齋藤彩夏ちゃんリスト

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役名: 北沢百合香

音楽劇 『ありがとう サボテン先生』 (2002)

スタッフ・キャスト

原作 宮部みゆき
脚本 成井豊
演出 水田伸生
出演(役) いかりや長介(権藤教頭)、佐藤アツヒロ(宮崎先生)、篠原ともえ(しずく)、北村総一朗(月真和尚) 他

出演公演

公演期間 公演会場
2002-03-06 〜 2002-03-28 [東京] 日生劇場

筆者の個人的な感想

すばらしい作品

卒業間近の6年生と定年間近の教頭先生の交流を描いた作品ですが、出演者は大物揃いで、大劇場で1か月公演。笑いあり感動ありで、とてもすばらしい作品です。ボロボロ泣けます。

目立つ役

この作品は生徒役が1クラス分出演しているので、目立つ役にならなければ、「ただ出演しているだけ」になる恐れがありました。実際、セリフがほとんど一つしかないような子の方が多かったです。そんな中、彩夏ちゃんはかなり目立ったセリフが与えられていました。良かったです。

一番目立った役を与えられたのは男の子でしたが、女の子の中で目立ったセリフが与えられている役は実質2人(ダブルキャストなので実際は4人)だけで、それが彩夏ちゃんと伶弥ちゃんでした。でも、伶弥ちゃんの方がセリフが多いのね。正直に言って、ちょっと悔しかったです。

お笑い系?

彩夏ちゃんは、どちらかというとお笑い担当かな? 酒屋の娘という設定で、「越乃寒梅を……」のセリフでは結構笑いを取っていました。すごくハマリ役のように思います。で、衣装がちょっと着膨れしたような感じで、これがなんかすごく似合っていて良かったです。

彩夏ちゃんと共演(笑)

ところで、この作品では出演者の子供たちが客席に降りてきて、客席のお客さんに質問を書いてもらうというシーンがあります。作品世界の中では、このシーンで客席にいるのは保護者の方々ということになっています。客席を舞台の一部に見立てる演劇は珍しくはありませんが、ここまでお客さんを参加させる作品は初めて見ました。

その中の1人の質問が劇中で読まれるのですが、ある日、なんと私が読まれてしまいました(笑)。「大介君のお兄さん」という役も与えられたので、これで私は彩夏ちゃんの共演者ということになるかな(笑)。でも、私の名前が呼ばれたとき、彩夏ちゃんは変に受けていたような……(笑)。読まれた質問は、いかりやさんが答えますが、毎回機転の効いた答えで、さすがです。

長期公演

1か月の長期公演ということもあってか、途中でシーンやセリフが付け足されたりカットされたり、かなり変化がありました。個人的には最後の週は、いかりやさんのラストのセリフが多くなり過ぎて、ちょっと説明っぽくなった感じがするので、舞台全体的に言えば2週目ぐらい(3月14日前後)が好きです。もちろん、千秋楽は良かったですけどね。

よく通る声

さて、彩夏ちゃんですが、子供出演者の中でもかなりよく通る声だったというのが、一番の印象でしょうか? 子供出演者の中には少し舌っ足らずの子もいたので、余計に彩夏ちゃんの声がはっきりと聞こえたのかもしれません。役ともよく合っていて良かったと思います。演技は結構、地が出ているんじゃないかと思えるところも多かったですが……(笑)。

彩夏ちゃんの歌声が…

歌に関しては、今回、彩夏ちゃんにはソロはありませんでしたが、大勢で歌っていても、彩夏ちゃんの声は聞き分けられてしまいます。今回は元気な歌ばかりだったから、あれでもいいのかもしれませんが、みんなで歌っている中で1人だけ聞き分けられてしまうというのはある意味問題なのかもしれない(笑)。もっともこれは、私が彩夏ちゃんの声ばかりに神経を集中し過ぎて聞き分けられてしまっただけかもしれませんが。

ついに千秋楽…

そして、公演もついに千秋楽。ラストシーンはいつものように、卒業式直後に子供たちが教頭先生の周りに集まるシーンですが、ラストシーンが近付くとほとんどの子供たちは泣きじゃくります。このシーンは、毎回少しずつ違っていましたから、おそらくは「卒業式直後にふさわしい行動であればある程度アドリブで動いていい」と言われているんじゃないかと思います。

この日、彩夏ちゃんは、舞台上で伶弥ちゃんと抱き合って大泣きします。美しいシーンです。シーンとしては卒業のシーンで泣いているのですが、それは演技で泣いているというよりは、千秋楽でこの舞台とお別れだから、みんな本心から泣いているんでしょう。こんなリアルな卒業式のシーンがあるでしょうか。その涙を見た観客がまた涙を流します。

千秋楽のカーテンコールは客席総立ちのスタンディング・オベイションでした。「お約束」ではなく、3階席までみんなが拍手しながら立ち上がっていく舞台作品を見たのは初めてでした。

卒業、そして…

彩夏ちゃんはこの前年、現実の小学校を卒業しましたが、この年また「6年1組」を卒業しました。2回の小学校卒業は彩夏ちゃんにとっても大いに心の糧となったのではないかと思います。すばらしい作品でした。


著者

<t-wata@dab.hi-ho.ne.jp>