ふじょうさんの鎌倉まんゆうき


『紫陽花坂の歌詞を歩く』

2000年10月、HyeperMidiWorldは、サザンの名曲TSUNAMIのパロディとして「KOHZUI」というオリジナルを発表しました。
それが、そのまま紫陽花坂の元歌となりました。(今流れているmidiがまさにソレです)

ふじょうさんから「歌詞をつけて歌いたい」という話を頂いた時、実は私の中に、ひとつだけ「すでにイメージされた歌詞」がありました。
それは間奏後のリフレイン冒頭の「雨に煙る」というフレーズ、たったそれだけです。もともと「KOHZUI」というタイトルであり、
またサザンの桑田くんが歌っているシーンを想像したところ、なぜかそのフレーズだけが作曲中から浮かんでいたのです。

「歌詞をつけたい」と聞いたとき、私はすぐに「どんなイメージですか?」とふじょうさんに尋ねました。
偶然なのか音からイメージが伝わったのか、彼の答えは「雨と別れ」でした。即OKしたのは言うまでもありません。
何度かの推敲はあったものの、生まれながらの詩人ふじょうさんは、私が指定した「雨に煙る」のワンフレーズから
この歌詞を完成させたのです。

が、しかし…(以下は、ふじょうさんがかつてご自身のサイトで発表されていたものです)


…ところが この曲は歌うために創ったのではないのでメロディは2オクターブの域で自在に動き
曲だけで十二分に感動できる仕上がりとなっている
そこに歌詞を載せ 更に それを歌うと決めた風情さんの所業はハッキリ申し上げれば 
無謀 であった
それがために無理して歌いすぎた風情さんは喉を痛め2002年の正月明けにガラガラ声になってしまった
同曲を早く録音したい意向と うらはらに 録音作業が進展しない出来ない日々を過ごし
やきもきしながら考えた
「歌えない時間が継続するなら 今一度 紫陽花坂の場所へ行って歌詞を かみ締めてこよう」
 思ったら実行久しぶりに行った鎌倉は小春日和の趣
我ながら日頃の行いの良さに 初めて自分で自分を誉めてあげたい気持ちになった

作者のマサトサマに歌詞をつけたいと持ちかけ
キーワードを 雨 と 別れ で相談すると
了解されたので迷わず紫陽花坂の風景が浮かんできた
紫陽花坂というのは各地にもあるが鎌倉のそれは
極楽寺駅の近くに有る成就院への坂道である


紫陽花坂へのアクセスは鎌倉から江ノ島電鉄 の 長谷駅 もしくは極楽寺駅が近いのですが
メイン道路を歩かず私は歌詞のとおり 隠れ道に沿いながら歩んでみました
久しぶりに訪れた紫陽花坂を歩き 脳裏にメロディを流しながら・・・

♪〜
 
今も覚えてる 胸に沁みこんで  
 古都 鎌倉の街 雨も似合う季節に
「これきり最後の思い出になるんだね」と
 二人歩いた隠れ道を

隠れ道の神社から

鳥居の目の前を江ノ島電鉄の車両が行き来する

有名な観光地である鎌倉にあって しかも鎌倉という名を冠した『鎌倉・・・神社』というマイナーな場所を基点に歌は始まります
長谷駅から隠れ道をたどり到着する神社に漂う味わいは見逃せないものが多々あるのです
ここでしばらく佇む二人の姿を見かけるのは境内の猫ととんび くらいです

神社から紫陽花坂を目指し しばらく行くと  途中 鎌倉名物の力餅家があります

その角を曲がるとすぐに 鎌倉十井(鎌倉の10の井戸)のひとつ 星月夜の井戸、星の井 と呼ばれる井戸があります
♪〜
星月の井戸を覗きこむ君の 
あどけない笑顔みては
僕も笑ったけれど
切なさが僕らを包んだ傘伝い
君の頬も濡れていたね


以前はこのような頑丈な蓋では無かったのですが 安全面からせざるを得なかったのでしょう 
のぞきこめば真昼でも星が映るとか色々言い伝えがあります



星の井で必要以上に時間をつぶす二人は あきらめたように 極楽寺駅へ向かおうとします
歩けば十分もかからない道のりです 目の前には駅に続く坂が二つ見えてきます


♪〜
雨に煙る 極楽寺駅へ続く
緩やかな坂と急な坂に
たゆたうれば
突然に駆け出した君を
傘 投げ捨てて追いかけて
あぁ 思わず抱きしめた
滲んで揺れながら紫陽花坂

二人で歩いた思い出の鎌倉 大好きな鎌倉を今 別れの場所に選んだ男の気持ちは揺れています
二つの坂それぞれに積み重ねられた思い出に揺れています
いつまでもこのまま二人で坂を眺め 雨にうたれ傘の中にいたい という気持ちに流されそうになると
女 は雨の中を駆け出しました
坂の途中で抱擁する二人に 由比ガ浜の海は見えたのでしょうか




おまけ。「紫陽花坂探訪を終えレコーディングの意欲に燃える風情さん」

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