■コンピューターを離れて(つづき)

 ただまっすぐの道、両脇は牧草地で所々で牛がのんびりと草を食べている。(道路と牧草とを遮る有刺鉄線がちょっと悲しい)ホテルでもらったイラストの地図ではそんなに遠そうではないのに歩くと結構距離がある。「あっ!、ここの風景見覚えがある」そう思ったら港についてしまった。いったい西の浜はどこなんだ?港に突き出た岩の向こうに回ってみた。どうもここもちがうようだ。(だって砂浜が少ない、こんなのイメージとちがう!!!)

 ふと海の方に目をやる。言葉がみつからない。しばらくボーッとしてしまった。ソコニハイママデデイチバンウツクシイトオモウウミガアッタ。
 視界に映る海の中で黒い陰が浮かび上がったと思ったら亀が頭をゆっくりと持ち上げた。「やったー、念願の海亀との出逢い」というシーンだったら言うことなしなんだけどな・・・。

 この海を忘れたくない、そう思って何度も振り返りながらもどる。今度は舗装されていない田舎道を行く。足に草が当たっていたいようなかゆいような・・・。そしてだんだん疲れてきた。それとともに「この道は果たしてホテルに続いているのか?」と不安になってきた。かれこれ1時間以上になる。雑木林の中をゆらゆらと舞う蝶がなんだか未知の世界へ誘うかのようだ。そんなとき向かい側から車がやってきた。この道を歩き始めて初のすれちがいだ。そして道の向こうに建物が現れた。(あーよかった)

 朝食の後部屋でくつろいでいると「掃除させていただきたいのですが」とホテルの人がやってきた。おばちゃん二人が奥のベットルームのシーツを替えている。何かを楽しそうに話しているのだがさっぱりわからない。おばちゃんたちが帰るときに「二人の話してることがわかんなかった」というと「方言だよホウゲン」という答えだ。そして「私たちも本土の人たち同志ではやく喋っているとわからない」という。(決して松田さんと私がシャベクリまくったわけではありません)さらにテレビ番組はどうかたずねてみるとこれは問題ないそうな。つまり沖縄の人はふたつの言葉を理解するというわけだ。日本でありながら外国のような沖縄。台湾放送がトランジスタラジオから聞こえてくる。

 まぁそれはそれでいいとして、シュノーケリングにいかなくっちゃ。今日は1日自転車を借りたのでシュノーケルポイントまでアッという間だ。きのうの珊瑚棚に着くと同時にドボンと潜ってしばらく泳いだけれど、岸に押し流されるし視界もイマイチ良くないしでちょっと残念!(それでもエクササイズとしては適当である)そうだ、今は潮が満ちているんだ!太陽が真上にあり、このままではシミそばかすの原因の日焼けをしてしまいそうだったのでチャリチャリとホテルに戻った。そこで待っていたのは「八重山そば」と「ハンモック」だった。(幸せ、しあわせ)

 心地よいまどろみの後のシュノーケルは体・海ともにコンディション上々で満足だった。ツノダシというエンゼルフィッシュのような魚を見たときは何かすごいものでも見つけたかのようにシュノーケルをくわえたまま「松田さん!松田さん!」と叫んだ。(聞こえるわけないのだが・・・)そうしている間に岩陰をすぃーっと泳いで行ってしまった。

 夕食は和食でめちゃくちゃ大きくておいしいナントカというイカの刺身がとてもおいしかった。でも隣の鯛っぽい魚の皮が水色っぽかったのにはちょっとビックリだ。(シューノーけるの時に見る黒い目のかわいい青い魚を思い出しちゃう)

 食事の後ホテルの周りを散歩した。星の瞬きがちがってみえた。天の川がこういうものであることを自分の目で確かめたことって・・・両手では余ってしまう。アスファルトの道に寝ころんだ。背中に地球の熱、頭上には広がるコスモス・・・なんて普段は思いもしないようなことを思わせてしまう沖縄の自然は本当にすごい。そして幹線道路でありながらいつまでもこうして寝ころがっていられるなんて・・・時折揺れる植物の音の他は何も聞こえない。(なになに、私たちの声でかき消されてるって?)



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