大型二種免許 教習記

大型二種免許 (バスの免許) を教習所で取得した記録です。バスの免許って教習所ではどういうことをやるんだろう、とかいった興味で読んでもらえればと思います。

このページの目次


前提知識

二種免許とは

お金を取ってお客さんを乗せる時に必要な運転免許が第二種免許 (略して二種免許) です。普通車にお客さんを乗せる場合 (つまりタクシー) は普通第二種免許 (普通二種) が必要で、大型車にお客さんを乗せる場合 (つまりバス) は大型第二種免許 (大型二種) が必要です。大型の方が上位免許なので、バスの免許を取ればタクシーも運転できます。

これに対して、通常の普通免許や大型免許などは第一種免許 (略して一種免許) と呼ばれます。ちなみに、二種免許と二輪免許は字面が似ていますが、まったくの別物です(笑)。後者はバイクですね。

MT免許とAT免許

普通二種 (タクシー) 免許の方は、オートマチック車 (AT) とマニュアル車 (MT) の区別があります。ATの免許 (AT限定免許) を取るとAT車だけが運転でき、MTの免許 (限定なし免許) を取るとAT車でもMT車でも運転できます。

なお、MTの普通免許 (一種) を持っている人がATの普通二種免許を取ることも出来ます。この場合は、お客さんを乗せていない時にはMT車でも運転できるけど、お客さんを乗せる時はAT車でなければならないという複雑な条件が付くことになります。逆に、AT普通免許からMT普通二種免許を取る場合は、二種免許の方が上位免許のため、下位の限定は解除されます。というか、限定解除してからでないと、MT車での路上試験が受けられないはず。

大型二種 (バス) 免許には今のところAT免許はなく、MT免許 (限定なし免許) だけです。

取得条件

大型二種も普通二種も取得条件は同じです。21歳以上で、四輪免許 (大型、中型、普通、大型特殊) のいずれかを取って3年 (自衛官などは2年) 以上経っていることです。この条件に合うのなら、対応する一種免許を持っている必要はありません。つまり、普通免許を取らずに普通二種免許を取るようなことも可能です。二種免許は上位免許なので、この免許だけで、お客さんを乗せない自家用車なども運転できます。同様に、バスの免許があれば、トラックも運転できるわけです。

視力は、片目で左右とも0.5以上、両目で見て0.8以上が必要です。もちろん眼鏡を掛けてOKですが、普通免許などとは違って、片目しか視力がない場合は二種免許は取れません。そして、深視力の試験があります。2.5m離れた位置に3本並んだ棒があり、そのうちの真ん中の棒が左右の棒より奥にあるか手前にあるかを誤差2cm以内で見分けられることが条件です。背景も影も一切なく、棒だけしか見えないという条件で行なわれるので、この深視力検査で苦労する人も多いようです。

聴力は警音器 (クラクション) の音が聞き取れることが条件ですが、いちいち試験はせず、普通の会話が聞き取れればOKになることがほとんどです。ただし普通免許などと違って、補聴器が認められません。矯正していることには変わりないのに、眼鏡は良くて補聴器がダメという違いはいったい……。

教習の進め方

指定自動車教習所 (以下「教習所」) での教習は全2段階に分かれていて、第1段階が場内コースの走行。第2段階が一般道路 (路上) の走行です。各段階の最後の時間には、そこまでの教習内容がちゃんと出来ているかの「見極め」があり、これに合格しないと次の段階に進めません。教習期限は9か月間で、この期間内に第2段階見極め合格までをもらえないと、教習はすべて無効になります。

大型二種免許の規定教習時間 (補習がない場合) は以下の表の通りでした。

大型二種免許の教習時間
所有免許 技能時間数 学科時間数
大型 + 普通二種 22時間 (場内11+路上11) 免除
MT普通二種 29時間 (場内15+路上14) 免除
大型 27時間 (場内11+路上16) 19時間
MT普通 34時間 (場内15+路上19) 19時間
大型特殊 52時間 (場内23+路上29) 20時間

(注) 平成19年6月からは、大型免許を持っている場合の技能教習時間がこの表より9時間 (場内3+路上6) 減っています。

この他、所有免許がAT免許の場合は、MT免許の人より場内技能が4時間多くなります。大特二種やけん引二種を持っている場合は、学科が11時間分だけ減ります。

修了検定と仮免許

普通免許 (一種) などの教習では、場内の見極め合格後に修了検定を受けて、仮免許を取ってからでないと路上が走れません。しかし、二種免許の教習では、対応する一種免許 (大型二種の教習なら大型免許) を既に持っている人はその免許でそのまま路上が走れます。つまり、仮免許は必要ないので、修了検定は免除になり、第1段階の見極めに合格するだけで、すぐに第2段階 (路上) に進めます。

しかし、対応する一種免許を持っていない人は、仮免許がないと路上が走れません。従って、第1段階見極め合格後に修了検定を受けて、仮免許を取らないとなりません (四輪免許を持っているので仮免学科試験は免除)。例えば、普通免許や大型特殊免許しか持っていないような人が大型免許を飛ばして大型二種免許を受けるような場合は、修了検定で大型仮免許を取り、第2段階の路上は「仮免許練習中」を貼ってバスを運転することになります。

一般に、大型免許はトラックの免許、大型二種免許はバスの免許と認識されていますが、実際は車種の違いで区別されるのではなく、お客さんを乗せるかどうかの違いです。自家用バスに友達を乗せるだけなら、大型免許だけでOKです (大型二種免許は要りません)。教習中も本物のお客さんは乗せないので、大型免許や大型仮免許だけでバスを運転できるのです。

入所

きっかけはなんとなく

先述の通り、二種免許取得条件には「四輪免許を取って3年以上」という規定があります。これは実際は「運転経験3年以上」を意図して付けられた条件だと思います。しかし、免許の申請があるたびに、その人が実際に車を運転していたかどうかを調べるとなると運用が大変です。だから、3年経過しているだけでOKという法令になっているのでしょう。

私はこの大型二種の教習を、四輪車のハンドルは何年も握っていないという完全ペーパードライバーの状態で受けました。そんな状態でバスの教習を受けに行くやつはめったにいないかもしれませんが……(笑)。これでも、法令上の条件は完全に満たしているのですが、きっと意図された状況とは違うんでしょうね。

学生時代には、大型特殊免許やけん引免許を取ったりもしましたが、普通免許は取らずに社会人になりました。結局、履歴書には運転免許は何も書かなかったです。「大特けん引持ち・普通免許なし」なんて書いて突っ込まれるのも嫌だし(笑)。今も、車の運転はまったく必要のない毎日。きっかけは本当になんとなくです。学生時代にこの免許 (大型二種) を取ろうとしていたなと思い出しただけでした。

運転適性検査

入所したらまずは運転適性検査がありました。注意力・判断力などを検査するというもので、これは試験ではないので成績が悪くても免許はもらえます。一種免許の教習では紙に書いて答える形式が多いと思いますが、今回は端末画面でやりました。画面内を赤い玉が動いていって途中で消えます。見えなくなった玉が同じ速度で進み続けているとした時、その玉が指定された位置まで到達したと思った瞬間にボタンを押せ……といったのを何度も繰り返しやりました。

動きを予測する能力や、単調作業の繰り返しによる集中力低下度などを測定するのですね。他にも色んな項目がありましたが、これらを元に、運転の際にどこを注意すべきかなどの診断結果が渡されます。今回は意外といい結果でした。私はどうも時間を急かされるとダメなようで、今回の検査はそういうのがなかったからかな?

学科教習

大型二種の学科は普通二種と共通です。でも、二種免許は教習生が少ないので、同時に学科を受ける人数も少なめでした。だいたいは10人弱でしたが、2人だけとかいう時もありました(笑)。学科教習の半分近くは一種免許の学科の復習の時間になっていて、ビデオなどを見ながら一通り全部を復習します。

残りの時間は旅客運送関係の法令などもやります。バスやタクシーの乗務員が守るべきことなどです。危険物の持ち込みに関しては、何は何グラムとか細かい数字がいっぱい出て来ます。路線バス、観光バス、タクシーの3つで違っている内容があったり、乗車拒否に関しても「拒否できない場合」「拒否できる場合」「拒否しなければならない場合」の違いがあったりしてややこしいです。

効果測定

学科教習が一通り終わったら学科の模擬試験を受けます。「効果測定」と言います。これに合格しないと卒業検定が受けられません。私は市販の問題集などもやって勉強しましたが、免許の学科試験ってなんであんなに重箱の隅をつついたような問題が出るんでしょうね。

問題「タクシーの車内に500グラムのマッチを持ち込もうとした客がいたので、乗車を拒否した」……答えは「誤 (×)」。500グラムを越える場合に乗車拒否できますが、500グラムちょうどなら拒否できません。……おいおい、乗車拒否しようって時に誰がそんな正確な重さを測るんだよ!?

ちなみに、500グラムを越えた場合は、タクシーなら「拒否できる」、路線バスなら「拒否しなければならない」となります。他の乗客の安全も考えなきゃならないので、違いに注意ですね。上限の量も物品によって異なります。まあ、90点以上が合格なので、10点分は間違えても大丈夫。効果測定は一発合格でした。

実習科目

応急救護

実習科目として応急救護があります。現在は、普通免許や二輪 (バイク) 免許の教習でも3時間必修になっていますが、大型二種や普通二種では6時間やることになっています。私はこれをやるのは今回が初めてでした。なお、これは医師免許などを持っている人は免除になります。

まずは、やり方のビデオを見て説明を受け、その後、人形相手に心臓マッサージや人工呼吸をやりました。人形相手に「大丈夫ですか!?」と話し掛けるところまでやらされるので、なかなか恥ずかしいですね。演技力がいるかも(笑)。心臓マッサージや人工呼吸は弱過ぎると効果がなく、強過ぎると肋骨を折ったりしますので、力加減が難しいです。人形にはセンサーが付いていて、正しい力加減で出来ているか判定できるようになっています。

その後、止血のやりかたなどをやり、普通免許などの実習なら、ここまでで3時間ですね。二種免許の実習では、さらに3時間あって、包帯や三角斤の巻き方、火傷などの対応、骨折の固定など一通りの応急救護を実習しました。

障害者対応

二種免許の実習科目はもう1つ、障害者対応があります。車椅子の人や目の不自由な人を座席まで誘導する実習です。交替で車椅子に座り、車椅子を押す練習などをやりました。段差を乗り越える場合は、自分が段の下に立つのが基本。逆だと万一落ちた時に支えられないからですね。つまり、上り段差は前進で、下り段差は後退で進むことになります。あとは、動かす時は一声掛けて、手を離す時はブレーキを……とか。

また、交替で目隠しをして目の不自由な人の役をやりました。同じ教習生とは言え、見ず知らずの人に手を引かれて目隠しした状態で段差のある所を移動するのって、あんなに怖いものとは思いませんでした。教習所内の廊下や階段でも練習しましたが、上りより下りが怖いですね。下りで引っ張られると本当に落ちそうな気がします。もちろん、押されるともっと怖いので絶対に押して誘導してはいけません。引く場合も、相手を握って引くのではなく、相手に握らせて引きます。もちろん一声掛けて。それでも怖いです。

階段はどこで始まってどこで終わるのかが分からないと怖いと思いました。「あと3段です」とか言ってくれた人もいたのですが、今、足を下ろした所を入れて3段なのか、次から3段なのかが分からないので、あまり役に立たなかったり(笑)。

それより、手すりの位置を教えてくれることがうれしいと分かりました。何も見えない段差。手すりを触っただけでどれほどの安心感を感じることか……。段差のある所に手すりがあるってことが、これほど重要なことだったとは思いませんでした。というわけで、どういう誘導のされ方をすると怖いのかを色々と実感できました。ほんの少しだけでも障害者の気持ちが分かったかなと思います。

技能教習

教習車

学科教習と並行して技能教習があります。教習車は、私の行った教習所では、路線バスタイプと観光バスタイプの2種類の車両があって、ランダムに (教習内容に応じて?) どちらかが配車されるという状態でした。しかし、路線バスタイプって、定員70人以上もあるんですね。これは立って乗る人の数が入っているからなんですね。

【バスの全体図】

2つのタイプの車両は、ハンドブレーキの配置、運転席からチェンジレバーまでの距離、車両感覚など、かなり違いがあって、2時間連続の技能教習で違うタイプの車両だったら、ちょっと混乱します。同じタイプの車両でも号車によって、ブレーキやクラッチのクセの違いがありました。でも、全然違うタイプのバスを運転できたのは良かったと思います。

基本操作

技能1時間目。まずは扉の開け方やエンジンの掛け方から。バスは前面パネルにメインスイッチ (バッテリスイッチ) があって、このスイッチを入れておかないと、キーを回してもエンジンが掛かりません。メインスイッチは、引くとオン、回しながら押すとオフになります。

ちなみに、2〜3時間目ぐらいには車両の点検をやりました。方向指示器やブレーキランプ、エンジンオイルなどの量、タイヤの擦り減り具合、エアブレーキの点検などをしました。ついでに……と、非常口の開け方などもやりました。電車の非常コックは開けたことがありますが(えっ!?)、バスの非常口は初めて開けました。

2速で発進

さて、空車の大型車は2速発進が原則。1速は乗客が満員の時に坂道発進するなど、超強力パワーが必要な時だけ使います。下の図のように、2速はニュートラルの左上、つまり普通車の1速と同じ位置にあります。太線は入れるのが堅い部分です。なお、路線バスタイプは6速がないことが多いようです。あっても入れる機会がないでしょうけど(笑)。

【普通車と大型車のギア配置】

バスのエンジンは、けん引免許 (トレーラー) の教習を受けた時と違って、それほど超強力パワーは感じませんでした。強引にクラッチをつなげばエンストしますし(おい!)、2速でもそれなりに引っ張れます。発進の時も少しだけアクセルを踏んでからクラッチをつなげた方がいいみたいです。

まあ、バスは乗客が70人以上乗っていたとしても、積載で考えればせいぜい5トンそこそこ。大型貨物車の方がずっと強いパワーが必要ということで、ギア比はトレーラーほどロー寄りになっていないんでしょうね。

ミラーが頼り

大型車の特徴として、バックミラーがとてつもなく大きいことが挙げられます。まあ、バスの場合はトレーラーほどはっきり見えるわけではないのですが、それでも運転席からミラーで自分のタイヤが見えます。カーブを曲がる時などは、ミラーに写っている後輪などを見て、縁石に近付き過ぎたらハンドルを少し戻し、離れ過ぎたらもう少し切るという風に、見ながら調整が出来るのです。ある意味、車両感覚が身に付いていなくても運転できるのが大型車なのです(そうか?)。このような、ミラーを見ながらの修正は、けん引免許を取った時にやっていましたので、今回もそれで運転しました。この方法なら絶対に脱輪はしません。

でも、ミラーを見ながらちょこちょこ調整ばっかりやっていたら、ミラーに頼り過ぎだと言われてしまいました。低速で狭い所を通る場合はそのやりかたでもいいが、ある程度の速度を出してカーブを曲がる時は、ミラーでの微調整だけでハンドル操作をしていたのでは操作が追い付かない。もうちょっと感覚をつかんで回せるように、とのこと。確かに曲率一定のカーブで、カーブの中に入ってから何度もハンドルを切り足すとかいうのは感覚が分かっていない証拠ですね。

もちろん、大型車でカーブを曲がる時は、軌道修正のために頻繁にミラーを見なければならないのは確かです。でも、それはあくまで修正のためのものであって、最初からミラーだけで軌道を作ろうとしてはダメということ。うーん、けん引免許を持っているとは言っても、取ったのは何年も前で、完全ペーパードライバー。どれだけハンドルを切るとどれだけ車体が曲がるのかの感覚もほとんど忘れてしまっています。もっと感覚を磨かなくては……。

後輪位置

バスは後輪の後ろの部分が長いです。例えば左に曲がる時、後輪の位置は左の方に進んでいきますが、車体が左に向くことによって、車のお尻は右側に振っていくことになります。つまり、後輪より後ろの部分は左に曲がる時に右側に張り出すのです。「振り出し」とか「リア・オーバーハング」と言います。通常、大型車では左折時の左側の巻き込みを注意しなければならないことがよく言われています。でも実はバスの場合、右のお尻で右後方にいるバイクなどを引っかけてしまうことも注意しないといけません。当然、運転者は左後方と右後方の両方を確認してから曲がらないとならないわけです。

【バスのリア・オーバーハングの図】

バスに限らず、後輪より後ろが長いタイプの車は、曲がる時にお尻が反対側にはみ出します。当然、ハンドルを切る量が多いほど振り出しも大きくなります。

右左折の開始位置

バスの前輪は運転席の後ろ (客席の1〜2列目ぐらい) にあります。従って、例えば交差点を左折するような場合、運転席が交差点内に入っても前輪はまだ交差点に入っていません。そんな位置からハンドルを回し始めたら脱輪します。つまり、運転席が前にある分、ハンドルを切るタイミングは遅らせないとならないわけです。

運転席が交差点内に完全に入ってしまってから一呼吸おいて、ようやくハンドルを回し始めるぐらいのタイミングです。後輪を路端に沿わせて曲がるという観点から言えば、後輪がすみ切り開始位置 (交差点の角の丸まり始めの位置……下の図の太矢印) に差し掛かろうとした頃からハンドルを切り始めるといいという理屈になるかと思います。

【バスの左折開始地点の図】

上の図の位置ぐらいからハンドルを回し始める感じですね。図の白丸は運転席の位置です。回し始めるタイミングは、トレーラーに近いかも。

【バスの左折の図】

図のように、左折中の運転席の位置はかなり前に張り出しながら回っていく感じになります。これで後輪は路端に沿って曲がることになります。左折は路端に沿ったまま曲がれというのは、車体の最も内側の部分 (左後輪) を路端に沿わせろという意味であって、運転席の位置は沿いません。ミラーで後輪の位置を確認して、後輪を路端に沿わせます。なお、一旦右に振ってから左折すると、あまり車体を前に出さずに曲がれますが、これは禁止です。

右折の場合

右折は交差点の中心の直近内側を通らないとなりません。ショートカットして直線的に曲がっていってもダメですが、中心の外側を大回りしてもダメです。回転半径が大きい車は、対抗車を待つ時にあまり前に出過ぎていると、中心の内側が通れなくなります。大きな車は、後ろ寄りで待たないといけません。

【バスの右折開始地点の図】

中心の内側を通ることを考えると、この図の位置ぐらいで対抗車を待つ感じです (もう少し後ろでもいいかも)。ほとんど交差点に入らないぐらいの位置ですね。もちろん、もっと広い交差点ならもっと交差点内に入って待てますけどね。

直線バック

直線バックの練習がありました。トレーラーの時とは大違いで、まっすぐバックできます。なんて素直な車なんでしょう(笑)。バックの注意点は死角だと言われました。実はバスは自分の真後ろが見えません。2台後ろの車ならルームミラーで見えるのですが、真後ろに普通車がピッタリくっついている状態だとまったく見えないのです。後ろ窓 (リアウィンドー) が普通車より高い所にありますからね。だから、実際の路上ではバックするのは非常に危険な行為です。

と言っても、実際のバスは、車体の後ろにカメラが付いているものも多いようなので、路上でのバックは教習車ほど危険ではないのかもしれません。教習車には、検定課題の関係上、カメラは付いていません。

修了検定の課題

教習が進むと、坂道発進、S字、クランクなどをやります。これらは修了検定の課題になっています。大型免許を持っている人は修了検定が免除になりますが、教習が免除になるわけではないので、きちんとこれらの課題も出来るようにならないと第1段階の見極めはもらえません。もちろん、大型免許を持っていないなら、検定課題ですから、しっかりやらないと検定に合格できません。

坂道発進

坂道発進を何速でやるかは教習所によって違うと思います。上り坂だから1速だという考え方もあるでしょうし、空車だから2速だという考え方もあるでしょう。私の行った教習所では2速でやるように言われました。もちろん2速の方が難易度が高いです。何度もエンストさせてしまいました。

坂道では平地よりアクセルを少し多めに踏んで発進します。ハンドブレーキをして、アクセルを踏みながら半クラッチ。そこでハンドブレーキをゆっくりと解除し、アクセルをさらに踏み込む。そして、クラッチを上げていく。……手順は分かっているんですけどね。

見えない恐怖

バスは真後ろが見えないので、後続車がピッタリくっついているかもしれないという見えない恐怖が常にあります。坂道では絶対に下がれないのです。まあ、教習所内では無茶な車間距離で張り付く車はいないでしょうが、下がったらダメだと思うあまりブレーキの解除が遅れてエンストすることが多かったです。坂道発進だけで4〜5時間も復習項目にされてしまいました。

エンスト癖が直ったら次は急発進癖でした。これは半クラッチ後すぐにクラッチを上げていたのが原因でした。上り坂では半クラッチ時間は長く保たなければなりません。坂の頂上までずっと半クラッチで行くぐらいのつもりでいた方がいいと分かりました。

ちなみに、最近のバスは「坂道発進補助装置」というものが付いていて、ブレーキから足を離してもクラッチをつなぐまではブレーキが効いたままになるそうです。それは、すごい。でも当然、教習車にはそんな装置は付いていません(笑)。

S字

S字 (曲線狭路コース) は、内輪差を考えてコースの外側ギリギリを通るようにすれば、そんなに難しいものではなかったです。S字は入る時が一番難しくて、一旦入ってしまえば中は簡単なんですよね。このコースは、タイヤがコースから外れてはいけませんが (縁石に接するのもダメ)、車体が上空にはみ出すのは構いません。前にはみ出させれば楽々通れます。

【バスのS字通過の図】

図のように、左カーブ部分では運転席が完全にコース外に出ているように見えるぐらい外を走っても大丈夫です。左カーブと右カーブが切り替わる点 (コース中ほど) では、滑らかに次の外側に向かっていくようにします。右カーブも、運転席が縁石上を通るように見えるぐらい外に出して大丈夫です。

なお、コースによっては、左カーブと右カーブの順序は上記の図と逆のこともありますが話は同じです。

超難しいクランク

クランク (屈折狭路コース) の難易度はかなり高いです。バスは普通車に比べると車体は2倍以上あるのに、クランクコースの大きさは3割増しにもなっていないんですよね。

【普通車のクランク通過の図】

上の図は普通車のクランクです。下の図のバスのクランクと比較すると難易度の違いは一目瞭然だと思います。バスのクランクは本当にギリギリなのです。では、バスのクランクの右曲がり部分の通り方を説明しましょう。コースによっては、右曲がりと左曲がりの順序は逆のこともありますが理屈は同じです。

なお、クランクの課題は、タイヤがコースからはみ出てはダメで (縁石に接するのもダメ)、車体が障害物のポールに触れてはダメというルールがありますが、このどちらにも反しない限り、車体がコース上空をはみ出るのは問題ありません……というか、出さなきゃ通れません。

【バスのクランク通過の図1】

まず、上の図のように縁石に沿って出来るだけ左端 (外側) に寄って入っていきます。前輪が角の延長線に並んだ辺りから思いっ切りハンドルを右に切ります。このままのハンドルで進むと円を描いて曲がっていき図の点線のコースをたどりますので、右後輪が脱輪します。ここからは、ハンドルを少しずつ戻しながら、実線のように車体の左前 (図では上側) にある縁石に沿って進ませないとなりません。

【バスのクランク通過の図2】

上の図のように、左ミラーとポールの間の距離を一定に保ちながら、バスを平行移動させるイメージで右後輪を通します。先ほど右に切っていたハンドルを徐々に戻しながら通過することになります。この時、ハンドルを戻し過ぎると左に寄り過ぎて左ミラーがポールに当たりますし、ハンドルの戻しが足りないと右後輪が通過できなくなります。従って、ミラーをポールのギリギリまで近付けるといいのですが、実際は5cmぐらいなら離れていても通過できるので、がんばってこれ以上近付け過ぎないことです。タイヤを縁石に擦るより、ミラーをポールに当てる方が致命的なミスです。この部分が一番難しい所ですから、慎重に慎重に半クラッチの超々低速を保ちます。

【バスのクランク通過の図3】

無事に右後輪が角を通過できたら、もうポールに寄る必要はありません。今度は、次の角が来る前に車体を右端 (図では下側) に寄せていないとならないのです。右ミラーで後輪の通過を確認し次第、ハンドルを右に目一杯切って、急速旋回します。ここはぶつかる心配がないから、そんなに低速でなくてもいいです。そして、右側 (図では下) の縁石に沿って進みます。

その後の左曲がりの角は左右が逆になるだけで、同じ方法で通過できます。今度は右ミラーとポールを一定距離に保って左後輪を通します。なお、左ミラーの方が運転席から遠い (2m以上離れている) 上に、バスは左ミラーの方が車体から大きく出っ張っていますので、クランクは右曲がり部分の方が難しいのです。

クランクは車両誘導の基本

ちなみに、私の行った教習所の場内コースには、左折後10mぐらいしたら、すぐまた左折という箇所がありました。距離が車体1台分ぐらいしかないので、こんな短距離で左折前の左寄せなんて出来るわけがないと思っていましたが、クランクの練習をやってからは、ぴったり左に寄せてから曲がれるようになりました。クランクには車両誘導の基本があるんだな……。

卒業検定の課題

さらに教習が進むと、路端停車、方向変換、縦列駐車、後方間隔、鋭角コースなどをやります。これらは卒業検定の課題になっています。

路端停車はバスの中扉 (前輪と後輪の間にある扉) を指定されたポールに合わせて止まる課題です。卒業検定の時は、これを路上で行ないます。従って、本格的な練習は第2段階に入ってから路上で行ないますが、今はその事前練習ですね。この課題については、後述します。

方向変換

大型二種の方向変換は、単にバックして車の向きが変えられればいいだけではありません。車庫のスペース内に奥まで入れて停車させなければなりません。そういう意味では、この免許に関しては、方向変換の課題というより車庫入れの課題に近い状態になっています。

【バスの方向変換の図】

上の図は右バックの場合ですが、左バックの場合は左右逆になるだけです。ミラーで右後輪を見ながらだんだん角に近付けていき、後輪が角の中に入りそうになった辺りで大きくハンドルを一杯に切って押し込む感じです。

もし、ハンドルを遅らせて、角の間近までまっすぐバックしていってから一気にハンドルを全部切るという方針でやると、たぶん左前輪が膨らみ過ぎてコースからはみ出すと思います。前半は少し遠めから徐々に角度を付けていった方がいいようです。ミラーで後輪が見えていますので、それをそのまま角に近付けるだけですから難しいものではなかったです。

縦列駐車

縦列駐車は、バックして駐車スペース内に車を停める課題です。完了した時に車体の全部が駐車スペース内にすっぽり入っていることが条件です。車体の一部でも駐車スペースから出ていたら、切り返してやり直しです。切り返し1回は減点なしですが、2回目からは減点です。

【バスの縦列駐車の図1】

まず、駐車スペースと平行にバック。後輪が駐車スペースの角辺りに来たら、ハンドルを左に一杯に切ります。実際の道路上で車と車の間に入れる場合を考えると、隣の車の後ろバンパーと自分の後輪が並んだ時にハンドルを切るということですね。

そのままバックしていき、車体の右のラインが駐車スペースの奥の点と一直線に並んだらハンドルを元のまっすぐの状態に戻します。そして、そのまままっすぐバックです。実際は、もう少し浅めの角度で入ってもいいかも。つまり、ハンドルをまっすぐの状態にするのを少し早めるということですが。

【バスの縦列駐車の図2】

左ミラーがポールの角と並んだら、ハンドルを右に一杯に切ります。この時、右後輪は駐車スペースの入り口の線上 (図の点線上) に来ているはずです。そのまま車体が駐車スペースと平行になるまでバック。平行になったら、ハンドルをまっすぐに戻します。

これは指定位置が来ればハンドルを一杯切るというだけで出来ますので、やり方さえ覚えればそんなに難しくはなかったです。

後方間隔

後方間隔は大型二種だけの課題で、車の後ろにあるポールに向かってバックしていき、車両最後端 (後ろバンパー) を後ろのポールに出来るだけ近付けるというものです。寄せ終わったらハンドブレーキを掛け、この時点で50cm以上離れていたらダメ。もちろん、ポールにぶつかったらもっとダメです。車体の後ろの窓 (リアウィンドー) が運転席の10mぐらい後方にありますが、その窓越しに見えるポールとの距離感がつかめないといけません。深視力が試される課題ですね。私はこの課題が一番難しかったです。

なお、後ろ窓よりもバンパーの方がより後ろにありますので、窓をポールのギリギリまで近付けようとすると、その前にバンパーがポールにぶつかります。窓をギリギリに……だったらもっと簡単なんですけどね。バンパーは運転席からは見えません。

検定は減点法で行なわれるので、バンパーとポールが50cm以上離れていると減点ですが、いくら近くに寄せることが出来ても加点はありません。ぶつかってもダメなんだから、10cmまで寄せるといった無駄なことをせずに、40cmぐらいを目指すようにと言われました。でも、それが難しいんだって。

鋭角コース

鋭角コースは大型二種と普通二種の課題で、60度に曲がっているコースです。90度に曲がっているクランクよりもきついので、ハンドルを目一杯切っても曲がり切れません。バックして切り返しながら通過することになるのですが、この切り返し能力を見る課題です。3回以内の切り返しで通過できれば減点なしです。このコースは障害物のポールが立っていないので、クランクよりは簡単でした。

これ、かなりギリギリになりますが、うまくやると1回の切り返しで脱出することも可能なんですよね。右曲がりコースで説明しますが、左曲がりコース (たいていは同じコースを逆から進入) なら左右逆になるだけです。このコースもタイヤさえコース内にあれば、車体はコース外に出ても構いません。図の白丸は運転席の位置です。

【バスの鋭角コース通過の図1】

まず、上の図のように、出来る限り左端に寄って縁石に沿って進みます。右前輪が角の延長線上 (図の点線) に並んだ辺りからハンドルを右に目一杯切ります。そして、前バンパーとコース縁石が平行 (言い方を変えると、車体と縁石が垂直) になる所ぐらいまで、そのハンドルのまま進みます。実際は、もう少し進んでもいいかも。

それから、ハンドルをまっすぐに戻し、運転席が完全にコース外に出る所まで前に進みます。運転席が完全にコース外に出た時って、宙に浮いているみたいで変な感じです。これでもまだタイヤがコース内だからセーフです。

【バスの鋭角コース通過の図2】

そこから上の図のように、ハンドルを左に目一杯切ってバックし、ハンドルをまっすぐに戻して止まります。ここは次の前進の時に左前輪が通ればいいだけですから、あまりバックし過ぎないようにします。右前輪が道の真ん中に差し掛かりそうになったぐらいの位置でOK。

【バスの鋭角コース通過の図3】

あとは上の図のように、右に目一杯切って前進です。ここでクランクの時の応用で、少しずつハンドルを戻しながら、アンダーミラーなどを見て左前輪と縁石の間を一定距離に保って進むことで右後輪を通します。つまり、左前輪が出来るだけ外側を通るようにするわけですね。

でもまあ、実際はこんなギリギリな通り方をしなくても、2回切り返せば楽々通れるんですけどね(笑)。最初から2回切り返すつもりなら、1回目はもう少しだけ奥まで進んだ方がいいようです。で、奥は狭いので、その分、バックする量は減らします。また、2回目のバックはハンドルまっすぐの状態で真後ろへバックするぐらいでもいいです。あまりハンドルを切り過ぎると今度は後輪が引っ掛かりますし。

なお、左前輪が引っ掛かる場合は簡単に切り返せますが、前半で右後輪が引っ掛かった場合は切り返しが難しくなります。前半は左前輪を通すことよりも右後輪の右側のスペースが詰まらないようなライン取りをすることがコツです。

【バスの鋭角コース通過失敗例の図】

こんな状態になったら、にっちもさっちも行かないですからね……って、なるかー!!(笑) まあ、これでもまだ、タイヤはコース内だからセーフです。3回以内の切り返しで脱出できるかどうかは疑問ですが(笑)。

急ブレーキの恐怖

急ブレーキ教習

技能教習では、急ブレーキを体験する回がありました。この回は路線バスタイプの車両を使いました。まずは30〜40km/hぐらいからの急ブレーキをやってみました。車輪をロックさせないようにしながら、出来るだけ短距離で止まります。

次に、10km/hぐらいの徐行状態からの急ブレーキ。速度が遅くても、やはり急ブレーキですから、ガツンと止まり、衝撃で肩が背もたれから離れるぐらいです。

乗客に取っての急ブレーキ

「じゃあ、今、バスにお客さんが乗っていたとしたら、お客さんはどう感じたと思う?」と指導員。「えっ、ひどい急ブレーキだなとか……」「その程度かな? 自分で確かめてみよう」と言われ、運転を交替し、私は客席に座りました。「今、さっきと同じぐらいの徐行速度で走ってるよね。じゃあ、ブレーキ踏むよ」と指導員。……ガツン!!

衝撃で腰が背もたれから離れるぐらいありました。急ブレーキというより、事故で何かにぶつかったという感覚でした。ここまで強い衝撃が来るとは想像していませんでした。

でも、考えてみれば当たり前かもしれません。路線バスの乗客ってシートベルトをしていないのです。シートベルトをしている運転手より強い衝撃が来るのは当然なんですね。それに、路線バスのシートは普通車と違って腰がシートに沈み込まないので、普通車でシートベルトをしない時よりも衝撃を受けやすいでしょう。大型車のブレーキが、普通車のより強力だというのも大きいでしょうね。

立ち客の恐怖

「じゃあ、次は立っているお客さんがどう感じるかをやってみよう」と指導員。バスの後ろの方で吊り皮を持って立ちました。「想像しているよりも遥かに強い衝撃が来るから、両手でしっかりと吊り皮につかまって身構えておいて」と脅され、「じゃあ、いくよ」……ガツン!!

!!!!!!!!!!??

想像以上どころじゃない!! 何なんだ、このとんでもない衝撃は!? 吊り皮にしがみ付いてなんとか耐えましたが、足が床から離れて宙に舞うぐらいの衝撃で、本当にふっ飛ばされるかと思いました。冷汗をかいて、しばらく心臓のドキドキが止まりません。

「今は身構えていたけど、普段バスに乗っている時にいきなりこれが来たらどうだろう?」と指導員。うーむ……、確かに吊り皮を持っていても、反射的にしがみ付くことが出来るかどうか。

「じゃあ、今、吊り皮を持って立っていたのが足腰の弱ったお年寄りだったら、どうなっていたと思う?」……はっとする言葉でした。倒れるだけで済めば不幸中の幸い。前の方に乗っていれば、フロントガラスにぶち当たるだろうし、骨が折れるかもしれない。打ち所が悪ければ……。

車内事故

そう、急ブレーキを踏んだおかげで、飛び出してきたものにぶつからずに済んだとしても、その急ブレーキで自分の乗客が大ケガ、場合によっては死ぬかもしれないのです。そして、これもまた交通事故なのです。その責任は運転手にあります。そして、それはたった10km/hの速度でも起こることなのです。

トラックや普通車なら、危険を避けるためにやむを得ず急ブレーキを踏むこともあり得るでしょう。しかし、立ち客のいるバスでは、それはあり得ません。急ブレーキによって、車内事故という別の交通事故が起こるからです。もちろんこれは、そんな状況になったら急ブレーキを使わずにひいてしまえという意味ではありません。そもそもそんな状況になってはいけないのです。いついかなる場合も急ブレーキを踏めない。急ブレーキを踏むと誰かが死ぬかもしれない。そんな状態の車両を運転しているのです。いったいどれほど慎重な運転が要求されることでしょうか。

「立っているお客さんを運ぶ怖さが分かったかな?」と指導員。うーん、こんなこと、考えたことなかったです。

上位免許の意味

なお、この急ブレーキの教程は危険だということで普通車やシミュレータで行なう教習所も多いようですが、私の行った教習所では、場内コースでバスの実車で行ないました。実車であの恐怖体験が出来て良かったと思います。たぶん、普通車やシミュレータでは、立っているお客さんを運ぶ真の怖さは実感できなかったと思います。

この回の教習を受けて、上位免許について思ったことがあります。普通免許と大型免許の違いは単に運転できる車体の大きさの違いです。でも、普通二種と大型二種の違いはそれだけではないのです。タクシーの乗客は座っていてくれます。これがどれほどありがたいことか。バスの乗客は立っているかもしれない……。これは運転する上で、非常に大きな違いです。普通免許と大型免許の違いよりも、普通二種と大型二種の違いは遥かに大きい。大型二種免許は遥かに上位免許なんだと思いました。

お年寄りには席を譲ろう

そして思いました。皆さん、バスではお年寄りや体の不自由な人に席を譲りましょう。たとえ電車では譲らなくても(笑)、バスでは譲りましょう。線路の上を走る電車と違って、バスが走る路上はいつ何が飛び出すか分からない場所です。もちろん、ケガをさせたら運転手の責任とは言え、席を譲らなかった他の乗客にも道義的責任の一端はあるのではないでしょうか?

また、大型車のブレーキって、踏み方を2〜3mm変えるだけで効き方が劇的に変わるほど繊細なものです。急ブレーキになるかならないかなんて、本当に微々たる違いなのです。おそらくは、満員状態だとブレーキが効きにくくなって、これほど繊細な状況にはならないんじゃないかとは思いますが、空車状態の繊細さはすごいです。いくらプロが運転しているとは言っても、お客さんがほとんど乗っていないのに立っている人がいるという状況は、最も危険な状態にあると言っていいと思います。

安全を考えると、若い元気な人でも席が空いていたら必ず座り、取っ手などを持ちましょう。健康のために立つとかいう人がいるようですが、そんな運動は他の所でやればいいことだと思います。

衝撃を加えない練習

「立ってるお客さんがいる時は衝撃を加えちゃいけないことが分かったね。じゃあ、これからバスの床に棒を立てるから、これが倒れないように運転してみて」「えっ!?」

そんな無茶な……と思いましたが、注意して運転すると意外と倒さずに運転できるものです。でも、気を抜くと倒れますので、絶妙な難易度ですね。発進、加速、ギアチェンジ、カーブ、右左折などはうまく倒さずに出来るようになりましたが、やっぱり停車は最後までてこずりました。棒を立てた練習は、その後の時間も何度もやりました。

一般には、乗客に不快感を与えない加速度は0.2G未満と言われているようです。0.2Gとは1秒に約7km/hの速度変化です。40km/hからの一定の減速なら、6秒掛けて止まればいいわけですね。距離では33m掛けて止まることになります。なお、卒業検定では、おおむね0.3G以上のブレーキを掛けると減点になります。

平地で0.2Gを練習するなら、高さが直径の5倍あるという円柱の棒を立てて、倒れなきゃいいって感じですかね。ちょうど500mlのロング缶ビールを2つ積み重ねたぐらいで練習するといい感じでしょうか。まあ、車内にビール缶を持ち込むとあらぬ疑いがかかりますが(笑)。

乗客確認

なお、バスでは発進時には乗客の確認をしなければなりません。乗客が移動中とかに発進したら危ないからです。座っているか、手すり・吊り皮を持っていることが確認できてから発進です。実際の教習車には乗客は乗っていませんが、乗客がいることを想定しての教習ですから、教習中は誰もいなくても、乗客が座っているかを確認しないとなりません。

これは、発着点からの発進の時だけでなく、信号待ちからの発進や、渋滞で止まった後の発進でもすべて、発進前には必ず乗客を確認します。乗客を確認せずに発進すると、安全確認なしの減点になります。実際は、発進前には、乗客の確認だけでなく左右のミラーやアンダーミラーなど、車両の内外も確認しないとなりません。他の免許より確認する所が増えました。これは、立ち客の可能性が考えられる大型二種だけの規定で、普通二種ではやらなくていいようです。

路上教習

第2段階へ

第1段階の最終時間は「見極め」です。場内コースを一通り回り、課題も一通りやったあと、指導員の評価。無事に見極め合格でした。第1段階は坂道発進でてこずりましたが、狭路や駐車などの教程で追い付いたみたいです。

第1段階の見極めに通ると、大型免許を持っている人はこのまま次の時間から第2段階 (路上) に突入です。持っていない人は、修了検定を受けて大型仮免許を取らないといけません。修了検定の課題は右左折などを除くと、踏切、指示速度、坂道発進、S字、クランクで、ミスするたびに減点される減点法で採点されます。

ちなみに、普通仮免許の修了検定は全長2000m以上のコースを走り70点以上が合格と決まっていますが、大型仮免許の修了検定は全長1200m以上のコースを走り60点以上が合格と決まっています。つまり、仮免許に関しては大型の方がむちゃくちゃ甘いのです。この短い距離で40点分の減点を受けてもまだ合格です。距離当たりの減点は普通仮免許の2倍以上許されていることになります。はっきり言って、場内の見極めに合格した人なら、大型仮免許の修了検定で落ちる人はほとんどいないんじゃないかな?

路上コースのレベル

というわけで、第2段階の路上教習が始まりましたが、私の行った教習所は大都会のど真ん中にありました。交通量は並ではありません。それに、この街は違法駐車は多いわ、信号無視は多いわ、進路変更で入れてくれないわ、割り込みまくるわ、と交通マナー最悪。こういう所を走ってみて思ったことがあります。それは、田舎の (あるいは郊外の) 教習所を卒業するのと、都会の (特に交通マナー最悪の街の) 教習所を卒業するのでは、路上教習のレベルが違い過ぎるということです。教習所のレベルではなく、路上コースのレベルの話ですが。

運転免許試験場の技能試験 (一発試験) に関しても同様のことが言えそうですね。路上に関しては、どの街を走って免許を取ったかによって、コースのレベルの差が激しそうです。

歩行者が怖い

さて、私の行った教習所のすぐ近くには学校がありました。路上に出るまでは、そのことの意味を何とも思っていませんでしたが、下校時刻ぐらいに路上教習を受けた時に思い知りました。歩道からはみ出すわ、目の前を横断するわ、何なんだ、この子たちは……。

路上教習は対抗車が怖かったという話をよく聞いていましたが、私はそれより歩行者が怖かったです。自分はバスなので、対抗車 (普通車) に対してはぶつかっても勝てそうな気がしたけど(おいおい)、歩行車は運転席の遥か眼下にいてあまりにも無力な存在なので逆に怖いんですね。

駐車車両の避け方

さて、路上教習中、駐車車両を避けるのが遅いと言われました。場内コースの障害物と同じようなタイミングで避けようとすると、隣の車線が空いていない場合に立ち往生してしまうんですね。右車線がビュンビュン流れているような所で完全に止まってしまったら、もう誰も入れてくれません(苦笑)。これで5分以上進路変更できずに止まったままになってしまったことがあります。

特にバスは車長が長いので、進路変更に時間が掛かります。2車線ある道路なら、もっと早めから右車線に入っておくようにとのことでした (早過ぎてもダメだけど)。そして、用もないのに右車線を走ってはいけないので (右車線は本来、追い越し車線)、駐車車両を越えたら左車線に戻ります。ただし、すぐ近くにまた駐車車両がある場合は、右車線のままで行きます。

交差点を曲がった先に駐車車両がある時は、直接右車線に入ります。ただし、遥か彼方に駐車車両が見えるという状態なら、一旦左車線に入った後に進路変更します。「こういうのは二種の教習じゃなくて、一種の教習で言うことだよ」とか言われました。うーむ、私は普通免許を取っていないからなぁ。

ブロック技

別の時間のことです。次の信号を左折したいけど、その手前に駐車車両が並んでいたので、右車線を走っていました。駐車車両を通り過ぎ、左車線に戻ろうと思って左ミラーを見ると、横に原付が2台います。えーっ!! 左折したいのに左車線に戻れないじゃない。減速しながら通り過ぎるのを待っていたらもう交差点に到着。結局、右車線から直接の左折になってしまいました。

【左折直前の駐車車両の図】

指導員に「あの原付に気づいたのはいつ?」と聞かれたので、駐車車両を越えて左に戻ろうとした時と答えると、それが遅いからあんなことになったと言われました。つまり、もっと早く気づいていれば対処できていたという話なのです。

左折時に横にバイクがいるといった事態は避けたいので、左折したい交差点が近付いたら早めにそういうのがいないか確認するようにとのこと。今回の場合、もっと手前で発見できたようです。そしたら、入って来られないように早めに合図して進路変更を開始します。浅い角度で進路変更し、駐車車両の横を車線をまたいだ形で通過するわけです。もちろん、安全な側方間隔は空けますが、このライン取りだとバイクは入って来られないわけですね。

【バスの車体でブロックする図】

いわば、バイクの進路を車体でブロックするわけですが、もちろん、割り込みとならないように、バイクと距離がある位置から行なう必要があります。また、「車線をまたいで走っている」と見なされるライン取りではなく、あくまで「緩やかに進路変更している途中」と見なされるライン取りをするようにとのこと。要は、いかに円滑な流れでやるかなのですが、なんか、すごい技だなと思いました。まあ、左折前に左に寄ること自体が、車体でバイクなどをブロックしている行為なので、それと同じことなのでしょうけど。

もちろん、減速してバイクを先に行かせた方がいい場合の方が多いでしょうし、実際は、交差点までの距離やバイクのスピードなどでも状況が違ってきます。あくまで、「減速して待つと不自然なまでに遅くなるし、普通に進むと鉢合わせする」という場合の裏技であって、濫用すべきことではないでしょうね。

眼鏡の選び方

交差点を左折しようとした時です。左に寄せて、さあ左折しようとハンドルを切っていったら、その左側の道路から2人の子供が自転車に乗って車道を逆走してきます。そしてその子たちは右 (私のいる方) に曲がって来て、あろうことか、私のバスと歩道の柵との隙間をすり抜けようとしてきたのです。あ、あり得ない。そんな無茶な……。

【自ら巻き込まれに来る自転車の図】

しかしさすがに私はぴっちり寄せていたので、すり抜けられません。結局、自転車はその場で止まってしまいました。運転席から直接は見えませんが、左ミラーで見える位置です。うそー、巻き込みの一番危ない位置に立ち止まるなよー。動く気配がないので、巻き込まないように少し大周りで左折するしかないようです。左ミラーを注視して、そろりそろりと進めます。突然、「前、見てるか?」とブレーキを踏まれました。うっ、横断歩道を渡っている人がいたのね。巻き込まないようにミラーばっかり見ていて、気づきませんでした。ひどいミスだ。

眼鏡と大きさと視界の広さ

「ミラーを見ている時にも前方は視界には入っているはず。ちょっとでも動きが見えたら、そっちを確認しないといけない」と言われたものの、その動きが見えなかったんですよね。その交差点を過ぎた後、停車して説明を聞きます。「じゃあ、前を向いたまま、こっちを見ずにこの指が何本あるか分かる?」と、横で指を出されましたが分かりません。「あれ? ここ、視界に入ってるよね」「視界には入ってますが、眼鏡のレンズのない部分なので、ボケて見えません」「うーん、そういう問題か。なら、自分にはそういうハンデがあるということを認識して、普通の人以上に広く見渡すように心がけておかないといけない」……そうか、私にはこんなハンデがあったのか。

最近の眼鏡はファッション性を重視してか、昔の眼鏡よりレンズが小さいです。ということは、ピントが合う領域は狭いということです。日常生活ならそれでも不都合はないでしょうが、大型車の運転の際に視界が狭いのは致命的です。そういう意味ではコンタクトレンズの方がいいのかもしれませんが、少なくとも運転の際は、大きなレンズの眼鏡を掛けるようにした方がいいと分かりました。

まあ、それ以前の問題として、運転中に1か所ばかりを集中して見るのはよくないですね。たとえ、危険な部分があったとしても広く見るようにしないと……。というか、私は左折の時にミラーを見過ぎだとも思いました。もっと前を見ないと。

横断歩行者妨害

ある時、左折した直後の横断歩道で、誰も渡っていないので進もうとするとブレーキを踏まれました。「あの人が渡るかもしれない」と、左の歩道を指す指導員。横断歩道から少し離れた所に歩行者がいて、横断歩道の方に向かって歩いていました。「横断歩道は歩行者完全優先。その意味が分かるか?」と聞かれます。

その歩行者はまだ横断歩道から離れているので、私の車がこのまま進んでも、ぶつかることはないでしょう。しかし、その歩行者が横断歩道に到着した時に、私の車がまだ横断歩道を通過中だとすると、私が通過し終えるまでその歩行者は渡れません。これは横断歩行者妨害だというわけです。完全優先である歩行者を待たせてはいけないという話でした。

【バスと横断歩行者の距離関係の図】

ということは、上の図のように、自分の車の通過と歩行者の到着のどちらが早いかで待つべきかどうかが決まるということになるのかな? バスは普通車より車長が長いので、横断歩道を通過するのに掛かる時間も長いです。ということは、それだけ離れている歩行者も待たなきゃならないということになるんでしょうね。

ちなみに卒業検定の減点規定では、5m以内に歩行者がいたのに待たなかったというのがアウトになるようです。もちろん、反対方向に歩いている人など、渡らないことが明らかな人は含みません。でもまあ、実際は距離だけでなく、相手の速さによっても対応すべきことかなと思います。

「横断歩道はどこを確認している?」「左右……」「それじゃあダメだ。離れた歩行者も待たなきゃならないんだから、左の手前、左の奥、右の奥、右の手前の4か所も確認しないと横断歩道の確認をしたことにはならない」……なるほど。特に左折時の左の手前は死角になりやすいので要注意ですね。

車優先の場合

その後、またもや左折した直後の横断歩道。今度も誰も渡っていませんでしたが、少し離れた所に横断歩道の方に向かって歩いてくる人がいたので横断歩道の手前で停車して待とうとしました。すると「待たなくていい。信号!」「へ!?」

その横断歩道の歩行者信号は青点滅をしていました。青の点滅信号の意味は「これから横断を開始してはならない」です。つまり、青点滅が始まった時点でまだ横断歩道に足を踏み出していなかった人は、もう渡る権利はないのです。そのような人を「完全優先」にする必要はないということなんですね。それに青点滅を始めているのなら、もうすぐ信号が変わるわけで、さっさと進まないと交差点をふさいでしまうことにもなります。

もっとも、青の点滅信号を「もうすぐ赤になるから、今のうちに早く渡れ」の意味だと勘違いしている歩行者は大勢います(笑)。そのような人は青点滅を始めると慌てて駆け込んできます。駆け込んでくる人がいる場合は当然待たなきゃなりません。ということで、当然のことながら、駆け込んでくる人がいないかどうかだけは、きちんと確認しないとなりませんね。

右折待ちとの関係

この話って、交差点中央で右折待ちしている時と同じような話だと思いました。自分が右折を完了する前に直進対抗車が交差点内に到着するようなタイミングなら、右折を開始せずに待たなきゃなりません。バスは車長が長いので右折に時間が掛かります。つまり、バスはそれだけ遠くの車でも待たなきゃならないことになります。直進対抗車にブレーキを踏ませるような (待たせるような) タイミングで右折してはダメです。そして、信号が黄色に変わったら、もう待たずに右折開始してOK。ただし、信号無視して突っ込んでくる車がいれば待たねばならないので、それは充分に確認します。ということで、横断歩道の時の話と基本的に同じような話ですね。

しかし、世の運転者は、右折待ちのタイミングについては近付いてくる対抗車を待っている人が多いですが、横断歩道については歩行者を待たない人が多いなと思いました。歩行者はすぐに止まれるから事故にはならないと、なめているのでしょうね。

信号のない横断歩道

なお、信号のない横断歩道の場合は、渡ろうとする人がいる時は、車は必ず止まらなきゃならないことになっています。つまり、信号のない横断歩道は常に歩行者側が青信号なのです。しかし、おそらくこれほど守られていない交通法規もないんじゃないかというぐらい誰も守っていません。横断歩道前に歩行者が立っていても、ほとんどの車は通り過ぎています。しかし、これは完全に横断歩行者妨害なのです。

そもそも、信号のない横断歩道は比較的通行量の少ない所にあります。こういう所に信号を付けると、「赤信号で止まったが結局誰も渡る人がいなかった」というような無駄な待ちが多く発生することになります。しかし、車が全然止まってくれず、横断歩行者が延々待たされるようなことが多く発生するようでは信号を付けざるを得ません。そして車は、誰も渡らない時にも待たされるという無駄を強いられるのです。

もし車が歩行者を優先していたら、そこには信号を付けずに済み、そんな無駄は発生しなかったはずで、結局、自分で自分の首を絞めているんですね。

「渡ろうとする人がいれば止まり、いなけりゃ進む」というこの方式は、通行量の少ない所では最も効率の良い方法です。でも、この効率が成り立つためには、車は、渡ろうとする人がいる時には必ず止まらなきゃならないわけです。後続車がいる時は、なおさら止まらなきゃならないということになります。

【信号のない横断歩道の図】

なお、このような、信号のない横断歩道の手前には道路に菱形のマークが書かれています。このマークが見えたら、渡ろうとする人がいようといまいと、まずアクセルを止めてブレーキの上に足を乗せる (ブレーキを構える) といいと言われました。エンジンブレーキで少し減速してから確認するようにすれば止まる余裕も出て来ます。その時に完全に誰もいないと分かれば、止まらずに行けばいいわけです。

二種免許を持った者は、一種免許の人のお手本となる運転をしなければなりません。人命を預かる二種免許の運転者が、「みんなが守らないから自分も……」なんて気持ちではいけない、とのこと。二種免許は、それだけ重い免許なのです。それに「ルールだから」ではなく、「弱者に譲る精神」こそが人の命を預かる者にとって大切なことなのでしょう。

歩道の横断

さて、横断歩道の逆のパターンとして、車が歩道を横断する時があります。道路外の施設に出る時などですね。この場合は、必ず歩道の手前で一時停止をしないとなりません。徐行ではダメです。これもあまり守られてない交通法規ですね。路上教習では、歩道を横断するのも何度もやりました。

左折なので、まず左端に寄ります。その後、歩道の前で一時停止だからと、歩道に向かって斜めにハンドルを切っていってから停止しようとすると、それではダメだと言われました。大型車が歩道に向かって突っ込もうとしていると、いくら手前で一時停止したとしても、歩行者は怖がって一瞬立ち止まってしまいます。これもある意味、歩行者妨害です。

【歩道の前で一時停止の図】

というわけで、上の図のように歩道と平行に、歩道ギリギリに寄せて一時停止。つまり、路上駐車をする感じで止めるわけです。それから、左前方、左ミラー、左後方を見て、歩行者が来ていないかを確認します。そして、乗客確認と、右ミラーでオーバーハングを確認してから曲がっていきます。

この一時停止をする時には、ハンドルをまっすぐの状態で止めるようにと言われました。ハンドルを切って曲がるそぶりを見せた状態で一時停止すると、前から歩いてきた歩行者が怖がって、「行けるのかな、ダメなのかな」と迷います。結果的に歩行者が通過するのも遅くなり、自分が横断するのまで遅くなってしまうということでした。

大型車特有の障害物

路上教習で高い塀沿いの道を走行していた時です。左側は塀で、歩道も歩行者もないし、見通しのいい直線道路。そこでいきなりブレーキを踏まれました。ええっ!? 「枝にぶつかる」と指導員。あっ!! なんと塀の向こうから枝が飛び出していました。

【バスと空中障害物の図】

バスは運転席が高い所にあるので、運転中のほとんどの危険は目線より下にあります。だから目線より下の方ばかり見て運転する癖が付いていました。まさか目線より高い所で枝が飛び出しているとは……。これは、大型車だけに存在する空中障害物なんですね。運転する時は上の方にも気を配って、ちゃんと避けて通らないと。

ミラーの出っ張り

車線の細い道路を走っていた時です。右折するので右車線に入り、前の信号が赤なので停止線の位置まで進んで止まろうとしたらブレーキを踏まれました。えっ!? 「ミラーがぶつかる」と指導員。あっ!! なんと、隣の車線で信号待ちしているトラックのミラーと、私のバスのミラーがぶつかるところでした。

【大型車のミラー同士の図】

隣のトラックが車線をはみ出しているわけでもないし、私の車線も前方クリア。信号が赤だから、あとは停止線で止まることしか考えていませんでした。まさかそんな所がぶつかりそうになっているとは……。車線の狭い道で大型車同士だとこんな状況もあり得るんですね。車体どうしは通過できてもミラーが通過できないとは。車線の狭い道は怖いですね。

というわけで、大型車を追い抜く時は常にミラーを確認するように言われました。そしてそれ以前に、通常走行中も出来る限り大型車どうしが並走する状況は避けるようにとのこと。なるほど。

あと、思ったのは、大型車の運転の時は、常に車体左側を注意しないとならないということですね。車体の幅は2.5mもあって、運転席はその右端にあります。右側は自分の側だから意識しなくても注意するけど、左端は遠くにあるので、意識しておかないと注意不足になってしまいます。今回もたぶん右のミラーなら気が付いたでしょうから。

停止線オーバーは悪!!

路上教習を受けて初めて気づいたことですが、信号待ちの時に停止線オーバーして止まっている車って多いんですね。しかし、下の図を見てもらえれば、停止線オーバーがいかに迷惑なことか分かるでしょう。そんな所で信号待ちされたら曲がれないんだよー。

【交差道路の車が停止線オーバーの図】

上の図のように交差点のすみ切り (角の丸まり) が小さい所だと、バスは後輪を通すために、かなり前に頭を出して曲がっていかなければならなくなります。そういう場所では、停止線は交差点よりかなり手前に書かれてあるはずです。逆にすみ切りが大きい所なら、停止線はもっと交差点寄りで構いません。要するに、停止線がそんなに手前の位置に書かれてあるのには意味があるのです。

おそらく「横断歩道の手前までなら進んでも迷惑にならない」と勘違いしている人が多いんだろうなと思いました。でも、それは違うんですよね。そういう私も、この教習を受けるまでは、停止線が書かれている位置の意味なんて考えたことがなかったです。

また、場内教習の時は、「路上に出たら、バスがクランクみたいな所を走ることなんてまずない」と思っていましたが、割とよくあることだと分かりました。停止線オーバーしている車がいると、ほとんどクランクのような状態になります。5cmも離れていない状態で、すり抜けながら左折するとか……。

大型車の配慮

逆のこともありました。川沿いの道路を運転していて片側一車線の橋に向かって信号を左折した時です。橋の上にやたら停止線の手前で止まっている大型トレーラーがいました。信号待ちにしては手前過ぎるし、変な所で停車している車だなと思いました。ところが、私の左折が完了したら、そのトレーラーが前に進み出しました。へっ!? あっ、私を待っていてくれたのか。

そう、ここは川なので、かなり遠方から見通しが効きます。左合図で交差点に近付いてくる私のバス。それを発見したトレーラーの運転手は、バスが入って来やすいように、わざとずっと手前で信号待ちしてくれていたのです。狭い道路で大型トレーラーとバスがすれ違うとなると、停止線ピッタリに止まっていても、左折はかなりギリギリになるでしょう。それが分かっていたんですね。さすがだと思いました。

追い越しのコストパフォーマンス

路上教習の時、片側2車線50km/h道路の左車線を走っていると、前方を原付がゆっくりと (法定速度で?) 走っていました。車線が広い道路だったので、私の前を走っていた普通車は車線からはみ出さずに原付を追い抜きました。しかし、私のバスは車幅が広いのでそれは出来ません。「追い越しましょうか?」と聞くと「自分で判断してみて下さい」と言われたので、右に合図を出し、なんとか右車線の車に譲ってもらって進路変更して追い越し。予想以上に追い越しに距離が掛かったけど、追い越し終わって元の車線に戻って無事に追い越し完了。すぐ前方が赤信号だったので止まりました。すると、「なぜ追い越そうと思った?」と指導員。

「遅かったから」と答えましたが、「じゃあ、追い越すことで早く進めたかな?」と言われます。「追い越した原付は今どこにいると思う?」と言われて見回してみると、さっき追い越した原付がすり抜けてきて、私のバスの前に進んでいきました。「つまり、追い越さなくても状況は同じだったってことだな。隣の車に譲ってもらってまでした追い越しだったが、隣車線の流れを乱しただけで、まったくの無駄な追い越しだったってことだ」と。そして追い越す前からこの結果が見えていたと言われました。なぜなら追い越し始めた時に、この信号が赤に変わろうとしていたから……と。

今の場合は、前方が青だったのなら、ひょっとして追い越しも意味があったかもしれないが、赤だったので意味のない追い越しになった。これぐらいは追い越しを始める前に予想が立てられていないとならない……と。

すべてはお客様のために

追い越しても、いくつか先の信号で引っ掛かったらほとんど同じになってしまう可能性もあります。ほとんどの場合、追い越してもそんなに早くなるものではないんですね。また、バスは車長が長いので、追い越しに距離が必要です。追い越しの危険度と得られる効果を考えると、かなりコストパフォーマンスの悪い行動だということです。

バスはダイヤで動いているから、急ぎたい時もあります。でも、その追い越しをしてもほとんど早くならないのなら追い越す意味がないわけです。「あまり時間は変わらないけど遅い車に付いていくのが嫌だから追い越す」というのは、お客さんのことを考えた行動ではなく、単なる自分勝手な気持ちです。お客さんの命を預かっているのだから、「自分がこうしたいからする」じゃダメなんだ、すべてはお客さんのための行動でなきゃならないという話でした。

黄色信号と安全速度

ある路上教習の時です。前方の信号が黄色に変わりましたが、このタイミングなら急ブレーキになるから行った方がいいと思い、進もうとしました。そしたらいきなりブレーキを踏まれました。そんな急ブレーキを踏んだら危ないと思いましたが、問題はそんな状況になってしまった前段階にあるのだという話でした。

黄色信号の意味は止まれです。ただし、停止線に近付き過ぎていて安全に止まれない場合にだけ進んでいいという規定があります。普通車などだったら少し強めのブレーキを踏めば止まれる状況でも、立ち客のいるバスは強いブレーキが踏めないので安全に止まれないというタイミングがあります。私はこの場合、安全に止まれないのだから進んでいいと考えていました。しかし、それは違うのです。問題は、なぜ安全に止まれない状況になったのかです。

安全速度

法令の規定に、交差点は安全な速度で通行しなければならないというのがあります。安全な速度が具体的にどれぐらいかは状況によりますが、少なくとも制限速度よりは遅い速度です。要するに、青信号だからといって、制限速度のまま通過するのは間違いなのです。交差点だから少し速度を落とさなきゃならない。

また法令の規定では、黄色信号の時に進んでいいのは、「停止線に近付き過ぎていて」安全に止まれない場合となっています。「速度が速過ぎて」安全に止まれない場合ではないのです。「停止線に近付き過ぎ」というほどでもないのに、安全に止まれないから進むというのでは信号無視になります。これは、安全速度になっていなかったのが悪いわけですね。強いブレーキが掛けられない車は、それだけ安全に止まれない可能性が高まるわけで、それなら交差点にはより遅い速度で進入しないといけないという理屈になります。

信号は止まるためにある

「信号で待つのは嫌か?」と指導員。それは誰でもそうでしょう。特に急いでいる人でなくても信号は「出来れば待ちたくない」と思う。でも、その心理が、わざと「安全に止まれない」状況を作り出してしまうという話でした。そして、信号をちゃんと守ろうとしている人でも「今のは安全に止まれなかったんだから仕方がない」と自分を納得させる。お客さんの命を預かっている身でありながら、法を守る意識もきちんとありながら、わざと安全でない状況を作り出して「今のは仕方がなかった」と言い訳してしまうんですね。

それらの原因は「出来れば止まりたくない」という心理から発生しているとのこと。まずそれを捨てなきゃならないわけです。進もう進もうではなく、止まろう止まろう、これがお客さんの命を預かっている者の心構え。「すべての信号で止まっていきたい」というぐらいの気持ちでいれば自然と安全速度が生まれるというような話でした。

すべての信号で止まりたい……そこまでの境地に達せられるだろうか。しかし、人命を預かる二種免許の運転者は、はやる気持ちを押さえられないとならないのです。

交差点の進入方法

信号が赤になる時は、通常は「歩行者信号青点滅」→「歩行者信号赤」→「車信号黄色」→「車信号赤」の順で変化します。従って、交差点に近付いたら早めから歩行者信号を確認するようにします。青点滅を始めていたら、もう止まる準備を開始。アクセルを止めてブレーキの上に足を移動します。と言っても青点滅状態ならまだ時間があるので、まだブレーキは踏まなくていいです。足だけ構えておきます。

アクセルを踏んでいないのでエンジンブレーキで速度が落ちてきますが、安全速度以下にまで落ち込んでいなければそのままで問題なしです。と言っても、徐行などではなく、あくまで安全速度ですので、極端に落とす必要はないです。この状態で進んで「停止線に近付き過ぎ」状態になってもまだ黄色にならなければ「進む」と方針転換します。それまでは止まるつもりでいるわけです。

歩行者信号が青だった (青点滅もしていない) 場合は進める可能性が高いですが、それでも安全速度が必要ですから、交差点に近付いたらアクセルは止め、足はブレーキを構えた状態で、左右を確認してから交差点に進入します。

安全かつ円滑に

もちろん、これらは交差点進入時の話であって、安全な直線部分なら、ちゃんと制限速度一杯まで出さないとならないです。バスはダイヤで走るわけですし、円滑な交通の流れもあるので、ゆっくりチンタラ走るのはダメです。

卒業検定では、速度超過はもちろん減点ですが、安全なのに5km/h以上遅く走っているのも減点になります。でも、危険な所はしっかりと減速しないとなりません。交差点はもちろん、直線部分でもです。速度は出せる所で出し、押さえる所で押さえないといけないわけですね。いわゆるメリハリのある走行ですが、バスではさらに、加速・減速の時には、乗客が不快にならない弱めの加速度で行なわないとならないわけです。

様々な教習

路端停車

路上では通常走行の他、バス停で止まる練習もします。と言っても、教習車は路線バスではないので、本物のバス停は停車禁止です。従って、路上の電柱や標識などのポールをバス停の乗車位置に見立てて練習することになります。第1段階の場内でも一通りは練習しましたが、バスの中扉を指定されたポールに合わせて止まり、その後、再発進です。停車時はハンドブレーキを掛けて、フットブレーキは踏んだまま、ギアはニュートラルで、クラッチからは足を離すようにします。

これは、ちゃんとお客さんのいる位置ぴったりに止まるという練習なので、扉とポールがずれたらダメです。ポールの中心線が扉の窓の幅に入っていればセーフ。また、扉をずっと見つめながら止まると前方不注意になるので、通常の後方目視ぐらいの時間 (1秒ぐらい) 扉を見るだけで止まれるようになるといいですね。でもこれって、前扉をポールに合わせるのだったら、運転席の真横にあるから簡単なんですけど、中扉を合わせるというのは、後ろ乗りのバスを想定しているんでしょうかね?

停車のコツ

停車の際は車体を路端の30cm以内に寄せないとダメなのですが、バスは車体が長いので、下の図の点線のように、間近になってから寄せていくと車体の後部が離れたままになります。実線のように少し手前から左に寄せておいて、寄せた状態をキープしたまま前進していって止まると、うまく道路と平行に止まれます。ただ、大型車はミラーがかなり出っ張っているので、ミラーが指定されたポールにぶつからないように注意しないといけません。

【バスの路端停車の図】

この練習は、交通量の多い大通りでも、交通量の少ない脇道でも、人通りが多い生活道路でも、色んな場所で練習します。この練習をメインにやる回では、300〜400m進むたびに停車という、実際の路線バスと同じような運転を1時間ずっとやったりもします。「次は信号を越えて2本目の電柱」とか、その都度ポールを指定される形です。

でもこの練習って、広い道路ではいいですが、狭い道路でやると、後続車に取っては迷惑千万ですな。もし皆さんが車を運転している時に、前を走っている教習中のバスが何でもない所で止まったら、それは停車練習中だと思います。狭い道路ではなかなか追い越しにくいと思いますが、その後も何でもない所で何度も停車しますので、そういうものだとあきらめて下さい(笑)。

発進時の注意

路端停車は発進時も要注意です。先述の通り、バスは後輪から後ろが長いので、曲がる方向と反対方向にお尻を振りながら曲がっていきます。リア・オーバーハングですね。従って、ガードレールなどがある所で路端停車した場合は、右に大きくハンドルを切りながら発進すると、バスのお尻が左に振られてガードレールに当たってしまうわけですね。こういう所ではハンドルをあまり切らないように発進しないとなりません。

嫌がらせか?

ある日の路端停車の練習中、交通量の少ない脇道で停車が完了した後に指導員の話を聞いていたら、後ろから追い越して来た普通車が私の前に停車して来ました。そして、あろうことかバックして車間を詰めてきたのです。そしてそのまま駐車して運転手が立ち去っていきました。ちょ、ちょっと待て……。

【バスの路端停車から発進の図】

ここは、路端ギリギリに張り出してガードレールがありました。このガードレールさえなきゃ、そんなに難しい距離ではないんですけどね。……と言っても、普通車の運転手には、ガードレールのあるなしでバスの発進のしやすさが変わるなんて事情は分からないでしょうね。後輪の後ろ部分 (上の図の太矢印) にガードレールなどの障害物があると、発進時にほとんどハンドルが切れません。運が悪いことに、ここは片側1車線の道路で、反対車線にも駐車車両があります。これ、出せるのか?

ガードレールにぶつからないように、最初はハンドルを切る量を少なく、徐々に量を増やしながら、ミラーを見て、バスの左後ろ角をガードレールと一定距離に保ちます。前のミラーをポールと一定に保つのはクランクでやったけど、後ろは初めて。でも原理は同じですね。徐々に切っていって最後は最大に切る。なんとかギリギリ出られるか?

しかし、今度は反対車線の駐車車両が迫って来ます。クランクのポールと違って、普通車は低いからミラーはぶつかりません。車体の角をギリギリ近付ける形になります。しかし、道路を斜めにふさいだ途端に後続車がやってきた……。「焦ってぶつけるなよ。こんな状況になったら、もうしょうがないからゆっくりやりなさい」と指導員。後続車に「すみません」と手で合図してから、超徐行でなんとか脱出しました。いい練習が出来ましたよ(苦笑)。

自主経路

通常の路上教習は指導員の指示した道を走りますが、自主経路というのは、自分で走る経路を決めるという課題です。現在地と目的地が示された地図を渡され、それを見て自力で目的地までたどり着くわけです。この時、走りながら経路を決めるのではなく、あらかじめ地図に「こう走りたい」という経路を自分で書き込んでおいて、その計画に従って走ります。途中で道が分からなくなったら地図を見てもいいですが、その場合は正しく路端に停車してから見るようにします。

これは、現在は普通免許の卒業検定の課題にもなっています。大型二種では検定課題にはなっていませんが、教習だけは行ないます。しかし、おそらくこの課題ほど教習所によって難易度の異なる課題もないかと思います。それまで一度も走ったことのない所の地図を渡される教習所もあれば、前の時間に走ったのと同じ道を走れば目的地に着くなんていう教習所もあるようです。元々土地感がある場所かどうかというのも大きいでしょうね。

誘導経路?

さて、私の場合、学科の時間に説明を受けましたが、地図を渡されると、まず最短時間で到着するような経路を選ぶように言われました。趣味のドライブではなく、お客さんを運ぶことを考えれば当然の条件ですね。で、脇道は大型自動車通行禁止の所も多くて、結局、大通りしか選択肢がありません。次に、途中で分からなくなって地図を見ないといけなくなると余計に遅くなるので、あらかじめ出来るだけ分かりやすい道を選んでおくように言われました。具体的には、分かりやすい目印がある所を曲がるとか、付き当たりを曲がるとかです。地図を見ると、思いっきり分かりやすい目印と付き当たりの丁字路が……(笑)。

はいはい、ここを曲がれと言いたいわけですね(笑)。ていうか、そんなに条件を付けられたら、選択肢が1つしか残らないじゃないの(笑)。というわけで、全然自主的な経路じゃなくて、思いっきり誘導された経路でした。折角好きな道を走れるかと思ったのに……。まあ、元々この課題自体、あまり意味のあるものとは思えないですけどね。

山岳教習

路上教習では、3時間連続で山道を走るというのがありました。観光バスタイプの車両で、自動車専用道路の山岳ドライブウェイを走りました。まさに観光バスの運転手になった気分ですね。教習所から山の上の駐車場まで運転していって、展望台で途中休憩。その後、そこから教習所まで帰って来ました。

なお、この教習項目は正確には「特別項目」と言って、「地域特性に合った運転をする」という規定になっています。要は教習所ごとにやることが違うということです。

普通免許の教習でもこの教習項目があり、例えばバイパスや首都高などを運転する、市街地の駐車場や立体駐車場で車庫入れ、ドライブスルーやガソリンスタンドに入る、未舗装道路を運転する……などなど、教習所ごとに様々な教習が行なわれているようです。でも実際問題としては、山が近い教習所では山道を走ることが多いようですね。特にバスの場合は、そんなに色んなことは出来ないですし。

山道の注意点

さて、山道は横から木の枝などが飛び出している所が多いので、ちゃんと避けて通らないといけません。先述の通り、車高が高い大型車に取っては、障害物は空中にもあるのです。でも、柳の小枝のような軟らかいものを避けていたら、「そんなもの避けなくていいだろ。見通しの悪い山道で無駄に中央線をはみ出すな」と言われました。ごもっともです。バキッといってしまうような、ごつい枝だけを避けるようにしないと。避けるべき枝かそのまま行くべきかをとっさに判断しないとならないのは大変でした。

それから、対抗車と行き違う時は、カーブの部分は避け、出来るだけ直線部分で行なうように、とのこと。大型車はカーブだと車線の幅ギリギリで通っていくことになるので、行き違うのが大変なんですね。理想的な状態は、止まらずにスピード調整だけで、カーブでの行き違いを避けることです。

さて、帰りの下り坂は排気ブレーキのスイッチをオン。これは、排気ガスの流れを制御することで、エンジンブレーキを超強力に効くようにさせるという装置です。大型車にはたいてい付いているようです。このスイッチを入れておくと、アクセルを離しただけでググッとエンジンブレーキが強力に効くので、ほとんどフットブレーキを踏む必要がありません。かなりきついカーブの下り坂でしたが、ブレーキ要らずでとても楽でした。これはいい装置だ。

シミュレータ教習

運転シミュレータを使った教習が何回かありました。この教習はたいてい3人交替でやりました。こういうのは初めてです。ゲームセンターのドライビングゲームみたいな感じですが、ゲームと違って速度を競うものではありません(笑)。画面は前方120度ぐらいの視界があって、CGとは言え、意外とリアルでした。でも、実際の運転では真横に見える情報も結構重要なので、横にもスクリーンがあって欲しかったな。筐体は路面の振動まで伝わるようになっていました。

なお、これはバスのシミュレータではなく、普通車のシミュレータです。普通免許の教習とはソフトウェアで切り替えるだけのようで、二種免許の教習では全員タクシーの設定でやりました。ATとMTも切り替えられるようです。タクシーなので、手を上げている乗客を拾ったりもします。

走っていると、バンバン人や車が飛び出して来たり、路面に何か落ちていたりとしますが、しばらくやっているとパターンが読めてきます(笑)。また、やたらと乗客に「急いで下さい」と急かされる場合というのをやりました。これは心理的に嫌な状況ですね。タクシー運転手は大変だ。他にも、夜間、雨、霧、雪道などの悪条件での走行といったことをシミュレータでやりました。

まあ、私の場合は、実車の教習でも夜間の大雨の時がありましたけどね(笑)。教習では室内灯は消して運転しましたが、一般のバスは夜間に室内灯を付けるので、かなり見にくくなるようです。室内灯を消していても車線がかなり見にくい状態だったのに、これ以上見にくくなるとどうなるんだと思いました。

危険予測

3人グループで交替で路上を運転し (もちろん指導員付き)、他の教習生の運転の良かった点、悪かった点、どういうところに危険があったかなどを話し合うという教習もありました。「危険予測」と呼ばれる教習項目で、普通免許の教習でも路上教習の終わり頃にこれをやるようになっています。他の教習生の運転を見るのは勉強になるところが多いと思いました。私がよく指摘されていることと同じことを指摘されている人がいましたが、自分が運転している時にはあまり危険だと感じていなかったことも、客席から見ているとハラハラするというのがよく分かりました。

また、運転時に、ただ走るだけでなく、目で見たものを言葉にしながら走るというのをやりました。「制限速度50」「横断歩道あり、人影なし」「自転車あり、速度落とします」とかいった感じです。でも、運転しながらでは、なかなか言葉が出てこないものですね。これも他の教習生と一緒にやりましたが、他の人がどこに注意して運転しているのかが分かって、なかなか勉強になりました。

卒業、そして…

補習の果てに…

技能教習の最終時間は「見極め」です。場内と路上を一通り走り終えてから指導員の評価。「このまま卒業検定を受けても合格するかもしれない。でも、なんか危なっかしいんだな。もうちょっと練習しておくか」とのこと。見極め不合格でした。補習料金を払って次の予約を入れます。補習での別の指導員の評価も似たような感じでした。「なんか、今回はたまたまうまく運転できただけのように見える」とか。私の教習原簿は補習のハンコでいっぱいになり、新しいページが追加されました(笑)。申し送り項目の欄もびっしりです。

大型二種免許は四輪免許の最高峰。最も高度なものが要求される免許です。私は、言われたことだけは出来ているが、それ以上のことが出来ていないと言われました。「まるで初心者の運転を見ているみたいだ」とか。やるべき安全確認・乗客確認とかはすべて出来ているが、それ以外は見ようとしない。視野が狭く、周りの状況が充分に読めていない。危険を見つけるのが少し遅いので見ていてハラハラする……などなど。そのくせ、すべて結果オーライでなんとかなっているのが不思議だとか。

「試験に合格できる運転ではなく、安心して命を預けられる運転をして欲しい」と。

うまい運転より安心の運転を

まあ、一言で言えば、決定的に運転経験不足なのでしょうが、どうも私の運転は、検定の採点基準では減点するところがないのに、乗っていて何か安心できないという状態だそうです。試験のためだけの運転になっているとのこと。ある意味、実力がないのに試験対策だけ万全にやり過ぎていたんですよね。

そう言えば、大型二輪免許 (バイクの免許) を試験場で受けた時に、どういうことをすると何点減点になるかという採点基準をほとんど頭に入れていました。減点項目がすべて分かっていて、それだけを注意して運転する癖が付いてしまったので、こんな運転になってしまうのかもしれません。

教習所がなぜ「見極め」と「検定」という二重のチェックをやるのかが分かったような気がしました。見極めは見た目での総合判断で、検定は減点項目に従った採点です。きっと私のようなタイプの運転は、検定だけだと、問題があるのに通ってしまうのでしょう。もっと安心できる運転をしなければ……。

見極め合格

その後も補習を受け続け、その果てに「卒業検定、受けてみるか?」との評価。「ただ、次の1時間、車両が空いているんだけど、もしもう1時間乗っておきたいというのなら乗れるが、どうする? このまま合格でもいいけど」とのこと。「じゃあ、もう1時間乗ります」と答えました。私は他の教習生に比べたら明らかに下手クソでしょう。下手な者は努力でカバーしなきゃならないと思います。「よし、じゃあもう1時間補習だ」

その1時間後、第2段階合格のハンコをもらい、卒業検定の申し込みをする私がいました。

卒業検定

卒業検定は場内試験と路上試験の両方があって、ミスするごとに減点される減点法で採点して、80点以上が合格です。他の免許はたいてい70点合格ですが、二種免許は合格基準点が高いです。

場内試験

まずは場内コースで試験をやります。場内試験で80点未満になった場合は路上試験には進めず、その場で不合格になります。主な課題は、方向変換、縦列駐車、後方間隔、鋭角コースです。このうち、方向変換と縦列駐車はどちらか1つだけが行なわれます。「右から方向変換」「左から方向変換」「縦列駐車」の3つのうちのどれか、そして鋭角コースが「右折れ」「左折れ」のどちらか、ということで計6通りの組み合わせがあります。その6通りのうちのどれになるかは、検定当日にランダムに決められる形です。

私は、一番難しかった後方間隔が無事に20cm台で成功し、場内は減点なしでした。ちなみに、後の路上試験コースに坂道がある場合は、この時、坂道発進の練習を1回させてもらえるという規定になっているようです。

路上試験

その後、休憩を挟んで路上試験です。路上試験は6km以上の一般道路を走り、途中、指定場所での路端停車が3回あります。道順を覚えて走るのではなく、道案内された通りに走る形です。どの道も路上教習の時に一度は走ったことのある道でしたが、通して走ったことはないような道順でした。なお、路上試験は、客席に他の教習生 (通常、同じ日に検定を受ける人) を乗せた状態で運転します。他の教習生にも見られていると緊張しますね。交替で運転をして試験をしましたが、全員別々のコースでした。

点数は場内試験との通算での減点法なので、もし場内が80点ギリギリで合格したのなら、路上では一切の減点が許されなくなります。検定不合格になった場合は、1時間の補習を受け、翌日以降に再度、場内試験の最初から検定を受け直すことになります。

さて私は、緩い坂道で下がり掛けて焦って強めのブレーキを踏んでしまった時があって、減点あり。悔しい。でも、終わった時点で80点以上はあったので合格でした。そして、無事に卒業証明書がもらえました。しかし、ああいう強めのブレーキを踏んでしまったのに合格というのは、ちと複雑ですね。どういうミスをすると何点減点かは全国共通で決まっているので、合格は規定通りの採点なのですが、急ブレーキ教習を受けた時の印象から言って、大型二種だけは強めのブレーキは即不合格でもいいんじゃないかな……とか思ったりも。

上位免許の課題が上位互換でない

ちなみに普通二種 (タクシー) 免許の検定課題は、後方間隔がありませんが、代わりに転回があります。路上でUターンするというものです。対抗車を妨害しないように円滑にUターンできないとなりません。

確かにこれはタクシーの運転手には重要な課題で、バスの運転手には必要ないことかもしれません。しかし、バスの免許があればタクシーを運転できるという上位免許の性質から考えて、下位の免許の方にだけ課題があるというのはいかがなものでしょうかねぇ。まあ、でっかいバスが路上でUターンするなんて、そんなのを卒業検定でやっていたら周りの交通に影響ありまくり、という理由もあるのでしょうけどね。

学科試験

卒業後は運転免許試験場 (免許センター) で、適性試験 (視力検査など) と学科試験に合格しなければなりません。学科はマークシートの正誤式で90点以上が合格です。得意のペーパーテストで落ちるわけにはいきませんが、教習所の模擬試験 (効果測定) よりは難しかったです。驚いたのは、200人ぐらいの受験者がいたのに、解答用紙が回収されてから15分も経たないうちに合格発表があったことです。昔、大型特殊免許で学科試験を受けた時は合格発表まで1時間以上待たされた記憶があるので、ちょっとびっくりです。まあ、あの時とは県が違いますし、マークシートの採点が一瞬で終わるのは当たり前かもしれませんが。

合格発表を見ると、同じ試験室の200人中、二種免許の学科試験を受けた人は20人で、その中で合格は私1人でした。何なんだ、その合格率は!? 気になって、別の日に合格発表を見に行ったことがあったのですが(暇人か?)、二種学科の受験者は18人で合格者0でした。あの日だけが合格率が悪かったわけじゃないのね。しかし、二種免許の学科試験って、ひどい合格率ですね。みんな、学科をなめ過ぎてるんじゃ……。

合格発表の後は昼休み。ご飯を食べてから写真撮影して、無事に「大二」と入った免許書が交付されました。試験場からの帰りに乗ったバスでは、また違った目でバスを見ることが出来ました。

バスの時間練習

免許を取った後、ふと「試験場の路上試験って、どういう所を走るんだろう?」と興味が湧きました(笑)。そこで、路上試験コースを大型バスで運転練習できるという、試験場近くの自動車練習場に行ってみました。教習所のバスとは違う車種でしたが、違いはそんなに気になりませんでした。一応、場内で鋭角コースや方向変換などもやりました。

路上に出てみると、運転免許試験場が郊外にあるせいか、交通量が少ない!! 全然割り込んでこないし、合図を出したらスムーズに入れてくれるし、歩行者もそんなに多くないし、なんて走りやすい所でしょう。教習所付近とは大違いです。ただ、狭い道路で電柱や標識がよく道側に飛び出しているので、ミラーを当てないように注意して走らなきゃならない所が多かったかな? まあ、試験場の路上試験は、採点は厳しいかもしれないけれど、コース自体は難しくないというのが全体的な印象でした。もちろん、どこの試験場かによっても状況は違うでしょうけどね。

試験コース以外にも、駅前ロータリーを回るという練習もしてみました。外側にタクシーの待ち行列があると途端に回りにくくなりますね。ついついタクシーと距離を空けてしまって、内側後輪がギリギリとか……。

バスのペーパードライバー練習

なお、バスの場合は、既に免許を持っている人が運転練習をしに行くのというのは珍しいことではありません。なぜなら、たいていのバス会社の入社試験には運転試験があるらしいので、バスの場合は免許を取ってからの試験が本番とも言えるのでしょうから。この点、タクシーの場合は、二種免許を持たずにタクシー会社に入社して、研修期間に会社で普通二種免許を取るというパターンもよくあるみたいです。ハードルが全然違うのですね。

私はバスの免許が必要だったから大型二種免許を取ったというわけではないので、これからもバスを運転しなきゃならなくなる機会なんてまずないと思います。でも折角取ったのに、このままペーパードライバーになって運転できなくなってしまうのは、もったいない話です。今後も技能が落ちないように、たまにはバスの練習に行ってみたいなと思っています。

総括

この免許は、以前は運転免許試験場の技能試験 (一発試験) でしか取れない免許でした。それが平成14年からは、教習所でも取れるようになりました。同時に、場内試験だけだったのが路上試験も行なわれるようになりました。路上になって簡単になったと言う人もいますが、一概には言えないでしょうね。

私は元々、この免許を試験場で取ろうと思っていました。最初は、大型特殊免許を取って3年後にすぐ取るつもりだったのですが、結局時間がなくて学生の間には取れず。……って、大学生が3年後にどれぐらい忙しい状態になるかぐらい考えておくべきでしたが(笑)。結局は、何年も経ってから教習所で取った形です。でも、今となっては教習所で取って本当に良かったと思います。私の運転の欠点は場内ではなく路上にあったのです。当時の場内試験だけなら、問題に気づくこともなかったでしょう。

それに、もしあの頃に試験場で取っていたなら、きっと、「命を預けられる安心の運転」ではなく、「試験に合格するうまい運転」を目指していただろうと思うからです。


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