齋藤彩夏ちゃんリスト

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役名: アキラ (白河晶)

ミュージカル 『フレンズ 〜ガラクタ怪獣のなみだ〜 (2003〜2004)

スタッフ・キャスト

制作 ジョーズカンパニー
脚本 長田育恵
演出 桝川譲治
出演(役) 小泉もえこ/安島丹希(そら)、長屋光紗/名塚佳織(ノゾミ)、齋藤彩夏/石井香澄(アキラ) 他

出演公演

公演期間 公演会場
2003-12-29 〜 2004-01-05 [東京] シアターサンモール

筆者の個人的な感想

今までにない役どころ

アキラは、自分のせいで友達が事故死したことで、心を閉ざしてしまったといった感じの子。難しい役だと思います。今まで彩夏ちゃんはこういうタイプの役はやったことがなかったので、役どころが非常に面白いと思いました。第1幕の、そらに自分の心を打ち明けるシーンとか、もう彩夏ちゃんの演技で涙ボロボロです。

もっとも、アキラは心にあれだけ重いものを背負っていたのに、主人公そらの登場で割とあっさりとみんなと打ち解けてしまうんですよね。まあ、第2幕では別の事件が発生する展開なので、しょうがないとは言え、もうちょっと悩み抜く演技が見たかったかな。でも、この彩夏ちゃんの新しい役どころの演技はとても良かったです。

初日の印象

この作品の印象は、初日に見たときと楽日まで見たときでかなり変わりました。初日の印象として、作品の練り上げの足りなさを感じました。全体的なストーリーはいいんですが、個々のセリフが説明っぽいというか、「いかにもセリフ」というような長セリフが多いです。台本が悪いと思いました。

普通の小中学生がこの状況でこんな言葉はしゃべらないだろう……と思えるようなセリフばかり。そのためか、出演者にとっても自然にセリフが出てきていないんですね。

また、彩夏ちゃんは初日、かなり声の調子が悪かったようで、ソロを歌っている最中に咳込んでしまうほど。大丈夫だろうか……。

年が明けて…

しかし、正月の休演日が明けたら印象が変わりました。みんな、セリフがこなれてきているのです。なかなかいいじゃないの。休みの間に何があったんだ……(笑)。

彩夏ちゃんは、第1幕の演技は初日から良かったですが、正直に言って第2幕のそらと仲直りするシーンとかは、初日にはこなれていない感じがありました。でも、年明けには、ゆっくりと間を取ってセリフを言うように変わっていて、すごく良くなったと思います。ほんの2〜3日のことで、こんなに演じ方を変えてくるとは思いませんでした。

ダブルキャスト

ダブルキャストのもう一方の組も見てみましたが、2つの組のアキラは、まったく性格の違う別人でした。セリフは同じでも言い方がまったく違います。彩夏ちゃんのアキラは繊細な女の子で、石井香澄ちゃんのアキラは気の強い女の子かな。

そう言えば、『ココ・スマイル3』の時も2つの組はまったく違う演技でした。2つの組でわざと違う演技指導をしている? ……でもそれは考えにくいし、ひょっとしてジョーズカンパニーって、演じ方に関してはすべて出演者の表現に任せているのかもしれないと思ったりもしました。

2人のアキラ

2組のアキラで一番違う演じ方をしていたのが、第2幕のそらとアキラが仲直りするシーンです。本当のことを話してくれなかったそらに対して、アキラが長セリフを言います。

彩夏ちゃんはこのセリフを、初日は普通に言っていただけですが、楽日では、ゆっくりと間を取って優しく言います。一方、石井香澄ちゃんはこの長セリフを語気を荒げて早口でまくしたてます。この違いが演出家の意図なのか、2人の出演者自身の解釈の違いなのかはわかりません。でも、ここまで違っているのはすごく面白いと思いました。

解釈の違い

このセリフの最初に、アキラが「怒ってるよ!! こんなに傷ついたのは初めて」とか言う部分があります。たぶん香澄ちゃんのアキラは、その後のセリフも「なんで言ってくれなかったのよ!!」という感じで怒って言っているという解釈なのでしょう。

一方、彩夏ちゃんの(特に楽日の)アキラは、「怒ってるよ!!」のセリフのあと、ふっと優しい口調に変わるんですよね。「こんなに傷ついたのは……」の部分は憂いを帯びた口調です。

この2つの解釈は、どちらが正解というものでもないでしょう。でも、この解釈が彩夏ちゃん自身で見つけたものなら、すばらしい役の捕らえ方だと思いました。

総括

この作品の出演者で演技がうまい子を2人選ぶなら、私ならアキラ役の2人を挙げます。全員の中からうまい2人を選んでアキラ役に持ってきたって感じかな? それだけキーポイントになる難しい役だったということでもあるのでしょう。

演技以外で言えば、音楽が良かったですね。彩夏ちゃんのソロも多かったです。ダンスは、ラストの激しいダンスが迫力があって良かったです。

TV 「ジュニアでGO!」 (2003〜2006)


著者

<t-wata@dab.hi-ho.ne.jp>