小倉競輪・下関競艇・荒尾競馬・佐賀競馬

平成9年5月23日、24日

 全ての公営競技場に行こう、ということになれば必然的に効率よく回る必要があります。開催
日程表とにらめっこし、安売りの航空券や切符などをうまく利用しあわよくば1日に複数の場を
制覇する。現在は各団体(JRA、地方競馬全国協会、日本自転車振興会、全国モータボート
協会連合会、日本小型自動車振興会)のホームページで開催日程は簡単に見る事ができま
すが私が旅打ちを始めた頃はそんな便利なものはありませんでした。JRAは年間の開催日程
表を競馬場やウインズで配っていますので簡単ですがその他の競技はありません。最初の頃
一番有用だったのは日刊スポーツの月末に掲載される翌月の開催日程表でした。ところが大
阪日刊スポーツの販売範囲に限られ東は豊橋競輪、北は富山競輪、西は徳山競艇、南は四
国各場までしか載っていませんでした。しばらくしてマクールやけいりんマガジンが創刊され発
売日以降の1ヶ月間の全国開催日程が掲載されるようになりこれらは旅打ち計画の必需品と
なったものです。
 そんなわけで二日で4場を制覇しようという計画を作り実行しました。

 この頃私は新大阪に住んでいました。新大阪は始発の新幹線に乗り、最終で帰ってくる事は
もちろん大阪空港までも30分かからない為空の便も利用でき旅打ちには恵まれた場所でし
た。大阪から荒尾までの通し切符を購入しひかりに乗り込みいざ出陣。競輪の1レースは11
時ごろと遅い為そんなに早い列車に乗る必要はなく8時過ぎに駅へ。。

 小倉に着き南口からバスがあると聞いていたので新幹線を降り海の香りのする出口を出て
バス停を探すが見当たらない。こういうバス停は外れたところにあったり時にはポールさえない
ところもあるので新聞売りのおばさんやいかにも、という人が並んでいる所を探すのだがやっ
ぱり見当たらない。20分くらい探し回るが暑かった事もありあきらめモノレールに乗って行く事
にする。モノレールだと香原口三萩野で降りると聞いていたのでそこから歩いて行こう。モノレ
ールに乗ってから気づいた。私が探していた出口は北口でこっちが南口だったのである。私は
南側に海が見えるというところでずっと過ごしていたので海の見える方が南だと思い込んでしま
っているのである。どんなに頭で理解しようとしても育った環境というのは恐ろしい。感覚的に
海イコール南と思い込み行動してしまう。ちなみにここだけでなく金沢や新潟など日本海側の
地区で何度も同じ間違いをしているのだが今もって治らない。

 香原口三萩野駅に着き階段を降りるが競輪場前らしい雰囲気はない。周りはビルなどが多く
競輪場は見えない。こっちだろうと思う方向に歩き始めたところ競輪場まで600メートルという
看板があった。矢印は反対方向だった。再び歩道橋を昇り反対方向へ歩き出す。15分くらい
歩いたところでようやく競輪場が見えた。かなり古ぼけているが開催はこの年までで来年から
は向こう側に建設中のメディアドームに生まれ変わるからどうでもいいのだろう。入場門付近で
は新聞売りのおばさんがたむろし渡すようにして新聞を売っている。お金を払おうとしたら他の
人に売り込みに行っているという具合である。これじゃあどの新聞にするか選択の余地もない
な。で、そこまでして売っている新聞だがどうも今一つである。九州のヒラ開催は中国、四国、
九州の3地区対抗戦が殆どで近畿、中部の選手がちょこっといるかどうか。関東、南関の選手
なんていない。知っている選手がいない以上新聞の情報が頼りなのだがこんな専門紙じゃあ
ねえ。場内はバック側でメディアドームを建設中という事もありかなり手狭で混雑していた。ドー
ムができてから改めて行こうと思い2レースほど見て入場門近くのバス停から小倉駅に戻る。
本数は市内だというのに思ったより少なかった。

 小倉駅から下関競艇に向かう。旧型の電車に乗り込み下関へ。更に乗り換え競艇場最寄り
の長府駅で下車する。改札を出るともう競艇場が見える。間に大きな道路(国道2号線)がある
のでそのまま走っていくわけには行かないがそんな気分にさせるロケーションである。競艇場
の入り口の右となりに日産のディーラーがあった。赤白青のカラーだからパッと見たところこれ
も競艇の施設かと思ってしまった。後に私は山口県出身の上司に下関競艇に行った事がある
話をする。「競艇場の横に日産があっただろ」「はい、ありましたね」「わし高校出てすぐそこで
働いとったんや」世間は狭い。

 下関競艇もスタンドの工事中で2マーク側には行けなかった。バック側の護岸は低く大きな波
が来たら飲み込まれてしまうんじゃないかと思ったりする。コンクリートではなく石垣(のように
見せているだけかもしれない)なのがいい。

 最終レースまで見て長府駅に戻る。車で来場している人の方が多いらしく小さな駅なのにそ
んなに混雑しなかった。電車もそう本数が多いわけでもないのに。関門海峡は歩けるというの
を聞いた事があり下関駅からトンネル入り口までバスで行く。海の底を歩き九州へ。こんな経
験はここくらいしかできないだろう。大阪には安治川トンネルという川(というより運河だから橋
が架けられない)の底を抜けるトンネルがあり歩いた事がある。小倉のホテルに泊まる。

 小倉から荒尾競馬に向かうのだがちょうどラッシュにぶつかりそうだという事もあり特急さくら
に乗って行く。寝台専用列車なのだが朝になると特急券を購入して乗れるのである。東京発の
寝台特急は年々利用客が少なくなっており私が座った座席(というより寝台)も利用した形跡が
なかった。寝台なのでそのまま横になり寝そべってスポーツ新聞を読みながら鳥栖まで乗り普
通列車に乗り換えて荒尾へ。

 空は曇っておりいまにも降りそうな状況だった。降りそうだなと思いつつ駅を出てそのままま
っすぐ歩いていく。10分ほど歩いたところが競馬場だった。地方で駅に近い競馬場は珍しい。
コースを見るとバック側は有明海だった。晴れていればすばらしい光景だったろうが曇ってい
るだけに残念である。と、その時南海のスコールのように激しい雨が降り出した。あわててスタ
ンド内に逃げ込む。穴場の一角にはJRAの自動発売機もあり併売らしい。通常の穴場よりこ
この方が混んでいる。まあ台数が少ない事もあるけど。私もここで翌日のG1(日本ダービーだ
ったと思う)を購入したのだから人の事は言えない。
 雨は通り雨らしくすぐにやんだ。水はけがいいのか馬場は水が浮く事もなく普通にレースをし
ていた。2レースほど見てから駅に戻り佐賀競馬に向かう事にする。

 佐賀競馬といえば佐賀市にありそうだが実際には鳥栖市にある。佐賀県には違いないが。
鳥栖で電車を降り駅前のバス停に向かう。バスの本数はかなり少なかった。1時間に1本ある
かないか。30分ほどバスを待つ。やってきたのは寸詰まりの短いバスだった。こんなバスで運
べるくらいの乗客しかいないのだろう。レース終了後はどうなるんだ。20分ほどバスに揺られ
競馬場に着いた。競馬場前のバス停で降りたのは私一人。バス道と競馬場の間には巨大な
駐車場があり車が埋まっていた。1万台収容可能だという。こりゃバスで来る奴はおらんわ。反
対側のバス停で帰りのバスの時刻を確かめてから競馬場へ。

 佐賀競馬場は最近作られたらしく割合新しく近隣のレジャー施設のような感じで土曜日という
事もあり家族連れの姿も多かった。レンガ風の赤いタイルが雰囲気をそそる。ここもJRAの自
動発売機がありにぎわっていた。スタンドは小さいものの観客数に合わせたんだといわれれば
そうでありスタンド裏には子供向けの遊具などが並び家族で来て欲しいという以降がありありで
ある。実際に開催は週末が多くそれならこういうスタイルもいいのだろう。勝負しようという雰囲
気に欠ける事は確かだが。

 バスの時間に会わせバス停に行くと10人ばかりが待っていた。高齢者が多くどこも同じであ
る。時刻になってもバスは来ない。誰も文句を言うわけではなく「渋滞しているのだろ」とけろっ
としている。全般的に九州は時間に寛容である。JRでも平気で遅れるし高速バスなど1時間遅
れなんてしょっちゅうだった。15分ほど遅れてバスはやってきた。さすがに小型ではなく普通の
大きさのバスだった。鳥栖駅に戻り博多駅へ、そして福岡空港から飛行機で帰ったのである。

 1日に複数の場を回る事は数を稼ぐ為には有用なのですがレースを楽しめたか、というとNO
です。この4場でも場内の雰囲気とかは覚えていますがレースについては全く覚えていませ
ん。スタンプラリーのような感じになっています。いずれにせよこの4場とも再度訪問したいなと
思う次第です。特に荒尾競馬は晴れた日に行ってみたいものです。

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