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【10月4日(水)〜10月10日(火)】

10月4日(水)  福島県 相馬港 ⇒ 福島県 久之浜港
午前3時、スターンを小さな波がたたくチャプチャプという音で目を覚ましました。スターボード側斜め後ろから波
が来るということは南西の風。場の風は西なので、相馬の地形的な吹き出しになっているはずです。
早速天気図とアメダスをダウンロード。相馬のアメダスポイントでは南西ですが、福島県沿岸のポイントでは、す
べて西または北西の風3〜4メートル以内。高層天気図を見ると、上空の谷は足早に北東へ抜けて、等高度線
が快適なフラットの状態になっています。勿論地上はバリバリの移動性高気圧。ただ上空に寒気が流れ込んで
いるため、やや大気は不安定な状態。小名浜付近から南ではにわか雨がありそうなので、14時までには入港
したいところ。ということで、小名浜まで足を延ばすのはやめて、46マイル先の久之浜港を目指すことにしました。

5時の予報を取り、空がうっすらと明るくなってきた5時15分抜錨。どうも重たいな〜と思っていると、小さなアン
カーが一緒に上がってきました。どうやら近くに留めてある磯舟のアンカーのようです。こりゃ申し訳ないと、十分
アンカーが効くであろうと思われるところまで移動して打ち直しておきました。

いつものように太平洋に浮かぶ真っ赤な太陽に向かって出港。うっすらと掛かった雲とのコントラストがあまりに
綺麗だったので、コンパニオンウェイから顔を出した女房と一緒に記念撮影。
そして、第一の変針点、原町火力発電所へ。茶屋ヶ埼に差し掛かったところで携帯に電話。おとといの夜、船を
訪ねてくださったK氏から。相馬付近では10月1日から鮭漁が解禁になっていて、茶屋ヶ埼付近に網がしかけ
られているので、2マイル以上岬から離して通過するようにとのこと。出勤途中、港を通ったところ、GoldenWista
ria号が出港した後だったのでわざわざお電話で情報を伝えてくださいました。

情報に従って岬を大きく離して通過。でも鮭という言葉に、ついケンケンを流してしまったKasayan。ケンケンで鮭
が釣れるのかはまったく分かりませんが、もし釣れたら筋子と新巻かな?などと考えていると、ヒット!!!!
いつものイナダ。とりあえず今晩のおかず。再チャレンジしても結局はイナダしか釣れませんでした。

9時過ぎ、請戸漁港前通過。ここから久之浜港までは、約5マイル毎に原子力発電所や火力発電所が建ち並ぶ
発電所銀座。発電所を通過するたびに後10マイル、後5マイルと残マイル数をカウント。単調な海岸線なので、
飽きがきます。

午後一時。どんよりとした雲がかかっってくる中、久之浜港入港。作業をしている漁船に訪ねると、出港しない
漁船を教えてくれて、すぐに横抱き。3回連続のスターンアンカーだったので、横抱きは非常に楽。

刺身に飽きてしまったので、今晩のイナダは塩焼き。

明日も高気圧の圏内ですが、福島県の沿岸の南部から関東にかけては、北東の湿った風が吹き込んで、日本で
唯一くもりの範囲。高気圧に覆われても関東沿岸は北東の風が吹くと雲が出やすく、晴れていても突然雲って雨
まで降らせることがあるため、この雲は「忍者雲」などと言われています。今回は高気圧のオンパレードですが、こ
とごとく関東地方沿岸部はこの忍者雲の出来やすい天気。沖からの北東の風なので、波も高めで、特に千葉の銚
子では三角波が立ちやすくなります。まあ、仕方ないか・・・・・。

明日の航程はわずか20マイル前後の小名浜まで。小名浜では、昔Kasayanが某家電メーカーの技術屋をしてい
たときの上司と会う約束。4年半ぶりの再会がとても楽しみです。


久之浜港


10月5日(木) 福島県 久之浜港 ⇒ 福島県 小名浜港
午前4時に起床。いつもは4時半に起床する女房も珍しく一緒に寝床から起き上がりました。今日の日和は良い
はすだったので、すぐに出港用意。・・・・・・・と、大粒の雨がデッキをたたきはじめました。すぐに天気図とレーダー
をダウンロード。高気圧が帯状に移動してくると予想していたのですが、不安に思っていた北東流による関東付近
の忍者雲が予想以上に発達して、一気に低気圧になる気配を示し始めました。普通なら、この影響は千葉県から
せいぜい茨城県の沿岸部のみなのですが、今回は福島県南部まで関係してきそう。
おまけに、この忍者雲の収束帯が低気圧まで発達しそうな気配。高気圧の帯が二つにちぎれて明日には低圧部に

変化しそうです。少なくとも明日は日和待ち。今日も、早めに出港しなければ、北東の風がますます強まってまともに
走るのも辛くなりそうです。海上保安庁の通報では、小名浜の南の磯崎では北東の風11メートル。犬吠埼でも北の
風9メートル。でも、幸いレーダーによれば、この雨雲も通り雨。またアメダスにうよれば、福島県南部沿岸部では、
北の風5メートル前後。

5時15分、舫いを解いて出港。目の前には塩野崎が見えて、この塩野崎を回れば小名浜は目と鼻野の先。
出港直後は、アメダス通り北の風。風速は4メートル前後ですが、うねりを伴った波が北東から押し寄せて走りにくい
のなんの。四倉港の沖を6時通過。南へ流れる潮があるため、うねりにもてあそばれても対地速度6ノット前後。
7時には塩野崎の灯台が右横に。

塩野崎には定置網があるとの情報があったので、沖合い3マイルまで離して通過。風は北東にまわり、うねりはます
ますきつくなり、久しぶりにヘビーな状況。振り返ると、うねりと風波が一気に押し寄せてきます。追いの波風なので
なんとか進んでいますが、これが反対の方向だったら絶対に日和待ちになる状態。

小名浜港が近づくに連れて塩野崎の影に入り、波風も穏やかに・・・・・・といっても結構きつい状態でしたが・・・・・・。
午前9時、小名浜港の綱取崎の狭い入り口から入港。小名浜港の一番奥の船だまりに6艘ばかりのヨットが停泊し
ていたので、その並びに停泊。ちょうどメンテナンスに来ていた地元ヨットマンがいたので、話を聞くと、停泊には問題
なしとのこと。スターンアンカーで安全な迫地に舫いを取ることができました。

今日は、Kasayanが昔勤めていた会社の上司が訪ねてくることになっています。女房は買出しへ。そしてKasayanは
船の整備をしながら連絡待ち。
12時ちょうど、元上司来艇。もと上司といってもKasayanと同様、会社を辞めて福島県郡山在住のフリーの状態。
4年半ぶりの再会に多いに盛り上がり、この日のために気仙沼で仕込んでおいた酒を酌み交わしお互い会わなかった
時間の話がつきませんでした。

飲みつづけること6時間。今、もと上司のN氏はバースでいびきを立てています。そしてKasayanもあけてしまった
一升瓶を横に見ながら、半分もうろうとしながらキーボードをたたいています。
今夜から明日にかけて小名浜沖を低気圧が北東進。北東が強く、波が高く那珂湊まで進むことは不可能。
Kasayanもこのまま深い眠りにつきたいと思います。

それではおやすみなさい。


10月6日(金) 福島県 小名浜港 日和待ち
昨夜は、久しぶりに飲みすぎてしまったKasayan。そして、元上司のN氏も瀕死の二日酔い状態。
それでも朝5時の予報を取ると、昨日より北東が強くなる見込み。現在停泊している船だまりは、北と東を高い丘にかこま
れていますが、それでも北東の風が旗をなびかせているような状態。予定通りに日和待ち。

お粥と梅干、そして、島根県の温泉津で購入した真空パックの宍道湖のシジミの味噌汁で胃袋を回復させ、車で湯本温泉
へ。公共の湯「さはこの湯」は入湯料150円也。硫黄の臭いのする温泉ですが、草津のように白くなく、透明の快適な湯。
一気に昨夜の酒が抜けていきました。

体がシャキッとした後は、昨日、通り過ぎてきた塩屋崎灯台までドライブ。海は白波が立ち、北東からうねりが押し寄せてい
ます。灯台のある高台では髪の毛がオールバックになるほどの風。Kasayanの技量では、日和待ちが正解だったと納得し
ました。

昼食は、市場の前にある「うろこいち」という店で生うにイクラ丼。N氏にご馳走していただきました。ご馳走様!!!
そして、近くのコインランドリーの前でさようなら。およそ5年ぶりの再会は二日酔いとともに楽しい思い出になりました。

洗濯の間、近くのスーパーで買い物をしてから帰艇。Kasayanは2時間ばかり昼寝。
そして夕方の天気図を取ろうとしたところ、一艘のヨットが並びに入港。長崎のヨット「ラクラク」。山口県の室津のハーバー
で、初めて名前を聞き、鳥取のハーバーのゲストブックで名前と名刺を見たヨットが今ようやく目の前に姿をあらわしました。
Kasayanより一ヶ月先に日本海を北上し、北海道を一周して南下する途中。金華山でミートした「どんたく」に引き続き、お
会いしたかった船とここで会うことができました。
バウの舫いを取るお手伝い。この強風の中を相馬から南下してきただけあって、スターンアンカーで停泊する手順も的確
かつゆとりのある動き。シングルハンドでありながら、動きにゆとりが感じられました。さすが!!!

明日は、今日より北東が弱まるものの、GPVの波高予想では、今日よりもうねりが高くなる見込み。
あさってには弱まってきそうなので、このさい明後日まで待つことにしようかな????

PS,今日、鳥取県西部で大地震があったとのこと。7月の頭に訪ねたあの景色が目に浮かびます。
神戸の実家が阪神大震災でやられてしまったKasayanとしては人事ではありません。
お世話になった方々がご無事であることを祈ってやみません。


 
塩屋崎灯台                              小名浜停泊場所 夕方長崎のヨットラクラク到着!!


10月7日(土) 福島県 小名浜港 日和待ち
小名浜入港一泊目はしこたま飲んでしまったKasayanでしたが、二日酔いが覚めたと思いきや、昨日入港した
ラクラクのオーナーN氏と親睦会。ラクラク船内で薩摩焼酎の水割りで一杯、二杯、三杯・・・・・・・・・・・・・・・。
さすが薩摩焼酎、二日酔いにはならず、さわやかな朝を迎えることができました。
・・・・・・・・で、風は相変わらずの北東。磯崎では北5メートルとたいしたことはありませんが、犬吠埼では北14メ
ートル、波4メートル、うねり3メートル。すくなくとも鹿島灘のごきげんはまだまだ良くはなっていないようです。
あと、4レグで帰港してしまうKasayanとしては、いまさら辛い思いだけはしたくないので、今日も舫いはそのまま。

朝方、ラクラクのN氏は、折りたたみ自転車を出して湯本温泉へ。
今日は、いわきサンマリーナに船を置いているK氏が訪ねてこられることになっています。K氏は、出港直後か

らメールを送ってくださっている方。今回、小名浜に入港するにあたっても、停泊場所の情報等を送ってください
ました。10時半、K氏来艇。キャビンでお茶を飲み、そのまま車で15分ほどのいわきサンマリーナへ。

初めて訪ねるいわきサンマリーナは、切り立った崖にかかった大きな橋を下ったところにあって、目の前に切り
立った照島がそびえ立ち、その向こうに太平洋が見渡せる風光明媚なマリーナでした。
まずはK氏のヨットを拝見。K氏のヨットは実に綺麗に手入れがされていて、オーナーの人柄が一目でわかる
船。購入3年ということでしたが、ビルジだまりの中に水垢すら無く、隅々までチリひとつ無いほど掃除がされて
いました。そして、ご夫人とお孫さんと5人でマリーナのレストランで食事。

食事の後は、明日開催される小名浜⇒大洗のヨットレースのレース委員長をされているヨット「松風」のオーナー
M氏が来られ、オーナーズルームで歓談。M氏は、Kasayanが函館でお世話になったY氏と一緒に北海道一周
のシングルハンドクルーズをされた方。日本一周の航海中、定置網に突っ込んでしまった話や、停泊方法の話な
ど、一つ一つの話が自分の航海と照らし合わせてうなづくことばかり。船も拝見させていただきましたが、説明して
された話全てを、出港前に聞かせていただきたかったと思いました。

そして、K氏の船で記念撮影をしたあと、持参した水タンクに水を詰め、船まで車で送っていただきました。
お世話になりっぱなしの一日。本当に有難うございました。

船に帰って天気図をダウンロードしていると、ラクラクのN氏とGoldenWistaria号の4杯となりに舫っておられる
地元ヨットマンI氏が来艇。I氏はN氏と同様、ベテランヨットマン。コクピットでお茶を飲みながら船の擬装につい
てあれこれ雑談。とても話しきらず、今夜8時から軽く一杯やりながら話をしようかということになりました。
どうせ、明日も北東の風。予報では明日も明後日も芳しくない海況。この際、明後日にはI氏が小名浜付近の山
に持っている秘密基地でバーベキューでもやろうかという話も。

今日、千葉の銚子マリーナから先のレースのため小名浜に回航しようとしていた大型レース艇が、あまりの風と波
に引き返したとのこと。鹿島灘の北東はただものではなさそうです。週間天気図では、10日くらいからようやく状況
が回復してくる見込み。ただ単に高気圧が張り出したとて簡単には前に進ませてくれない鹿島灘は帰港直前の胸突
き八丁です。


M氏のお手製サイドガード 見た目は悪いが(失礼)Kasayanも
真似したくなるほどの便利グッズです。


10月8日(日) 福島県 小名浜港 日和待ち
昨夜はラクラクと地元ヨットマンのI氏が来艇。深夜12時までヨット談義で盛り上がりましたが、朝は4時起床。

今日はゆっくりと天気は下り坂。犬吠埼は10メートル前後の北東で波3メートル、うねり1メートル。
那珂湊の北にある磯崎では北の風5メートル。那珂湊まではなんとか進めそうな状態ですが、この風も9時前後
には東へ変わってくる見込み。I氏の秘密基地へ遊びにいくのと、那珂湊まで進んで明日の荒天に日和待ちする
ことを天秤にかけて、I氏の秘密基地に軍配が上がりました。
週間天気図では、明後日以降、好天が続きそうな気配。慌てて進むこともなかろう?

9時、早くもI氏がお迎えに。ラクラクのN氏とI氏の車に乗っておよそ45分。小名浜を離れ、かつてのいわき
炭田のボタ山(今はすっかり緑に覆われて一見普通の山)の脇を通りI氏の秘密基地へ。
山間の雑木林の中にある秘密基地には、一両の車掌車が鎮座しており、その周りは古びた枕木で露天風呂と
テラスが作られています。また、近くの沢からはホースで水が引かれていて、流しには常に水が流れています。

早速、雑木林へ薪拾い。Kasayanは風呂の火を起こし、N氏はドラム缶のコンロに薪をくべて昼飯の準備。
I氏は雑木林の中へシイタケを取りに入っていきました。
久々の山の生活。もともと、長野の山国育ちのKasayanとしては、ふるさとの山を思い出し、元気百倍。
別荘代わりの車掌車の裏でアケビを5個ゲット。

4人でジャンケンをして風呂に入る順番を決めて入浴。Kasayanは湯加減を聞きながら釜に薪をくべる役割。
入浴後は、カマドに鍋をかけてしゃぶしゃぶ。昨夜に引き続き、山の中で再びヨット談義に花が咲きました。

楽しい時間はあっという間に流れて午後5時前には帰艇。小名浜のヨットマンI氏の暖かいおもてなしにN氏と
一緒に車の姿が見えなくなるまで見送りました。慌てて那珂湊へ進んでいたら、こんなに素晴らしい経験をする
ことは出来なかったはず。

今夜から雨が降りだし、明日の午前中まで雨。あさってにはようやく前進できそうです。小名浜入港以来、毎日
遊びモードでしたが、明日はいつもの航海モードに切り替えて、明後日出発に備えたいと思います。


小名浜のヨットマンI氏の秘密基地


10月9日(月) 福島県 小名浜港 日和待ち
一応、出港モードのKasayanとしては、雨と分かっていても4時起床。アメダスを見ると、犬吠埼以北では、大した
風は吹いていません。ただレーダーを見ると、すでに那珂湊付近まで強いエコーが北上しています。小名浜でもあ
と数時間で雨が降り出す見込み。先を急ぐ旅ならば、合羽を着て35マイルくらいなら走ることができそうですが、も
う一日様子を見ることにしました。でも、これから長崎まで向かう「ラクラク」は出港準備中。30フィートの船とはいえ、
シングルハンドのN氏。海外レースなど経験豊富なN氏は、入港と同じく、手際よくアンカーを上げて薄明かりの
小名浜港を出港していきました。女房と二人で手を振って見送り。出会いあれば分かれあり。いつもながら寂しい一
瞬です。

8時前から降りだした雨は午前中一杯降り続き、キャビンで読書と朝寝。

午後から霧雨になったので、早くも徒歩20分の銭湯へ。この銭湯、営業時間はなんと午後1時から6時までのたった
5時間。また、○○○ランドが密集する高級風呂街の中にあって、昔のTV番組「時間ですよ」に出てきた松の湯の
ような古いたたずまい。午後1時半に入ったのですが、先客一人。肩から背中一杯まで刺青のはいった初老の男性。
今回の航海の銭湯通い中で一番立派な入れ墨。湯船の前に陣取っているので、なにか湯舟を占領されたようで、な
にか近寄りがたく、こそこそと湯船のすみに浸かるKasayan。
また、今までの銭湯の手桶は99パーセント、ご存知「ケロリン」のネーム入りでしたが、ここでは汚い赤のプラスチック
でした。

夕飯の買い物をして、○○○ランド街の中の小さな中華料理屋で遅い昼食。

船に帰ると、2艘隣のヨットのオーナーがメンテ中。わざわざ、訪ねてくれて、記念に小名浜のネーム入りのTシャツを
下さいました。お返しにKasayanの所属するクラブのフラッグをプレゼント。

明日は、高気圧が張り出して、どうにか前進することができる状態。北東も吹きそうですが、タイミングは昼前後ですから、
早朝出港で那珂湊あたりまでは進めそうです。でも、現在茨城県には濃霧注意報が発表中。
多分、大丈夫でしょう!!!ということで、今日は早く寝ることにいたします。


10月10日(火) 福島県 小名浜港 ⇒ 茨城県 那珂湊港
完全出港モードで午前4時起床。昨日、伊豆諸島に大雨を降らせた低気圧は足早に北東へ進み、高気圧が張り
出しています。ただ、関東の場合、高気圧の張り出し方によって、思いのほか吹き出しの北東風が強まるので要
注意。特に鹿島灘や犬吠埼では、沖から高い波とともに強風が吹きつけてきます。この風と波のおかげでサーフ
ィンのメッカになっているほど。高気圧の中心が北に偏らないように祈っていましたが、残念ながら若干の北より。
でも、高気圧の張り出しまでこだわっていたら、いつになっても進めないので5時10分出港。
GPVデータでは昼前後から北東が強まる予想。ならば、速攻で那珂湊を目指す作戦。

小名浜港外までおよそ50分。昨日の低気圧に吹き込む北西の風がまだ残っています。北西は吹き出しなので
波もベスト。ジブを開いて帆走4.5ノット。エンジンを少々足して5.5ノットをキープ。今日は、ひたすら206度の
直線コースなので、暇つぶしにケンケンを流すことに。およそ15分で、体長1メートルの大型シイラをGET。
船にたも網を積んでいないので、ごぼう抜きにしようとしたところで残念ながら針が外れてしまいました。
再びケンケンを流すこと10分。今度は小型のシイラGET。ごぼう抜きでコクピットへ。コクピットを血だらけにして
トドメ。バター焼きにするには少々小さいのでもう一匹にチャレンジ。調子が良いときは本当に立て続け。中型の
シイラを釣り上げることができました。これで今晩のおかずはOK。シイラ=ハワイで言うところのマヒマヒ。バター
焼きはハワイの高級料理です。

食べるだけの魚を捕ったらあとはひたすら走るのみ。出入りの少ない海岸線は単調で出るのはアクビばかり。
昔は、山の上に日立の巨大煙突があったそうですが、今では海岸線にビルや住宅が見えるだけ。

午前10時過ぎ。日立沖通過。弱いながらも吹きつづけていた北西の風が北に変わり、いよいよ北東に変わりまし
た。同時にポート側斜め後ろから来る波が高くなってきました。シイラを冷蔵庫に入れているので、エンジンをニュ
ートラルにしたままサーフィング6ノット以上。時折7ノットオーバー。海上保安庁のテレホンサービスでは、犬吠崎
で北東10メートル。那珂湊の北にある磯崎では北東9メートル。日立港入港の誘惑を振り切り、単調な海岸線に
唯一飛び出している磯崎を回って12時過ぎに那珂湊入港。一番奥にある観光用の「おさかな市場」前に横付け。
排水で水は濁っていますが、静かな港。いよいよここは関東!!!!

目の前に綺麗な公衆トイレがあって水も確保。念のため徒歩5分のガソリンスタンドで、気仙沼以来、今航海最後
の軽油購入。女房は、シイラをさばいてバター焼きの準備。

明日は銚子。犬吠埼を越えられる状況ならば銚子マリーナ。ダメなら銚子港。銚子までは単調な砂浜の海岸線で
避難港は唯一工業港の鹿島港のみ。天気の神様が微笑んでくれるとよいのですが。


小ぶりのシイラをGET 

 


 

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