/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/航海日誌(9)/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 

【6月14日(水)〜6月20日(火)】

6月14日(水)  福岡市立ヨットハーバー
福岡にてお休み

6月15日(木) 福岡市立ヨットハーバー ⇒ 福岡県 大島港
福岡滞在5泊6日。懐かしい人たちと会い、オイル交換、穴の開いた清水用ポリタンクの代わり購入、カセットボンベ
購入など、やるべきことを全て終えることができました。マリーナの目の前に、巨大ディスカウントホームセンター兼食品
スーパーがあったおかげで大変に重宝、そして格安。これから日本海を北上する用意は万端。
そして、人間のほうも、おいしい九州の幸と、友人の暖かいもてなしに元気百倍。
いっそこのまま福岡で生活できたら・・・・・などと考えてしまうほどの日々を送ることができました。

梅雨前線は九州の南に下がり、東日本、西日本は高気圧の圏内。ただ、高気圧の後ろ側に入るため、やや南西風の場。
日中、やや南西風が強まる予想。5時発表の気象庁予報でも「南西の風やや強く、波1.5m」
南西ならば追い風なので、若干強まっても乗り切れると判断して6時35分出港。

楽しい思いをした港を出港するときは、どうしても振り返ってしまうのですが、今回も志賀島を回り、福岡ドーム、タワー
が見えなくなるまで幾度となく振り返ってしいました。
今回の航海は、台風シーズンを考えて、九州の南部は泣く泣くキャンセル。最も西、最小経度は福岡まで。
3年か4年後、九州の南を周って再びやってくるぞと誓うKasayanでした。

来た時と同じように、相島を通過。南西ではなく陸からの吹きだしの南東が3メートル前後。
ジブを開いてアビーム。志賀島がみるみる遠くなっていきます。
この海は、卑弥呼の昔から遣隋使、遣唐使が朝鮮半島や中国を目指して旅立っていったところ。
阿倍仲麻呂も鑑真も同じ景色を見たのだと思うと、胸が熱くなります。

相島を過ぎたところで風が落ちて、メインのみで機帆走。これから南西が吹き上がってくる兆候?
大島まで残り9マイル。エンジンは常用の2800回転。オイル交換したせいか、エンジン音も静かになったような気がします。
・・・・・と、懐かしい・・・ような・・・・・・・思い出したくないような・・・・・・・キュルキュルというプロペラの音。
周りを見れば、紀伊半島以来の藻の浮島。
久しぶりに藻を絡めてしまったようです。スピードメーターは5.8ノットから見る見る落ちて5.4ノット。
0.4ノットくらいですからたぶん小さな藻のはず。後進に入れても復活せず。
そのまま大島まで行くことにしました。

大島入港11時。港内のいけすで作業をしていた漁師さんに留める場所を教えてもらってスターンアンカーのバウ舫い。
アンカーを落として、ロープを繰り出しながら岸壁に近づく時に、アンカーの効きの具合が手ごたえでわかるのですが、
どうも底質は小石のよう。手にカタカタとアンカーが小石の上をすべる振動が伝わってきます。
・・・・これは、ホールディングアンカーで打ち直しか・・・・・と思ったところでどうにかアンカーが効いた手ごたえ。
水深4メートルに対してチェーン4メートルにロープ25メートルを出したおかげでどうにか小石の中にアンカーの爪が突き刺さった
のかもしれません。

早速、久しぶりの水泳。紀伊半島で見た「ほんだわら」ではなく、陸上の「よもぎ」に似た藻が、ちょうど防食亜鉛のようにきっちりと
プロペラの後ろ側に巻きついていました。潜ったついでにアンカーの確認。やはり底質は小石。うっすらと泥がかぶっていました。
アンカーは小石の山にしっかりとホールドされていて心配なし。アンカーモニターも海底50センチ上にあって、アンカーロープを
L字にまげて張りを調節してくれていました。

作業が終わったところで、いつものように女房の島探検。
自由に使える公園の水道2箇所とトイレ。小さなスーパー2軒、食堂2軒を見つけてきました。
女房曰く、これが航海に勝る一番の楽しみ。好きこそものの上手なれ。さすがです。

明日は、久しぶりの本州。天気はゆっくりと下り坂ですが、なんとか山口県の室津までいってみたいと思います。


大島避難港 遠くに見えるフェリーの向こう側が漁港


6月16日(金) 福岡県 大島港 ⇒ 山口県 室津フィッシャリーナ
梅雨前線が今夜から明日にかけて九州方面で北上。これにともなって北東、あるいは東よりの風が強まってくる
ことが予想されます。まずは、アメダスで現在の風向風速を確認。全般に風向が定まらず、強くても5メートル前後。
気象庁予報では、南の風のち東の風。北東になれば、真向かいの風になってしまいますが、午前中なら走りきれると
判断して6時半出港。

大島港の外は、倉良瀬戸といって、やや潮の早い海峡になっていますが、潮の影響も受けず、響灘へ。
風は弱く、周辺の山々には靄がかかっています。
メインのみで機帆走。蓋井島まで18マイルの直線、方位56度。

周囲がもやに隠れて前後左右、久しぶりに海しか見えなくなった頃、早くも東風が次第に上がってきました。
ジブを開いて帆走開始。対地速度5.5ノット。このまま行けば3時間ほどで蓋井島。早く到着してゆっくりできるかな、
などと考えていると、風はますます強まってきました。幸い風向は東、クローズでギリギリ蓋井島北西の変針点を目指す
ことが出来たのは幸い。メインをワンポイントリーフ、ジブをストーム並に小さくして帆走。
風に加えて波も高くなってきて、波頭が白く砕け始めています。
予想よりかなり速い東の吹きだしに少々戸惑いましたが、ここまで来たら室津まで走るしかありません。
室津が近づくにつれて陸地の影響で、波風ともに弱まると信じてじっと我慢。
久しぶりにスプレーを浴びながらの航海になりましたが、対水速度は7ノット。斜めからの波を飛び越えるように走る
GoldenWistaria号。女房は、キャビンの中の風上側のバースに寝転び、ずり落ちないようにテーブルの足につかまりながら
「舵」を読書。昔は、マリーナを出港してセールを上げる前に船酔いして、スターンから吐いていたとはとても信じられません。
慣れとはこうまで人を変えるものでしょうか。

蓋井島が見えるようになった頃からようやく、風波とも収まり始め、ここで記念すべき今航海対水距離1000マイル達成。
室津に近づくにつれて風は落ちる一方。
最後は、ジブを巻き込んで機帆走で室津入港11時半。

以前、舵誌で紹介されていた、フィッシャリーナの先駆けとなったこのマリーナは、ポンツーンに船を留めて下を見ると
海底がハッキリと見えるほど水の澄んだ、本当に綺麗なマリーナ。
船の片付けをしていると、先週、門司の田野浦で大変お世話になったN氏がこれまた和歌山マリーナシティーでわざわざ
ヨットクラブの会誌を届けてくださった妹さんとご一緒に訪ねてきてくださいました。
N氏のレース艇を拝見。そして、萩の停泊場所等の情報を教えていただきました。
N氏が妹さんと船を出されるお手伝いをして昼寝。

響灘の疲れに2時間も寝てしまい、慌ててクラブハウスへ行くと、N氏の姿は無く、クラブハウスの管理をしている女性が
「N氏から聞いていますよ」といってシャワーを用意してくださいました。
本当にN氏にはお世話になりっぱなし。

シャワーから出て、クラブハウスのテラスからぼんやりと船を眺めていると、今度は白髪の男性が声をかけてこられました。
このフィッシャリーナの設立にご尽力されたH氏。
「ひびき帆走クラブ」の真新しい事務所にご案内いただき、よく冷えたお茶をご馳走になりながら、フィッシャリーナ設立の
ご苦労や、クラブライフについてお話を聞きました。また、H氏の船も拝見。ご自分でデッキをチーク張りされた船は一見にあたい
するもので、おもわず写真撮影。船内もアイデアの宝庫。GoldenWistaria号に生かそうとアイデアを盗みまくり。
その後、車で買い物まで連れて行ってくださり、最後にはクラブ旗をいただきました。
勿論、横浜帰港後、必ずKasayanが所属する横浜ベイサイドクラブのクラブ旗をお送りするお約束をしました。

N氏を始め、H氏に室津では本当にお世話になりっぱなし。また、ヨットマン自らこの素晴らしいマリーナを手に入れられた御努力には
見習うところばかり。以前Kasayanも、横浜ベイサイドマリーナに入る前に留めていたハーバーで、条例制定による泊地の存続について
頭を痛めたことがありましたが、あのとき、ここ室津の方々のような、ヨットやその場所への思い入れが本当にあったのだろうかと、
改めて反省させられてしまいました。

明日は梅雨前線が北上して、雨。風も強まりそうなので、日和待ち確定。
この居心地のよいフィッシャリーナに居られて、日和待ちがむしろ嬉しい気がします。

(H氏との話が弾み、デジカメを撮ろうと思ったらすでに真っ暗。この素晴らしい場所の写真は明日アップします)

6月17日(土) 山口県 室津フィッシャリーナ 日和待ち
梅雨前線上を低気圧が東進。朝から腰のある強い雨がデッキをたたいていました。
北東の風も10メートル前後。当然、出港せずに日和待ち。
キャビンの中で、パソコンのファイルの整理。
神戸で、思い切って買ったCD-Rに瀬戸内海と福岡で撮影したデジカメのファイルをバックアップ。

昼前に雨が止んだので、レーダーで雨雲が再びかかってこないことを確認してから室津の街を散策。
北東の風が強く、少々肌寒いので、はや歩きで街中へ。
ここの正式名称は、豊浦町字室津下。小さな食品店だけが開いているだけの小さな漁村でした。
そこで、ただ一軒、開いている和食のお店へ。昨日、このマリーナの創設者の一人であるH氏に教えていただいた
「美味みずた」。一見普通の民家で、玄関を入ると床の間のある居間に通されました。まるで、知人の田舎の家を訪ねたよう。
そして、なんと800円で、ヒラメやマグロの綺麗なお造り、がんもどきの寄せ、蒸し物、お吸い物など、手の込んだ懐石料理
が出てきました。ご飯はおかわり自由。この内容と味ならば、横浜で最低2000円はしてもおかしくない代物。
最後にはコーヒーと、チョコレートまで出てきました。またこれで日替わりメニューというのが驚き。
この小さな漁村で、ここまで上品に手の込んだ料理が格安に食べられることは信じ難いほどでした。

腹ごなしに街を散策してから帰艇。
福岡で、買っておいたワイヤークランプと、捨ててあった古いライフラインを利用して、岸壁用もやい磨れ止めを作成。
ライフラインの両端に輪を作っておいて、一方の端をその輪に通して、カウボーイの投げ縄のようなものを作りました。
これをビットにかけて、一旦から舫いロープをとれば、岸壁の端で舫いロープが擦り切れるのを防ぐことができます。
今まで、ホースを巻いて磨れ止めにしていましたが、取り付けと取り外しがかなり面倒だったので、思案の挙句の制作。
ライフラインがかなり太いワイヤーなので、相当の力でも切れないはず。またワイヤーには被服があるので、磨れにも
強そうです。これから使うのが楽しみ。

さらに、日本海へ入るため、GPSのROM交換。久しぶりにGPSを取り外し、蓋を開けてROM取り外しの大手術。
慎重にROMの足を抜いて、新しいROMの差込。緊張の火入れでしたが、無事手術成功。
動作確認OK。このROMで青森まで地図が表示されます。次は北海道でROM交換をする予定。

作業中、このマリーナの自主管理組織である「ひびき帆走クラブ」の会長さんが来艇。
昨日、大変お世話になったH氏も。昨日お渡ししたKasayanが所属する横浜ベイサイドクラブのフラッグシールをスキャナー
で取り込み、ひびき帆走クラブのフラッグと合わせて友好の印のTシャツを作ってプレゼントしてくださいました。
感激至極。本州で最も西にあるヨットクラブはまさに西方浄土のように、心温かい方々が集っているのでしょう。
横浜へ帰ったら、ここでの話をクラブの皆に話したいと思うKasayanでした。

晩御飯は、街の小さな食品店で買ったアジのミンチをみそ焼きしたものと、炊き込み御飯。

明日は天気やや回復するものの、風の強い可能性。
朝の状況次第で日和待ちを決定する予定。
日和待ちならば、近くの川棚温泉へ行って、名物「瓦そば」を食し、温泉に浸かるつもりです。


本州で最も西にあるヨットの楽園
右奥に見えるのがクラブハウス

6月18日(日) 山口県 室津フィッシャリーナ ⇒ 山口県 角島港
朝5時起床。実況天気図とレーダーをダウンロードすると、どうやら梅雨前線が南下を始めている様子。
気象庁予報も、昨夜とは打って変わって午後から晴れに訂正は入っています。また、昨夜の段階では北東風が
やや強めの予報でしたが、今朝になると、北のち南に変更。
外を見ると、靄がかかっていますが、無風。
川棚温泉で瓦そばを食べる計画は、またいつかといういことにして、急遽出港することにしました。
ただ、靄がかかっていることと、予報が非常に不安定ということを考慮して、わずか14マイル北にある角島までの
予定。運良く北、あるいは北東の風が吹かなければ仙崎まで足を伸ばすことにしました。

8時出港。同時に隣の漁港から一隻の漁船が出てきました。小さな夫婦舟。漁港を出ると同時に奥さんが近くのお社に
向かって手を合わせています。大漁と安全祈願でしょう。Kasayan夫婦も同じお社に向かって手を合わせました。
港を出ると、メインを揚げて機帆走。風は相変わらず無風。響灘はのたりのたりと穏やかな様相を見せています。
靄のため、すぐに周りの景色はかき消されて一面白一色。
わずか14マイル。速力は5.8ノットも出ていますから2時間少々で角島到着のはず。
ひょっとしたら仙崎までいかれるかな・・・・・・と考え始めたところで、北風がそよそよと吹き始め、さざなみが立ち始めました。
と・・・・わずか5分ほどでしっかりと真向かいの北風になり、風速は5メートルから7メートル。
時折スプレーがかかり、めがねを拭きながらそのまま前進。

10時過ぎ、角島が見え始めたところで、この向かい風に仙崎まで行く気力が失せ、角島港へ。
一番奥の作業船用の岸壁に横付けすることができました。

女房はちょっと風邪気味。ゆっくりと休ませて今日の晩御飯と明日の朝ご飯はKasayanが作ることにしました。

ここ角島は、江戸時代の北前船が日本海に入るときに角島まいりをしたところ。
日本海の玄関口。この島をまわると日本海。
ちょうど日曜日で、人通りも少なかったのですが、幸い午後から漁協の売店が開いたので、長州名物「いか刺しうに」350円也を
購入して昼からイッパイ。
明日は、水深が浅く可航幅が50メートルほどの海士ケ瀬戸を通過、あるいは角島の西側を大きく回って、歴史ある萩を目指して
みたいと思います。


角島港

6月19日(月) 山口県 角島港 ⇒ 山口県 萩港
夜中の2時。目を覚まして舫いを確認して空を見上げると、16番目の月が角島の山と漁港を照らし、まるで昼間の
よう。昨日の北東風も収まって、あまりの静けさと美しさにしばらくデッキでぼんやりとしてしまうKasayanでした。

朝5時の気象庁予報は、「北の風のち南西の風、昼前から晴れ」。天気図を見ても特に風が強まる気配はありません。
外へ出て見ると、夜とは打って変わって一面霧。視程は1マイルを切っています。風、天気とも文句なしですが、霧とは。
一応、6時出港に向けて準備。防波堤まで歩いていって、港外の様子を偵察。どうやら角島の海士ケ瀬戸の霧が濃く、
角島の西側は2マイル程度の視程はありそうです。航路の可航幅が50メートルしかない海士ケ瀬戸を通るより、遠回り
でも角島の西側を通ったほうが無難かな・・・・・・などと思いながら船に帰ると、工事用の大きな台船がGoldenWistaria号の
横に着岸しているところ。慌てて、10メートル移動し、そのまま出港。6時10分。

追い出されるように、出港して角島の西へ。張り出している浅瀬に気をつけながら角島をまわり10マイル先の川尻岬をめざし
機帆走。北前船も同じ景色を見ながら日本海へ入っていったのだな・・・と思っていると一面真っ白。
コクピットに立ったまま目と耳に全神経を集中。川尻岬に近づいたところで北風が入り、視程は4マイルまで回復。
ジブを開いてクローズで川尻岬を交わし、いよいよ日本海を東へ。

ここからは北風を横に受けて快調に帆走・・・・と思ったところが、川尻岬より東はまったくの無風。
海はまるで鏡のようにのたりのたり。これほどまでに波の無い海を見るのも久しぶり。
機帆走2800回転で対水速度6ノットを維持。GoldenWistaria号の機走能力がもっともひきだされているようです。

ひたすら20マイルの機走。深川湾を通り越し、青海島の勇壮な断崖を眺め、昼過ぎにようやく萩港外へ。
菊ヶ浜港入港。ガラガラの物揚場に横付けしてフェリーターミナルへ停泊許可をもらいに行きましたが、どうやら夕方に
作業用の台船が帰ってくるとのこと。今日は、作業用台船にたたられているようです。
しかたなく、北東隣の中小畑浦漁港の南にある新しい岸壁へ。昨年、日本一周をされた方のHPで読んでおいた所。
真新しい岸壁にはまったく漁船が止まっておらず、これはしめたと横付け。近くの魚連にお伺いを立てると、ここは県の岸壁で
まだ陸の部分が工事中とのこと。一泊くらいなら問題ないよ・・・とのありがたいお言葉。今夜のネグラが決定。

すぐに軽油の買出し(徒歩10分)を終え、バスで萩の街中まで。城下町を観光。高杉晋作の生家を始め、歴史の街萩を足早に
周って、地物の刺身購入。しろさばふぐのたたき480円。とびうおの刺身380円。今日、目の前を何回も飛び越えていった
とびうおを腹に収めるつもり。地ビール「ちょんまげ」を飲んで見たかったのですが、金曜日にしか入荷しないとのことで断念。

風邪気味だった女房も回復して、これから夕飯です。


萩港の夕日。 ついに日本海!!!!


6月20日(火) 山口県 萩港 ⇒ 山口県 江崎港

午前3時、イカ釣漁船が入港してくる引き波で目を覚ましました。目の前の岸壁は、デッキに大きな電球をぶら下げた
漁船でいっぱい。活気ある日本海の漁港の姿を見ることができました。
女房は、大きく揺れる船の中でも熟睡中。デッキで漁船の様子を見ようと思いましたが、デッキは夜露でびっしょり。
天気図をダウンロードして解析開始。今日いっぱいは高気圧に覆われておおむね晴れ。ただ、可能性は低いのですが、
午後からの南西の吹き上がりが少々心配。昨日夕方の予報でも「南西の風やや強く」。
島根県西部の予報でも「南西の風一時やや強く」。

ちなみに朝の予報は「南西の風・・」で「強く」は取れていました・・・・が安心しないのがKasayan。

午前6時出港。万が一南西が強くなるとしても午後と判断。それまでに江崎に入港するために今日も早出。
萩港の沖は、南西ではなく、南東の風が4メートル前後。このままならアビームで江崎を目指せそうです。
1時間ほどで萩沖の相島と尾島の間を抜けて58度に変針。さて、アビームで快走・・・・と思いきやみるみる風が弱まって、
日本海は一面真っ平。水面に風紋すらありません。湖でさえもっと波があるよな・・・と思いながらメインのみで機帆走。
日本海に入ってからまともに帆走していない。

機走一時間。遠くに高山岬が見え始めました。岬の沖にはゴジラの背のような岩が1マイルほど突き出ているのがぼんやりと
わかります。このゴジラの背を越えれば江崎。真夏を思わせる日差しに麦藁帽子をかぶってじっと距離が縮まるのを待ちますが、
見えている岬がなかなか近づかない。岬の手前で北北西1メートル。ようやくのろのろ帆走。
10時過ぎに高山岬通過。岬を大きく回りこんで209度で江崎港へ。港の入り口は可航幅150メートル。
海図がなければ、こんなところに港があるとは気が付かない、秘密基地のような入り口を暗岩に気をつけながら進入。
江崎港は、非常に深い入り江で、天然の良港と呼ぶにふさわしい静かな緑に囲まれた港でした。

例によって女房を下ろして漁協へ向かわせ、新しくできた岸壁に停泊許可。女房の漁協詣でもすっかりベテランの域。
やはりこういう場合には女性が一番。
岸壁から50メートルには、出来たてのトイレと、真新しい水呑場が2箇所も。早速洗濯に水汲み。
Kasayanがキャビンの片付けをしていると、デッキで洗濯物を干していた女房に声をかける中年男性の声。
「お姉ちゃん一人・・・・?」女房はすかさず、風呂と食品店の場所を聞き出していました。
やっぱりこういう場合にも女性が一番?。立派なたまねぎ10個のおみやげ付きでした。

徒歩20分ほどのところに立派な町営温泉。400円也。畳の部屋や食事処もあって一日400円でのんびりとくつろぐことが
できます。日和待ちには最適。
温泉の近くには、道の駅があって田万川町の名産品購入可能。インゲン大盛一袋130円なり。さらにスーパーがあって
生活用品も不自由なし。

今夜から梅雨前線が北上して、明日は一日雨。さらにこの先、梅雨前線が中国地方上空にしばらく停滞する模様。
間違いなく明日は日和待ちですが、いったい何時まで待たなければならないのか・・・・。
小雨でも吹かなければ出港する覚悟はあるのですが・・・・・。
安全第一、素晴らしいねぐらは見つかったので、腰を落ち着けて前進のチャンスをうかがうつもりです。

(おまけ)
13時から南西が10メートルに吹き上がり、17時にピタッと止みました。予報は「一時やや強く」が正解でした。


高山岬沖ゴジラの背。高山岬には磁石石があってコンパスが狂うそうな。
そういえば江崎入港時にGPSとコンパスの数字が大きく違っていたような?



 

航海日誌週別目次に戻る

 

表紙に戻る