/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/航海日誌(12)/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 

【7月5日(水)〜7月11日(火)】

7月5日(水)  京都府 伊根港 ⇒ 福井県 小浜港
伊根の朝は、漁船のエンジンが時折きこえるだけで、静かそのもの。漁船のマナーも良く、港内徐行を励行。
引き波もなく、山から吹き降りる涼しい風にゆっくりと睡眠をとることができました。
伊根にもう一泊しようかなという気持ちもありましたが、残念ながら風呂についてはバスが必要。
しばらくぶりに、風呂、買い物の便利なところで休養しようと小浜にむけて6時15分出港。
迷路のような定置網を抜けて港外へ。定置網には漁船が横付けされていて、沢山の魚が水揚げされていました。

今朝は、北東の風。小浜にむけてはアビームの絶好の風。ワンポンのメインに、レギュラーほどに開いたジブで、
久しぶりにダイナミックな帆走。対水速度7ノット。シュシュシュと水を切る音がとても気持ちよく聞こえます。
このままだったら、4時間もしないで小浜だなといい気なことを考えていると、中間地点の毛島あたりから風が落ちて
やっぱり機帆走。まあ、半分だけでもセーリングできたので、良しとすることに。

・・・・・・・・・・・・・でもやっぱり良しとすることができないことが・・・・・・・・・・ふとスピードメーターを見ると、デジタルの
数字がカウントダウンするようにゆっくりと下がっていきます。まさか藻が・・・・。
スロットルをふかしたり戻したりしますが、一向にスピードは上がらず。むしろどんどん下がってついには4ノット前後。
覚悟を決めて、今度は一気に後進。バスッという音とともに、船尾には白い水の泡がもくもくと。
再び前進にすると、ついには3ノットしかスピードが出なくなりました。セーリングで進むにも風は微風。
このままじゃ夕方になってしまう。

仕方なしにセールダウン。海パンに履き替えて、腰に命綱。女房が心配そうに見守る中、久々の洋上水泳大会。
プロペラはすっかりマリモ状態。身体を濡れタオルで拭いて再び前進。

原子力発電所を右手にみて小浜湾に入ると、左手に小浜の町が見えてきました。ビルや巨大スーパーの看板が見える
結構大きな街。
11時入港。いつものように女房が漁協へ。お兄ちゃんがわざわざ外に出てきて、港内の場所を指示してくれましたが、
風向きや波まで考慮してくれて、もしよければと、保安庁と観光船がある別の船だまりもすすめてくれました。
漁協にしては(失礼)珍しく若い職員。女房の目からは、いままで見てきた漁協の中で一番若く、美男子との判定。
小浜の漁港にはジャニーズ系の親切な職員がいるのです。

一応、チェックのためにその船だまりへ。観光船や巡視船、釣り舟が停泊していて、隙間がなくウロウロしていると、釣り舟の
おっさんが、動かないイカ釣漁船に横抱きを指示してくれました。
同じ金毘羅さんの旗を揚げているよしみでしょうか?感謝。

今日は、珍しく、女房と二人で探検出発。風呂は日の出湯徒歩5分。
小浜は昔ながらの土蔵作りの町並みがそのまま残っている北前船の街。店ごとに古い看板が掲げられ、往時の賑わいが
想像できます。
風呂やの先には古くからの魚屋ばかり並んでいるアーケードの泉町。アーケードを抜けると、巨大な西友が。
食料の買出しをして、「ご自由にお持ちください」の氷をしこたまいただいて帰艇。

「今日のKasayan」を書いていると、観光船の船長がものめずらしさに来訪。
毎日、エンジンの音がうるさい船に乗っているので、ヨットに乗りたくてしかたがないとしみじみ。
こんな美しい若狭湾。是非ヨットをとお勧めしておきました。

夕方には、敦賀で原子力の仕事をしている大学時代の友人が訪ねてくる予定。
7年ぶりの再会。思いで深い小浜の夜になりそうです。


小浜港 イカ釣漁船に横抱き 後ろの日の丸が観光船


7月6日(木) 福井県 小浜港 日和待ち
台風3号は、発達のピークは過ぎたものの、懸念していたとおり進路をやや北よりに変えて関東、東海方面に
接近中。Kasayanとしては東海地方、特に静岡県上陸を予想して計画立案。
今日の若狭湾地方は、引き続き高気圧の圏内で真夏の天気。でも明日から風が向かいの北に変わって、夜には
確実に10メートルを越えてくるはず。さらに明後日には風が北西に変わって波高もかなり高くなる予想。
もし、今日、越前漁港に言ったとしても明日以降、2日間は間違えなく足止め。
越前漁港は、若狭湾入り口の外海に面している港。北東風には強そうですが、北西に変わるとかなりきつい。
防波堤一本で外海と面しているため、指示された停泊場所によってもかなり辛い思いをしそうです。
また、小浜に比べるとかなりの田舎。2日間足止めされるには風呂や買い物にもかなり不便。

思案の末、今日は、初めて、自主的な晴天の日和待ち。小浜で最低中3日の滞在をすることに決定。
現在停泊している船だまりは、南側に入り口があるため、南風意外は全てOK。たとえ波が入っても、奥には
小さな浜があって波を消してくれます。近くの観光船の船長も、この場所は、いつも台風対策をせずにそのままで
問題ないと太鼓判をおしてくれました。当初避難を考えていた若狭和田マリーナは北に一本の防波堤があるだけで
ちょっと不安。生活も不便なため避難候補からは却下。

また、このところ、走り通し、飲みとおしだったので身体と船のメンテナンスをすることにしました。

わずか10リットルですが、足場が良いので徒歩10分のスタンドで燃料を買い足して予備燃料も満タンに。
オイル、ベルト、PSS周り、リギン、全てチェック。
このところ、サボっていた週間の「今日のKasayan」をまとめてアップ。その間、女房は昨日目星をつけておいた美容院
へ行って髪をバッサリ。真夏に備えて結婚以来最もショートカットに。見てくれより実用本位にしたとのこと。
さらに、船内の大掃除と近くの公園の水道で、たまった洗濯物を全て処理。デッキは洗濯物とバースクッションでいっぱい。

午後からは、うだるような暑さから避難するために徒歩8分の小浜市立図書館へ。
フォーカスまで置いてある雑誌コーナーで新聞、雑誌を読んで、世の中の情報把握。
夕方涼しくなったころ、向かいの5階建ての西友で買い物。
食料品に加えて、網戸用の網購入490円也。バウハッチにかぶせてショックコードで固定し、地獄の蚊対策。

帰艇後、若狭湾の夕焼けを見ながら、久しぶりの焼肉と城崎で買っておいた地ビール「城崎ビール 海のビール」。
明日の増し舫いのとり方などを考えながら日没をぼんやりと眺めて一杯。

明日も日中は真夏の暑さ。台風のコースがさらに北上コースになっても良いように、万全の対策をして図書館に暑さから
避難予定。早々に風呂に入って、台風の実況監視になりそうです。

でも、今日発生した台風4号の動きが微妙。現在はほとんど停滞していますが、今後西に動くか東に動くか?
今朝の気象庁のコンピューターの計算結果、アジア高層では、4号を消滅させて梅雨前線と一緒にしています。
でも、3号との絡みで真東に流れると、それなりに発達した状態で3号をおいかける可能性も・・・。
3号のコースは見えてきましたが、これからは4号中心の計画になりそうです。


停泊地を南東から見たところ。右側に停泊しているのが見えるかな?


7月7日(金) 福井県 小浜港 日和待ち
台風3号の影響が若狭湾方面に出始めるのは、今夜、七夕の夜遅く。
昼間は、昨日同様真夏の暑さ。
まだ涼しい午前中にフェンダーをぎっしりと並べ、増し舫いをとって荒天準備完了。
昼頃から風向きが北よりに変わるも、微風のまま。

昼前、観光船の船長、機関長が再び来艇。特に機関長のヨットに対する興味が強く、キャビン内公開。
ヨットの本を沢山読んでいる様子。中古艇の購入費用、維持、操船について、歓談。

昼過ぎ、京都に在住の女房の叔母来艇。女房は一緒に近くへ外食に。Kasayanは船で留守番。
これからの航海計画の見直し。スムースに進むことができれば、今月中に青森到着可能との結論。
ただ、台風4号の影響で、さらに足止めを食えば、8月にもつれこむことは必至。
この際慌てず、日本海を楽しみながら前進し、荒天はひたすら日和待ちで耐える覚悟。

夕方、銭湯日の出湯まで。帰りに西友で半額シール食品を購入し、雲が多くなって涼しくなったキャビンで
一杯。温泉津で購入した地酒「開春」を飲みきる。


あ〜早く出港したい!!!!
でも、明日早朝から午前中は、15メートル前後の北風が吹き荒れるはず。さらに、明後日も台風の吹き返しの
北西の風がやや強く、波も2メートル前後。8日、9日もこのまま小浜で過ごし、10日にならなければ出港できない
可能性も強くなってきました。また、台風4号の動きがまったく定まらず、こいつの動向次第で、計画がまったく計画に
ならなくなります。どんなに便利な街でも3日もたてば飽きがくるもの。疲労も完全に回復して出港準備も万端。
今までで最長の中4日の日和待ちとなるか?

PS,母港、横浜ベイサイドマリーナは台風直撃。直撃を免れて若狭にいられるだけでもマシなのかも。
    関東地方、何事もないことを祈っています。

7月8日(土) 福井県 小浜港 日和待ち
深夜、12時、風が強まり、北風が次第に北西に回ってきました。それとともに、小さな船だまりの中でも波が立ち始め
GoldenWistaria号前後左右、上下に揺れています。デッキに出て舫いをもう一度確認。
そこへ、抱かせてもらっているイカ釣船の船長から携帯に電話。もし揺れて困るようだったら、深夜でも電話してきなさい
とのこと。ありがたいお言葉。感謝、感謝。後でお礼の電話をしたところ、実は深夜3時に見回りに来たとのこと。
しかし、Kasayan、朝5時まで熟睡。揺れる船の中で、完全に眠りに落ちていました。

目を覚まして船だまりの外を見ると、小浜湾で吹きたった風波が防波堤で垂直にくだけています。
西風もますます強まった様子。次に予定している越前漁港では、日本海で発生した波がそのまま打ち寄せていることでしょう。
この港で待機したのは正解だったようです。台風直撃でなくてもこれだけの揺れ。今後、直撃に遭遇したとき、いかなる港の
いかなる船だまりに避難すべきかを真剣に考えなくてはならないと痛感しました。
これからの台風シーズン、少々腰が引けているKasayanです。

午前中は、強風のため、キャビンに缶詰。女房は、引き続きバースで熟睡。Kasayanは、パソコンとハンディープリンターに
火を入れて、名刺の印刷。こうして船で旅をしていると、船を抱かせてもらったとき、漁協に許可を求めるとき、ヨットマンに
会ったとき、なにかしら名刺が必要になるもの。特に船を抱かせてもらったときには、その船が予定外の出港をする場合、留守に
していると困るので、名刺を事前に渡しておいて、イザというときは携帯に連絡してもらうようにお願いしています。
2時間ほどでYBCのフラッグをあしらった名刺完成。我ながら良い出来栄え。
さらに、これまでお世話になった方々にお礼の葉書を書いて昼寝。揺れる船中で眠りが浅いので、睡眠時間の長さで睡眠量を
稼ぎます。

夕方、風がやや落ちてきたので、歩きなれた小浜の町を散歩。福岡でお世話になったお天気キャスター(お天気おやじ)に
若狭名物「小鯛の笹漬、キスの笹漬」発送。今回も台風の情報をマメにメールしてもらっています。
これまた通いなれた日の出湯に浸かり帰艇。

今夜は、若狭名物「焼き鯖」で一杯。肉厚の鯖の丸焼きで、今まで食べていた鯖の塩焼きはいったいなんだったんだろうと
思うほどの美味さ。一本千円ほどもしますが、十分に価値のある一品。
小浜から京都までの街道は、「鯖街道」と呼ばれて、海の無い京都に海産物、特に塩鯖が運ばれたとのこと。
歴史ある小浜の鯖はやはり格別でした。

明日は、風も波も収まる方向。でも午前中は、多少なりとも波が残る可能性も。
実況を見てOKならばいよいよ越前漁港へ。小浜湾を出て波がきつければ引き返すつもりです。
ただ、心配なのは台風4号の動向。今のところ、この先4日ほどは、直接影響しないはず。
その間に天然の良港福浦港へ逃げ込むつもり。もう少し台風の速度がおそければ、能登半島をまわった能登小木まで進めればと
思っています。
台風4号、悩まし〜。


7月9日(日) 福井県 小浜港 ⇒ 福井県 越前港 小樟地区
台風4号の動きが見えてきました。午前3時の台風進路図では、台湾をかすめて、北朝鮮に向かう予想。
プログノ(コンピューターの予想天気図計算結果)を見ても、同様のコース。昨日からアジア高層天気図が示していた
台風進路ともほぼ同様のコースを取るようです。これは、かなり信頼できる進路と判断。
台風の勢力も北朝鮮を通過するころからかなり衰える様子。
進路と進行速度から考えて、福井県方面に影響を及ぼすのは明後日11日から。ちょうど春のメイストームもどきの
南風が吹き上がるパターンになりそうです。
小浜の停泊地はかなり良い場所ですが、南風が吹くと、抱かせてもらっている船に思い切り押し付けられ、横波を受けて
結構きつそう。この分なら2日かけて福井港に進み、そこで南風が止むのを待とうと決定。

午前6時40分3日ぶりに出港。かなり気に入った小浜の町に手を振って広い小浜湾の外へ。
原発を左に見て39度に変針。反対に、蘇洞門(そとも)と呼ばれる奇岩と洞窟の海岸線を右手に見て記念撮影。
台風3号の西風の名残のうねりが1メートル前後。風は北東1〜2メートルの真向かい。機帆走で前進。
ここからは、直線で若狭湾の東の角まで28マイル。

北東の風と、西風がぶつかって若狭湾奥に局地的な雨雲を作っているらしく、どんよりとした雲が若狭湾奥を覆って、
時折、小雨をぱらつかせます。オイルスキンを着てちょうど良い肌寒さ。

敦賀半島の原発が見えてくる頃からようやく青空が見え始め、風が北に回ってきたのでクローズでセーリング。
エンジン半開を足して対水速度6ノット。霞んで見えなかった越前岬がくっきりと見えてくると、もう越前漁港の前でした。
12時半入港。岩場の海岸に、人工的な5〜7メートルの高い防波堤を築いたうなぎの寝床のように細長い漁港でした。
細長い漁港の中を、入り口から半マイル程北上して、小樟地区の製氷所前に着岸。停泊位置の許可をもらおうとうろうろ
していると、家族連れの漁師さんがやってきて、対岸の古い底引漁船に横付けするように支持してくれました。
また、台風避難なら、越前漁港ではなく、福井の三国港をすすめてくれました。やはり台風3号の日和待ちを小浜にしたのは
正解だったようです。

船の点検を終え、女房と二人で探検。さすが越前蟹の本家らしく、蟹の売店、蟹を売り物にした民宿などが立ち並んでいますが、
どれも休業中。蟹のシーズンが終わって、夏の海水浴を前にちょうどシーズンオフのようです。

帰艇後、台風進路と予報の確認。朝3時に975hpaでしたが、午後3時には985hpaまで弱まっています。
台湾をかすめる最に衰弱したのかも。進路も朝と同様北朝鮮向け。また午後のプログノも同じコースを示しています。
二度同じ計算結果が出ているので、このコース、かなり確度が上がったといえそうです。
でも、明後日には南風が強まるはず。午後5時発表の気象庁予報も明後日から南風が強まると予想しています。

明日のうちに福井港にたどり着き、良いねぐらを探さなきゃ!!!!


大型の漁船に抱かせてもらいました。
漁船の向こうは巨大な防波堤。高さはマストと同じなので約10メートル。
これで、冬の大西風と波を防ぐのでしょう。こわ〜。

7月10日(月) 福井県 越前漁港 ⇒ 福井県 福井港 福井区
台風の来ぬ間に前進とばかりに、午前6時過ぎにはもう出港。
台風4号の進路は、確実に北朝鮮と決定しましたが、どうも進行速度が遅くなっているようです。
10日、11日は、平穏な日本海。12日には、南風が強まって、やや荒れ模様の日本海となりそうです。

とすれば、11日に金沢まで進むことができるのですが、金沢港は、建て前上、港湾局はプレジャーボートに対して
一切停泊許可をしない港。邪魔にならないところに静かに留めて、速やかに出港するのが港湾局に対する武士の
情けという、少々ややこしい事情があって、日和待ちは避けたいところ。
また、日和待ちをするにはかなり不便であるばかりでなく、港自体も決して良い港とはいえません。
そこで、決して良い港とはいえないまでも、確実に停泊可能で、日和待ちも可能な福井港(三国湊)まで進み、11日
の晴天を泣く泣く我慢して過ごし、12日に4号崩れの低気圧に吹き込む南風をしのいで出港する計画を立てました。

越前漁港の外には左右に大きな定置網があるので、注意しながら進み、越前岬へ。
昼間は山間に隠れて見えにくい灯台をバックに記念撮影。
越前岬までは、北からのうねりが1メートル前後ありましたが、岬を過ぎるとまったく鏡のような水面。
またまた絶好の機走日和。メインのみで回転数2700回転。対水速力6ノットをキープ。
逆らう潮もなく、見る見る鷹巣港を通り過ぎ、福井新港の石油備蓄基地のタンク群が見えてきました。

角島を過ぎて日本海に入ってから、これほどの人工構造物を見るのは初めて。
若狭湾の原発群は、入り江の奥に目立たぬよう、ひっそりと立っていましたが、綺麗な海岸線をいきなりなで斬りにしたような
タンク群は自然破壊の象徴のように見えました。

東尋坊の半島が見えてくるとともに、大きく海に突き出した福井新港と九頭竜川の河口港、三国港の防波堤2本が出現。
まず、九頭竜川をさかのぼり、三国港へ。川辺の草がひっきりなしに流れていてプロペラをバシバシたたきますが、
海草のようには巻きつきません。この港は、川岸が全て岸壁になっていて、川に沿って大型の底引き網漁船が並んでいます。
その間にようやく空間を見つけて、近くの漁師さんに一声。
停泊は問題ないのですが、南風にはまったく弱いとのこと。もし4号の南が強いようならば、この漁師さんも船を避難させる予定
とのことでした。腐っても台風4号。これから何をしでかすか?過剰なまでに心配性になっているKasayanは街の中心地が目の前
の便利な場所をあきらめ、以前、下田で会ったシングルハンダーと、富山のヨットマンから写真をいただいていた福井新港の船だまり
へ移動することにしました。(本当は11日に移動しても良かったのですが、良い場所を取っておきたいというあせりも)

福井新港は、埋め立てて作られた工業地帯の中の何も無い港。大型船が入港できるように作られていますが、工場予定地だけが
広がり、港には一隻の大型船も泊まっていません。多分税金の無駄遣いというやつでしょうか?
そんな港の一角に小さな船だまりがあって、どこでもご自由にとばかりに広々と岸壁が開いていました。
その中でも一番南風に強そうな船揚場の近くに横付け。

見渡すと、1キロ四方に民家や商店らしき建物は一軒も無く、勿論トイレも水道もありません。
折りたたみ自転車を出し、背中のリュックには蛇腹になった水タンクと短いホース、を入れて、めずらしくKasayanが探検へ。
真夏の日差しに気温は30度を越え、工業地帯に、ひたすらまっすぐに伸びるアスファルトの道路には逃げ水が光って見えます。
およそ2キロ先の工業区域の緩衝地帯になっている森の中に、ようやく水呑場を発見。
着ていたTシャツは汗でびしょびしょ。思わずシャツを脱ぎ、水洗いして全身を拭くKasayan。頭から水をかぶってようやく復活。
そこからおよそ300メートル先にコンビニ発見。今航海で44港目の港になりますが、最も不便な港。まさに砂漠。

地図で、停泊しそびれた三国港の町までの距離を確認したところおよそ4キロ。昨日越前港で風呂に入れなかったので、
女房のため、清水の舞台から飛び降りたつもりでタクシーを呼び、ゆーぽーと三国へ。タクシー代なんと2000円。
ゆーぽーと三国は公営の温泉で500円也。展望風呂からは九頭竜川の河口が一望、日本海の落日を見ながらゆったりと温泉
につかることができました。でも二人で3000円の風呂になってしまい少々後悔。当座の食料を買い足していざ帰艇の段になると
夫婦どちらともなく、「帰りは日も落ちたことだし歩こうか・・・」ということになって、延々6キロの道を歩いて帰ることに。
でも九頭竜川にかかる鉄橋から見た夕映えの三国港の美しさは、徒歩ならではのものでした。

今夜は、小浜で買っておいた小鯛の笹漬と真イカの刺身。ささやかな夕食そして休肝日。

明日も真夏の暑さと弱い南風。思い切って金沢まで行っちまえという気持ちもあるのですが、停泊で面倒な思いをしたくないので
ここ、福井の大砂漠の真中で一日を有意義に過ごしてみたいと思います。


九頭竜川にかかる橋から夕焼けの河口を望む。右川岸が三国漁港。
川沿いには、地元のヨットが沖がかりで停泊。


7月11日(火) 福井県 福井港 三国区へ移動 日和待ち

プログノという天気予報の元になるコンピューターの計算結果は、ますます台風4号の影響を弱めて計算。
福井県嶺北地方の風の予報は、南の強風についてはかなりのトーンダウン。ただ、石川県の加賀地方については
「〜の風強く」を「〜の風やや強く」に下げてきたものの相変わらず波高は明日12日の後半から2.5メートルとしています。
さらに能登地方については、南西風と西風について「強く」ではないにしろ「共にやや強く」。
気象庁のスーパーコンピューターによる沿岸波浪モデルという優れものの波高計算結果を見ると、台風4号崩れの
低気圧が日本海北部を東進するにつれて、高波高域も東進すると予想しています。

低気圧に吹き込む南西風とそれに伴う風波が主になるため、福井県嶺北は越前岬が防波堤の役割をして穏やか。
一方、石川県加賀地方の北東に伸びる長い砂浜の海岸線に沿って北上するに従って、低気圧に近づき、風が強まり、
波高が高くなるということを示しています。特に金沢より北側、能登半島の西岸は長い風走距離による3メートル前後の波が
西から押し寄せるはず。
金沢まではなんとか進めるという状況は変わりませんが、金沢停泊を一泊のみに収めたいKasayanとしては、ホップ、ステップで
能登半島福浦を目指すため、ここ福井で絶対のチャンスをうかがう計画を続行することにしました。
ちょっと心配しすぎかもしれませんが、まだまだ先は長い。万が一の危険性でも排除するつもり。

とはいっても、福井の状況が良くなってきたので、思い切り不便な砂漠の港、福井新港にはもうなんの用もありません。
午前11時の予報と実況天気図で状況の最終確認をして、昨日、目処をつけておいた九頭竜川河口の三国港へ移動。
40分ほどで、到着。バウから川上に向かってアンカーを打ち、川沿いの岸壁に横付け。
アンカーの効果で岸壁から50センチははなれているので、頻繁に通る漁船の引き波でも岸壁に打ち付けられる心配は
ありません。また、万が一、南が強まってもほぼ心配無用。15メートルまでなら安泰です。

目の前10メートルにはガソリンスタンド。10リットルのポリタンに給油をして、水を30リットル汲ませてもらいました。
そして、昨日は徒歩のため十分に見ることの出来なかった町を、今度は自転車で探検。
三国港駅まで自転車で3分。巨大ショッピングセンターまで8分。大きな本屋、DIYの店まで併設。
調子が悪くなってきた燃料用のパフパフポンプ購入98円也。
昨日とは打って変わって、わずか40分で、福井は、今まででトップレベルの便利な港に変身しました。
ちなみに東尋坊までは4キロですから歩いて観光も可能。

帰艇後、今度は女房が自転車で探検へ。大きなコインランドリーを発見。自転車で8分。(ハローワーク三国の前)

昨日は、わざわざタクシーで行った三国温泉「ゆーぽーと三国」へは徒歩10分。(水曜定休なるも銭湯が2軒もある)
風呂上りに展望ロビーでゆったりと日本海の夕暮れを堪能。夕日が沈むに連れて、空の色が刻々と変化し、
やがて暗闇が海を覆う頃、イカ釣漁船の漁火が一個、また一個と灯りはじめるのを二人でじっと眺めていました。

女房が「ここならしばらく住んでもいいね」
でも14日には中3日で出港したいKasayanです。

 
砂漠の福井新港                            打って変わって別天地 三国港 九頭竜川河口港の夕暮れ




 

航海日誌週別目次に戻る

 

表紙に戻る