憲法9条を守って戦争しない日本を継続させ、

登山文化を守るための声明

2015年8月25日
日本勤労者山岳連盟理事会

 日本は悲惨な戦争を起こしたことの反省のうえに立ち、「二度と戦争をしない」決意を憲法に掲げ、70年間にわたって諸国民との友好・親善の国際交流を深めてきた。そして、登山は平和で民主的な国民生活に根差したスポーツ・レクレーションとして国民に親しまれ、登山文化も多様な形で普及・発展してきた。さらに、海外登山を通じて多くの諸国民との親睦・交流が広がり、草の根の国際連帯も広がっている。
 いま国会では、日本が攻撃を受けていなくても、自衛隊が海外での武力行使と米国など他国軍隊と一緒になって戦争に参加するための集団的自衛権を行使できることを内容とした法案が審議されている。
 この「安全保障関連法案」に対し、どの世論調査でも国民の5割以上が「憲法違反」と批判し、6割以上が「今国会での採決はやめるべき」とし、大多数の憲法学者も「違憲」を表明している。また、日本弁護士連合会は「平和的生存権を保障した憲法前文及び第9条に違反し、平和国家としての日本の国の在り方を根底から覆すもの」で「違憲」であるとして、反対を表明している。そして、多くの知識人、文化人、団体が反対・廃案を表明し、国会審議を通じても法案の違憲性は明白となっており、国民からは「戦争法案」とも呼ばれ、法案への反対と廃案を求める運動は全国で展開され大きく運動が広がっている。
 1931年からはじまった15年戦争の前までは、日本の登山界は順調に発展を遂げていたが、戦争に突入するなかで、登山者にとって大切な地形図の販売制限、山岳誌は発禁・休刊・廃刊となり、国民の登山そのものも制限され、海外登山はできなくなった。そして、軍部の主導によって登山界も戦争に協力させるための「行軍山岳部」などがつくられ、国民は自由に登山ができなくなった。
 登山は、自由と平和、ヒューマニズムとフェアーな精神をモットーとするスポーツである。このことから、日本勤労者山岳連盟は趣意書で、「登山の正常な発展は、軍国主義の支配と侵略戦争の拡大によって著しく阻害された」ことを表明し、平和な社会でこそ、登山文化の正常な発展ができること。そして、「確固とした世界平和は、海外登山発展の基礎である。諸国民との相互理解、友好をさらに深めることが強く求められている」として、戦争のない平和な日本、世界平和の実現を求めている。
自衛隊が海外で武力を行使し戦争に参加する法案は、憲法9条に違反し立憲主義にも反し、多様な形で発展してきている登山文化をも脅かすものである。 
日本勤労者山岳連盟の趣意書に基づいて、日本が「海外で戦争する国」、「殺し殺される」戦争に自衛隊を送るような「違憲」の法律案は、廃案にすべきことをここに表明する。
以上