屋久島教育プログラムについて

京都大学生態学研究センター 湯本貴和

基本方針:

世界遺産登録地である屋久島において、研究・教育に関する利用のモデルプランとして、年に1回、1ヵ月程度の野外実習をして、カリキュラムと教材の整備を行う。ここでの実践は、そのまま仮想博物館「屋久島オープン・フィールド博物館」の成果として、公開する。

計画案:

1)年次ごとに対象を大学学部生、高校生、社会人、外国人留学生とする。

98年 アジア諸国大学学部生(DIWPA)
99年 日本人大学学部生
2000年 社会人
2001年 国際生物多様性観測年

2)まず参加者の知識のレベルを調節し、実習チーム内での「常識」を形成するために、1週間ほどさまざまな講義を行う。地質、植物分類、森林生態、霊長類(社会、生態)、動物_植物相互作用、文化人類、環境保全、地域経済 、エコ・ツーリズムなど。実習受講者のためだけではなく、各講師に出版を前提としたレジュメあるいは資料を用意してもらうことで教材づくりを直接行ってもらう。

3)そのあとで、2ー3週間、チューターをつけて野外調査のグループ研究を行う。その結果を整理して、島のしかるべき施設で発表会を開催するとともに、仮想博物館「屋久島オープン・フィールド博物館」で公開する。

1998年 西太平洋アジア生物多様性ネットワーク(DIWPA)
国際野外生物学コース 第4回日本・屋久島
実施責任者 上屋久町町役場環境政策課・塚田英和、
        京都大学生態学研究センター・湯本貴和

DIWPA(国際生物多様性科学研究計画を当該地域で実践するネットワーク、32の国と地域、300人以上の研究者が参加、事務局:京都大学生態学研究センター)は、西太平洋アジア地域の多様な自然をフィールドに、実際に現地調査を行っている研究者を講師にして、野外生物学の基礎からテーマ研究までの実習を経験し、あわせてさまざまな国の学生と交流することを目的とする。

対象は大学学部生、大学院修士課程1年、またはそれに準ずるひと。

第1回 1995年 マレーシア・サラワク熱帯雨林 (参加学生:5ヵ国20人)
第2回 1996年 ロシア・バイカル湖 (参加学生:4ヵ国12人)
第3回 1997年 タイ・熱帯林 (参加学生:4ヵ国15人)

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