1998年10月、新居へ引っ越した私たちは、かねてからの念願であったわんこを飼うことにしました。どの種類を飼うか本などを見ていろいろ検討した結果、家族の意見が一致したのがバセットハウンドというわんこでした。胴長耳長短足のかわったスタイル、たるんだ皮膚、思慮深げな表情、それにどの本を見てもむだ吠えがなく、留守番にも向いていると書いてあったのでもうこの犬しかいないということで、さっそくバセットを捜し始めました。しかし、近所のペットショップを覗いてもバセットは売っておらず、とりあえずインターネットの子犬情報関係のホームページを捜しては子犬希望のメールを出していました。3件ほど子犬の情報をもらいましたが、毛色(レモンカラーを希望)や性別(雄を希望)や金額が折り合わず、あきらめかけていた12月の初め頃1本の電話がかかってきたのです。
 その電話は子犬の販売をしている業者からで、11月の末にブリーダーのところでバセットの子犬が3頭生まれ、そのうちの1頭がレモンカラーのオスですとのことでした。さらに、レモンカラーは珍しいからすぐに買い手がついてしまうので、買う気があるのであればすぐに返事が欲しい。そして3日後にお金を全額振り込んで下さいとのことでした。その後業者から住所や振込先などが書かれたFAXが届きましたが、その名前に全然見覚えがなかったため、ちょっと不安だったのですが、その当時はインターネットで子犬希望のメールをあちこちに出していたので、その中のひとつだと思っていて、希望したレモンカラーのオスで、金額も予算より少しだけしか高くなかったのでさっそく買うことに決めて連絡をとることにしました。
 子犬を買うことに決めたものの、一番気にかかったのは保証のことでした。つまり、私たちにとっては大金を払って買うわけですから、子犬が届いてすぐ病気で亡くなるようなことになった場合ちゃんと保証してくれるのかどうかということです。そして、業者へ買う意志を伝え、そのことを質問したところ、「自分は何年もこの商売をしているが、いままで一度もトラブルを起こしたことがない。それはブリーダーのところから子犬を引き取ってきた後、一週間はうちで預かり、その間にかかりつけの獣医に診断してもらい、どこにも異常がないことを確認した上で売っているからである。もし万が一子犬が病気で亡くなることがあれば、料金の返還ではなく代わりの子犬を送ることになる。」とのことでした。私たちはその言葉を信用し、ワクチン代(通常より安いとのことだったので)を含め、3日後料金を指定された口座に振り込みました。
 当初、1月15日には子犬を引き渡すことができると言われており、近県であったので、こちらから引取りに行くことを伝えていました。業者の方からも、うちには犬がたくさんいるから是非遊びがてら来て下さいと言われていました。名前もジジに決め(来る前から決めていました。)、ケージ、餌入れ、おもちゃなどを購入し、受け入れ態勢を万全にしその日が来るのを楽しみに毎日を過ごしていましたが、1月10日頃、大雪のためにブリーダーさんへ犬を引取りに行けないため1週間ほど引き渡しが遅くなるとの連絡が入りました。ショックでしたが、確かに秋田も大雪でしたし、そういう事情なら仕方ないので、1週間指折り数えて待っていました。そして1月17日待ちに待った電話がかかってきたのです。
 電話の内容は、ブリーダさんから子犬を引き取ってきたので、1月21日に航空便で送るというものでした。私たちは、前から話していたとおり、近県なので直接引取りに行くと言ったのですが、雪が多いから大変だし、生後60日の子犬をいきなり車に長時間乗せるよりは、飛行機の方が移動時間も短いので安心だということと、送料はこちらで負担しますからということだったので、以前はぜひ引取に来て下さいと言っていたのに、話が違うなあと思いながらも、業者の言うとおり航空便で送ってもらうことにしました。そして1月23日朝から雪が降りしきる真冬日の中に、最終便の飛行機でジジが秋田空港まで送られて来ることになったのです。空港の貨物受け渡し所で手続きを済ませ待つこと30分、私たちの前にプラスチック製の箱が置かれました。元気でいてくれと祈りながら箱を開けると、切り刻んだ新聞紙の束の中からおしっこまみれのちっちゃなバセットのジジが顔を出したのでした。(感動!!)
 第一印象は、「あっレモンカラーじゃない!!」というものでした。毛色がいわゆる黒、茶、白のトライカラーだったのです。でも、それよりもなにも無事に送られてきたことが嬉しくてしかたありませんでした。帰りの車の中でもジジは箱の中から出ようと必死に動き回っていました。家についてからも元気で、買っていた子犬用のドライフードをぺろりとたいらげました。慣れるまではあまりかまってはいけないと本に書いていたので、とりあえずはケージに入れ、ときどきおしっこのために外に出すようにしました。次の日は、朝から元気いっぱいで、環境の変化などジジには無関係のようでしたので、さっそく部屋中新聞紙を敷き詰めトイレのしつけに取りかかりました。その時はこれから大変な事が起ころうとは知る由もなかったのです。
 ジジの体調に変化が起こったのは1月23日、つまりジジがわが家の一員になって3日目の朝のことでした。家に来てから2日間は、あれほど食欲があったのに食事に一切口をつけないし、水も飲もうとしません。さらにひどい水下痢と嘔吐。ついついかわいくてかまってしまっていたので、3日目にして疲れがでたのかなと考え、安静にしていればよくなるかなとも思いましたが、健康診断を兼ねて(本に子犬を飼い始めたら健康診断のため病院へ連れていきましょうと書いてあったので)動物病院へ連れていくことにしました。(結果的にこの判断がジジの命を救ったのかもしれません)
 病院で事情を説明したところ、先生にはいつワクチンの注射をしたか聞かれました。業者からは1月5日にしたと聞いていたので、そのことを話すと、今検査をしてみるがもしかしたらパルボウィルス感染症かもしれないと言われました。
 検査の結果、やはりパルボウィルス感染症とのことでした。また、極度の脱水症状になるのでしばらくは通ってもらうことになると言われました。その時は、パルボウィルス感染症と言われてもどのような病気かもわからず(説明されたのですが、重大だとは思わなかったのです)病院から帰ってきたのですが、インターネットや本でこの病気がどんなものかを調べ、愕然としました。どれを見ても、大変な病気と書いてあります。別名「犬コロリ病」といって、ワクチンを打っていれば100%防げる病気だそうですが、ワクチンが効かない無防備な子犬がかかって亡くなることが多く、ペットショップ等とトラブルになっていることがよくあるとのことでした。そうこうしている間もジジは相変わらず元気がなく、食事、水も一切受け付けず、ピンク色の下痢が続いていました。脱水症状になると、健康な犬であれば、背中をつまんで上に引っ張り手を離すとすぐに元の状態に戻るのですが、なかなか元に戻らないのです。
 とりあえず業者へ連絡を入れ、パルボウィルス感染症と診断されたことを伝えました。また、毛色がレモンカラーでないことを問いただすと、今はその毛色でも5ヶ月ぐらい経つとレモンカラーに変わっていくと言われました。今から思えば、その時にバセットを飼っている人にでもメールで聞けばそれが嘘だと分かったのでしょうが、その時はとにかく病気のことで頭がいっぱいでそんな余裕もありませんでしたので、その言葉を信じてしまいました。
 動物病院の先生はとても親切で、休診の日曜日でも診察していただきました。先生に、助かりますかと質問すると、今一生懸命に治療している、ただ、一番成長しなければいけない時期に病気にかかったので、それが心配だと言われました。ジジの体重は増えるどころか、だんだん減ってきていたのです。(生後60日で3.0キロ)
 点滴をすれば一時的に体がパンパンに張りますが、水分や食事を一切とらないし、水下痢、嘔吐も激しいものですから、すぐに脱水症状を起こしてしまいます。ほとんど動かないし、夜中に何度も起きては鳴き、苦しそうな表情を見せ、だんだん衰弱してきているのがわかります。私たちは半分以上は難しいかなと思いながらも、がんばってくれと祈る毎日でした。発病してから1週間がたち、懸命の先生の治療の甲斐があって徐々にではありますが回復に向かって来たときは本当に嬉しかったです。それとともに、業者に対する怒りがだんだんとこみ上げてきたのでした。
 動物病院から診断書を書いてもらい、業者に報告したところ、まず本当にパルボウィルス感染症かどうか疑われました。業者の話によると、もし、パルボであれば、こちらで治療費を負担することになるが、本当にパルボであれば、間違いなく死ぬはずだし、パルボにかかっているかどうか調べることは、東京や大阪の専門家が検査をしなければ、本当のことは分からないはずだ。たぶん、動物病院の診断書では、パルボウィルスの疑いがあると言う程度しか書けないはずだと言うものでした。従って、そういう診断書であれば、こちらに責任が有るとはいえないし、お宅に行ってからかかった病気の可能性もあることから、治療代は払えないという言い分でした。もし、医者がパルボに間違いないという診断書が書けるのなら楽しみに待ってますよとまったく誠意というものが感じられない言い方でした。
 私たちは業者に対抗するため、パルボに関する情報を集めました。その結果、確かに業者の言うとおり以前はすぐにパルボに感染しているかどうかは分からなかったようなのですが、医学が進歩した現在では、抗原検査により、すぐに感染の事実が分かるようになっていることがわかりました。動物病院の先生にも聞いたところ、診断書にもそのことがはっきり書いてあるし、もし必要なら、先生は直接業者に話をしてもいいですよと言ってくれました。このことを業者に伝え、診断書をファックスしたところ、ようやく納得し治療費の支払いに応じてくれることになりました。ただし、責任は自分ではなくブリーダーだろうから、ブリーダーと話し合いがついてから支払うとのことでした。現在はジジのパルボの件でブリーダーともめているとも言っていました。
 そういうやりとりをしている間にジジはどんどん元気になって行きました。食欲は旺盛でいくらでも食べれそうな感じでしたが、下痢は相変わらず続いていて、形のあるうんちがでたのは、発病してから15日後でした。(わが家でお祝いしました。)
 また、業者に対する不信感はますます強まっていきました。なぜなら、まず毛色の問題(この頃ようやくおかしいなあと気づき始めていました)、ワクチン注射を本当に行ったのかということ(証明書をいくら請求しても送られて来ませんでした)
、そしてパルボの件。まったくいい加減としかいいようがありません。その間こちらから何度も連絡を取っており、またおまえかというような態度なのです。そして、向こうから連絡が来たことなど一度もありませんでした。
 そして、何度目かの催促の後、ようやくブリーダーと業者との間で子犬をもらうことで話がまとまったので、4月20日にこちらの請求した金額を振り込むという約束になりました。私たちはもう全くこの業者を信用していませんでしたし、案の定、指定された日には入金はされていませんでした。再度、業者に電話したところ、○○郵便局当て振り込んだというのです。その郵便局は、秋田県内なのですが私たちの住んでいるところとは離れていて、何故その郵便局に振り込んだのか訳もわからなかったのですが、郵便局当てに電話で問い合わせても、そういう入金はありませんとのことでした。また騙されたのです。しつこくまた業者に電話したところ、従業員に頼んでいたのにまだ振り込んでいないようなので、明日には振り込むということでした。まったくいいかげんです。
 翌日、ようやくお金が振り込まれました。請求金額より少なかったので、そのことを話すと、もうそれで勘弁して下さいとのことでした。そのことはもういいので、ワクチンの証明書はいつ送ってくれるのですかと尋ねても、相変わらずブリーダーに話してみないと分からないとあいまいな回答でしたので、本当はワクチンなど打っていないから証明書などないのではないかということ、あなたの言葉は全然信用できないので、こちらの方からブリーダーと話をつけますから、連絡先を教えて下さいと話すと、態度を一変させ、「訴えるなら訴えろ、こちらにも弁護士が付いているからただではおかないからな」と、また訳の分からないことを口走り、最後に、「二度と電話をしてくるな、馬鹿野郎!!」という言葉とともに電話が切れました。それ以来この業者とは連絡を取っていませんし、未だにワクチンの証明書は送られてきていません。
 以上のことはすべて事実です。世の中にはこのようないい加減な業者もいるので、インターネット等で子犬を購入しようと考えている方は十分注意して下さい。この業者名はホームページで明かすことはできませんが、もちろん個人的にメールを頂ければお答えします。教訓として私たちは次のことを学びました。
第1 子犬を買うときには、契約(入金)の前に実際に見て確認するか、少なくとも子犬の写真を送ってもらうこと。(来てから毛色が違う等と言うことはないはずです。)
第2 すぐにお金を全額払えなどというところは信用しないこと。(手付けとして先にいくらかというのはやむをえないとは思いますが。)
第3 子犬が来てすぐに病気になった場合の保証の問題は購入前にはっきり確認することと。(口約 束だといざというときに白を切られるので、文書で提出してもらうのが一番です。)
 

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