★sanshin spirits★

琉球三味線を買いました。そう、あの蛇皮の、ちょっと小気味の良い音を出す、あれです。「沖縄」といえばあの音っていう、あれです。
津軽三味線をやりたかったんです。学生時代、東北ばかり行っていたので、あの熱い響きに憧れていました。いまでこそ、ちょっとした津軽三味線ブームですけど、当時はどこで購入すればいいのかもわからず、そうこうしているとき、ふと思うところがありました。
「日本の北と南の三味線でセッションしたら,意外とあうかも?」
なんとまぁ、いいかげんというか、音楽なんてろくすっぽわかりもしないのに。
琉球三味線と津軽三味線。
まったく違う風土が生んだまったく違う音楽を奏でる楽器。なのに、両方とも、三味線。
まぁ、セッションするかどうかはおいといて、じゃぁどちらからかはじめてみようじゃないか。
そんなわけで、購入方法や値段などがわかっていた琉球三味線から、はじめてみることにしました。

そうそう、最近では琉球三味線と津軽三味線に、バンジョーなんかの音色もいいかも、なんてめちゃくちゃなことも考えています。いずれにせよ、すべてをそれなりにできるようになるには時間が相当かかりそうですが。

三線を買う。

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三線を買う。

 三線は沖縄では超一般的な楽器らしく、そのため市中で手軽に買えるようです。
 観光客として訪れたなら、三線のミニチュアを象ったオルゴールいうのも売ってます。
 それから「かんからさんしん」という、空き缶を利用した弦楽器もあります。この「かんからさんしん」は占領されていた時代に作られたもので、収容所内でも三線の音色を忘れられなかった沖縄の人々が、廃物を利用して作ったのがはじまりだとか。そういえば、沖縄土産として有名な「琉球ガラス」も、アメリカ軍のコーラの空きビンを溶かし、ガラス製品としたのがはじまりらしく、南国の陽気さに隠された人々の苦労のようなものを感じるような気さえします。
 観光客が一番買いやすい三線を売っている場所は、「玉泉洞王国村」でしょう。沖縄の南部を回るなら必ずといっていいほど行く場所です。ここでは、ハブとマングースのショーやコブラショーも見られます。ここに、三線屋さんがあります。目印はびろーっと広げられたニシキヘビの蛇皮。あれが三線なるわけです。実際、ここでは製造もしているようです。価格は3万円ほどから。すべて本蛇皮のため、表情が豊かですが、それだけに蛇嫌いにはちょっときついでしょう。
 忘れてしまいましたが、「琉球村」でも三線は買えたかもしれません。ここでは、500円(?)ほどで三線を習うことができます。地元のおじいさんらしき人が、三線を華麗にかき鳴らしつつ、お客さんを待っていました。時間があれば、習いたかったなぁ。
 実際に購入したのは、那覇の中心街の牧志の第一公設市場にある「仲尾次なんでも屋」さんです。インターネットで通販もやってます。小さいお店ですが、三線が結構あります。エイサーの太鼓や鳴り物もあり、見ているだけでも楽しいですよ。ここのおばさんに、「初心者なんだけど、はじめたい!」と申し出たところ、いろいろ教えてくださいました。
 まず、「天然皮の三線は毎日鳴らしてやらないと、傷む」こと。あとで知ったのですが、これは常識のようです。うーん、デリケート。現代の、「ちょっとやってみる?」的な人には、負担になってしまいそう。自分も毎日仕事に追われて、その日のうちにも帰れないことが多いので、いきなり結構難しい問題が。すると、おばさんが天然蛇皮と合成蛇皮をあわせたタイプと合成蛇皮のみのタイプの三線を出してくださいました。これなら、天然皮のみより手入れも楽だし、毎日ひかなくてもいいとのこと。なるほど、これは、ありがたい。
 次に三線を購入するポイントは、音色。これが手作りだけあって、一本一本ぜんぜん違う!試しに、おばさんが鳴らしてくれました。これをきいてちょっとびっくり。まずは、天然皮。少し高音がひびく、いい音で、これぞ三線、という感じ。お次は、天然蛇皮と合成蛇皮をあわせたタイプ。こいつは「あれ?」っと思うほど、間の抜けた音で、三線特有の軽快さがありません。そして、合成蛇皮のみのタイプ。これは天然皮ほどではないものの、比較的いい音で、それでいて肩ひじをはらない感じ。ちなみに天然蛇皮と合成蛇皮をあわせたタイプの音がいまいちなのは、これまた常識のようです。
 そして最後にお値段。天然皮のものが3万円〜、天然蛇皮と合成蛇皮をあわせたタイプも3万円、合成皮が2万5千円。案外差がないようだけど、上限をみたらきりがなさそう。
 これだけの条件をみて、かなり考えましたが、合成皮の三線を購入しました。だって、まだ一回も音を出したことがない初心者ですから。
 三線を弾くには、ばちが必要です。それから、弦のヤマや弦そのものも(これが意外とすぐ壊れたり、切れたりするそうです)。それに、三線の弾き方教本や曲集も。東京ではなかなか手に入りませんし。
 「仲尾次」さんでは、簡単な弾き方となじみのある曲集のコピーをくださいましたので、曲集などは結局買いませんでした。
 それから、おじさん(ご主人?)が調弦して、おさえるところにちいさいシールを貼ってくださいました。三線には当然フレットがないので、助かりました。
 三線にはケースもあります。でも、習いに行かないなら、そんな必要じゃないよといわれましたので、購入したときにいれてもらった箱にしまっています。

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