岩見沢競馬・函館競輪・旭川競馬


平成8年9月16日・17日・18日
 この頃私が勤務していた会社は正月、盆に出勤することにより五日程度の休みを自由に取
ることができた。家族持ちの社員が優先的にその時期に休むので独り者の私はいつも1月の
下旬や9月になってから休みを取るという、考え方によっては非常に恵まれた境遇だった。
 そんなわけでこの年も北海道旅行を計画しそれに旅打ちを絡ませようという狙いで月刊優駿
の地方競馬日程とにらめっこし4日間で三場を制覇するプランを立てたのである。

 連休の最終日ということもあり9月16日の千歳行きの航空券は簡単に取れた。休みをこの
日からに設定したのはこのせいもある。北海道ニューワイド周遊券という切符がJRから出てお
りこれを利用すると北海道内のJR全線(特急含む)が乗り放題と往復の航空券が一割引にな
るという結構なサービス商品であった。今のように航空券の割引は少なく(普通の人が利用で
きるのは往復割引くらいしかなかった)非常に便利な切符だったのだがなくなってしまったのは
惜しい。現在「周遊きっぷ」という名前で似たようなものがあるが有効期間が短く片道しか飛行
機には乗れない。(もう片道はJRを利用しなければならない)
 千歳空港に着きそのまま地下のホームへ。札幌までは快速、札幌からは特急という列車が
停まっておりそれに乗る。乗り換え無しで岩見沢まで一直線。

 岩見沢駅のホームにはそりを引くばん馬の木彫りの像があり北海道とばんえい競馬の結び
つきの大きさを感じる。改札を出て右手にあるバスターミナルに向かう。立派なバスターミナル
だがバスはめったに来ない。地方ではよくあることである。競馬場行きのバス乗り場はすぐに
わかった。そう、新聞売りのおばさんが待ち構えているところである。まあ迷うほど大きくはない
けど。ここのバスは無料ではなく普通の路線バスだった。ただ170円という運賃は田舎のバス
としては驚くほど安い。そのかわりバスの床は板張りでシフトレバーを操作するたびガリッ、ガ
リッと音がした。分譲住宅地のように碁盤目に組まれた北海道らしい街中を15分ほど進み小
高い丘を登ったところが競馬場だった。

右のホームに見えるのが銅像

 空港からそのまま来たので鞄を預けようと預かり所を探すが・・・ない。もちろんコインロッカー
もない。鞄を持ったままうろうろしていたがそもそも鞄を置いていても盗まれるような雰囲気が
なかった。そんな雰囲気にほだされ鞄をスタンドの椅子に置いたまま馬券を買いに行ったりトイ
レに行ったりしたが何ともなかった。テロ事件と無縁の時代だったこともあり不審な荷物として
通報されることもなかった。振替休日ということもあり割合混雑していた(そりゃJRAみたいなこ
とはないけど)けれどもすきあらば、という住之江にいる連中とは明らかに客層が違うのだっ
た。もちろん観光客も多く歓声を上げる若い女性客も多かった。札幌から近いということもあり
家族連れを含めたレジャー施設のような、そんな雰囲気だった。帰りに確認すると鞄は売店で
預かってもらえるらしい。(有料)
 
パドック                              ゴールへ

 札幌へ戻り夜を楽しんだ後夜行列車で函館に向かう。フェリーの2等船室のようなカーペット
敷の車両で横になっていけるのは非常に楽である。この列車も今はないらしい。ま、乗車した
時期でもかなり老朽化していたからなあ。函館に着いたら路面電車に乗り終点の谷地頭に向
かう。ここには市営の温泉があり朝から営業しているのでありがたい。有馬温泉のような赤い
湯であるのでうっかりお湯が目に入るとえらいことになるので注意。(鉄分が溶けている)そして
熱めである。

 函館競輪の1レースは11時半なので夜行列車で着いたらいくら温泉に入っても早すぎる。朝
市を冷やかし適当な時間になったのでふたたび路面電車に乗り込み競輪場に向かう。路面電
車で行くというのはなかなか楽しい。函館(競輪・競馬)以外では広島競輪、宮島競艇、豊橋競
輪、岐阜競輪(ここは本数が少ない)ぐらいか。
 函館競馬場の隣にあると聞いていたので競馬場前の一つ手前の停留場で降り歩いていく。
競輪場はこの方向という案内板はあるがいくら歩いてもあるのは自衛隊の駐屯地だけ。おい
おい、競馬場の隣と違うんかいなと思いつつ歩き続けること20分、やっと競輪場の入り口が見
えた。地図を見ると競馬場のバックストレッチの裏あたりに位置していた。競馬場の隣には違
いないか。それにしても競馬場、競輪場、自衛隊、刑務所とあまり自宅の近所にあって欲しくな
いようなものばかりが集まっている。少し前に私の会社で部下が結核を患い隔離病棟に入院
したのだが見舞いに行ったところ隣は刑務所と警察学校だった。

 最北の競輪場はのどかだった。殆どの場ではスタンドとコースの間に立見スペースがあるが
ここはその部分にベンチがおいてある。ゴールラインや発走ラインの前にもベンチがありオヤ
ジは座ったまま声援を(ヤジを)かけている。ときおり上空を飛行機が通りすぎる。とはいえや
はりそれは「競輪場の中では」のどかということでさすがに鞄を置きっぱなしにはできないだろ
う。ちなみに鞄は駅のコインロッカーに入れてきた。バックスタンドに「函館の竹下景子」なんて
呼ばれている美人の車券売りのお姉さん(多分おばさんだろう)がいてその窓口だけが混雑し
ているという噂を聞いていたので探してみたがそんなに混雑している窓口はなかった。ガセネ
タだったか。

 市街地の松風町というところに場外車券売場があるのでそっちも見てみたくなり途中で競輪
場を後にする。さすがに電停まで歩く気もなく(北海道とはいえ南の函館は結構暑い)競輪場の
前のバス停からバスに乗る。本数は1時間に1本程度で入場する前に時間を確認しておいた。
松風町で降り車券売場を探す。映画館を改装したような立派な建物だった。競輪の場外売場
はプレハブや貨車を改造したもので窓口は5個ほど(例:防府競輪の駅前場外)というイメージ
があったので意外だった。

 松風町から函館駅まで歩き特急列車で札幌に向かう。この列車は青森からの接続を受けて
いないこともあってがらがらだった。小沼、大沼を抜け駒ケ岳を右に見ながら北上する。このあ
たりはプロレスラーのジャイアント馬場さんが最も好きな風景だったという。鉄道でないと見ら
れないこの風景、ようこそ北海道へと旅人を迎えてくれるように美しい。それを抜けると何もなく
地平線だけが見えるという北海道らしい景色の中を進んでいく。道路(一般国道)も併走してい
るのだがこの特急列車を追い抜いていく車もいる。ゆうに130キロは出ているわけで即免許
取り消しである。時々すれ違う列車は特急列車か貨物列車である。コンテナについている行き
先の札を見ると梅田(大阪)、梅小路(京都)、福岡タ(タは貨物ターミナルの略)なんて貼ってあ
る。はるばる関西や九州まで運ばれるのである。

 旭川競馬はナイター開催なので昼間は札幌市内を観光する。夕方列車に乗り込み旭川に向
かう。駅前の藤田観光ワシントンホテル前からバスは出ておりそのホテルにチェックインして鞄
を置いてからバスに乗り込む。これなら最終レースまで楽しんでも安心である。北海道の9月
は日没が早く6時ごろには真っ暗になった。バスは街灯のない真っ暗な道を進んでいく。こんな
所に競馬場なんてあるんかいな、と思いながら約25分、ようやく明かりが見えた。熊が出るん
じゃないかと思うような山奥である。青森競輪、盛岡競馬に匹敵するが日が暮れていたから余
計にそう感じたのかもしれない。

 この開催はナイターの最終開催だった。というよりこれ以上ナイター開催は不可能だろう。9
月の北海道、しかも内陸部の旭川は寒い。そして観客席まで寒かった。スタンドの裏にはビー
ルやソーセージなどの売店があるが気の毒な状況だった。普段は飲まない私だがこんな状況
では体の中から温めないと、ということでビールを手にする。馬券も当たらず懐も寒い。こういう
気分に前もなったことがあるな、いつだったかなと思い返してみたらいつか見たグリーンスタジ
アム神戸で見たオリックス対ロッテの消化試合だった。気温も観客席もそして試合内容まで寒
いという・・・。なお旭川競馬のレース自体は寒くないので念のため。

 現在北海道では夏場はJRA札幌開催、岩見沢ばんえい競馬、旭川道営ナイター競馬を同
時期に開催する為割合近くにあるこの3つをはしごするのも面白いでしょう。4日あれば可能な
のでぜひともお楽しみいただきたいところである。
注:このページの写真は旅行時の写真です。

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