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【9月20日(水)〜9月26日(火)】

9月20日(水)  岩手県 久慈港 ⇒ 岩手県 宮古港
イカ釣漁船の出港予定時刻にあわせて午前4時起床。昨夜、一緒にお茶を飲んだ突棒漁船の稲荷丸はすでに
出港したあと。空には月が明るく光り、港全体が見渡せるほどです。
天気図をダウンロードし、アメダス風向風速を確認。問題なし。5時の予報を取ると、西の風後北東の風。
盛岡の地台では、高気圧からの吹き出しが北東流になると予想しているようです。高気圧の中心がやや北寄り。
三陸の北東と言えばヤマセ。今回は単なる北東の風で済みそうですが、漁師の間では、北東の風による波は悪
いことで定評があります。「凪が悪い」と言うのですが、ひょっとしたらこれから凪が悪くなるのかも。ということで、
一刻も早く出発して、一刻も早く到着すべく、5時25分出港。

久慈湾は東に面しているので、朝日に向かって前進。湾の南側にも多くの定置網があるので岬を大きく迂回して
南下開始。北西の風4メートル前後。セーリングで5ノット前後。でも早く到着したいので、エンジンも2800回転。
南へ流れる潮が手伝ってくれるので、対地速度は7ノット前後。速度は絶好調。
昨日同様、突棒漁の稲荷丸さんが無線で呼びかけてくれて、逐次沖の風や波の様子を教えてくれます。
今日も絶不調な様子を励ますKasayan。

久慈湾からおよそ10マイル。午前8時には北緯40度線にある黒崎通過。昨日よりはうねりが収まりましたが、そ
れでも船は大きく上下します。この北緯40度線は、三陸の気象が変化する一つの境界線。そのためなのか、高
気圧が張り出してきたためなのかわかりませんが、早くも風は北東に変化。単なる海風で会って欲しいと願うKasa
yanでしたが、天は無常にも風を強めて、斜め後ろを振り返って見ると、見る見る波は高くなって所々に白波が見え
始めました。風向的には斜め後ろの追い風になってよいのですが、うねりが風とは異なる南東の方向から来るので、
時折船が風上に切りあがり、走りにくいのなんの。オートパイロットも悲鳴を上げそうな様子。
風速8メートル前後で風速が一定になってくれたので、これ以上強まらないことを祈りつつ宮古へ、宮古へ。

三陸の景色は今まで見てきた景色とはまた違って男性的な荒々しさ。北東に突き出た閉伊埼を目指して追いの波
にのって宮古湾へ。景勝地「浄土が浜」を右に見て、閉伊川をさかのぼり川沿いの岸壁に係留。ガラガラに開いて
いてどこにでも停泊自由。近くの漁船に聞いてみると、川沿いは開いているところなら何処でも停泊OKとのことでし
た。

着岸後、すぐにアメダス風向風速のダウンロード。三陸沿岸では全般に北東の風となっているようですが、風速は
3〜4メートル程度。八戸の測候所の方に教えていただいたように、アメダスポイントが内陸にあるので、風向は
海上と同じでも、風速が落ちて観測されているようです。この数字から推測して吹き込みの風の場合、三陸では
約2倍にして判断したほうが良いということが分かりました。

午後、女房はトランシーバーを持って街の探検へ。徒歩15分にSATY。銭湯は徒歩10分でしたが、今日はあいに
くの休み。そして夕食は、つつましく昨日頂いたイカの一夜干しとイカ大根。

明日の予報は、岩手県沿岸北部で西の風日中北東の風。沿岸南部で西の風日中南東の風。多分陸風と海風だと
思いますが、港湾案内を読むと、釜石方面では8月〜10月の晴れた日に南東の強風が吹きやすく「いなさ」といって
恐れられていると書いてあります。この「いなさ」がどういう条件で吹くのかわかりませんが、明日の南東が「いなさ」で
ないことを祈りたいところ。明日越えることになる魹ケ先は三陸の一番東へ飛び出たヘソのような所。ここも天気の変
わり目となります。高気圧にベタベタに覆われても三陸の風はおそろしか〜。


宮古港 閉伊川岸壁に舫う。ガラガラでどこでも停泊OK


9月21日(木) 岩手県 宮古港 ⇒ 岩手県 釜石港
午前4時。目覚ましの鳴る5分前に起床。天気図は高気圧にベタベタ覆われています。関東だったら北の風、
日中南の風という海風、陸風のパターンですが、三陸の場合は、高気圧がちょっと北に偏っただけでいやな
東よりの風になってしまいます。うまい具合に南に張り出してくれることを祈るのみ。続いてアメダスをダウン
ロード。綺麗な陸からの吹き出し。午前5時の予報では、岩手県沿岸北部で西の風のち北東の風。沿岸南部
では西の風のち南東の風。いずれにしろ、西の風が吹いているうちに大方の航程を終えてしまったほうがよさ
そうです。

日が昇り始めた宮古港出港5時20分。宮古は南西に切れ込んだ深い湾ですが、湾奥から吹き出す南西の風
が5メートル前後。この風に追い立てられるように湾の外へ。湾の入り口は、大小様々な漁船が刺し網や引き
釣りの操業をしています。この船を避けながら定置網のある閉伊崎を大きくかわして魹ヶ埼へ。
魹ヶ埼までは陸側に高い山があるため微風の穏やかな海。機帆走で潮に乗って7ノット。朝焼けの空はすっか
り秋の空です。

走ること1時間。多分本州最東端の魹ヶ埼通過。灯台を右手に見るようになると突然周期の小さなうねりが立っ
て船が波に叩かれてコクピットまで波が打ち込んできます。三陸で一番東へ飛び出ている岬なので、潮も複雑
に流れてうねりを作っていると思われます。でも20分ほど我慢していると再び穏やかな海へ。

魹ヶ埼の南側はすぐに山田湾。この湾も奥が深く、湾口に差し掛かると吹き出しの西風が5メートル。湾の中央
部には水深5メートルの根があるためこの部分では南へ下る潮と吹き出しの風の影響でチョッピーな波が立っ
ています。バウが波に突っ込んでまたまたデッキは海水で溢れましたが、これも20分間。湾の南側は西の微風
が吹く穏やかな海でした。ただ、山田湾の南側からは八戸からずっと乗りつづけてきた南の潮が一転して北へ
流れる潮に。多分、魹ヶ埼が影響している岸よりの反流と思われますが、機帆走でも対水速度4.7ノット。

ここから南が、かの有名なリアス式海岸の深い湾が連続するところ。山田湾に続いてひとつひとつ岬を越えると船
越湾、大槌湾、両石湾と次々と湾が現れ、その湾の奥には小さな漁港が点在しているのが見えます。
また、湾を隔てる岬は荒々しい岩肌をさらしていて、岩肌と緑のコントラストがとても美しく、じっと機帆走していて
も飽きることがありませんでした。

そして、いよいよ釜石湾。昨日同様、急に風が止まったかと思うと、風向が南東に変わりました。少しは凪という
ものがあればよいのですが、まったくせっかちな風。釜石からさらに27マイル先の大船渡まで足を延ばすという
気持ちもありましたが、風も変わったので素直に釜石に入港することに決定。
時間も早いので、残り8マイル、久しぶりにケンケンを流すことにしました。実は八戸で突棒漁師さんに仕掛けを
改造していただいたので、実験も兼ねての引き釣り。いつものように何も釣れないだろうと思っていると、たったの
10分ほどで40センチ弱のイナダが!!!!!。さすが漁師さんの改造は効果てきめん。

11時20分、大きな観音像を目印にしながら釜石港入港。海上保安庁のある一番奥の船だまりに入りましたが、
波が入りやすいようなので、湾の北側にある小さな漁船の船だまりへ移動。ちょうど油送船の船長が居たので
空いている停泊場所を聞くと横抱きしろとのありがたいお言葉。干満差が大きくなってきた太平洋側で横抱きは
一番ありがたい停泊方法です。

午後は、久しぶりの3日連続のクルージングに疲れて思いっきり4時まで昼寝。
ちょっと早めの晩御飯はイナダの刺身。採れたてのイナダ!!!最高。

明日の天気は、いつものインターネットとテレビ岩手(TVI)でチェック。4年ほど前、一ヶ月ほど盛岡に滞在して
立ち上げた天気予報を懐かしく見入りました。お世話になったアナウンサーさんの顔も久しぶりに見て、当時の
苦労や、初めての放送の時の緊張した様子を思い出し、こうして自分が関わった天気予報を見てクルージング
できる贅沢さ、嬉しさを噛み締めました。

昨日、宮古では銭湯が休みで風呂に入れず。これから銭湯に行ってたっぷりとお湯に浸かるつもりです。

 
魹ヶ埼 この静穏のあと大きなうねりがくるとは・・・・・       イナダをゲット


9月22日(金) 岩手県 釜石港 ⇒ 宮城県 気仙沼港
このところ続いた移動性高気圧の晴天も今日が最後。明日から天気は下り坂。何処まで進んでおいて日和を待
つかということになるのですが、考えられる港は30マイル先の大船渡港か44マイル先の気仙沼港。
ただ、その次の港を考えると、どうしても金華山を越えて鮎川港か金華山港になります。金華山越えは一つの難
所になるため、できることなら少しでも南下して気仙沼まで進んでおきたいところ。

今日は、高気圧の中心が東の海上に移るため、三陸特有の北東の風、ヤマセが吹きやすい状態。
気圧傾度があまり高くなく、中心位置が若干南にあるため、強いヤマセになることはなさそうですが、それでも北
東の吹き始めとともに、波が悪くなるおそれがあります。
4時と5時のアメダス風向風速を見ると、金華山では北東の風5メートル。保安庁のテレホンサービスでは北東
9メートル。ただ、金華山以外の沿岸のアメダスポイントでは全て西よりの風か無風。場の風は北東ですが、沿
岸では陸からの出し風が卓越しているようです。この出し風が吹いている間は波も良くアビームで前進すること
ができます。今日も日の出とともに5時20分出港。

大分から来ている突棒漁船の船団と並んで防波堤の外へ。沖合い10マイルほどの上空には、岸に沿う形で帯
状に雲が浮かんでいます。北東の場の風と出し風がぶつかってシアラインを形成して雲が発生している模様。
この雲がなくなるか、岸に近づいてきたときが北東風が吹き始めるタイミングになりそうです。

風は西4メートル前後。アビームの機帆走で南下開始。波も穏やかなので、昨日に引き続いてケンケンを流すと、
わずか10分で昨日同様イナダをGET。さすが魚影の濃い三陸。食べる分だけ捕るということにして、あとは北東
が吹き始める前にできるだけ前進することに専念。

4つの湾と5つの岬を越えて大船渡沖を午前9時通過。なかなか良いペースと思ったとたん、青空だった空は
灰色の雲に覆われて、突然に風は北東へ変化しました。残り15マイル。このまま大船渡へ入港しようか・・・・
という誘惑にかられましたが、この北東は8メートル以上強くならないはず・・・・・・という自分の予想を信じること
にして、このまま気仙沼を目指すことにしました。
でも北東の吹き始めとともに、左斜め後ろから押し寄せる波は、振り返るたびに高くなっているように見えます。
時折、風上に切りあがってしまうので、ジブとメインの引き込みを微妙に調整してできるだけ蛇行を防ぐことに
専念。大船渡まで助けてくれた南へ流れる潮もなくなり、イライラしながら前進。12時ちょうど、やっと気仙沼湾の
入り口到着。湾内に入ると波は無くなりうそのように穏やか。幅の広い川のような奥の深い湾を機走で走ること一
時間。ようやく湾最奥の船だまりへ入ることができました。久しぶりにスターンアンカー。海底は泥らしく、一発で
がっちりと効き、無事係留完了。

気仙沼港には、大型の遠洋マグロ漁船をはじめ高知や静岡、北海道の大型鰹漁船が沢山入港していて活気の
ある大漁港。港周辺には、長旅の漁船のための食料仕込みの問屋が立ち並び、真っ黒に日焼けをした船員が
沢山出歩いています。こういった旅の漁船が多い港はヨットで停泊するにもとても便利。旅をする船は漁船もヨッ
トも同じです。

夕方、天気図のダウンロード。明日、明後日と天気は下り坂に向かい、南よりの風が強まって波は3メートルま
で高くなる見込み。久しぶりに4日間連続で緊張の三陸を走り疲れたKasayanにはちょうどよい休日。
でも週間天気図を見ると、ウッソーと言いたくなるほどよくない気圧配置。ひょっとして4〜5日間は金華山越え
できないかも。八戸のようなことは絶対ないと思いますが、またまた気仙沼の住人になってしまいそうです。


広い川の河口をさかのぼるような気仙沼湾入り口


9月23日(土) 宮城県 気仙沼港 日和待ち
今日は、低気圧が接近し、午後から雨とともに東よりの風が強まる予想。金華山を越えて鮎川まで進むと、金華山
越えはちょうど昼前後。昼前後といえば、雨が降り始め、東風が強まるタイミングと重なります。そんなことはゴメン
ですから当然の日和待ち。実は、4日間走り詰めて、疲れ気味のKasayanにとっては実は嬉しい雨。走れる時には
走るという考えですが、日本海や瀬戸内海のように40マイル前後の距離を8日前後も連続で走るのはさすがに体力
や緊張感が持ちません。4日くらい走って一日休むのがちょうどよいペース。
レーダーアメダス合成図をダウンロードすると、東北南部まで雨雲が接近しています。このままだと早くて昼過ぎ、遅
くても夕方には風雨が強まるはず。ならば午前中にやるべきことはやっておく必要があります。

朝食前に岸壁に沿って散歩。函館でお世話になったY氏からメールをいただき、以前Y氏が気仙沼に入港した時に
立ち寄ったホヤの美味い飲み屋「福よし」を教えていただいたので、その場所を探すべく朝の町をうろうろ。
10分ほどで、店を発見。日和待ち中にできれば訪れたいような良い雰囲気の店。ついでに、今停泊している湾のさら
に奥の船だまりを探索。小さな漁船が縦付けで停泊していますが、どうも割り込んで入れる雰囲気ではなさそう。でも、
八戸でお世話になった突棒漁師に教えていただいた僚船の「銀鱗丸」を発見。声をかければ横抱きさせてもらえるよ
うに連絡してくださったとのことなので、今の停泊場所に不都合が発生した場合には移動するつもり。
帰艇後、燃料補給と燃料の買出し。ポリタンを乗せたカートを曳いてガソリンスタンドまで徒歩3分。ついでに徒歩1分の
「お魚市場」で朝ご飯のおかずに鰹を購入。大きな半身でたったの300円。

一通り、出港前にやるべきことを終了したので、オリンピックの野球中継を聞きながら朝から昼寝(朝寝?)。
12時に目を覚まし、ボケーとしていると、そこへKasayanの伯父が来艇。実は、数日前に電話をもらって、遊びに行
きたいとの話になっていたのです。ちょうど気仙沼で日和待ちになるので、昨日電話で船にご招待。
船でお茶を飲みながら航海の話をしたあと、サメの博物館のある観光施設「海鮮市場」へ。昼食に三陸では今が旬の
鰹と秋刀魚のヅケがのった鰹秋刀魚丼を賞味。

腹ごなしに市場の見学デッキを散歩。土日は市場が休みなので残念ながら活気のある市場を見ることができず、昨日
までは岸壁にスキマが無いほどに溢れ返っていた全国の鰹漁船の姿もすっかりなくなっていました。
再び船に戻ってコクピットで気仙沼の街を眺めながらの歓談。

そして夕食は徒歩5分の「あさひ寿司」。気仙沼は日本一のフカヒレの産地。ご当地名物フカヒレ寿司がお目当て。
ついでに、三陸名産ホヤと「もうかの星」あるいは「巨人の星」と呼ばれているモウカザメの心臓の刺身を賞味。
モウカザメの心臓はちょうど馬刺しのような色合い。酢味噌で食べますが、淡白で酒の肴には絶好。フカヒレ寿司は、
他の寿司では味わえない、一種独特の食感。伯父さんご馳走さまでした。

船に帰るころには雨が降り出し、東の風7メートル前後。船を岸壁から十分に引き離し、風上のスプリングをしっかりと
張って対処。スターンアンカー、バウ付けでアンカーが良く効くのはとても安心感があります。さらにアンカーモニターの
効果でバウの舫いは適度なテンションで十分に張っています。
でも油断は禁物。念のため懐中電灯と雨合羽を枕もとにおいて寝ることにします。


気仙沼の停泊状況 左奥が大島へのフェリー乗り場


9月24日(日) 宮城県 気仙沼港 日和待ち
昨夜は、低気圧に吹き込む東風が強く、スターンアンカー、バウ舫いで停泊している船の真横から強い風が吹き
つけましたが、しっかり効いたアンカーと、岸壁からとったスプリングのおかげで、なんの問題も起こらずに朝を迎
えることができました。ただ、風が弱まったものの朝から雨は降り止まず。夕方からくもりになる予報も見事に外れ
こうして日誌をつけている今も空には稲妻が光り続けています。日本海を北東進する低気圧の動きが非常に遅く、
南から吹き込む湿った空気が大雨となって、宮城県南部では大雨洪水警報が発表されています。

・・・・・・・というわけで、Kasayanは本当〜にまる一日ヨットに缶詰。

午前中は、ラジオでオリンピック女子マラソンを聞きながら、しばらくサボっていた「今日のKasayan」週間版の作成。
一方、昨日から気仙沼を訪れているKasayanの伯父さんは観光船で唐桑半島周遊へ。でも、出港直前に強風で観
光船の運休が決定。急遽、定期船で唐桑半島まで行き、タクシーで観光地めぐりに向かいましたが、早々に観光か
ら帰ってきて、キャビンで昨日に引き続き歓談。キャビンに居るのなら、横浜帰港後でも同じなので、どこかに出かけ
ようかと思うのですが、この雨ではキャビンから顔を出すのもためらわれます。

午後、キャビンの外でKasayanを呼ぶ声。八戸で横抱きさせていただいた気仙沼の突棒漁船、春日丸の船長が雨
の中をわざわざ来艇。Kasayanより一足先に気仙沼に帰港していたのですが、GoldenWistaria号が無事到着したか
気になってわざわざ車で港を探してくれたとのこと。感謝、感謝。八戸で改造していただいたケンケンでイナダを二匹
釣ったことをご報告。溢れる人情に女房ともども、ちょっと涙ぐみそうになりました。

暗くなってきた18時過ぎ、小雨をぬって目の前のホテルの和食処へ夕食へ。「ばくらい」という名前のホヤとナマコの
わたを合えた一品がとても美味。ここ気仙沼に来てホヤが苦手だったKasayanもホヤのファンに。
またまた伯父さんご馳走様。

20時帰艇。しかし、本当に何も出来なかった一日。まったくの運動不足。これもしかたないか・・・・。
明日は低気圧が東の海上に抜けるものの、そのまま動きが停止。ミニ西高東低の気圧配置になって西風が強まる
見込み。宮城県平野地方の海上の波は2.5メートル。明日の出港確率10パーセント。明後日の出港確率40パー
セント。横浜までの残りレグは7レグか8レグ。西高東低が崩れた後の晴天にまた連続で歩を進めるつもりです。


9月25日(月) 宮城県 気仙沼港 日和待ち
いかん!!上記現在位置が釜石になっていた!!!現在位置は気仙沼です。

朝一番にキャビンから出ると、昨夜の雲がややのこっているものの、黒い雲の間からは青空がのぞいています。
風はほぼ無風。低気圧が一気に北東海上に抜けて移動性高気圧に覆われてきたか?と思って天気図をダウン
ロードすると低気圧はまだ津軽海峡の西と三陸沖。低気圧の雲が抜けたものの西よりの風がこれから強まるは
ず。三陸で言うところの「雨上がりの西」のため今日も日和待ち。この低気圧、普通ならば順当に北東へ進んで、
しまうはずですが、今回の場合は北海道付近でゆっくりと衰退するという異様な展開を示しそう。
そうなると、岸の山陰を航海する鮎川まではなんとか進めますが、仙台湾の横断はかなり難しくなりそうです。
鮎川は日和を待つような港ではないとの情報。仙台湾横断の日和を気仙沼で待つならば、もうあと2日待つほうが
良さそうです。

昨日、一日キャビンに閉じ込められたので、うさ晴らしに朝の市場見学へ。朝5時台の気仙沼港の市場には高知
や静岡、そして沖縄の大型はえ縄漁船や鰹の一本釣り漁船が岸壁狭しと入港して荷揚げをしています。
市場には、冷凍でない近海の生のマグロがゴロゴロ。また、気仙沼は日本一のフカヒレの産地というだけあって、
サメが山のように積み上げられています。そして一面芝生のように並べられている鰹。この季節、戻り鰹は北海道
から気仙沼の沖を回遊しているため、全国の鰹漁船が集まり、取れた鰹は気仙沼に陸揚げされているとのこと。
活気溢れる漁港の姿に見とれること1時間半でした。

午前中、まだ足を延ばしていなかった南気仙沼方面へ散歩。9時過ぎには小売店にも朝取れの魚が並んでいます。
どれも安くて新鮮。目移りするくらいですが、その中で目をつけたのがメカジキのヒレのアラ。重さ1キロ弱で500円。
八戸で突棒漁船の漁師さんにご馳走になったカジキのアラの煮付けを思い出し思わず購入。
シンプルに醤油と酒で軽く煮ただけで昼のおかずに。油が沢山出るのですが、それが実に軽い油で味があって絶妙
の味。下手な切り身よりアラを買って煮付けたほうがよっぽど美味い。関東でこのアラが入手できるところを是非探し
たいと思いました。

午後、軽く昼寝をしたあと、今度は港の北側、湾の奥を探検へ。そこで釜石を出港するときに見かけた大分の突棒
漁船を発見。ちょうど漁師さんがいたので声をかけると、お互いに手を振ったことを覚えていてくれてそのまま歓談。
偶然にも、八戸滞在中、横抱きさせていただいていた突棒漁船の「稲荷丸」「春日丸」のことを良く知っているとのこと。
おまけに八戸で10日間も足止めをくらっていたことまでご存知。今朝取れたての鰹を丸ごと一匹いただいてしまい、
世の中せまいな〜と思いつつ、鰹を丸ごと一本抱えて帰艇。

船に帰ると、女房が一枚の名刺を持っていました。地元のヨットマンで割烹「福よし」の主人が声をかけてくれて、飲み
にくるように誘われたとのこと。実はこの店、函館でお世話になったヨットマンY氏が紹介してくれたお店で、今夜あた
り二人で行ってみようと話していたところ。偶然のダブル攻撃。

銭湯帰りにその「福よし」へ。苦手だったホヤもこの店で食べると、苦味が美味く感じられ、最高の酒の肴。
マンボウの酢味噌和え。採れたての秋刀魚と鰹の刺身盛り合わせと秋刀魚の塩焼きはご主人のサービス。地酒「男山」
を飲みながら、至福の時を過ごすことができました。また、ご主人が以前乗っていたヨット、GoldenWistaria号の前の型
の船ソレイユルボンがKasayanのホームポートであるベイサイドマリーナに回航されていて、なんとKasayanの船のすぐ
隣の列のバースに停泊していることが判明。偶然のトリプルパンチ。気仙沼付近のヨット事情、鮎川までの海況を教えて
いただき、ご主人も仕事そこのけでヨット談義に花が咲きました。
22時半、明日、船に来ていただくことを約束して帰艇。少々千鳥足でしたが、槍付けの船に何とか渡ることができました。

時計を見るともう24時。しばらくぶりの夜更かし。女房はもう寝息を立てています。明日は何をして過ごすとしましょうか?

 
捕れたばかりの生のマグロ・・・一本いくら?           メカジキのアラの煮付け 見てくれは悪いが味は最高


9月26日(火) 宮城県 気仙沼港 日和待ち
一昨日、大雨をもたらした低気圧はあいかわらず津軽海峡付近に停滞していて西高東低の気圧配置。
低気圧の後ろ側には、今シーズン一番の寒気が控えていて、北海道日高山系では初雪も予想される状態です。
東北の日本海側は雲に覆われて、所々で雨。あと一ヶ月後にこの気圧配置になれば、日本海側の高い山では
確実に雪が降ることでしょう。そしてKasayanのいる太平洋側では西の強風。関東で言うところの空っ風。
突棒漁船も日和を待ってます。
この状態、さらに明後日まで続く模様。Kasayanより北では、「どんたく」「楽々」「MIHO」などのヨットが南下をして
いますが、皆この西風に戸惑っているのでは。各艇の無事の南下を祈らずにはいられません。

昨日、珍しく夜更かししてしまったKasayan。朝、昨日の残ったメカジキの煮付けで朝ご飯を食べたあと早くも昼寝。
再び起き出したのは昼前でした。朝よりも西風が強まって、槍付けしているGoldenWistaria号のスターボード側真
横から吹き付けてきます。アンカーは相変わらずガッチリ。スプリングも張っていますが、念のため、アンカーライン
を引いて岸壁から船を離しました。
そして、女房と二人ひたすら読書。この航海でもう何冊の本を読んだことやら。

・・・・・・・と、昨日ご馳走になった「福よし」のご主人が仕事の合間に来艇。スタックパックの付いた船を購入予定な
ので、Kasayanの船の同じセールをしげしげと観察。人の船を見てアイデアを盗むのはヨットマンの常ですが、ご主
人も同様、エンジンルームから航海計器までじっくりと眺めて帰られました。

夕方、昨日いただいた鰹丸ごと一匹。Kasayanが刺身に下ろすことに。福よしのご主人に教えていただいたように
包丁を入れて大きなサク4本が取れました。戻り鰹は脂が沢山のっていて、まるでマグロの大トロのよう。
女房は、薬味のにんにくとたまねぎの準備。アラはかもめにプレゼント。
またまた夕食は豪勢な鰹づくしになってしまいました。運動不足に贅沢な食事。せっかくしまった体も再びたるんで
しまいそう。

気仙沼滞在ももう4日目。明日あたり、風が少しでも弱くなれば、近くの大島までショートクルーズでもするつもりです。


鰹をさばくKasayan

 


 

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