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【7月12日(水)〜7月18日(火)】

7月12日(水)  福井県 福井港 日和待ち
予定通り、南西風が強まって、日本海西部は海上強風警報。福井は南西がやや強めなだけですがアメダス風向
風速を見ると、能登半島西岸では、軒並み10メートル前後を示しています。金沢から輪島までの海上では、瞬間
15メートル前後の風が吹いていることでしょう。ワンポンで搾ったジブならランニングで走れないこともないのですが、
無理はしません。予定通り日和待ち。
バウからのアンカーが効いていて、船はまったく岸壁に寄せられません。岸壁横付けでもアンカーの重要性を改めて認識。

午前中は、気温上昇30度以上。南が吹き込んでいるので、湿度も高く、近くの図書館へ緊急避難。
走っていない船の上は、日陰もなくて灼熱地獄。スーパーのとろろそばで昼食、二人で900円也。

午後、富山のヨットマンO氏が来艇。
このHPの「日本一周のためにやったこと」で海図購入者を募集したところ、購入希望のメールをいただいた方。
わざわざ富山名物「鱒の寿司」と昆布〆の刺身、イカの黒作りを持ってきてくださいました。
来年の日本一周に向けて準備をされているとのこと。私と同じで、奥様と二人での航海を予定されています。
チャートのコピーをお勧めして、ここまで使い終わった分のチャートの原本と瀬戸内海の海図全部をお貸しすることにしました。
さらに、港湾案内を開いて、停泊場所やトイレ、水道の場所などをお伝えしました。
一方O氏からは、金沢から富山湾近辺までの停泊情報を教えていただきました。

現在、O氏は中古のヨットを大改造中とのことで、ヨットの改造についても大変興味をお持ちのようで、このHPに書ききれなかった
ことなどを、現物を見ながらお話をしましたが、あれもこれもと頭に浮かび、結局、十分にお伝えできずに後悔しきり。
航海終了後、航海の準備の中で良かったこと、必要なかったこと、失敗したことなど、綺麗に整理しようと心に誓うKasayan。

女房は奥さんと女同士、ヨット内での炊事、洗濯など、生活面の話が尽きなかったようです。
まだ、半分まで進んでいないKasayanですが、早くも来年のO氏ご夫妻の日本一周の祈らずにはいられませんでした。

夜は、鱒の寿司で贅沢な晩餐。O氏に感謝。今日は夕焼けはなかったものの日が落ちると涼しくなるのが救い。
夜陰にまぎれてコクピットで行水。水曜日は温泉も銭湯も同時休業。

今夜から明日午前中にかけてが波風のピークで明日後半から落ち着いてくるはず。
明日も多分暑くなるでしょう。近くのショッピングセンターに避難することにしています。


7月13日(木) 福井県 福井港 日和待ち
早朝、ザ〜っと雨が降った後、風向きが北西に変わり、涼しくなりました。
朝寝をしようと思ったのですが、せっかくの涼しさを利用しなければもったいないと、早朝駅前の公衆トイレの水道で
水の補給。明日からしばらく補給が途絶える可能性があるので、予備のポリタンまで満タンに。
女房もコインランドリーへ行って、タオルケットなどの大物の洗濯。

涼しい午前中は、船で「今日のKasayan」週間版のアップ。
つい最近アップしたと思ったのにもう一週間。ここにきて一週間が過ぎるのが異様に早く感じられます。

昼過ぎからは、徒歩20分の巨大ショッピングセンターに涼を求めて移動。
こんなところ(失礼)にもマクドナルドがあって、平日半額のハンバーガーで昼食。
長野育ちのKasayanは、高校を卒業して東京に出るまで、マクドナルドのハンバーガーを食べたことがありませんでしたが、
今は、全国どこへ行っても便利になったもの。つまらぬことに感心しながらボケ〜。

帰艇の途中、三国海水浴場に立ち寄り、海の様子を確認。
・・・・・・・・・・・・ビッグウェーブ!!!!一昨日とは大違いの高波。
地元の高校生らしき坊主頭のサーファー(湘南には絶対にいない)が大きなうねりの上を飛び跳ねています。
恐るべし、日本海の西風!!!と坊主頭のサーファー。(サーファーはロン毛というイメージだったので)
そういえば、一昨日から底引き網漁船が出港していませんでしたが、日本海西部の海上強風警報のため待機していたのでしょう。
そのうねりが西に海を控えている三国に押し寄せているらしい。
まあ、妥当な日和待ちであったと一人うなずくKasayan。

夕方、女房が自転車で晩のおかずを買出しに行っている間に、エンジンの点検。
以前、燃料が漏れていた、ホースの継ぎ目からまた軽油がにじんでいたので、ホースを取り外し、シールテープを使って
取り付け部の漏れ対策。一ヶ月前福岡で交換したオイルも機走が多かったせいか、やや減り気味だったので、200ccほど補給。
燃料系統のエア抜きのプライミングもしましたが、念のため、2000回転で1時間半。異常なし。

晩飯のおかず、三国産の生の甘エビ250円也。頭は味噌汁に。昨日水揚げの様子を見ていたので、つい手がでてしまいましたが、
やはり北欧産の冷凍物とは格段の違い。やはり地元は最高。

晩飯後、ゆあぽーと三国でのんびりと温泉三昧。
これからしばらく銭湯は我慢しなくてはならないようなので、念入りに体をごしごし。

明日はようやく石川県金沢港へ。昨日来艇いただいた富山のO氏に停泊場所とお知りあいを紹介していただいているので、
停泊が困難な金沢港ですがひとまず安心。
ゆっくりと睡眠をとってホップステップで能登半島をめざしたいと思います。


7月14日(金) 福井県 福井港 ⇒ 石川県 金沢港
どーもまた明日から梅雨前線が西から北上して、今日は、たった一日限りのクルーズ日和になりそう。
金沢港が日和待ちには適さない港という情報をあちらこちらから聞いていたので、前進するのには少々躊躇しましたが、
福井ですでに3日間の日和待ちをしています。幸い、先日と山から来て頂いたO氏のつてで、沖がかりでテンダーが必要
になるものの、安心して留められる場所を確保していだだいていたので、この際金沢へ向かうことに。

昨日の大きなうねりは収まっていましたが、それでも西からゆったりと波長の長いうねりがやってきて船尾から船を持ち上げます。
船尾からの不定期なうねりは、いきなり船を1メートル以上も持ち上げられるので、不快。
風は陸風の南東微風。本来なら名勝「東尋坊」が右手にくっきりと見えるはずが陸は一面もやに覆われて何も見えず。
福井港の北側にある安島をまわりきってからは前後左右水平線しか見えるものはありません。
また、漁船の姿も見えず、動いているのはGoldenWistaria号のみ。

北前船の船主の多くがここの出身といわれる橋立港を沖から見てみたいとおもっていましたが、橋立もすっかりもやに覆われて
何も見えず。退屈な機帆走をつづけること15マイル。ようやく風が南西に回り3メートル前後に上がってきました。

エンジンをニュートラにしてジブを開こうと思った瞬間、周囲一面にホンダワラの浮島群島出現。
オートパイロットを解除して必死にスラロームするKasayan。ついに浮島に囲まれ、ペラを留めてじっと我慢。
ようやく、浮島を抜けたところで、恐る恐るペラを前進へ。
回転は2500回転までしか上がりません。ペラを停止、前進してもダメ。思い切って後進にいれてもダメ。
がっちりとやってしまったようです。
・・・・・と、潮目を抜けたためか、うねりに加えて、波の立ち方が悪くなってきました。泣きっ面に蜂状態。
帆走では4ノット前後。まだ先は20マイル。
日本海に入って2回目の洋上水泳。勿論、命綱は欠かせません。
洋上で潜る日本海の海はますます透き通っていて、船尾からキール、船首まで透き通って見渡すことができます。
ふと今の自分の状況を忘れて、このまま水泳を続けたいと思ってしまうほど。
でも危険な海中に長居は無用。15秒でことを片付けて船上へ。

エンジンを半開にして、6ノット。目をさらの様にして金沢を目指します。
13時半、ようやく沖に2キロも突き出している金沢港西防波堤を確認。
波の悪い防波堤の先端を回り込み、教えていただいた停泊地へ。
船尾用のブイがあり、バウの舫いは運河にかかる橋げたにぶら下がっていました。う〜ん、まずまずの停泊地。
でもテンダーが無いと、絶対に上陸できそうにありません。ゴムボートを膨らますのも面倒なので、念のため、岸壁に横付けか
槍付けできるところを探しにうろうろ。
どうやら、西防波堤の付け根にある造船所前の船だまりに空き岸壁があるようです。
女房を下ろして造船所へ向かわせると、すぐに建物から出てきて頭の上に○マーク。すぐに横付け。
漁船の出入りがあるとやや揺れるものの、まずまずの停泊地を手に入れることができました。
すぐ横には、「からくり博物館」と公園。立派なトイレと、ホースまでついている水呑場。

自転車を下ろしてすぐにKasayanが探検へ。銭湯徒歩15分。コンビニ20分。大きなスーパーまで自転車で8分。
まずまずの条件。金沢のイメージが覆されました。
明日は、雨、明後日もどうか?
目の前のからくり博物館からは、兼六園へ直行のバスも出ています。
日和待ちが続くようならば、金沢見物にでもでかけるとしますか。


金沢港 入り口、造船所岸壁。


7月15日(土) 石川県 金沢港 日和待ち
午前中は、小雨が降ったり止んだりの状態が続いていましたが、昼からは大粒の雨と南西の風が吹き始めました。
外へ出るだけで濡れてしまう状態なので、キャビンに缶詰。
昨日、買っておいたうどんでカレーうどんの昼食。そして、読書をしたりラジオを聞いたりボケ‐。

梅雨前線が北上して、ちょうど山陰から北陸にかかっています。地上天気図の等圧線だけ見ると、太平洋高気圧に
覆われているように見え、気圧変化もむしろ上がる傾向。
でも等圧線をぶった切るように北陸にかかる梅雨前線。高層天気図を見ると、教科書どおり渦度ゼロの線が東西に横切り、
低圧部も存在します。これは、ラジオの気象通報で手書きの天気図を取るだけでは絶対に知ることができません。
改めてインターネットに感謝。
週間6コマの天気図を見ると、このまま梅雨前線はゆっくりと北上して週末には津軽海峡の南まで達する見込み。
来週は、南から順番に梅雨明けが発表されるかもしれません。とりあえず明日当たり九州、四国、18日までには北陸も
梅雨明け?(なんて言って、以前、テレビの天気予報で外してしまったことがあるので・・・・自戒)
紀伊水道で各地の入梅を聞いてから1ヶ月以上。どうやら北陸で梅雨明けを迎えることになりそうですが、明日も梅雨前線の余波で、
金沢は雨。明後日になってようやく能登へ向かって、輪島で梅雨明けというところでしょうか。
(これを書いている途中、ラジオで九州南部の梅雨明けを告げていました。すばやい梅雨明け発表!!)

夕方4時、暇を持て余して、雨が小雨になったチャンスに傘をさして、銭湯へ。
ところが、船から100メートルも歩かないうちに南西の風が吹き上がり、横殴りの大粒の雨。
急いで引き返しましたが、女房ともどもパンツまでびしょびしょ。
「気象予報士でしょ!!!しっかりしてくれなくちゃ」と膨れる女房。レーダーを見ておけばよかったのですが、出港する前とは
意気込みが違うと言い訳。
二人とも体を拭き終わったところで、雨は止み、綺麗な夕焼けまで見えてきました。
夕方の天気図をダウンロード。ついでにレーダーを見ると、大きな雨雲が抜けて、一時的に晴天域がひろがってきています。
無駄に洗濯物を増やしてしまった!!!大いに反省。

夕飯後、再び銭湯へ行ったところ、今日は定休日。余計バカなことになってしまいました。

明日も午前中は、激しい雨が降りそう。観光もままならず。一日読書かな?


7月16日(日) 石川県 金沢港 日和待ち
予報が変わってきて、梅雨前線がやや北上、新潟から東北にかけて雨の降っているところもありますが、北陸は
雨から晴れに。ただ、昨日の南西の名残で能登の波は2メートル。南西が日中やや強めに吹きそうです。
朝の天気図解析をしながら出港しようか迷いましたが、風は10メートルを超えると判断して、予定通り日和待ちに。
これが、30フィート以上の船での週末クルージングだったら絶対に出港するはずですが、ここはぐっとこらえて安全策。

朝食を終えて、アメダスをダウンロードしようとすると、どうも12ボルト電源の電圧が不安定になっているようです。
各部のチェック。バッテリーの電圧は、エンジン始動用バッテリー、ユーティリティー用バッテリーともに満充電。
回路を順にたどっていくと、どうやらコントロールパネルがくさい。
コントロールパネルを取り外し、各部の接触を確認していると、いつの間にか正常に復帰。
はっきりした原因が不明なのは心配なので、一応、コントロールパネルのシガレットソケットへバッテリーから直接バイパスする
ケーブルを敷設して、イザというときには、このバイパスを使うようにしました。作業時間1時間半。
これで万が一、バッテリーセパレーターが故障した場合にもコントロールパネルに直接給電が可能になるので、安心です。

一応、各電気機器の動作確認。・・・・・と、GPSがどうも電波を受信していない様子。ひょっとして、コントロールパネルの
作業中、アンテナケーブルを引っ張ってしまったかもしれません。予備のGPSアンテナに接続を変えると、無事受信開始。
多分、原因はコネクター内での断線と判断して、コネクターを予備のBNCコネクターに取り替え。作業15分。
無事、GPSは正常復帰。これで一安心です。でもBNCコネクター持っていて良かった・・・。
立て続けにトラブルシューティング2連発。

こんなことがあったので、一応、乾電池で動く、ハンディーGPSの動作を確認。しばらく使っていなかったので、電池が
終わっていたので、電池交換。そこで気づいたのが、前回使用してから450KM以上移動してしまっとこと。
ハンディーGPSは、5年前に購入したマゼランのメリディアン。最後に使用してから大きく移動した場合には、イニシャライズの
作業を行わなければなりません。取り説を取り出して、全て設定のやり直し。受信テストを行うと、30分も考えたままで
なかなか受信してくれません。ひょっとしてこいつ壊れたか?と思っていましたが、1時間後、突然受信を開始して、ほっと
させてくれました。バックアップ機器は、週に一度は火を入れる必要があると痛感。
それにしても今日は、トラブルシューティングの多い日・・・・。

そこへ、コインランドリーへ行っていた女房が帰艇。自転車を止めている女房の姿をみているとどうも変。
自転車の後ろのタイヤがパンクしているようです。空気入れで思いっきり空気を入れると、かすかに「シュー」という空気の漏れる
音。よく観察すると、タイヤにはしっかりとガラスの破片が突き刺さっていました。貴重な足が・・・・・・。
でもKasayan、出港前に100円ショップに行った時、なんのきなしにパンク修理セットを購入していたのです。
絶対に使わないな〜を思っていたのですが、まさか今日役立つとは!!!。
なにせ100円のセットなので、本当に修理ができるのか不安でしたが、取り説に従ってタイヤの空気を抜いてチューブを取り出し、
ゴムのりでパッチを当てて修理。プラスチックハンマーでチューブを叩きながら、昔、自転車屋のおじさんにパンク修理をしても
らったことを思い出しながら、手つきまで真似てみました。
15分後、見事修理完了。試験運転OK。本当に本当にトラブルシューティングの多い日。

今日は、出港しないように、GoldenWistaria号が引き止めているのかもしれません。
アメダスを見ると、能登で風速10メートル前後。

そこで、ここまで修理を重ねたならと、最近少々調子の悪いオート‐パイロットの修理をすることに。
このところ、オートパイロットを使っていると、使用開始から1時間以内に動作が停止してしまい、リセットで復活するものの、
1時間に一度同じ現象が起こるという問題が起こっていました。
勿論、予備のオートパイロットを持っているので、事なきを得ていますが、完全に故障してしまえば、バックアップが無くなって
しまいます。
まずは、故障の再現から。手でオートパイロットを持ち、左右に振り回すとアームが出入りしますが、今日は、なんと3分で現象発生。
さらには、リセットすると、本来30センチほどアームが伸びるところ、15センチしかアームが伸びてきません。
再びリセットすると、モーターが暴走してギギギという音を立ててアームが縮みました。
本当に壊れてしまった!!!!!。
しかたなくオートパイロットの蓋を空けて中を確認。各部の接触は異常無し。基板も錆びている様子はありません。
じっと眺めること30分。基板中の素子が正常と仮定して考えると(これは手が出ない)、モーターが暴走するということは、
ステッピングモーターの回転を検出する部分に異常をきたしている可能性大と判断。
モーターの後ろ側を見ると、減速ギアの横にフォトダイオードが取り付けてあり、ギアに貼られている反射板の反射をカウントする
ことでモータの回転回数を制御していることがわかりました。
そこで、反射板を綿棒で清掃。駆動用のゴムベルトから落ちたと思われる黒いホコリがたっぷり付着。
これでは、反射光をカウントできないはず。また、カウントしても時々エラーが出るはず。
蓋を閉めて、恐る恐る動作確認。・・・・・・・・・・・・・・・オートパイロットは再び賢く動きはじめました。
その昔、家電メーカーに勤めていた頃、生産技術部の友人がロボットを修理しているのを見ていたとき、なにげなしに
ステッピングモーターの仕組みを聞いていたことがこんなところで役立ちました。
このオートパイロット、実はマリーナのゴミ箱で拾ったもの。でも、ここまで1500マイル、Kasayanを連れてきてくれた大切な友人です。
悲しいおわかれにならなくてホッとしました。

しかし、本当に本当に本当にトラブルシューティングの多い日。ただ航海中でないことだけが幸いです。
現在5時。もうトラブルは無いでしょう。・・・・・・・もう終わりにして・・・・・・・・。

これから夕飯と銭湯。明日は、ようやく能登半島、福浦へ。
GoldenWistaria君!!!よろしくお願い申します。


7月17日(月) 石川県 金沢港 ⇒ 石川県 福浦港
昨日夕方の予報では、加賀、能登地方ともに午前中から雨が降る予想。GPVデータも午前中から石川県全域に
降水を予測していましたが、朝の計算結果を見ると、降水は午後へと遅くなっていました。
また、南西風の吹き上がりも、午前中から午後へ。
ならば、およそ30マイル。出港しないわけには行きません。
昼間でに入港を考え、急いで午前6時出港。

金沢港の長い西防波堤に沿って進路011度。このまま今日は変針点なし。ひたすらまっすぐ29マイル。
昨日修理したオートパイロットのスイッチオン。正常に動作しているばかりか、今までより保針性能が上がった気がします。
しめしめ・・・と思っていると、いきなり船の横を大きな背びれが追い越していきました。
サメ????と思っていると、いきなり巨大な物体が舷側をこすらんばかりの近さでジャンプ。
今航海初のイルカでした。ようやく会えたという感じ。キャビンの女房を呼んでしばしイルカの観察。
10分間ほどGoldenWistaria号の周りで遊んだ後、船尾で大きくジャンプしてさようなら。

風は南東の微風。南西が吹き上がらないうちに入港を考えているので仕方がありませんが、ちょうど良い風というものは
なかなか吹かないもの。今日もいつもの機帆走。すれ違う船もなく、能登半島西側の砂浜の海岸線にそってひたすら
北上。10年以上も前、この海岸線にある千里浜という浜辺を車で走ったことを思い出していました。
ちょうどヨットを始めた頃で、そのとき遠くをヨットが走っているのを見て、この綺麗な海をいつかは自分で走ってみたいと
思ったのですが、ついに夢実現。ちょっと胸にこみ上げるものがあるKasayanでした。

11時、大きな発電所を通り過ぎて福浦港口到着。右手に日本で一番古い木造灯台を見て、2本の導灯が一直線なるように
進路を調整して入港。左右には白波を上げる暗礁、可航幅70メートル。追っ手のうねりを受けながらやや緊張しながら入港。
この港は南湾、北湾とわかれていて、南湾のほうが「く」の字により深く良港になっています。まずは南湾に入港。
女房を漁協へ向かわせます。南湾は漁船が帰ってくるため停泊不可能とのこと。北湾を指示されてしまいました。
北湾は、うねりが入りやすいばかりか、停泊できるところがほとんど無し。槍付けできる所もないため、湾の入り口付近にある
作業船用岸壁に横付け。湾の入り口なので、うねりが入り、大きく船が上下します。
しかたないので、バウからアンカーを斜め前に打って船を岸壁から引き離して対処。
南湾には槍付けできる所もあるし、どう見ても留められるはず。昨年、この港に入港した方の情報でもこの港では、ヨットを
一番条件の悪いところへ停泊させるとのことだったのですが、これで理解。
何も無い所のようですが、3.5マイル先の富来漁港のほうが、停泊の条件はよさそうです。

ひとまず船を安定させてから、散策へ。昔、北前船で栄えた港らしく、立派な瓦屋根の大きな家が立ち並んでいます。
今では、すっかり寂れた漁村ですが、その昔の賑わいを想像することができました。

町並みと灯台意外は何も無い町。
明日、出港することができれば良いのですが、ちょっと微妙なところ。
ダメならせめて3.5マイル先の富来港(別名、西海)へ向かってみようと思います。


福浦港 北湾入り口の岸壁。うねりが入りアンカーで対処。
右上の灯台が、導灯。



7月18日(火) 石川県 福浦港 日和待ち
昨夜は、港に入るうねりがひどくて、まるでオーバーナイトの航海をしているようでした。
午前3時に目がさめて、舫いの点検。近くに落ちていた古タイヤを舫いの下にいれて、クッションに。
加えてアンカーロープを引き込んで、さらに岸壁から船を離し、舫いを緩めるとどうにか普通のアンカーリングと同じ
揺れになりました。目がさえたので、メールの返事書き。
港内でも南西の風が7〜8メートル。木が大きく揺れています。うねりもずいぶん入ってくるので港外の波は結構高そう。
海上保安庁の舳倉島(輪島の北)の通報では、風は6メートルしかありませんが、波は4メートル。うねり1メートル。
梅雨前線に吹き込む南風も侮れません。日より待ちを決めて午前5時再び眠りの底に。

8時過ぎに起きだして、散歩。今日は、名勝「能登金剛」の観光船も欠航のようで、入り江の奥に舫われたまま。
航海用の梅干入りのお弁当とお茶で朝食。

11時、女房と二人で、1キロほど先にある観光地「巌門」まで遠足。静かな山道を登っていくと、ここが海辺であることを
忘れてしまいます。
巌門は険しい岩肌に侵食でできた洞窟のある美しい海岸線。能登半島の一大観光地になっていて、ご多分に漏れず
みやげ物屋、レストランが5〜6軒、軒を連ねています。
平日でも観光バスが10台以上。みやげ物屋で試食の御菓子や海産物をつまみ食い。
昼時になりましたが、観光地料金で、食堂もやや高め。つつましく二人ともかつ丼の昼食。
展望食堂の窓から見る海は西からうねりと波が押し寄せていました。決して走れない海ではありませんが、多分Kasayan
のメガネはスプレーでワイパーが欲しくなる状態になることは確実。まあ、良しとするか。

帰り道、道端にワラビを発見。長野育ちのKasayanはワラビが好物。長野では5月末頃にワラビ取りをしていましたが、
7月末でも生えたての良いワラビがいたるところに顔を出していました。
二人で食べきれる分だけ採ろうと、一握りだけGET。
帰艇後、アク取りのために、灰が必要になったので、やむを得ず蚊取り線香の灰をまぶし、熱湯をかけてアク取り。
ワラビのおひたしは、今夜の副菜になるはずです。

明日は、いよいよ能登半島のテッペンの輪島へ。どうやら風波ともに収まってきそうです。
ただ、停泊場所についてはあまり恵まれていないとの情報が。
女房の鍛えぬかれた漁協拝み倒しの活躍が期待されます。



 

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