（仮）

80年代は、常にメーカー正規品とそれを不法に複製した"パチモン"との戦いの時代であった。
ガン消しもその例に漏れず、人気が出始めてきた9弾あたりからパチモンが確認されている。

パチモンの多くは、「拙速」という言葉がふさわしい状態で出回った。
すなわち、メーカー正規品が出回った直後に複製を始め、数週間以内には製品としてカプセル梱包までなされ出荷されたのである。

パチモンの多くは、正規品の同じ弾に混ぜられ平然と小売されていた。
なぜこのような違法行為が行われたのか、どのように行われていたのか、いくつかの証言から導き出すことができる。
・80年代当時、ガチャガチャは伝統的に買取制で小売側に引き渡されていた
・買取制のほうが、後年主流になった委託制よりも手数料が少なくて済むので、儲けが大きい
・すなわち、小売側の裁量で、そのベンダーの中に何が入っても「仕方ない」時代であった（「在庫整理」という理由と表裏一体）
・もちろん、メーカー正規品よりパチモンのほうが買取価格は安い
・ガン消しやキン消しのような人気種は入荷後にあっという間に売り切れたため、常に品薄

上記のような理由から、小売側がパチモノ界を影ながら支えていたのである。

しかし、パチモンの販売は小売側だけの行為ではなかったようである。
以下、信頼できる筋からの非常に貴重な証言を掲載する。


「自分がガチャの機械の前に行くと、ちょうどライトバンで業者が乗り付けてきた。ライトバンにはガチャが満載されており、今にして思えば所謂「ガチャ屋（問屋と小売の中間業者）」だったのだと思う。
　その業者は、ライトバンからいくつかの袋を引っ張り出してきて空っぽの機械を開け、まず小袋で別になっている「当たり」のカプセルを一番底に入れた。次に正規品のカプセルをガチャの機械の外側を埋めるように積み乗せ、最後に内側の空洞にパチモンのカプセルをザラザラと入れていた」


ガン消しのパチモンは、ガン消し自体の人気が落ちてきた18弾あたり（ラインナップがマイナーMSで占められるようになってきたのも原因の一つ）の動き、そして80年代末の大手パチモンメーカー「コスモス」の摘発、そしてPL法などの法整備などによる世間の厳しい目などから、20弾以降ではほぼ淘汰されたようである。
そもそもパチモンの多くが「コスモス」製品を除いて「地方限定」のような形で生産されており、資料も散逸してしまっている。
そしてコレクターからは（一部の奇人コレクターを除き）忌み嫌われる存在であるため、実態がまるで明らかになっていない。
ここでは、そんなパチモンが永久に謎のままで閉ざされてしまう前に、可能な限りのデータベースとしていきたいと考えている。

類例１：ガンダム1弾Zガンダムのパチ

類例２：ガンダム9弾のパチ（塩ビ人形＆シール）

類例3：ガンダム10弾のパチ（塩ビ人形＆シール）