多摩川競艇

平成９年４月１１日

　多摩川競艇に初めて行ったのは桐生を除く関東の競艇場では最後の方だった。東京駅から
乗り換えなしで最寄り駅に行ける平和島、戸田、江戸川（東京駅から大手町まで歩かなければ
ならないが）に対し乗り換えねばならずしかも中央線快速は遅いときているので後回しになった
のだろう。とはいえまくりが強い静水面や場内の食べ物の充実ぶりなど魅力をいろいろ聞き及
ぶに至ってついに参戦と相成りました。

　中央線の武蔵境から西武線に乗り換え競艇場前まで。この西武多摩川線は他の西武鉄道
の路線とは全く離れた飛び地の路線だがこれはもともとあった別の鉄道を買収したことによ
る。この会社は多摩川の河川敷で砂利を採取する事業を営んでおりその輸送用に鉄道を作っ
た。コンクリートの建物が増え砂利の需要が増してくると武蔵野鉄道（現西武鉄道）はこの事業
への進出を企図したもののノウハウが無い為この会社を鉄道ごと買収したのだという。何とも
ダイナミックな話である。で、多摩川競艇場はこの砂利採取場の跡地を利用して作られており
施設所有会社は西武鉄道系の会社である。ちなみに路線は離れていても武蔵境と新秋津でＪ
Ｒと西武鉄道は線路がつながっており車両の点検の際はその線路を介して所沢の工場まで運
ばれるという。そんな経過から都内では珍しく単線で運転本数は少なくまた両数も短い。ＪＲの
府中本町駅まで無料バスがあることもありこちらの方が便利かもしれない。またここは東京競
馬場とも近く競馬場の南口から１５分ほど歩いたらはしごができる。前売りで馬券を買ったら混
雑した競馬場を出て競艇場を楽しむのもいいだろう。もっとも「地獄道」なんて言われ方もして
いるようだが。

　

駅からの専用通路

　

スタンド　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　競走水面の鯉

　専用通路が駅から直結しまたその通路がピットの上空を通っているという点で非常に尼崎に
似ている。南向きのスタンドで静水面、カドが強いと共通点は多い。ただしスタンド内には非常
に柱が多く見にくい。また椅子の背も奇妙な形をしている。座ってみると理由は分かった。前の
椅子の背に足を乗せにくいような形をしているのである。それなら背もたれを大きくするとかい
い椅子を入れたらいいのに。

　１マーク側はスタンドが大きく水面際に寄っている。この角度は他のどの場よりも大きいよう
で１マーク付近に座っているとボートが正面に向かって走ってくるような感じがありなかなかの
迫力である。水面の端までスタンドになっているのはさすがに人の多い東京だけのことはある
が高さはそんなに無い。中央道からみるとスタンドが長い分競走水面は見えず（距離も少々離
れているが）ユーミンの歌に登場しなかったのも仕方が無いかも。あの歌（中央フリーウェイ）を
聴くたびに競艇は歌にならないのかとがっかりしたものだがそれだけの理由ではなかったか。

　

妙な形の椅子　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　スタート

　地元の尼崎に似ているということもあり舟券も取れ気分良く観ていたらわざとらしく換金屋の
おばさんが回ってきた。関東の各競技場以外では殆どお目にかかれないが逆に関東（ＪＲＡ除
く）ではやたら多い。「業者専用」なる払戻窓口もかっては存在しなぜわざわざ便宜を図るのか
よくわからない。もっともわずかな手数料で商売になっているのかのほうが疑問だが。私が「よ
っしゃあ」と声を上げているのを確認して狙いを定めたのかもしれない。その観察力に敬意を
表してこのおばさんから換金することにする。するとすぐ近くにいたおじさんも換金し祝儀まで
渡していたから単に常連であるこの人のところに行こうとしていただけだったのかも。

　

　初めて行った時には特に食べ物にはなんとも思わなかったのだが牛炊が旨いとマクールや
他の旅打ちホームページで見聞きしたのであまりこういう食べ物（汁系のご飯もの）は好きでは
ないのだが話の種に食べてみることにしたら・・・さすがにうまい。１３時過ぎには売り切れると
いうのもうなずける。スタミナ雑炊とサブタイトルがついてはいるが「雑炊」ではなくだし茶漬け
の類に入るだろう。付け合わせのキムチとの相性もよくこうした「大人の食べ物」が大人の遊び
場で開発され提供されているのは非常にうれしい。昔から食べている人は最近は味が落ちた
などと口にしている人も多いが私は充分に満足だった。ただキムチはもうちょっと欲しいな。

ソフトクリームをいい年をした人たちが食べているのはここでしか見られない光景だろう。案外
男もこういうものが無性に食べたくなったりするのである。

　帰りは府中本町までバスに乗り南武線で川崎に出たのだがこれがまた遅い。ＪＲ、私鉄を問
わず都心から放射状に路線が伸びている首都圏にとって南武線のような数少ない横の路線は
重要なのだが普通しか走っておらず川崎まで４０分はかかる。まあ各私鉄との乗換駅で乗客
が入れ替わりすぐに座れるからいいのですが。

多摩川競艇ホームページ