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【9月27日(水)〜10月3日(火)】

9月27日(水)  宮城県 気仙沼港 日和待ち
昨夜、久慈にいる突棒漁船「稲荷丸」さんから電話があって、静岡のどんたく、長崎の楽々が到着したとのこと。
さすがベテランヨットマン。艇が大きいとはいえ低気圧の強風の中よく久慈まで進んだものです。
・・・・・・・・で、技量の無いKasayanは今日も日和待ち。朝、目を覚ますと風は微風。いよいよ高気圧に覆われて
きたかな?と思って天気図をダウンロードすると、まだまだ西高東低の気圧配置。GPVの風データを見ても西風
は海上で10メートル前後で吹きつづける予想です。走って走れないような海況ではありませんが、ゴールを目前
にして、少しでも辛い思いをしたくないKasayan。石橋を叩いて渡るどころか、石橋を叩いて落とすつもりで高気圧
の張り出しを待ちつづけることにしました。

午前中は、これまで撮ったデジカメファイルの整理。女房は買い物。昼食は、残りの鰹を使った「づけ丼」。
11時ころから気仙沼でも西風が強まって上空には黒い雲が流れてきます。そして通り雨。上空の寒気の影響で
ずいぶん大気が不安定になっているようです。

そして、12時。久しぶりにアマチュア無線HFとVHFのスイッチを入れて交信開始。実は、地元ヨットマンI氏か
らメールをいただいていて、無線連絡をとろうという約束になっていたのです。コールサインを呼びつづけること
10分。気仙沼は周囲を山に囲まれているためかコールしてもスピーカーは何もしゃべらず。
残念ながら無線交信は失敗に終わりました。すぐにメールを取ると、すでにI氏からのメールが到着済み。
牡鹿半島付近の海況は、岸辺で15ノットの風。ウサギ(白波)が少し飛んでおり、沖では20ノットは吹いていそう
とのこと。ウサギが飛ぶなかを知らない海、それも金華山付近を走るのはあまり嬉しくないので、今日は日和待ち
にして良かったと納得。

交信が失敗に終わり無線機のスイッチを切ったところで、スピーカーではなく船の外からKasayanを呼ぶ声。
HPを見ていてくださった地元ヨットマンのY氏来艇。出港してしまうのではと、お忙しい中、昼休みに抜け出して
来てくださいました。デッキでコーヒーを飲みながらしばし歓談。将来ディンギーでロングクルージングしてみたい
とのこと。もっと話をしたかったのですが、駆け足で午後の仕事に帰っていかれました。

午後は近くの本屋で本を買い込み読書。すっかり日和待ちになれたKasayanにとって一日はあっというまに過ぎ
ていきます。17時、いつもの予報を取って銭湯へ。
明日前半は引き続き北西の風がやや強め。午後から風も弱まって大気が安定してくる見込み。もう一日様子を見
て、明後日出港することにしましたが、ひょっとすると明日朝の予報が変わって、天気が好転する可能性もあり。
念のため明日朝は出港体制にするつもり。銭湯へ行くついでに、コインランドリーで今日までの洗い物をすべて片
付けてしまいました。

銭湯から帰ると、船に上に買い物袋一つ。中を見ると、なんとヒラメが3匹。どうやら昼過ぎに釣りに出港したお隣
のモーターボートが置いていってくれたようです。感謝!!!
明日、朝は4時起き。予報の計算結果が良い方向に変わっていることを祈りつつ、晩飯を食べたらすぐに寝ること
にいたします。


9月28日(木) 宮城県 気仙沼港 日和待ち
一応の出港モードで午前4時起床。早速天気図のダウンロード。上空の寒気はまだ抜けきっておらず、不安定
性の降水が予想されます。アメダスを見ると、気仙沼より北側では、そよそよの西風ですが、牡鹿半島付近は、
8メートル前後の西風。女川付近の吹き出しを考えると、海上では10メートル前後は吹いていると考えられます。
仙台湾付近も西の吹き出しがやや強め。また、レーダーアメダスを見ると、日本海側には相変わらずの筋状の
雲と強い降水。今日、日中、前線位相によるこの降水が太平洋側へ抜けるので、昼までには太平洋側でも一雨
あっておかしくありません。ただ、明日は、高気圧に覆われて絶好の日より。あと一日だけ気仙沼の人になること
にしました。

朝食は、昨日いただいたヒラメの刺身。おろしたのはKasayan。100円ショップで刺身包丁も買い入れ、これまで
の修行が役立って、あっというまに調理終了。美味いことは言うまでもありません。

午前中、気仙沼湾の奥は西の風5メートル前後。空は青空が広がっていますが、西の空には不穏な雲。
Kasayanは明日の出港に備えて、最後のチェック。女房は、夏物の服をバウバースの奥にしまいこみ、秋物を
表に出して衣替え。今日は、北アルプスの立山でも平年よりはるかに早く初冠雪があったそうですが、東北も朝晩
はすっかり冷えるようになって、長袖、長ズボンがパターンになっています。ましてや早朝の出港ではさらにジャケ
ットと合羽のズボンは欠かせません。明日はトレーナーも必要になりそうです。

昼前、昨日、訪ねてくださったK氏と友人のM氏が来艇。食生活のメリハリと、非常食に陸上自衛隊の缶詰を
持ってきてくださいました。すべてカーキ色の缶詰でいかにも軍隊調。少しずつ缶詰を消費していたので、帰港
までの補充はこれで十分。本当に有難うございました。

そして午後一番のフェリーで、気仙沼湾の真中に鎮座している大島へ。300円で30分の航海。湾の入り口へ
出て行くにつれて西風が強まってきました。そして大島港入港直後から夕立のような土砂降りの雨。大島港の中
に停泊している漁船が風と波に大きく揺れています。朝ダウンロードした天気図にあった寒気にともなう谷が通過
しているようですが、これほどまでに激しい雨と風になるとは予想もしていなかったKasayan。ホッと胸をなでおろ
しました。傘でもぬれるような強い降りかたなので、雨宿りに港の食堂へ。ウニ、ホタテ、メカブ、ワカメがのった大
島ラーメン、気仙沼名物フカヒレののったフカヒレラーメンを賞味。いずれも1000円也。観光地ということもあって
少々高めですが、味はマアマア。

およそ40分ほどで雨は止んで再び青空。港から徒歩5分にあるリフトに乗って標高235メートルの亀山山頂へ。
山頂からは360度のパノラマで、北は広田湾奥まで、南は金華山まで見渡すことができます。100円を入れる
観光地の望遠鏡をのぞくと、雨上がりにも関わらず、遥か金華山水道の上空にかけられている電線と鉄塔まで手
にとるように見えています。そして沖には積乱雲の列。今回の低気圧による最後の谷が通過したので、この海もあ
とは静かになるのみ。明日の航海をイメージしながらしばし立ち尽くしてしまいました。

4時には夕食と明日の食事の買い物を終えて早くも帰艇。今夜は、久しぶりに肉食。3枚360円のステーキ?
今日も風呂に入って早く寝ることにします。


大島亀山から南方を望む 遠くに霞む山が金華山


9月29日(金) 宮城県 気仙沼港 ⇒ 宮城県 鮎川港
一週間ぶりの出港に、少々緊張しているのか午前2時半に起床。もう一度寝ようとしても眠れないので天気図と
アメダスをダウンロード。そよそよの西風。今日一日、頭上に中心を持つ高気圧に覆われてまずまずの状態の
はず。4時半に女房を起こして熱いコーヒーで目を覚まし5時の予報を取ってすぐに抜錨。恐ろしいほど良く効い
ていたアンカーを、力任せに上げてみると、こってりと重い泥が付着していました。手は泥だらけ。今度からはゴ
ム手袋をすることにしました。

巨大魚市場の前を通り、細長い湾の出口まで一時間。顔なじみになったイカ釣り漁船の瑞宝丸とすれ違い、手
を振り合ってお別れ。そして湾口の南側、岩井崎の沖にある巨大定置網をかわして一路金華山へ。

風は西3〜5メートル。北東から恐ろしく周期の長いうねりがやってきますが、絶好のセーリング日和。
ジブを開いてエンジン半開、対地速度5.5ノット。はじめから遠くに金華山が見えてしまっているので、ひたすら
185度でまっすぐ走るのみ。あまりに平穏なので、ケンケンを流して三陸最後のリアス式海岸を堪能。
走ること4時間。志津川を過ぎて女川沖にかかるところでカツオをGET。小粒でしたが、イナダばかり釣れてい
たので、思わずガッツポーズ。コクピットとシンクを真っ赤に染めて血抜きをしてアイスボックスへ。

女川の原子力発電所を過ぎ、江島列島の足島を通過したところで、金華山瀬戸へ向けて変針。
すると岸よりを走るヨットを一艘発見。金華山瀬戸に入るところでそのヨットが、もう日本を何度も周っているとい
う有名な「どんたく」であることが判りました。いつか舵誌の特集でみたヤマハ30ft。なぜかストームトライスルを
揚げています。近くによってご挨拶。メインセールを破いてしまいトライスルを揚げているとのこと。また、石巻に
新しいセールが届いているので、これから石巻へ向かうとのことでした。「いっしょに石巻へ行きませんか?」と、
お誘いを受けましたが、かつての捕鯨の基地、鮎川を見てみたかったので、鮎川港の入り口で手を振ってお別
れ。相馬か小名浜でゆっくりとお会いできるとよいのですが。

13時、鮎川港内へ。いただいた情報に従い、一番奥の船だまりへ向かいましたが、空いている場所が見つからず。
港の入り口横の船だまりで場所を探し、小さな漁船やモーターボートが縦付けしている並びにスターンアンカーを
打って停泊しましたが、岸壁の下が飛び出している構造になっていて、船を前に出して降りようとすると、バウの
底をぶつけてしまう恐れがあるのでここも却下。ちょうど、このダメ岸壁と90度対岸の縦付けの船の列に空きを
発見。上下架のクレーンのある場所だったので、岸壁前にある相原造船所にいって停泊許可を求めると、クレーン
を使う予定が無いので停泊OKとのこと。アンカーも一発で効いて、無事停泊。一時間もうろうろしてしまいました。

停泊してまずは、久しぶりの潜水。気仙沼出港後、どうも機走の伸びが悪かったので気になっていたのですが、
案の定ビニール袋の切れ端がプロペラに絡まっていました。鮎川に銭湯は無いので、冷水で行水。さすがに9月
末の東北。いくら日差しがあるとはいえ、寒い!!!

エンジンのメインスイッチの接触がよくないようなので、ヤスリで磨いて接点復活材を塗布。稼動部分のネジを増し

絞め。

ようやく船の片付けを終えて目の前徒歩1分の「おしかホエールランド」へ。最終入場の時間ギリギリ。
鮎川は和歌山の太地などと並んで日本の数少ない近海捕鯨の拠点。日本一大きいキャッチャーボートが展示され
ている博物館です。入場料700円はちょっと高めですが、鯨の骨格標本からホルマリン漬けの巨大標本まであって
見ごたえ十分。キャッチャーボートの内部では、南氷洋が目に浮かべてしまいました。売店では、鯨の缶詰、冷凍の
刺身、皮の刺身や塩鯨など、思わず手が出そうなものばかり並んでいましたが、さすがに高い。横浜でも食べられる
さ・・・・・・・と、アキラメモード。

船に戻ればもう17時過ぎ。今日、GETしたカツオの刺身でつつましくご飯。

今回の高気圧は足早に東へ抜けて明日の夜には宮城県でも雨。ただ、日中は、穏やかな陽気で経過する見込み。
朝の実況で問題がなければ、早々に相馬まで足を延ばすつもりです。

 
鮎川港 キャッチャーボート上から撮影      金華山水道でどんたくと並走


9月30日(土) 宮城県 鮎川港 ⇒ 福島県 相馬港
出港確率95パーセントで、いつものように午前4時起床。空には一面の星。港内の風は北の微風。
実況天気図を見ると、移動性高気圧の中心はすでに東の海上へ。ただ、今日日中はどうにか高気圧の圏内で
穏やかに経過する見込み。エンジンの暖気を行い、出港準備を終えて、5時の予報を取ると、宮城県平野は、
沿岸の波高2メートル。一昨日の予報では1メートル、昨日は1.5メートルだったので、予報が出る度に波高が
高くなっていることになります。アメダス風向風速を見ると、石巻だけ北西の風がやや強め。この北西の吹き出し
で仙台湾の波高が高くなると予想しているはずです。でも東や南東よりはマシ。そのまま出港。

朝焼けに染まる金華山を後ろに仙台湾横断開始。このところ、沿岸5マイル近辺を航海してきたので、久々に岸
から15マイル以上離れます。牡鹿半島に南にある、網地島と田代島を過ぎて、石巻の南へ差し掛かった所から
北西が吹き出しました。ブローで8メートルくらい。うねりが東からやってくるので、うねりと風が直角になってあまり
波が良くありません。でもアビームの風で、対地速度は6ノットオーバー。潮は逆の0.5ノットくらいですが、飛ぶよ
うに走っていきます。振り返ると金華山はもう靄の向こう側。

高気圧が東へ抜け、気圧の谷が接近すると風が南東に変わります。仙台湾で風が変わるタイミングはGPVデータ
によると昼前後。南東の風は海から吹く風なので、波が悪くなってしまうので、このまま北西が吹いている間に相馬
へ到着するため、ワンポンのメインとジブで踏ん張ります。

午前9時、ちょうど仙台湾の中央を通過したところで、北西が弱くなってきました。同時に潮が連れ潮に変化。
ジブをフルに開いてアビームの機帆走。
残り10マイルになって、ようやく相馬の火力発電所の煙突が姿をあらわし、12時ちょうど、相馬港防波堤内へ。

まずは、相馬港内一番南奥の船だまりへ。場所としては安全そうで良いのですが、空き具合がどうも中途半端。
一応、停泊場所の候補を決めておいて、お隣の松川浦漁港へ。ところが、漁港の防波堤を回って港内へ入ろうと
すると、うねりが防波堤の角で砕け、一気に高さ3メートルの砕け波になって、港の入り口を走っています。
とても入れる状態ではありません。入港する漁船は、防波堤のもう一方の口から一気に入港していきますが、そ
の入り口も波が押し寄せていて、たとえ入港したとしても、条件によっては出港時にずいぶん苦労するかもしれま
せん。しかたなく、もう一度相馬港内の船だまりへ戻ることにしました。

そして、防波堤渡しの游漁船と潜水作業船の隙間にスターンアンカー、バウ舫いで停泊。停まってしまえばまずま
ずの場所。空きのアンカーブイがあるのでお隣にもう一艘船が帰ってくる可能性があるので、Kasayanは船に残っ
て、女房は早速探検へ。800円で一日入り放題の温泉旅館と、スーパー、そして水場とトイレを発見。

夕方、お隣に小さな刺し網漁船が戻ってきまし。大きい船だとスペースが無いので移動を余儀なくされますが、小さ
い船だったのでギリギリセーフ。停泊場所が狭くなったお詫びのご挨拶。
この刺し網漁船。なんと鮭を取っていました。聞くところによると、相馬は鮭が遡上する南限だとか。
船上でさばいていた鮭の腹からは、大きな筋子が沢山出てきました。

船で夕食を済ませ、今日のKasayanを書いていると雨が降り出しました。この雨、明日朝には止みますが、早くも
明後日には深い気圧の谷が通過する見込み。明日、日中は晴れますが、東よりの風がやや強めに吹きそうです。
波の悪い東で進んだとしても20マイル先の請戸漁港まで進めるのが良いところ。その後、10月4日までは出港で
きる状態にはなりそうもないので、ここ相馬で3日間、日和を待つことにしました。

週間天気図を見ると、4日以降の移動性高気圧はなかなかしっかりしていて、ひょっとすると、連続で銚子まで進め
てしまうかもしれません。それもちょっと気ぜわしく寂しいので、日和を待ちながらこれからの航程をじっくりと練りた
いと思います。


金華山の朝焼け


10月1日(日) 福島県 相馬港 日和待ち
昨夜から風雨が強まり、宮城県の塩釜や多賀城では床下浸水の被害が出るほどの大雨になりました。昨夜の
予報では、明け方まで雨でしたが、雨雲が昼前まで残って、相馬は午前中まで雨。北〜北東の風が7〜8メート
ル。船は風に揺られますが、アンカーもガッチリ効いて問題なし。昼過ぎにようやく雨が上がり日が差し始めるま
で船内に缶詰になってしまいました。

午後から近くの原釜漁港の偵察を兼ねて散歩。今日は、相馬市の「ふれあいマラソン大会」。相馬港付近がコー
スになっていて、原釜漁港前がスタート地点。多くの市民が集まっていて、雨でドロドロのグランドでは浜汁などが
無料で振舞われていました。Kasayanは、昼ご飯に地元松川浦で取れた大きなアサリの入ったアサリメシを購入。

恥ずかしながら、Kasayanは松川浦という大きな入り江というか、海とつながった湖を知ったのは今回が始めて。
相馬港から狭い水道でつながった大きな湖ですが、のりひびがいたるところに立っている風光明媚なところ。
水道を入ったところにある松川浦漁港の周辺には、夏の海水浴客めあての民宿が立ち並んでいます。
今はもう秋〜ではありませんが、海水浴シーズンを終えて、静かな松川浦はまたゆっくりと訪れたい雰囲気でした。

夕方、高台にある小さなホテル「栄荘」へ。入浴料800円也。少々高めですが、3階にある檜の展望露天風呂から
は、夕陽の沈む松川浦が一望できます。おまけに他の客もおらず、貸切状態。女湯も貸切状態らしく、ついたて越
しに女房と話をしながら、しばし、夕焼けを眺めていました。・・・・・・と、女房が「チャンス、チャンス」と呼びかけます。
そうです、洗濯。他のお客が来ないことを確認して洗い場で下着を洗濯。栄荘さんごめんなさい。

船への帰り道、ホッキ貝を購入。大きなホッキ貝一個40円は、北海道よりもはるかに安い値段。実のところ、ホッ
キ貝が福島県で捕れることをしらなかったKasayan。昨日の捕れたての鮭と同様の驚き。船に帰って食べた味は
格別。思わず、ワンカップ一杯。

明日は一日沖からの東風。気圧の谷が近づいていて夕方にかけて天気は下り坂。明日の夜から明後日にかけて
は、低気圧の発達次第で、少々荒れ模様の天気となりそうです。あと二日はこのまま相馬に居たほうが良さそう。
明日、明後日と、何をして過ごそうか・・・・・・・。


相馬港停泊状況


10月2日(月) 福島県 相馬港 日和待ち
いつものように午前4時に起きだして、気象レーダーを見ると、すでに雨雲が目前に迫っています。昨夜の予報は
昼過ぎから雨、でしたから、もうすでに予報は外れかけていることになります。日の出を待って、近くの公園へ水汲
みへ。相馬港のすぐ横には人工海岸の海水浴場があっていたるところに水呑場兼足洗い場があるので、水には不
自由しません。

水を汲み、バウの舫いを行って来いに取り直していると、ちょうど雨が降り出しました。
コンパニオンウェイの差し板も閉じて、パンとサラダの朝食。午前中は、今日のKasayan週間版をアップ。
昼前に一旦雨が上がったので、Kasayanが留守番をして女房は近くのスーパーへ買出し。

午後は3時から再び雨が降り出したので、いつものようにキャビンに缶詰。メールを取ると、Kasayanの所属する
横浜ベイサイドクラブの会長からメールが届いていました。10月14日か15日に帰港パーティーを企画しているの
で、東京湾の中で時間調整をして帰ったら?とのこと。残り約10日。順調にいけば、ちょうどタイミングよく入港でき
ますが、ここにきて慎重に慎重を期しているので、ひょっとすると、大幅に遅れることもあることをお伝えしておきまし
た。

雨の中、夕食は、天然ハマチのアラ煮。脂がのっていてとても美味いのですが、カジキのアラにはかないません。

夕食後、今日のKasayanを書き始め、「なにも無い一日だったな〜」と思っていると、バウを懐中電灯で照らす人影。
顔を出すと、スーツにネクタイの紳士が傘を差して立っています。「楢崎さんではないんですよね?」
相馬のヨットマンK氏。Kasayanが金華山でお会いしたヨット「どんたく」が相馬へ向かったとの連絡を受けて「どんたく」
を探して港内を回っていたところ、GoldenWistaria号を見かけて声をかけたとのことでした。K氏は、Kasayanが昔乗っ
ていた船と同じ岡本造船製のヨットに乗っているということで、雨の中、バウと岸壁でしばし歓談。岡本造船のデザイナ
ー熊沢さんの話。そして、気仙沼でお世話になった「福よし」のご主人が手放したソレイユルボンが横浜へ回航中、相馬
でトラブルを起こしたときの話で盛り上がりました。真っ暗な中、相馬港の片隅で出会った方とこんなに話しが通じること
に、ヨットの世界の狭さを感じるとともに、とても嬉しい気持ちになりました。

明日は、南岸を低気圧が発達しながら北東進します。一気に発達するのは、三陸沖へ抜けてからになるため、強風の
心配はなさそうですが、明日午後からの北西の強まりが心配です。槍付けの船の斜め後ろから風が吹き付けるため、
左右の船との干渉、アンカーが引ける恐れがありますが、これだけアンカーが効いていれば・・・・・・。
万が一の場合、退避場所の目処はつけてありますが、そうならないことを祈るのみ。

ところで、「どんたく」はどこに居るんだろう?


10月3日(火) 宮城県 気仙沼港 日和待ち
昨夜から降りだした大粒の雨は、朝になっても降り続いていました。風はほとんど無く、真上から落ちてくる雨。
実況天気図から判断するには、低気圧がそれほど発達していないため、風については問題なさそうです。
キャビンの中で、明日以降の天気を解析していると、8時過ぎには小降りになり、9時には雨が止みました。

9時発表の最新の週間天気図をダウンロード。少なくとも7日まではまずまずの天気が保証されそうです。
とすると、今回の晴天では、上手くいけば銚子まで進むことができそう。

久しぶりにマリンVHFの点検。5ワットで送信してみると、すぐにバッテリー残量不足のアラームが鳴ります。
マメに充電しているので、そんなことは無いはず。念のため、充電をしましたが、すぐにフル充電状態に。
中途半端な放電状態で充電を繰り返したのでニッケルカドミウムバッテリーのメモリー効果が起こっているのか
もしれません。そこで、無線をつけっぱなしにして一旦バッテリーを完全放電してしまおうとしましたが、一定電圧
を下回ると自動的に電源が切れてしまって完全放電は不可能。そこで、バッテリーを取り外し、バッテリーの端子
にリード線と豆電球を接続して完全放電することにしました。2時間かけて豆電球が完全に消えたところで充電開
始。充電一時間、5ワットで十分送信できる状態になりました。思いもかけないところで問題が起こっているもの。

夕方から北西の風が強まる可能性があるので、昼から近くの旅館へ入浴へ。
おとといと同様、屋上露天風呂は貸切状態。昼間からのんびりと風呂に浸かり、ついでにまたまた洗濯。
露天風呂から空を見ていると、雲の切れ間から青空も顔を出し始めています。
屋上露天風呂にたっぷり浸かったあとは、一階の大浴場へ。こちらも貸切状態で思わず平泳ぎ。
帰り道にスーパーで、今朝捕れたばかりのアジと、ホッキ貝を購入。

晩飯は、アジの「なめろう」とホッキ飯。なめろうはアジとネギと生姜とネギを味噌で叩いてペースト状にしたもの。
皿をなめるまで食べてしまうほど美味いということで「なめろう」というのですが、まさになめろうでした。

夕方の天気解析。低気圧の発達のタイミングがやや遅くなったので、心配された北西風もそれほど強まらず。
穏やかな夜を迎えられそうです。また、明日は早くも高気圧が張り出して晴天。上空に寒気が入っているので、
やや大気が不安定ですが、心配するほどではなさそうです。西の吹き出しの風。南下にはベストコンディション。
46マイル先の久之浜まで一気に進みたいと思っています。


貸切の屋上露天風呂 ガラスの向こう側が松川浦

 


 

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