福島競馬・水沢競馬

平成9年9月27日、28日

 東京からだと福島はすぐそこという感覚でしょうが大阪からは結構遠いところです。空港も福
島市からは大きく離れた須賀川市にありやはり東京駅での乗換を含めても新幹線が便利でし
ょう。2週間前に札幌競馬に行きJRAの競馬場で唯一未到となった福島競馬と同じ東北という
ことで水沢競馬を組み合わせての旅打ちです。

 新幹線で東京へ。回数券ではなく水沢まで通しで切符を購入したので堂々とのぞみに乗って
行く。東京で一旦改札を出てから再び入り東北新幹線のホームへ。当時は東北新幹線と上越
新幹線で1本しかホームが無く人で溢れかえっていたので乗り継ぎに時間がある場合は外に
出ていた方が座る場所もあるだろう、ということである。どうせ発車間近にしか電車は来ない
し。そんなわけで乗り込み福島に向かう。

 福島駅で降りるとクリームに赤と青の塗り分けのバスが停まっている。この原色の塗り分け
がなんともローカルな趣である。例の如く新聞売りのおばさんのいるバス停から停まっている
バスに乗り込む。競馬専用というわけではなく普通の路線バスで有料だが乗っている人みんな
新聞を持っている。そして約15分後の職安前でみんな降りて行った。競馬場前は次の停留所
なのだがここで降りた方が近いらしい。郷に行っては、で私もここで降りることにする。しかもバ
ス代が20円安いらしい。

 市街地の真ん中(といっても福島なのでしれているが)にあるのでスタンドのすぐ裏が道路に
なっておりパドックもスタンドを欠け取るように設けられており雰囲気は中山に近い。そして土
曜日の昼過ぎだというのに指定席があいており呼び込みまでしていた。私が競馬をはじめた頃
は阪神でもそんな具合だったものであるがまだ週休二日がそんなに普及していなかった時代
である。呼び込みまでしているなら、ということでB指定席に陣取る。年に3ヶ月しか使わないの
に(場外では使用するが)もったいないと思えるような指定席だった。そして隣の席は結局埋ま
らなかったのでモニターを一人で独占して見ることができた。それにしてもJRA全般に言える
のだがこのテーブルの奥行きは中途半端である。隣の席がいなかったからマークカードや新
聞や紙コップなんかを置くことができたが隣が埋まっていたら飲み物は置けない。一席でも多く
確保したいのは理解できるが。

 秋の裏開催の福島といえば4歳(現3歳)未勝利戦だった。9月からの阪神、中山開催では
未勝利戦がなくなる為クラシックをとっくにあきらめた未勝利馬たちはここで勝ち星を挙げなん
とか将来をつながざるをえず、そんなわけで福島の未勝利戦は1日に6レース程度組まれその
殆どがフルゲートだった。1日の半分が未勝利戦という盛り上がりに欠けそうな開催にもかか
わらず熱心なファンが東北一円から集まっているようで駐車場のクルマにはかなり遠くのナン
バーも見えた。それを考えると立派なスタンドももったいないとは言い切れないようである。指
定席が空いていたこともあって居心地がよく珍しく最終レースまで観戦してしまった。そこそこ
勝ってお金が続いたという理由もあるのだけど。

 最終レース後には臨時直行バスも出ていたが長ーい行列が出来ていたので行きと同じ職安
前のバス停まで歩き路線バスで帰ることにする。臨時バスも有料だし。なかなかバスは来ず満
員の臨時直行バスが通過するのをながめ「やっぱり並んでいた方がよかったかな」と思った頃
にやっとバスはやってきた。すし詰めのバスに更に押し込まれて駅まで今度は30分近くかかっ
た。
 福島周辺には温泉がいくつかあるが土曜日ということもあり宿泊は難しいだろう。そんなわけ
で福島駅近くのビジネスホテルに泊まることにする。

 翌朝電車で水沢に向かう。特急券の節約の為仙台まで普通列車で行く事にし、仙台から一ノ
関まで新幹線に、再び普通列車に乗り換え水沢に向かう。途中中尊寺の平泉や牛肉で有名な
前沢を通り過ぎ水沢へ。私が水沢といっても思いつくのは水沢競馬と小沢一郎(あくまで選挙
区であって本人の出身地というわけではない)であるだけに初めての訪問に少々興奮を交えな
がら降りる。東北の県庁所在地以外の街に降りることなんてめったにない。郡山、喜多方、い
わき、上山くらいしか記憶が無い。上山市だって競馬が無ければ行く事はなかっただろう。競
馬事業が赤字だから、と廃止するらしいが競馬があることで全国的に名前が知られ行ってみ
ようという気になる。その経済効果は計算されていないらしい。国鉄のローカル線がなくなり全
国版の時刻表に地名が載らなくなる。それに伴い過疎化がさらに進んで行く。

 駅に降り立つがバスの姿はない。水沢駅から無料バスがあるって「月刊優駿」にかいていた
けどなあと思いつつ地下道をくぐり駅の反対側に出るとバス停があった。時刻を見ると無料バ
スは1日に2本しかなくしかも既に出てしまっていた・・・。仕方なくタクシーに乗り競馬場に向か
う。市街地は小さくあっという間に田園風景の中に入り10分ほど走ったところで小さなスタンド
が見えた。

 駐車場を通り抜けさらに厩舎を横に見てようやく場内に入る。小ぶりなスタンドがありその向
こうには真新しい建物もあった。新しい建物は場外用の施設らしいが外側はスタンド風になっ
ている。コースは小回りで内馬場には野球場があった。パドックも出走馬は黒板にチョーク書
きで後に行く盛岡競馬の大きく新しい施設とは大きな違いである。しかし場内には曲屋と呼ば
れる南部地方の昔の家が移築されており内部には色々な資料が展示されている。教科書で読
んだことはあったが実物を見るのは当然初めてでこの地方における人と馬とのつながりの深さ
を大きく感じることが出来た。遠くから旅打ちに来た人間にとってはこういう施設があるのを見
ると来た甲斐があったなと思ってしまう。結局ここで馬券はとれなかったのだがどんなにアクセ
スが遠くてももう一度来てみたいなと思ってしまう競馬場だった。そして数年後レンタカーで再
訪するのだがこの時は場外発売日だった。

 帰りは新幹線の水沢江刺駅が近そうなのでそっちに行く事にする。タクシーで5分程度でつ
いたのだがこの駅はとてつもなく小さな新幹線の駅だった。停まる列車は1時間に1本程度で
列車がくる直前に改札をあけるというローカル線のようなスタイルだった。一人だけの駅員が
出札から改札まで全てをこなしていた。大阪までの切符を購入し改札を待ったがキヨスクも閉
まっており駅弁屋も無かった。駅弁屋の無い新幹線の駅は初めてで思いっきりびっくりした。お
そらくここも政治駅の一種なのだろう。もっとも駅の周辺には駐車場が沢山あり車で来るには
便利な駅である。そういえば岐阜羽島もそんな傾向がある。おいおい、こんなところから干ぼし
かよと思い仙台でその列車を降り駅弁を買って仙台始発の列車に乗り換えた。そして再び東
京駅で乗り換え新大阪へ。さすがに6時間新幹線に乗り続けるのはきつかった。

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