中京競馬

　この出来事は私にとって恥ずかしいことでありできれば話したくないのですが旅打ちにはこん
なこともあるということで注意喚起を含めて書くことにします。あくまで私がかって経験したことで
現在の状況ではないことをご理解下さい。

　私が初めて中京競馬場に行ったのは１５年程前です。この頃は全場制覇しようなんて思って
もいませんでしたから馬券もとっておらずなぜ中京に行こうと思ったのかも今となってはわかり
ません。ただ阪神の鳴尾記念を買ったことを覚えていますのでＪＲＡの第３回中京開催の最終
日だということははっきりしています。

　そんなおぼろげな記憶ですが初めて名古屋に行ったこともあり道中の様子はよく覚えていま
す。そんな記憶の中から旅打ち日記を。

　新幹線を降り案内板にしたがって名古屋鉄道の新名古屋駅（現名鉄名古屋駅）へ向かう。新
名古屋駅はホームが二つしかない（別に降車用ホームがある）のに列車の行き先は多岐にわ
たり南方面だけでも２０くらい、列車の種別も特急、高速、急行、準急、普通と多種にわたり知
らない人間にとっては非常にわかりにくい駅である。中京競馬場前で降りることはわかってい
たので券売機に並び運賃を確認しようとしたら･･･ないのである。あわてて列から外れ他の券
売機を見ているとどうやら方面別に券売機が分かれているようだった。別の券売機に並び直
そうとしたらその横で駅員が机を置き中京競馬場前までの往復切符を手売りしていたのでそこ
で買うことにする。日本人が他の場所で機械で切符を買うのがこんなに難しいのに海外からの
旅行者が買えるのだろうか。空港最寄りの駅に着き券売機が並んでいるのを見てどんな風に
感じるのだろうか。現在はどの券売機でも買えるようになっているようですが。

　ホームに降りるとホームの上方には行き先別に乗車位置が書いてありそれが点灯して乗車
位置を知らせていた。行き先によってホームの前の方や後ろの方にわかれて停まるらしい。ホ
ームの一部が混雑しないようにするいいアイデアである。アナウンスによると豊川稲荷行きの
急行が中京競馬場前に臨時停車するということなのでそれに乗ることにし、乗車位置に並ぶ。
　しばらくすると「プーペーポープーペーポーピーポーピーポー」と警笛を鳴らし（本当にこんな
音です。名鉄のホームページでダウンロードできます）パノラマカーが入って来た。このパノラマ
カーは運転席が２階にあり客席が展望席になっている電車なのである。関東在住の方は小田
急のロマンスカー（エグゼじゃないほう）を思い浮かべていただいたらわかりやすいのでは。小
さな頃から鉄道ものの絵本ではかならず載っており一度は乗ってみたい電車だった。で、その
電車がやってきてしかも特別料金不要の急行でやってきたことに思いっきりびっくりした。なん
とも太っ腹な会社である。この電車はその後も常滑競艇に行く時など何度か乗りましたが昭和
３０年代の設計ということで老朽化が進んでおり最近はあまり見られなくなってしまったようで
す。パノラマスーパーという新車もありますがこちらは特急専用でミューチケットという指定席券
が必要です。

　

点灯して乗車位置を知らせる新名古屋駅　　　　　　　　　　パノラマカー

パノラマカーの車内

　中京競馬場前駅に着いたら「桶狭間合戦の地」の標識があった。そうか、ここは織田信長が
今川義元を討ち取った歴史の地なのか。この駅から徒歩１０分くらいのところに古戦場はある
らしい。一度は行ってみたいところである・・・と思いつつその後何度も中京競馬場を訪れてい
るもののまだ行ったことはない。

　駅を降りると無料バスが停まっていた。競馬場は見えておりたいした距離ではないのだがＪＲ
Ａの無料バスは珍しいな・・・と思い乗っていくことにした。これも馬券代に含まれているだろう。
よくよく考えたら札幌に中山に淀に・・・そう珍しくないか。バスに乗ったら３分もしないうちに着
いてしまった。競馬場は小高い丘の上にあり駅からの道はずっと上りだから楽といえば楽だけ
ど歩いても１０分とかからない。なお帰りのバスは思いっきり遠回りをしていくので乗らない方が
無難。バスの運転手も「歩いた方が早いよ」なんて言っているし。

　競馬場の入場門から駅の方を見下ろすと谷底にさっき乗ってきた線路と国道１号線が通って
いた。おそらく織田信長はここのような小高い丘の上から今川義元の隊列を確認し一気に丘
を駆け下りていったのではなかろうか、そんな気になるすばらしい所である。

　ここは１コーナー側に入場門がある。地方競馬では当たり前の構造だけどＪＲＡでは珍しい。
駐車場が大きくとってあるのも車の発達した名古屋地区らしい。車といえばここ中京ではトヨタ
賞中京記念というレースがある。こういう副賞は新聞社とか鉄道が殆どなのにここでは車。し
かも優勝の副賞にはセルシオ（クラウンだったかな）がついてくるということもあり馬主の間では
評判がいいらしい。

　この中京競馬場はＪＲＡだけでなく地方競馬（愛知県競馬組合）も開催する。所有しているの
はＪＲＡ（地主はトヨタの関連会社でトヨタ賞はその関係らしい）で地方は借りて施行することに
なる。この賃貸料は結構高いらしく地方の中京開催は年々少なくなっている。現在はＪＲＡが開
催せずかつ売上の見込める正月くらいしか開催しない。

　平成４年のある日、数少ない地方開催日を日刊スポーツの月末に掲載される翌月の開催日
程表で確認し（それでもこの頃は年に２０日ほど開催していた）再び中京競馬場に向かった。
恥ずかしい話はこの時の出来事である。

　新名古屋駅から中日スポーツを携えて電車に乗り（地方開催の場合は急行の臨時停車はな
かったような気がする）中京競馬場前で降りる。改札口を出たとたん３人の人相の悪い男に囲
まれた。そして１枚の紙を見せられ一人が言った。「○レースはこれやで」（文中は大阪弁で書
いていますが実際の言葉は現地の言葉です。あくまでニュアンスということで）「ああ、そうです
か」私が言い振り切るように早歩きで進むと「おい、兄ちゃん。そうですかやないやろ。予想見
たんだから買うてもらわんと困るわな」「見たってそっちが見せただけでしょ」「何ぬかしとんじ
ゃ、こいつ。○○××・・・・」そんなわけで５０００円で全レース予想を買わされてしまったのであ
る。

　中央競馬でも全レース予想は２０００円程度、地方なら１０００円程度で明らかなぼったくりで
ありそんな奴等につかまってしまったのである。普通公営競技場の最寄りの駅にはたいてい交
番があるのだがここにはない。

　あまりにもたちが悪くこれから競馬場に来る人間がこのような被害に遭うのは中京競馬にと
って大きなマイナスなので競馬場に着いてから１０４で警察署の番号を確認し電話した。こんな
ことで１１０をかけるのは面倒である。競馬場内の警察官詰所で内容を話すという手もあるが
私自身も地方競馬法違反していること（八百長とかそんなことじゃないですよ）がありそれが明
らかになるのはやばい。そんなわけで愛知警察署に電話し内容を話すがなかなか伝わらな
い。１５分くらい話しようやく内容が伝わったところでうちの管轄じゃないので競馬場内の詰所
に来て欲しいということになった。もう面倒になりはいはいと言い電話を切った。ちなみに競馬
場は豊明市で所轄は愛知警察署だが中京競馬場前駅は名古屋市緑区になり所轄は名古屋
緑警察署になるのだそうだ。要領を得なかったのはこのあたりもあるらしい。

　この日のレースは大荒れだった。４レースが終わったところですべて４桁配当。もちろん当時
は枠連しかない。そんなわけで今日は荒れると判断し５レースから購入した。

　５レース６２００円、６レース２７００円、７レース４３００円。すべて４点買いで的中したのであ
る。こんな高配当を続けざまに当てたことは後にも先にもこの時だけ。行きにあった出来事な
どすっかり忘れて（ちなみに売りつけられた予想はすべて外れ）丘を下り駅に戻ったらパトカー
が停まっていた。警察官二人が駅前広場（というほど広くない）をにらみまわしておりそのすみ
で仕事の出来ない例の３人が突っ立っていた。なるほど、言ってみるものである。ざまあみろと
思いつつ電車に乗って帰った。

　この後ＪＲＡ開催の中京競馬に何回か行きましたがこの連中に会ったことはありません。但し
東海地区の他場で同様の被害があるというのも聞いたことがありますのでこの種の話が全く
のデマではないということを説明する為に恥を忍んで公開しました。

　あくまでも旅打ちの皆さまに注意喚起するのが目的でありその他誰かを貶めようとかそのよ
うな意向は全くありません。ご理解のほどお願い致します。

ＪＲＡホームページ