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【8月9日(水)〜8月15日(火)】

8月9日(水)  北海道 奥尻港 ⇒ 北海道 江差港
今朝もさわやかな風が吹き抜ける北国の朝。長袖でちょうどよいくらい。
5時の気象庁予報では、日中南東の風。昨日とはまったく反対の風でちょうど真向かい。
今航海初の同じ道のりを再び通ることになります。

昨日の予定では、熊石港を目指すことにしていましたが、予定変更で、江差マリーナへ直行。
明日10日の夜から天気は下り坂に向かい、北海道の北を通る低気圧から伸びる前線が通過する見込み。
教科書どおりに南西の風から北西の風に変わって、やや強めに吹くはず。
江差のマリーナは、ただでさえうねりの入るマリーナ。特に南西の風が吹いたら相当ひどいことになりそうです。
ですから、一日早いタイミングで江差を後にする予定。

一方、台風8号の南東、マリアナ付近に次の台風が生まれかかっています。FEASというアジア広域の向こう一週間の数値
予報高層天気図を見ると、大きく発達しながら、東日本に接近、三陸を北上する計算結果。
気象庁は、まだ台風になっていないのと、計算結果の不安定を理由に何も発表していませんが、計算通りになれば、相当
ひどい台風になりそうです。(気象予報士は台風進路予想を発表してはいけないことになっていますが、この文章はKasayan
の航海日誌なので・・・・・・・・・・・)
このためにも、安全と思われる、松前、または函館へ早めに進んで台風をやり過ごす計画。
情報が多いと、ずいぶん助かることも多いのですが、早めに心配事ができてしまうのも考え物。計算がずれてくれば、無駄足
ということにも。

5時40分。奥尻島に手を振って南下開始。
一時間ほどは、ほとんど無風。メインのみの機帆走でトコトコ前進。昨日の逆なので、潮に乗って6ノットオーバー。
奥尻島の全景が見えるようになってから向かいの南東が吹き始めました。
東のポンモシリ岬方面に向けてクローズ。しばらく走ったところでタックを返して江差へ。
江差に近づくにつれて風が落ち、結局昨日と同様6時間以上かけて江差到着は12時過ぎ。

今日で、連続4日間のクルージング。どっと疲れが出て2時間ほど昼寝。
涼しくなった17時。予報を取ってから銭湯「松の湯」へ。町は、江差姥神神社の大祭の真っ最中。いたるところを山車が
練り歩き、屋台も出て静かだった一昨日とはうって変わって賑やかな町に。女房とあちこちで記念撮影。
いい歳して、二人して棒付きのアイスクリームを食べながら船までのんびりと散歩。

船で夕飯を食べていても、北前坂という坂を上り下りする明かりのついた山車の様子を眺めることができます。
半そででは少し寒く感じられる風にのって聞こえてくる笛や太鼓の音。
青森の福浦もそうでしたが、北国の祭りの音に夏の終わりを感じるのはKasayanだけでしょうか。

 
江差夕景 鴎島の開陽丸、マリーナ、そして女房とKasayan   姥神神社大祭の山車、これが13台夜通し練り歩く


8月10日(木) 北海道 江差港 ⇒ 北海道 福島港
北海道北部の気象庁のスーパーコンピュータの計算結果は、このところ安定していて、昨日の計算結果と同じく
今夜から明日朝にかけて前線が南下する予想。早々に江差を出港し、松前港、できればその先の白神岬を越えて
福島港まで進みたいところ。また、台風の発生、進路についても、昨日同様、紀伊半島方面に北上する傾向を
示しています。台風をやり過ごす場所としても松前か福島または函館のほうがベター。

航程が長いのと、海流の影響があるため、ここ数日では一番早い5時10分出港。
無風のマリーナ内でセールを揚げて3日前に通った海を南下開始。
すぐに逆潮につかまって機帆走でも対地速度は5ノットを越えることができません。
空気はすっかり冷たくて、長袖のシャツだけでは寒く、さらにウインドブレーカー。ちょうど横浜の5月の陽気です。

江差から数マイルの大崎にかかるころから突然陸からの南東の出し風が吹きだして、海面に白波が立ち始めました。
北海道には有名な寿都だしなど、あちらこちらに地形的に特有な出し風がありますが、ここ大崎もちょっと有名な
出し風が吹くところ。背面に高い山を控えた谷間を山頂の冷たく重い空気が滑り落ちて発生するのですが、大崎も
まさにそんな地形。ワンポンのメインのみで対水速度は6.4ノット。出し風が海面にどのように広がるのかじっくりと
観察することができました。

谷間を過ぎれば出し風はすぐに止んで、弱い吹きだしをメインとジブに受けながら再び機帆走開始。
不安定性の雨雲が時折南西の方向から流れてきて、小雨を降らせるので、オイルスキンを着用。それでも暑くないのが
救われます。
行きの航程と同様ラスタッペ岬を過ぎる頃から次第に連れ潮に変わって速度がアップし、松前の手前7マイルほどから
津軽海峡に流れ込む、強い海流に乗ることができました。

対水速度は機帆走で5.8ノット。でも対地速度は、みるみる上がって8ノットオーバー。
景色が飛ぶように変わって、松前港沖到着、10時30分。
松前の沖で、一旦潮から降りてしまいましたが、やや沖出しすると再び速度が上がってついには9.7ノット。
福島港まであと17マイル。このまま行けば、到着まで2時間とかかりません。気を良くして福島港まで前進することを決定。

津軽海峡の難所、白神岬があっというまに目の前に近づき女房と記念撮影。所々に潮が湧き、そんな状態もカメラに収めて
気分上々・・・・・・・・・だったのもつかの間。恐るべし白神岬。
岬を回りこんだところで、逆潮につかまって対地速度は一気に3.5ノット。一気に6ノットのダウン。白神岬の東側に逆潮が
あることは承知の上。十分沖だししたつもりだったのにまだまだ足りなかったようです。
さらには、この潮に逆らうように西風が吹きだして、あたり一面白波が沸き立ってきました。
風を斜め後ろから受けて、対水速度は6.5ノットも出ているのですが、対地速度はついに3ノットちょうど。
やっぱり難所だったのね・・・・。
福島港は目前なのに、ひたすら1時間の辛抱。福島港の灯台が見えるころから次第に波が収まり、逆潮も緩んで、港の入り口
では、まるで池のような海になりました。

13時半入港。漁協の指示に従い、スターンアンカー、バウもやい。
スターンからアンカーを打ったのですが、一回目はどうもずるずると引けてしまって失敗。
上がってきたアンカーには泥がついていたので、ダンフォースで十分と判断し、再びアンカーを揚げて水深の5倍以上
離してトライ。それでもずるずる引けてしまい、頭をかしげながらアンカーを揚げると、3メートルはあろうかと思われる
昆布が一緒に上がってきました。この港の特産は昆布。まさか港の中にまで生えているとは。この昆布の上をアンカーが
滑ってしまって、効きが悪かったに違いありません。恐るべし、北海道。
そこで、岸壁にいた漁師さんに、シーズンの終わった昆布船の岸壁を指示してもらって横付け。
漁師さんに聞くと、やはりダンフォースのようなアンカーはこの港では効きが悪いとのことでした。

着岸するや、4人ほどの漁師さんに囲まれて、夕方のイカ釣出港前の暇つぶしの種に。
そのうち一人の漁師さんが、「沖漬け食わねーか?」と、わざわざ軽トラックを走らせて沖漬けをもってきてくれました。
自分のイカ釣船の上で、醤油一升、焼酎一合と調味料を混ぜたバケツに、採れたての生きたイカを放り込んだだけの
シンプルな料理。でも以前、店で買って食べた沖漬けはいったいなんだったんだろうと思うほどに、甘塩で、コクがあり、
刺身のようにコリコリとした食感。思わずビールを2カン。
この様子を見ていた漁師さん。「明日の朝は、取れたてのイカのイカ刺し食わしてやるからな」
何もお返しできないけれど、素直に感謝!!!!!。

福島町は、かつての横綱、千代の山と千代の富士、2人の横綱を輩出した相撲の町。徒歩3分には立派な記念館。
また、徒歩5分には銭湯とスーパー。ガソリンスタンドとローソンは目の前で至便の港。

函館のヨットの世話役をされている方に電話をすると、盆休みを前に外来のヨットで込み合っている様子。
もし台風の影響があるなら、福島港でやり過ごすのも一つの手段。
13日には、相撲の九重部屋ご一行が訪れて、生きたイカの手づかみやチャンコが振舞われる「やるべ福島イカまつり」と
いう町の一大イベントが開催されます。
しばらくは、この町の住人になろうかと考えるKasayanでした。


 
津軽海峡の沸いた潮目 エスカレーターの乗り口        白神岬 この静かな海が向こう側で白波だらけになるとは・・・


8月11日(金) 北海道 福島港 日和待ち
朝方、午前4時、デッキをバラバラと叩く雨音。北海道の北を低気圧が通過し、そこから伸びる寒冷前線が頭上に
かかってきたようです。勿論予定通りの日和待ち。レーダーを見ると、警報が出るか出ないかの強力なエコーが
津軽海峡の西にかかっています。南西の風も強まっていて、龍飛崎では南西20メートル。

午前6時、強い雨の中、昨日の漁師さんがわざわざ、今朝取れたてのイカを刺身にしてもってきてくれました。
お返しもできず、ただただお礼をするしかないのがこんなに辛いとは。
早速ご飯を炊いて、透き通ったコリコリのイカの刺身を生姜醤油で・・・・・・・・・・・。採れたてのスルメイカの甘さを
全身で堪能。二杯はあろうかと思う量を二人でペロリと平らげてしまいました。

午前中は、強い雨と風の中、キャビンに缶詰。手紙を書いたり、天気図を整理したり。
午後2時にようやく雨が上がり、徒歩10分にある「青函トンネル記念館」へ。ここ福島町は、北海道側の青函トンネル
の工事拠点だった町。

近くの魚屋をのぞき、スーパーで食料品を買って船に戻ると、朝、イカ刺しを届けてくれた漁師さんがまたまた青い
軽トラックで登場。出漁前に車で10分の吉岡にある「吉岡温泉、ゆとらぎ館」へ行くので、一緒に行かないかとの
お誘い。ご好意に甘えっぱなしですが、ちょうど風呂へ行こうと思っていたので、同行。入浴料400円也。
一緒にサウナや露天風呂に入りながら、イカ釣の話、昔、19歳のころ3年間世界のあちらこちらを旅しながら、
魚を採っていた話などを拝聴。本当に人情あふれる方でした。さらに、函館の情報も。
住所を聞いても教えてくれず、本当にお世話になりっぱなし。

明日は、函館へ向かう予定。ネットを通じてアドバイスをいただくようになったY氏からわざわざ函館のデジカメ写真
をメールでいただき、台風9号を函館でやり過ごすことにしました
北海道の観光地、函館ははじめてのKasayan。台風対策に少々ドキドキですが、同時に異国情緒溢れると聞く函館
の町に期待一杯です。



福島港に舫う


8月12日(土) 北海道 福島港 ⇒ 北海道 函館港
午前4時、イカ釣漁船の引き波で目を覚まし、すぐさまアメダス風向風速と台風9号進路図を確認。
昨夕、前線通過後、強く吹いていた北西の風も稚内付近と小樽付近でやや強めに吹いているものの、その他は
2〜3メートルの微風。ただ一つ気になるのは、函館付近だけ北よりの風が5メートルで吹いていること。
函館付近は津軽海峡から湾になっていて、地形的にも山が途切れて俗に言う「出し風」の可能性あり。
函館に向かうと、ちょうど真登りの風になるので、ちょっと不安になりましたが、せいぜい7メートルくらいと判断して
出港準備。

ハリヤードをセットして、エンジンをかけ、5時の予報を取ろうとしたところで、隣のイカ釣漁船の若い漁師さんが
やってきて、まさに採れたてのイカ5ハイを頂きました。透き通った新鮮なイカ。
このまま出港時間を延ばして、イカソーメンでも作りたい気持ちになりましたが、氷たっぷりの冷蔵庫に保存して
今日の晩御飯にすることに。

舫いを解いていると、昨日からイカ刺しをもらったり、温泉に連れて行ってくれたりと、お世話になりっぱなしの漁師さんが、
軽トラックに奥さんを乗せて登場。夜の漁を終えて疲れているはずなのに、わざわざ見送りに。
何度も手を振りながら、振り返り振り返り・・・・船が防波堤の影に隠れるまで見守っていてくれました。
女房と二人、嬉しさと寂しさにしばし沈黙。

津軽海峡は、基本的に日本海側から太平洋側に抜ける海流が中心ですが、北海道側では白神岬から矢越岬までの
やや北海道側にくぼんだ所では西に流れる反流が強く流れています。
この反流をさけるため4マイルほど沖出し。作戦どおり、東へ流れる海流に乗って対地速度7ノットオーバー。
北風は、岸まで迫った高い山に阻まれて微風。機帆走でこのまま行けば5時間もかからないで函館到着と考えていると、
矢越岬手前の潮目を越えたところで一気に4ノットのスピードダウン。慌てて、沖だしして潮目を越えたところで
ペラになにかからまったようです。でも再び連れ潮に乗って速度は7ノット。このままで函館を目指すことに。

矢越岬は、その昔、源義経が本州に向かって矢をいったところ、本州まで矢が届いたということからその名前がついた
とのこと(昨日漁師さんに教えてもらいました)。矢越岬を越えると、遠くにはもう函館山が見えています。
慌てて函館山を目指すと反流にあうはずなので、水深100メートル付近をさらに東進。
函館山が027度に見えたところで一気に函館に向けて変針。
女房もキャビンから顔を出して、「は〜るばる来たぜ函館!!!」と二人で熱唱。思わず叫びたくなる気持ち。
ヨットで函館を訪れる人は皆絶対歌ってるはず。はずかしくて言わないと思うけれど・・。

残り11マイル。あと2時間。・・・・と思ったところで北風が次第に上がり始め、あたり一面白波が立ち始めました。
これがアメダスで見た出し風か!!!と思っているうちに頭からしぶきをかぶり、メガネは真っ白。
出し風なので、湾内にはいるほど波は弱まるはずなので、ひたすら我慢。始めはジブを小さくしてタックを繰り返して
いましたが、函館山が横に見えるようになると、もうめんどうくさくなってワンポンのメインでひたすらドッスンドッスン。
11時過ぎにようやく函館港防波堤内へ。
いただいていた情報の場所は、まさに観光地のどまん前。船の前を観光客がぞろぞろと歩いていて、舫いを取っている
姿まで記念撮影される始末。この停泊地の世話役M氏にお会いして、しばらく停泊させていただく許可を頂きました。
また、M氏の経営するお店に、横浜からインペラボックスのアッセンブリーユニットを送らせていただけることにもなりました。
実は、2日前からまた海水の漏れがやや多くなっていて気になっていたところ。

午後は、真向かいの風と波に叩かれた疲れで動く気も起こらず、夕方まで一気に昼寝。
しばらく滞在する予定なので、慌てて探検に行く必要も無し。

夜、徒歩7分の銭湯へ。路面電車の走る道と坂を見て、ようやく函館に来たのだという実感が湧いてきました。
どこかKasayanの実家のある神戸と似ている町。

函館を出港すると次の港は青森。ここが博多に続き、今航海2度目の変針点になりそうです。


函館山遠景 このあと白波が立つとは・・・・・


8月13日(日) 北海道 函館港 休日
今日からは、一週間の函館での休養日。
でもいつもの習慣で午前4時起床。もう一眠りする前に台風進路のダウンロード。やっぱり今日も東にそれる
傾向を示しています。東よりの風がやや強まる程度で、荒れ模様にはまずなりそうもないので、さわやかな
北海道の夏を満喫できそう。そう思ったとたん、眠気も吹き飛び、むしょうに腹が減ってきたKasayan。
女房もやはり目を覚ましていたので、一緒に函館朝市へ。

船からは徒歩7分程度。いつかテレビで見た市場の光景が広がっていました。
でも歩いているのは観光客ばかり。並んでいるものは、イカ、カニ、ホタテ、ウニ、ホッケ、シャケ、イクラが90
パーセント。おととい福島港で、漁師さんから旬の海産物を聞いていたので、まずカニ、シャケは眼中に無し。
旬のイカを見ると、朝採れたての透き通ったイカがなんと2ハイで1500円。高い!!!!
昨日、まさに到着したばかりのイカ釣漁船の漁師さんから5ハイもイカをいただいたのですが、何気なしに頂いた
イカが函館の朝市で買えば4000円以上の代物だったとは!!!!!
よく見ると、売っているイカの半分は、すでに透明度を失い、白っぽくなっています。
イカはとても買う気持ちが起こらず、ホッキ貝なども見ましたが、とても高くて手が出ません。
これまで、何度か漁師さんから採れたての魚やイカを頂きましたが、それらの物が、いかに貴重なものであったの
かが、身にしみてわかりました。
立ち並ぶ食堂のメニューもイカ丼1000円。イクラ丼1500円。うに丼2000円が相場。
朝からこんなに出費する気が起こらず、とぼとぼと腹を減らしたまま来た道を戻る二人。

昨日、舫いを取ったあと、隣にいた地元のヨットマンから聞いた隠れた函館名物「やきとり弁当」を思い出し、
船から徒歩3分の「ハセガワストアー」へ。コンビニとほか弁屋が一緒になったような店で、24時間営業。
焼き鳥弁当を頼むと、その場で焼き鳥を焼き始め、焼きたてを3串海苔弁当の上に乗せて出来上がり。380円也。
焼き鳥といいながら実は、豚串。地元ヨットマンが勧めるだけあって安くて絶品。出港前にもう一度食べたい味。

日中は、お世話になった方々へお礼状を書いたり、コクピットでボケー。
午後になると、来週行われる函館〜室蘭のヨットレースのために回航してきたヨットがぞくぞく入港。
舫いを取る手伝いをして、運動不足解消。GoldenWistaria号は、30フィート以上の大きなヨットに埋もれて、
そう簡単に出港できない状態になりましたが、函館休養一週間の間に浮き足立って出港する恐れはなくなりました。

夕方は、これまた昨日ヨットマンに教えてもらった徒歩2分の「カリフォルニアベビー」という店へ。
シスコライス650円也。ピラフに極太ソーセージを2本乗せて、その上からミートソースをかけただけの食べ物ですが、
ボリュームがあってこれまた絶品。さすが地元ヨットマン。安くて美味いものを知っています。
2回連続の地元ヨットマン情報のヒットに、明日以降も一日一回は安い外食をしようと女房と決定。

夕暮れが近くなったので、ロープウェーに乗って函館山山頂へ。今日は、函館港の人工島、緑の島でライトアップの
ショーがあるので、いつもの夜景に加えてさらに美しいイベントが見られる日。(これも地元ヨットマンの情報)
函館の夜景は、噂では聞いていましたが、本当に綺麗。さらにレーザーのライトアップのショーと花火も加わり、
これまた美しさが倍増されていました。また、津軽海峡もイカ釣の漁火が咲き乱れ、熱いコーヒーが飲みたくなる
ような涼しさ(寒さ)の中、一時間以上も立ち尽くしてしまいました。

最近、女房と航海の話していても、瀬戸内海であったこと、九州であったことなど、思い出を話すようになってきました。
これからの航海は、太平洋の南下。「帰り」という雰囲気になってきましたが、まだまだ難所ばかり。
明日は、横浜からエンジンの部品が到着する予定。のんびりとする中でも、船の点検やメンテナンスも同時に
進めていく予定です。

 
函館西波止場 金森倉庫前に舫う 山は函館山         函館山山頂から函館港方面を望む


8月14日(月) 北海道 函館港 休日2日目
いよいよ本格的な休養日スタート2日目。
でも現在は深夜、12時を回ったところ。

実は、兵庫県香住の柴山でいただいた日本酒「香住鶴」を一升をあけてしまってもう足もとフラフラ。

今航海を開始するにあたって、とても参考にさせていただいたHPの作者、Y氏がちょうどタイミングよく
函館港入港。普段は小樽に船を置いておられるのですが、小樽⇒函館⇒青森(ネブタ)⇒函館と、航海されて
函館までやってこられました。(Y氏のHPには、航海にあたって参考にしたページからリンクしています)

Y氏もご存知の柴山の話から始まって、日本各地の港の入港方法から、良かったこと、大変だっことを肴に
多いに盛り上がり、時間の過ぎることも忘れて話し込んでしまいました。
日本酒も進み、しまいには、ついには二人で一升飲みきり。そして、もう頭は、ふらふら。
でも、同じ日本各地の海をヨットで走った者同士、とても楽しい時間を過ごすことができました。
師匠と仰ぐかたと函館の地でお会いできて感激至極。 酒の周りも非常に快調。

今日のKasayanは、今航海初めてのアルコールによる記述不可能状態に陥り、小学生の夏休みの日記状態
にて失礼させていただきます。

実は、日中、美味い「函館塩ラーメン」を食べに行ったりしましたが、それについてはまた明日ということで、
今日はこれにてお休みなさい


夜の金森倉庫前に舫う


8月15日(火) 北海道 函館港 休日3日目
昨夜は、久しぶりに日本酒を飲みすぎ、少々二日酔い気味のKasayan。
函館の休日もはや3日目。いままでなら、中3日の日和待ちなどしていると、3日目には出港したくてたまらなく
なっていましたが、ここ函館での3日間はあっという間に過ぎ去って、それでもまだ滞在していたい気持ちです。

午前中にエンジンの冷却水ポンプのユニットが到着。佐渡あたりからインペラに動力を伝えるシャフトのオイル
シールから水が漏れ始め、一旦はおさまったものの、漏れる量がやや多くなって気になっていた場所。
早速、エンジンルームを開けて工事開始。ヤンマーの1GMエンジンは、ベルトでポンプに動力を伝える2GMや
3GMエンジンとは異なり、クランクシャフトから直接動力が伝わる仕組みになっているため、エンジン本体から
ネジ3個でポンプを取り外すことになります。ボックスレンチで慎重にネジを取り外すと、すんなりとポンプが外れ
第一段階終了。取り外したポンプからOリングを外して清掃、グリースを塗って新しいポンプに取り付けます。
エンジンをデコンプ状態にしてシャフトのキーの位置を合わせて新しいポンプを取り付け作業終了。
おそるおそる試運転をすると排気管から無事冷却水が出てきました。
一時間の運転でも異常なし。当然ながらオイルシールからの水漏れはまったく無し。
これで、心配事は解消。

エンジンを温めたついでに、博多以来のオイル交換。日本海では、機走時間がずいぶん長くなったので、帰途
に着く前にオイルを新しくしておこうという考え。
オイル交換後に試運転をすると、心なしかエンジン音が静かになったよう。
ペットボトルに入れた排オイルは、軽油を購入するついでに近くのガソリンスタンドで回収をお願いしました。

エンジン周りをウエスで綺麗にして、エンジン下に白いマットを敷きなおして作業終了。
男鹿半島戸賀港で、エアーフィルターの洗浄も済ませたし、シャフトとのカップリングの点検、PSSの点検等すべて
終えて、エンジン周りのメンテナンスは全て完了。燃料フィルターの交換は帰港後に行うことにしました。

作業を終えて一服していると、昨晩一緒にお酒を飲んだY氏、来艇。
飲みながら、プロペラに藻が絡んだときの対策についてご相談したのですが、早速、特製の鎌を下さいました。
初めて見る形の鎌で、パンを切るナイフのように波打った刃がついていて、ロープなど一発で切れそうな代物。
ボートフックに取り付けて岸壁上から作業が出来そうです。師匠、有難うございました!!!!

今日は、朝から遠くにある台風9号の影響を受けてずっと東風。津軽海峡付近の東風は押しなべてヤマセと呼ば
れますが、教科書に湿った東風とかかれているように、昨日より湿度は高くなっていて、函館山にぶつかった東風が
霧を発生させて、あれほどよく見えていた目の前の函館山の山頂は、今日一日姿をあらわすことがありませんでした。

夕方、買い物ついでに函館の港とは反対側の東側の海岸まで散歩。
強い東風が吹き付け、防波堤には時折砕けた波しぶきが立ち上がっていました。
本格的にヤマセが吹いたなら海峡は潮の流れに逆らう風に波立って、とても走れる状況ではなくなるでしょう。

今、太平洋側は台風9号の影響で、うねりが高い状態になっています。昨日は、金華山沖でうねり5メートルが観測
されたとのこと。函館の休日の間に海もおさまってくれると良いのですが。


取り外した冷却水ポンプ


 


 

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