西武園競輪


 私が旅打ちを意識し始めた頃西武園競輪場は大改装中だった。走路も500バンクから400
バンクへ、スタンドも西武らしい豪華なものを建設中で大いに期待が集まっていた。そんなわけ
で改装終了後参戦しました。

 西武新宿駅はJRや他社の新宿駅から大きく離れ歌舞伎町寄りにある。JRにコバンザメの
如く寄りそう関東の私鉄には珍しく阪急の梅田駅あたりを思わせる。非常に乗り換えは不便だ
が次の駅である高田馬場は山手線と接しているからいいのだろう。始発駅から乗りたかったの
でJR新宿駅からてくてく歩きホームに上がった。すると西武園行きの急行が停まっていたので
それに乗ることにする。開催日には直通の列車があるようだ。路線図を見ると東村山、所沢付
近は非常に複雑な廃線になっている。わずかにしか離れていないのに支線が複数ありしかも
同じ西武鉄道の路線が交差しているのに駅がなかったりもする。調べてみると西武鉄道の新
宿線、池袋線、多摩湖線はもともと別の会社だった。昭和のはじめに東京の水瓶として多摩湖
(狭山湖)こと村山貯水池が作られこの人造湖が芦ノ湖に似ているとして観光名所になったらし
い。それを当て込みまず多摩湖鉄道が誕生し国分寺から村山貯水池下(現西武遊園地駅)へ
路線を引き負けじと川越から国分寺への路線を持っていた西武鉄道(新宿線)は東村山から村
山貯水池前まで支線を伸ばし遅れた武蔵野鉄道(池袋線)は下山口から村山公園(現西武球
場前駅)まで路線を引いて観光客の争奪戦になったのだという。結局のちに多摩湖鉄道が2社
を買収し西武農業鉄道(現西武鉄道)となり大資本を生かし遊園地から野球場、人工スキー
場、競輪場、ゴルフ場といった大レジャーランドを作りあげたのである。そして競輪場への足と
して東村山から村山貯水池前まで伸びていた支線を西武園前までに変更し現在の路線網の
原型ができたという。
 
西武園駅。右の通路が競輪場への通路          屋根つきの通路

 西武園駅は東京都東村山市にあるが競輪場は埼玉県所沢市になる。駅から競輪場へは道
路をくぐり専用の通路を抜けて(屋根もあり雨の日も大丈夫)いくがこの途中に県境があるよう
だ。県境はたいてい山奥や川になっており歩いていて知らない間に越えているというのは珍し
い。通路はなだらかな登りになっておりのぼりつめたところに入場門がある。
 入場するとそこはスタンドの最上段でバンクは掘り込んだような形になっている。そう、西武
球場(西武ドーム)と同じ形なのである。スタンド全域に屋根がついていることもあり一瞬ドーム
にも見える。いっそのこと本当にドームにしてしまえばいいのに。スタンド最上段にぐるりと通路
があり車券売場や売店が並んでいる。特に1・2コーナー側は土手になっており下階に車券売
場はない。1コーナーの裏にホールがありここでは車券が買えるが水が入りやすいらしく雨の
日に土嚢を積み重ね必死に食い止めていたこともあるらしい。3・4コーナー側はスタンドが作
られており一応下階でも車券は買える。レースを見ながら食事の出来るレストランもありここに
も多摩川名物の牛吸があるが味は本家には及ばないらしい。私はここで豚汁を食べたが結構
うまかった。バックスタンドの1階には中華料理屋もありそこそこの味らしいが言うまでもなく高
いので行ったことはない。3・4コーナーの裏側には昔使われていたらしい発売所もあるが現在
は閉鎖されている。その隣には人工スキー場が。
 
バック付近からホームを望む                 スタンド最上段
 
隣接する人工スキー場(左)とゴルフ場

 非常に新しく気持ちがいいのだがコンクリートの打ちっぱなしなので冷たい感じもする。そして
いちばん冷たい感じがするのはホームスタンドは全て特別観覧席で入場券だけではゴール前
は見られない。1階も管理用スペースになっており入れない。さすがは西武商法。まったくもっ
て腹立たしい限りなのであえて特別観覧席には入らないようにしている(笑)そんなわけであまり
レースの迫力を感じない競輪場だと思う。とはいえ立派な施設は競艇場を凌駕しており何回も
行っていたりする。単に開催日と私の上京日がうまくあっていただけかもしれないが。
 
2センターの食堂からバンクを望む              メインスタンドの下は管理スペース

西武園競輪ホームページ

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