬ事故で脳外傷をおってる人も少なくなく、10年前、20年前の事故で高次脳機能障害と診断される人もいます」と答えさせていただきました。
 また、小児の親御さんの悩み、妻としての悩みなどそれぞれのどんな悩みがあるかの質問に対して「勉強がついていけない、いじめに遭うんじゃないか、進学や今後の就職についてなどの悩み」や「ご主人の場合は生活していく上の金銭問題、職場復帰、住宅ローン、親子間の問題や夫として今後どのように支援していけばよいか」などの問題点がありますことを、お話させていただきました。
 傷害を認められない当事者が自ら受容することによって、支援する側と支援される側の家族も生活をしやすくなると最後に締めくくらせていただきました。