花月園競輪・札幌競馬

平成9年9月12日、13日

 旅打ちは旅先の近隣の場と考えていたらうまくいきません。近隣の場同士は違う競技でも競
合を避け日程を合わせないようにする傾向が最近は特に大きいです。旅行は点ではなく線だ
と考えればいろいろなコースが思い浮かびます。旅行代理店が発売する宿泊プランなどは航
空機利用が多く点を結ぶものとなりがちですが逆にそれが利用できない時はプランの腕の見
せ所といったところです。今回の旅打ちも3連休で羽田−千歳間の飛行機が利用できなかった
からこそ生まれた技です。

 シフト勤務をしている私は世間の休みの感覚と大きくずれており札幌競馬に行こうということ
を考え9月12日から盆休みの代休を取りました。ところが休みの調整を同僚と調整するのに
手間取り休みが決定したのは9月になってからでした。1日東京で用事をする必要がありこれ
を12日にして13日出発で羽田発千歳行きの航空券の予約を取ろうとしたら全席満席とのこ
と。12日の夜もすべて埋まっている。そう、13日は3連休の初日だったのです。3連休とは気
づかず予定を組んでしまったことを後悔しあわてて泊まるホテルを探し回ったのですが12日、
13日とも取れず。13日の逆方向(千歳発羽田行き)の飛行機は空席あり(14日、15日は満
席)ということでこれは夜行列車で行くしかないなと覚悟を決めたのでした。夜行列車もチェック
したところ空いていたのは青森23時発の急行はまなすの指定席のみ。これを予約し東京から
青森までもJRで行くかと覚悟を決めたのでした。予定が空いた(といっても15時ごろには東京
を出ないと青森に着けない)12日は行けそうなところを探したところ花月園競輪が開催してい
たのでここと合わせていくことにした。

 12日は予約済みだった朝の飛行機で東京へ。このころはまだ京浜急行は空港に乗り入れ
ていなかったのでバスで蒲田駅に行き京浜東北線で鶴見へ向かう。無料バスに乗る人の列が
歩道橋までつながっていたので最後列に並び待つ。S級シリーズのせいか観客は多そうであ
る。3台ほどバスを待ち乗り込む。しばらく進むと右手に大きな寺院が見える。総持寺である。
我が敬愛する石原裕次郎の墓はここにあるらしい。一度は行ってみたいと思っている。バスは
右に曲がり坂を登り始めてすぐに停まった。入場門に向けて長い階段がありエスカレーターが
併設されていた。なかなか親切である。

 場内は活気があった。売店は揚げ物から果物、すしと数多くの店が並んでいる。小高い丘の
上にある為景色はなかなかのものであるが見えるのは工場街のえんとつや石油タンクであ
る。レースは期末というわけでもないのに途中欠場が多くS級一般戦は7車立てなんてのもあ
った。当時は枠を基本としたユニフォームの配色で欠車があるとユニフォームの色と車番がい
つもと異なっていた。(例:7車立ての場合本来9番車の緑赤が7番車、8番車の緑が6番車、6
番車の黄が5番車になる)非常に見づらく実況アナウンサーも間違えるほどだった。観客のオ
ヤジも「こらっ!9番車!」と7番車を野次っている人もいた。いずれにせよこの途中欠場はい
ただけない。一部の専門紙には欠場の理由を書いているものがあるがこれが笑える。「○○
×男選手9月花月園途中欠場は急性腸炎の為。練習は2日(休んだ)」単なる腹痛やないか。
「勝っても点数の下がるレースに回されるので帰ります」とは書いていないがホンネである。ち
なみに2開催続けて同じ理由で途中欠場はできないらしい。そしたら「○○×男選手9月京王
閣欠場は感冒の為。練習は1日」だって。腹痛の次はカゼかいな。

 青森まで移動しないといけないので昼過ぎには花月園を後にする。同じ道で帰るのは嫌なの
で京浜急行の花月園前駅まで歩くことにする。これにはもう一つ理由がある。そう、この花月園
前駅にはJRの踏切があるのだがこの踏切は10本の線路を跨いでいるのである。横須賀線、
東海道本線、京浜東北線、東海道貨物線が8本と京浜急行が2本。この壮観な眺めを一度見
たかった。京浜急行とJRは分かれているけどそれでも8本まとめてはすごい。そして東海道貨
物線を除き頻繁に列車が来るので殆どいつも閉まっているのである。脇に歩道橋もあり競輪
終了時はこの踏切は閉鎖されるという。そりゃ、あぶないわ。


 東京駅から新幹線に乗る。指定席はとれなかったので自由席に並ばなければならない。この
頃の東京駅は工事中で東北、上越新幹線のホームは一つしかなかった。私が乗るやまびこ・
こまち号は発車の7分前に入線ししかも折り返しなので清掃を行わなければならずドアが開い
たのは発車の2分前だった。他の列車も同じような具合で必然的にホーム上は人であふれか
えっていた。このやまびこ・こまち号は仙台で分割されこまちは仙台から盛岡までノンストップ、
やまびこは仙台から各駅停車になるというタイプだった。私はこまちの自由席に並んだ。ドアが
開き乗客が乗り込む。私は前の方に並んでいたので座れたが(というより盛岡まで立ちっぱな
しは困る。バブルの頃は東京から新大阪まで立ちっぱなしは珍しくなかったけど)立ち客がか
なりいた。そして車内も落ち着いていない中列車は出発した。こまちは普通の新幹線より巾が
狭くしかも通路に立ち客がいるような状態なので非常に息苦しかった。仙台に到着しようという
ころ隣に座っていたおばあさんが聞いてきた。「これは一ノ関に停まりますよね」あれだけアナ
ウンスをしてもわからないのが現状である。「この列車は仙台で切り離しで盛岡まで停まらな
い。一ノ関は後ろの緑色の電車に乗らないと」と説明した。別の座席にいたおじいさんに私が
言ったことを説明し「ごていねいにどうも」と夫婦で挨拶され仙台で乗り換えていった。それにし
ても仙台の前で気づいてよかった。仙台ですくかなと思ったけど結構乗ってきて全ての座席が
埋まったまま列車は盛岡に向かった。

 接続の特急はつかりに乗っても自由席では座れないことは目に見えていたので盛岡で改札
を出て冷麺を食べにいく。そんなに遠くまで行くことはできないので結局駅ビルの地下にする。
この冷麺屋はよく行ったなあ。八戸まで新幹線が延び盛岡で乗り換えることが無くなったこれ
からは行くことはないだろう。

 次の新幹線が着く前にはつかりのホームに向かい自由席に並ぶ。同じように一段落としを狙
っている人が多く20人以上が並んでいた。はつかりが入線したころにはホームの列は40人
以上になっており新幹線が到着した後はまた通路まで一杯になり真っ暗な中を北へ向けて出
発していった。さすがに北上するにつれだんだん乗客は減っていった。青森に着きはまなすの
ホームに行く。ホームにはかなりの人がいて駅員がユニペックスで乗車位置の誘導をしてい
た。この日のはまなすは12両のフル編成(青函トンネルは12両までと決まっている)で自由席
には一つの車両に100人以上が並んでいた。指定席が取れたのは奇跡だろう。もちろん指定
席も満席でこんなに人が乗っている夜行列車は久しぶりである。そしてこれ以降経験していな
い。

 人が少ない夜行列車なら座席を回転させ足を投げ出すことが可能だがそんな事はできずし
っかり寝ることのできないまま札幌に着いた。一応長袖のシャツを持ってきていたのだが思い
っきり寒かった。これはやばい、と思い駅前のサウナに入る事にする。サウナで充分体を温め
てから電車で一駅の桑園駅から札幌競馬場へ。無料バスが出ており歩いてもたいした距離で
はないがタダなので乗って行く。

 北海道の他の公営競技場に比べたらにぎやかであるがJRAだとは思えないようなのどかさ
を備えていた。かっては芝コースがなくダートだけということでもっと小さな競馬場を思い浮かべ
ていたのであるがさすがはJRAというべきか。この札幌競馬場は道営も開催するがその場合
は指定席は閉鎖され下の方のスタンドのみを使用するらしい。かっては札幌開催は6・7月だ
ったのだが現在は8・9月に変更されている。観光客の多い6・7月の開催を道営に譲ったのだ
という。上着を持ってこなかったことを後悔しながら楽しむことにする。

 このように離れた2場を訪れる旅打ちでは移動そのものを楽しめるようでないと苦痛でしかな
いでしょう。また多客期であっても30分程度並んだり乗り換え時に段落しすることによって自由
席に座ることができます。このようなこと自体を楽しむなら一人より二人の方がいいかもしれま
せん。

 いずれにせよ服装には注意しましょう。北海道を訪れる際は夏場でも上着を忘れずに。また
近年の北海道は夏場に30度を超える日があるようです。エアコンのないバスや電車も珍しくあ
りませんのでそのあたりも注意しましょう。

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