養老の滝〜彦根城
盆の混雑も解消したので帰省することにした。今回もGWと同様にぶらりと滝を見ながら帰ることにする。岐阜県にある養老の滝は養老駅というのがあるくらいなので駅から歩いていくことができ、アクセスが非常に良さそうだ。ただし、「どこに行ったの?」と聞かれて「養老の滝」と答えると普通の人なら「なんか同窓会とか飲み会でもあったの?」と返されそうである。
東京から新幹線に乗ると名古屋まではあっという間に到着、まだ朝の8時である。朝飯を食べたいのでホームにある売店でワンコインむすびという100円のむすびを2つ購入した。梅ちりめんと名古屋名物天むすである。天むすはさすがに100円なのでちっちゃい海老天だった。
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ここからは通勤客とともに東海道本線に乗り、大垣駅に向かった。ひとつ手前の駅で、「この電車は3分ほど遅れて運転してます。」というアナウンスがあり、乗り継ぎ時間がもともと6分しかないうえに、近鉄養老線はJRじゃないので切符を買う必要があるし、どこに駅、ホームがあるのかもわからないしでかなりあせった。
到着後、ダッシュでホームの階段をかけ上がると案内があったのでそっちに向かっていき、JRの自動改札があったのでそこに切符を通したら、そこが近鉄養老線のホームで今まさに電車が出るところだった。
駅員さんに「切符はどうすれば?」と聞くと「養老駅で払ってください。」ということだったのでそのまま乗り込んだ。乗って社内放送を聞いているとどうやらこの電車はワンマンで、無人駅が多く、そのようなところでは社内の料金箱に料金を入れるバスみたいなシステムのようである。 |
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養老駅では数人が降りた程度で今日はあまり観光客はいないらしい。さきほど電車の中でも雨が降っている区間があったので天気は不安定である。これから向かう養老山方面は雲がかかっていて、先行不安である。いつもは持ってきている雨具も、今回は帰省で荷物が多いため無い。雨が降ったら傘でもさせばいいやと、そのまま歩いていく。
駅を出てすぐ「こどもの国」、「養老ランド」(写真左)とつづき、ゴルフ場もあるのでここは一大レジャーランドのようである。しかし、どの施設も掃除している従業員以外に人影はなく、ひっそりとしている。 |
養老ランドにいきなり大きなゴリラが現れた(写真右)。案内によるとゴリラタワーというアトラクションである。ゴリラの腹の部分に乗り込み、背中についてあるロケットで上昇するのであろう。理解できないセンスである。観覧車もあったが、10個程度しか乗り物(箱?)がない小さいものである。これなら途中で停止しても自力で降りれるかもしれない。ジェットコースターの類もなく、ここは小学生以下限定でないと楽しめなさそうである。
途中、川辺に松がある川を渡ると、養老の滝への駐車場があり土産物屋が立ち並ぶエリアに入る。養老寺には「養老孝子伝説 源丞内(げんしょうない)の墓」というのがあったので手を合わせた。 |
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養老孝子伝説は要約すると、親孝行の息子(源丞内)と、お酒を飲むことだけが楽しみな年老いた父がいて、酒の出る泉を見つけて汲んで帰り、父親に飲ませたところ若返ったといった話である。
涼しげな木々の中の道を歩いていくと養老神社の入口があったが、帰りに寄ることにして先を急ぐ。その先には観光リフトがあり、濃尾平野が一望できるとか、養老の滝まですぐとか書かれてあったが、今日の天気ではいい眺望は無理だし、養老の滝まではあと10分程度で行けるのでリフトを使うまでもない。
道路は川沿いの砂利道となり、少しだけ勾配がきつくなってきた。ようやく、ここにきて初めて観光客らしい人にすれ違った。そろそろ滝も近いようだ。
養老の滝(約30m 写真下)は湿気の多い森の中で、流れ落ちていた。雨のせいか滝壺の水は茶色になっており、大きな岩がある。多分、近年の落石と思われる。以前うちの親父が滝壺に落石があまりないのが不思議だと言っていたのをふと思い出した。 |
この滝は木や岩が邪魔になるので横から、前から、下からといろんなアングルで写真を撮った。途中で日が差したりしてきて、その度に表情を変えてくれる。
大きな滝を見すぎている私にはこれと言ったインパクトはないが、養老公園(写真上)という大規模な観光地がありその名所のひとつとして滝があると考えればこれはこれでよい。小さなお子さん連れの家族が多いのはその証拠で、なかなか他の百選の滝にはない光景である。また、ここは紅葉の名所だということなので、シーズンになると多くの人で賑わうことであろう。 |
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帰りに、養老神社に寄る。脇には名水百選の菊水霊泉がある(写真左)。ここ自体これといって湧水が出ているというわけでもなく、滝と同じ水が流れてきているだけのようである。しかし水は確かにさきほどの濁った滝の水とは違い透明である。
神社の階段を下りるとポリタンクを持って水を汲みに来ている人が数人いた(写真下)。名水百選は、やはりこんな感じで地元民が汲みに来ている風景がよく似合う。多分今でも、伝説にあやかって、おじいちゃんおばあちゃんのためにわざわざ遠方から水を求めてやってくる人も多いことであろう。
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よくよく考えてみるとここ養老公園は道は綺麗に整備されているし、景色もよく、名所もありで、ハイキング、散歩にもってこいである。
帰りにまた、養老ランドを通ると駐車場に停めてある車が増えていた。客が入ってきているようだ。こどもの国の駐車場からは浮き輪をもった子供達を連れたおかあさんの姿がある。なんだかほっとひと安心。さっきは時間が早すぎたので客足がなかったのだろう。
このまま地道にこどもと老人のために、この地が繁栄していくことを願うのであった。 |
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今から、実家に帰るにはまだ早い。せっかくの途中下車なので近くに何かないか大垣に戻って情報収集。
何もない・・・。とりあえず、新幹線の駅があるくらいだから何かあるだろうということで米原まで東海道本線で行く。二両しかない電車だが、登山客と思われる人でごった返す。多分、伊吹山にでもいくのだろう。
今度は米原で情報収集。長浜、彦根、安土、近江八幡等あるが、駅から歩いて国宝の彦根城がある彦根に決定する。米原からは一駅なのですぐ。
彦根は井伊家のお膝元(写真左)。山口県人の私にとっては「憎き井伊直弼」である。山口で尊敬する人アンケートを取れば今も昔も維新の父、吉田松陰である。修学旅行は決まって萩で松陰神社に行くし、歴史の授業では吉田松陰だけで1時間取るくらいである(全学校そうではないが)。 |
話始めると長くなるが、ようするに安政の大獄により吉田松陰を処刑したのが大老だった井伊直弼である。
まあ、過去の恨みつらみはさて置いて、敵を知ることも大事であるということで駅でもらった地図を片手に市街地を歩いていく。 市役所を通り、護国神社の脇の道を歩くと(写真右の地図の位置)、立派な岸に松が整然と並んでいる濠が見えてくる。ここは「いろは松」である。しかしこの堀は中濠であり、橋を渡ると今度は内濠がある。このように濠が二重になってて昔からそのままの姿を残している城はそうそうないであろう。さすが国宝。
城といえば観光の場合、天守閣ばかりに目がいくが、その城の地形を考えた配置、天守閣以外にはどのような建物があるのか、敵を攻め込みにくくするための仕掛等いろいろ見るところがある。 |
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表門で入場料500円を払い、城の詳しい地図があったのでもらい眺めた。なんと彦根城をひと巡りぐるっとコースは所要時間90分と書かれてある。思ったより広そうだ。少し、急ぎ足で石段を登る。しかしまっすぐに天守閣への道が付いてるわけでもない。天秤櫓(写真左)には廊下橋が架けられていて、これは非常時には落とし橋になるようになっている。ここでかなり足止めを喰らわすことができる設計である。
天守閣は大して大きくない(写真下)。3階建てである。右手に飛行物体が見えるが、これは飛行船である。 |
天守閣内部は1階は資料が展示されていたりする。面積はテニスコートより狭いかも。上に登る階段は70度くらいの傾斜で老齢者にはちょっときつい。特に降りるときは十分な注意が必要である(写真下)。この階段の下は少し広くて「武者溜」と案内板がある。
最上階からは琵琶湖、町並み、山々が望める。太陽光を取り入れる窓が無いのでカメラを撮る場合は、フラッシュをたく必要があるほど暗いが、風通しがよく涼しい。 |
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外に出るとなんだか天気が怪しくなってきたので先を急ぐ。坂道を降り、黒門から出ると、堀があり、楽々園、玄宮園(写真下)といった庭園があるので見ていく。ここは大名庭園なので殿様がお茶をしながら景色を楽しんだりするところである。手入れも行き届いていて良い眺めである。
庭園を出たところには井伊直弼の銅像がある。直弼は今回寄らなかったが護国神社にある埋木舎というところで32歳まで過ごし、その後、藩主、大老となり日米修好通商条約を結び、尊皇攘夷派に恨まれ桜田門外の変で46歳の波乱の生涯を閉じた人物である。現在は小泉首相が郵政民営化を唱えているが、鎖国をしていた江戸時代の日本を開国に向かわせるエネルギーは並大抵ではなく、大きな功績であろう。吉田松陰は黒船に乗り込み、「アメリカに連れてってくれ」といって断られ投獄された人なので、立場は違えど共通点もあるように思えてくる。 |
電車の時間もあるのでのんびり、大きな濠沿いを南に向かい散歩する。旧西郷家長屋門から中濠を抜けると夢京橋キャッスルロードという江戸時代の街並みを連想させる黒い建物が並ぶ。天気も回復し、日が差してきた。濠沿いの木陰のベンチで一休み。
新幹線に乗るために米原に戻る。待合室で遅い昼飯の立ち食いそばを食べていると甲子園をテレビでやっている。地元の宇部商業が2-1で東京の地元日大三高に勝っている。これを勝てばPLの桑田清原に決勝で敗れて以来20年ぶりのベスト4である。頑張って勝ってもらって、明日は実家でスイカなんかでも食いながらゆっくりテレビ観戦することにしよう。
今年の夏は暑いぞ。
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【参考移動時間】 大垣駅−電車23分→養老駅−徒歩40分→養老の滝−徒歩10分→養老神社(菊水霊泉)−徒歩40分→養老駅−電車23分→大垣駅−電車35分→米原駅−電車5分→彦根駅−徒歩15分→彦根城散策 徒歩1時間5分−徒歩15分→彦根駅
【所要時間】 6時間10分(上記以外に休憩、待ち合わせ等含む)
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