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【6月21日(水)〜6月27日(火)】

6月21日(水)  山口県 江崎港 日和待ち
昨夜の予報どおり、梅雨前線上を低気圧が北東進。朝5時に目を覚ますとデッキをたたく大粒の雨音。
こりゃ絶対日和待ちと確信して再び眠りの底へ。

8時起床。雨は霧雨。納豆で朝ご飯を食べて、歩いて5分の床屋へ。2ヶ月ぶりに散髪して梅雨の日本海を
さわやかに過ごしたいと考えた故。
見るからに店の造りは昭和30年代。中へ入ると腰の曲がったお爺さんとお婆さん。どうやらこのお爺さんが
店の主人のようです。
中の造りも昭和30年代の懐かしさ。昔ながらの手動の床屋用の椅子に腰掛けて散髪開始。
はさみを持って、非常にゆっくりとKasayanの前髪を切る爺さんの手はブルブルと振るえていてちょっとドキドキ。
今まで経験した床屋さんのスピードの約4分の一のスピードで無事前髪カット終了。ホッと一息。
するとおもむろに電気バリカンを取り出して、ザクリザクリ。普通、髪を切る前に「長さは?」とか「どんな髪型にしますか?」
などと聞かれるものですが、お爺さんは、いっさいお構いなしにバリカンを振り回すのみ。

「見かけねえ顔だけど、どっから?」の質問に「横浜からヨットできたんですけど・・・」
お爺さん、突然マシンガンのように話し出し、自分は80歳を超えていること、江崎の港は、爺さんが子供のころ、
汽帆船がよく入港してそれは賑やかだったこと、浜田にも萩にも芸者はいなかったが、江崎の港には芸者の置屋が
三軒もあって人力車で汽帆船の乗組員が日和待ちをしている宿屋に呼ばれていったこと、そして、港が寂れていったこと。
しみじみと語って聞かせてくれました。Kasayanも珍しい話に、しみじみ聞き入ってしまいました。

・・・・・・・・と、気が付くと、Kasayanの頭部側面は全て刈り上げ状態。刈り上げ頭は小学生の時以来。
爺さん、この漁師カットしかできないのかも・・・と思いましたが後の祭り。
まあ、めったに聞くことのできない大正時代の日本海の様子を聞くことができたので、これも記念としますか。

髭剃りのかみそりで喉を切られることもなく無事散髪終了。
「気をつけてな!!!」の言葉に送り出されるKasayanでした。

午後からは雨の中、傘をさして徒歩20分の「田万川温泉 憩いの湯」へ。400円で露天風呂や泡風呂につかり
座敷でゴロリ。外は南西の風が吹き出したようです。

午後5時の予報は、「南西の風やや強く、朝のうちから雨」。天気図を見ても江崎の北側には梅雨前線が「へ」の字をして
停滞。明日もしっかりとした雨が降ってしまいそうです。
風は南西なので追い風。この際、雨の中を帆走するかとも考えましたが、技量の無いKasayanですから無理は禁物。
いつか「おれたちゃヨットマンだから雨天決行」と言ってクルージングにでかけた仲間の言葉を思い出していました。
(ちなみにこの仲間、「ヨットはエンジンだ!!!」と豪語する人の良いオヤジです)
Kasayanはヨットマンじゃないのかな・・・・・。そうです、わたしはヨットオタクです。


江崎港の停泊場所(昨日撮影) 
左の橋は「江崎大漁橋」

6月22日(木) 山口県 江崎港 日和待ち
今朝も、デッキをたたく雨音で目を覚ましました。風は弱いのですが、ここまで大粒の雨だとためらわずに日和待ち
を決定できます。午前中いっぱいキャビンでゴロゴロ。女房は、手紙を書いたり、家計簿をつけたり、床のほうきがけしたり
こまめに動いていますが、Kasayanは週間の天気図を見ながらため息ばかり。アジア高層72時間、96時間の天気図を
ダウンロードしてみますが、どんなに自分に都合よく解釈しても「みごとな梅雨」。
昨年、広島で大雨があったときの忙しかった日々を思い出していました。また、一昨年の那須の大雨も。
天気予報の教科書を出して梅雨の項目を読み直すと、梅雨の大雨の例として、島根県の浜田の大雨が出ていました。
よりによって次に入港しようとしている港が大雨の例になっているなんて・・・・。またまたため息。

そんなKasayanに女房はエイひれの一夜干しを焼いてくれ、ウィスキーのお湯割をすすめてくれました。

昼過ぎ、雨が霧雨になったので、岬ひとつ西にある須佐の港を見に行こうと思い、江崎の駅へ。
須佐も江崎同様、昔、北前船がよく入港した歴史ある港。一昨日、沖を通過したのでちょっと見てみたい気持ちに。
江崎の駅までは徒歩20分。途中で、また雨が強くなり、足元はびしょびしょ。まったくついていない・・・。
江崎駅に到着すると5分前に長門行きの列車(ワンマンカー)が出たばかり。次の列車は2時間後。またまたついてない・・・。
しかたなく、バスに乗ろうと国道まで歩いて行くと、バス停まで2分のところでバスが国道を通過。次のバスは3時間後。
またまたまたまたついていない・・・。

これは、きっと神様が須佐へ行くなといっているんだな・・・と思うことにして、昨日同様町営「田万川温泉憩いの湯」へ。
のんびりと露天風呂から雨雲を眺めていると、上空では南西の風が吹いているらしく雲が流れていきます。
この風で晴れていたら・・・いや、せめて曇りならば・・・。
少々のぼせ気味になったので、40畳ほどもある和室で昼寝。

船への帰りに魚屋でアマダイの刺身購入。氷までつけてもらったので、冷蔵庫の冷却能力倍増。
今夜はこれで一杯やるとしますか。

午後5時の予報では、島根県西部「南西の風一時やや強く曇り時々雨、所により雷を伴う」
FSASという明日朝9時の予想天気図を見ると、梅雨前線は日本海上に北上して江崎や浜田は梅雨前線の南側。気象庁予報では
前線に吹き込む南西風が一時的に強くなることを予想しているはず。念のため22日、午後3時の実況天気図を見るとまだ梅雨前線は
瀬戸内海あたり。今夜、前線が頭上を通過して北上。このタイミングだけの強風ならば明日日中、弱い雨があっても浜田まで
行くことができるかもしれません。明日朝5時に実況天気図とアメダスで出港の可否を判断する価値がありそう。
明日は4時起床。・・・・・・・・・・でも今日はついていないので、明日朝がっくりしないように・・・期待しない、期待しない・・・・。


港の真中にある六角堂横にある気象警報が出たときに旗を
揚げるための旗ざおの石。昔から漁師さんはこの旗を見て
出港していったのでしょう。ちょっと珍しかったので。


6月23日(金) 山口県 江崎港 日和待ち
夜中に蒸し暑さで目を覚ますとまだ0時半。外は無風。コクピットで涼んでいると、大粒の雨がポツポツ。
寝着かれないので、レーダーアメダス合成図とアメダス降水量、風向風速、22日午後9時ASAS(実況天気図)
をダウンロード。梅雨前線はすでに頭上を通り越して日本海へ。南から湿った空気がどんどん流れ込んできている
ようです。また、梅雨前線に周辺には強い雨雲のエコー。特に南風がぶつかる中国山地では20ミリ前後の降水に
なっています。ただ、日本海沿岸部では1ミリ前後と弱い雨。さらに前線が北上して浜田周辺が雨のエアーポケットに
なることを期待して再び就寝。

それでも午前4時に起床。今度は、昨日午後9時の観測に基づくプログノと呼ばれるコンピューターの計算結果を
ダウンロード。中国地方は広い範囲で不安定な降水領域。でもレーダーを見ると、雨域は中国山地付近だけで
その雨域も次第に東へ移っています。風も浜田沿岸部では北の梅雨前線に沿って、南西5メートルから7メートル。
こりゃ出港できるかもしれないと思い、7時まで様子を見て決断をすることに。
念のため、電話代をかえりみず今航海初のひまわり水蒸気画像と赤外画像をダウンロード。
水蒸気は中国地方を避けて対馬海峡から日本海にそのまま流れ込んでいる様子。

ちなみに午前5時発表島根県西部の気象庁予報は、「南西の風一時やや強くのち西の風曇り時々雨、所によって
雷を伴う」。雷雨になるのは中国山地で沿岸部では問題なしと考えられそう。
すっかり出港準備をして7時のアメダスを取ろうとした瞬間、江崎港周辺の山頂に黒い雲が顔を出し、南西の強烈な
ブロー。一気に船は岸壁に押し付けられました。
ありゃりゃと思い急遽レーダーをダウンロード。なんと江崎周辺に急激に雨雲が発生してきているようです。
恐るべし、不安定な大気。
これですっかり腰が引けてしまったKasayan。沖でこの雲とブローに遭うことだけは御免。

女房の、「こりゃ、出るなってことだね。ちょうど決断の7時に吹くなんて・・・・」の言葉に同意して本日の予定は
津和野へ行くことになりました。
実は、長野出身のKasayanの祖祖父(ひいおじいさん)は島根県津和野の出身で、津和野に分骨したお墓があるのです。
「雨にたたられるのも、お参りしに来いということかもしれん」。

江崎から益田までワンマンカーのディーゼルカーに乗り、益田で乗り換えて津和野まで。乗り換えさえよければ1時間なのですが
あいにくのローカル線。3時間もかかって津和野へ。観光はそこそこにまずは墓参り。
墓参りが終わったとたん、まるでシャワーのような雨が降り出しました。
森鴎外の旧宅と記念館を訪ね、津和野名物鯉料理を賞味。

帰り道、益田で列車の待ち合わせに万作(シイラ)の刺身を購入。
津和野の地酒「初陣」(ワンカップ180円なり)で今夜は一杯やる予定。

帰艇後はすぐに天気図解析。梅雨前線は再び中国山地上空まで南下。日本海沿岸は今日より少々マシになるかも。
わざわざ横浜からヨットで墓参りしたので、あの世のひい爺さんにがんばってもらって天気持たせてもらいたいものです。

 
江崎の駅  駅の先は単線(これでも山陰本線)         夕食の食卓、 女房と来て良かったと思う瞬間(少々ヨイショ)

6月24日(土) 山口県 江崎港 ⇒ 島根県 浜田港
すでに日和待ち3日。中3日の休みを取るのは静岡の下田以来のこと。今日、出港しなければ新記録になってしまいます。
そんな思いもあって午前4時起床。まず外を見ると、相変わらず、どんよりとした雲が空一面を覆っています。
次にレーダーをダウンロード。強い雨雲は九州方面のみ。昨日の予想天気図どおり梅雨前線は一時的に南下しているようです。
さらにアメダス風向風速ダウンロード。益田方面で南西が7メートル吹いているほかは微風のみ。
・・・・・・・・・7時までに出発!!!!決定!!!!。
お茶漬けで昨夜の残りご飯をかきこみ、6時エンジン始動。コクピットは昨夜の雨でびしょびしょなので、カッパのズボンを履いて
舫いを解き6時45分出港。やっぱり船は走らなくっちゃ。

奥深い江崎の入り江を暗礁に気をつけながら外へ。海も空も灰色で今にも雨が降り出しそうですが、浜田へ定針。
浜田沖まで、ひたすら20マイル、直線で走るのみ。昨日、山陰本線の窓から見えた浜を今日は沖合い4マイルから眺めます。
益田沖、9時通過。三隅の火力発電所の煙突が見えますが、なかなか近づかないのにイライラ。
すると、予報に反して北風が。約1メートルから2メートルの微風。ジブを開きますが、帆走2.5ノット。
エンジンを半開にして対水速度5.5ノット。

遠くに見える中国山地からゆっくりと雨雲が北側にせり出してくるのが見えます。雨が降り出す前に浜田に着かなくちゃ。
と思いきや、バスッという音が船底から。後ろを見ると、引き波の中に大きな藻の塊が浮かんでいます。
やった!!!!スピードメーターを見ると、見る見る速力が落ちて5ノット以下。
プロペラを停止させ、ゆっくりと逆転、正転を繰り返します。そして、再び前進で常用回転数2800回転。
通常より1ノットほど遅くなっていますが、それでも、帆走で手助けをして5.3ノットは出ています。
このまま浜田まで行って、潜ることに。

11時半、浜田沖到着。風は弱いのに波が悪い。北からの弱いうねりに乗りながら入港。
新しくできた吊橋をくぐって浜田港の一番北側にある瀬戸ケ島と本土の間にある入り江にスターンアンカー、バウ舫い。
まわりには大きな電球をぶら下げたイカ釣漁船が並んでいました。

片付けを終えて10分ほどでにわか雨。ぎりぎりセーフ。でも30分ほどで再び曇り空。

早速、水泳。プロペラが団子状態。これでよく走れたものだと思うほどの量。
ついでに汚れた水線の上をスポンジでこすってGoldenWistaria号をいたわりました。
ビニール袋に水を入れて太陽光で暖める、簡易シャワー(でも中身は冷たい水)で塩を落として街の探検へ。
歩いて5分に電気量販店、CD−R媒体購入。さらに2分で大型ショッピングセンター。蛸のたたきにアマダイの一夜干し購入。

船に帰ると隣のイカ釣漁船の漁師さんからいつもの「何処から来た?どこへ?」。
江崎でも聞いたのですが、やはり浜田でも今年はイカがまったくとれないとのこと。
プランクトンが少ないといわしが来ない。いわしが来ないとイカも来ない。イカが来ないとブリが来ない。全てダメということ
を教えてもらいました。
また、後継者がいなくて、夜のイカ釣は初老のおっさん一人で出漁するとのこと。
目の前にある水産高校の生徒も大半は船に乗らずサラリーマンになるとぼやいていました。
自動イカ釣機を操作してたった一人で夜の日本海に明かりを照らしイカを釣る漁師のたくましさに感動。
そのたくましさと技量のすこしでも見習いたいと思いました。

明日も梅雨前線はやや南に下がったまま。運がよければ、温泉津まで行くことができそうです。
でもこの季節は直前まで安心はできません。朝5時の予報で最終判断するといたします。


浜田港 遠くに見えるのは昨年できた吊り橋

6月25日(日) 島根県 浜田港 ⇒ 島根県 温泉津港
昨日は、3日ぶりに走ることができたのですが、朝の気象庁予報は、くもり所により一時雨。浜田の朝は、どんよりと
した雲に覆われて、周囲の山は靄に姿を隠していました。
とはいっても気象レーダーでは中国地方に雨雲なし。アメダス風向風速を見ると、梅雨のお決まり北東の風3メートル前後。
真向かいの風になりますが、梅雨時の数少ない出港チャンス。

6時35分、抜錨。海底は砂だったらしく、しっかりとアンカーが効いていましたがアンカーロープに砂がついていてシートバックが
砂だらけ。
出来たばかりの吊り橋の下でセールを揚げて港外へ。
アメダスどおり北東の風と波。昨日同様、浜田港外の波が悪く、1時間ほど風上に向かって機帆走。
少々、波が良くなったところで、ジブを開いてクローズで帆走。
真向かいなのでタック、タック。
冷たく湿った北東風にどんよりとした雲。カッパのズボンとウィンドブレーカーを着ていても寒い。
女房に熱いコーヒーを入れてもらいました。

コーヒーのコップを返そうとして、キャビンを見ると、タオルを振り回してハエを追いかけている女房の姿。
「買い置きのキンチョールをつかえば」に、「暇つぶしに、あえてハエを追いかけているんだ」とのこと。
女房は、ここぞという絶景にコンパニオンウェイから顔を出すだけで、航海中のほとんどをキャビン内で過ごしていますが、
キャビンライフもプロの域に達したようです。

大きな煙突のある江津を過ぎたころから風が落ち始め、岸辺の山々には不穏な雲が。ジブを畳んで、再びメインのみの機帆走。
温泉津沖到着11時前。温泉津港の入り口で目印になるものは白い灯台一つ。単調な丘陵の間に狭い裂け目があって
その奥に漁港があります。今でこそGPSがあって港の入り口を確認できますが、はるか北前船の時代には、この裂け目
周辺の地形や、特徴ある岩をしっかりと覚えていなければ簡単には入港できない港だったことでしょう。
この秘密基地のような港は、江崎同様、深い入り江で天然の良港。北西から一直線に入り込んでいるため、一見、北西風
が吹く時には波が入りそうですが、入り江の中にはジグザグに防波堤が作られていて、対策は万全。
また、最奥は浜になっていて波を綺麗に消してくれそうです。

いつものように女房だけを下ろし、漁協へ停泊許可をもらいに走らせました。そして、帰ってきた女房は頭上に手で○マーク。
漁協南側の最も穏やかな岸壁にスターンアンカー、バウ舫いで停泊。

早速、街の探検へ。温泉津は名前の通り、温泉街。ひなびた温泉宿が狭い路地にそって十数軒並んでいます。
温泉銭湯も「元湯温泉」、「藤の湯」と2軒もあって、どちらも入浴料200円也。鉄分が多く、赤い色をした熱い温泉でした。

また、温泉津駅方面には造り酒屋があって、地酒「開春」があります。奮発して生酒460円購入。
残念ながら地元の手作りの蒲鉾屋は日曜日で休業。

入浴と買い物を終えて船に帰るころには海上を中心に青空が見え初めていました。
どこまで晴れたのか確認のためアメダス日照を見ると、島根県の日本海側だけが晴れ。あすもこうなら良いのですが。

夕食後、ほろ酔い加減で明日の天気図解析。
パソコンの電源を入れましたが、どうせ計算結果の変化が大きいので解析は明日の朝にまかせて、気象庁予報のみダウンロード。
「くもり時々雨」・・・・・・・また、天気下り坂。
明日、朝に期待を持って、天気よければ日御碕を越えて鷺浦まで、だめなら出雲大社のある大社港まで進むつもりです。
・・・が日和待ちだったら、また温泉につかればいいや。

 
温泉津港の入り口はまったく分からない。秘密基地。       温泉津温泉の中心街。古い町並みがなかなか渋い。


6月26日(月) 島根県 温泉津港 日和待ち
やってしまった2回目の空振り。雨の降り出し4時間遅れで、出港できたのに・・・・・・・・・・・・・。
梅雨の数少ないチャンスをみすみす見逃して、おもいっきり落ち込むKasayanです。

今日、梅雨前線が北上して、まとまった雨が降るか否かの状況に、4時過ぎ起床。
まずは、気象レーダーをダウンロードして雨雲の様子を確認。
対馬上空に、強力な雨雲があって東進中。こいつが昨日計算されていた雨雲。あとは、この雨雲がKasayanの
北東進に追いつくスピードかを判断しなければなりません。最新のプログノをダウンロード。
微妙ですが、お昼前後に目的地へ到着すれば雨にも雨に伴う風にもたたられずに航海できそうです。
出港可能性70パーセントで、航海用の服(ただのボロ)に着替えました。
そして、5時の予報と一緒に再びレーダーをダウンロード。4時の時点より約20マイルほど雨域が東へ進んでいます。
「ひょっとして雨雲に追いつかれるかもしれん」
気象庁予報では、島根県西部では昼前、東部では昼過ぎから雨で一時強く降るとの予報。
風も南東の風後南西の風で一時やや強くとなっています。
運悪く雨雲に追いつかれた瞬間には、可能性は低くともそこそこの突風もあるかもしれません。
今日は、一つの難所である日御碕越えも控えているので、やや腰が引け始めたKasayan。鷺浦をあきらめ大社港か?
明日の予報では、低気圧の東進にともなって南西の風が強まりそう。そうなると、波に弱く、なおかつ西に港口が開けている
大社港での日和待ちはかなりきつくなりそうです。過去の航海者の情報でも、外港に停泊しなくてはならず、ただでさえ
引き波のきつい港とのこと。

躊躇している間に時間は6時。もう一度だけレーダーをダウンロード。さらに20マイルほど雨雲は東へ進んでいます。
Kasayanは、江崎で話しをした漁師の言葉を思い出していました。
「船は、基本さえ守っていれば、道路で一本の線を境にして走っている車より全然安全。迷ったときには待つ。そうすりゃ
事故はないけ。待てば海路の日和有りちゅーだろ」
迷いに迷っているKasayan。ということは待つほうを選択するしかないだろう!!!!!。
すっかり出港モードになっている女房に日和待ち宣言。

午前中、ラジオを聞きながら読書。ラジオでは島根県地方に大雨に関する情報が出たと伝えています。
ふむふむとうなずくKasayan。でも念のため昼にレーダーをダウンロード。
ありゃ????。雨雲は、山口と島根の県境でバラけてしまって東へ広がる速度が急激に落ちています。
アメダスの日照を見ると、島根県の日本海沿岸部だけは見事に晴れ。風もいたって穏やか。
そんな・・・。絶対に降るはず。
と思いつつ、温泉津駅まで散歩。途中で小雨がぱらつき始め、女房にニッコリするKasayan。
でも船に帰るころには雨は止み、太陽が姿を見せる始末。

ようやく午後4時過ぎ。申し訳なさそうに弱い雨が降り出しました。
これだったら絶対に出港できた!!!!
今航海空振り2回目。梅雨の雨雲と風の判断は難しい!!!。まだまだ未熟です。

今日はこれから昨日とは別の元湯という温泉に浸かって、ふやけた体をまたふやけさせようと思います。
明日は前線上に低気圧ができて日本海東進。沿岸波浪図を見ても、低気圧周辺は波高2メートル。
このままじゃもう一日温泉津か????でも大丈夫、さらに徒歩10分に小浜温泉という温泉があるのです。
そして、目の前にはちいさな蒲鉾工場があって出来たての暖かい蒲鉾を買うことができます。
温泉に浸かって出来たての蒲鉾でビール。
いやいや、実況と予報の兼ねあいをもっと勉強しなくっちゃ・・・・・・・・でも誘惑に負けそう。


昔、北前船が着いた温泉津の古い町並み。
廻船問屋と思わしき古い土蔵造りの家々が立ち並んでいます。

6月27日(火) 島根県 温泉津港 日和待ち

梅雨前線が本州上をまるで竜のようにのたうっています。
この竜に翻弄されるKasayanですが、今日の温泉津港は漁船が一隻も出港していません。
勿論GoldenWistaria号もスターンアンカーをしっかりと効かせて日和待ち。

朝はデッキをたたく大きな雨音で目をさましました。レーダーアメダスを見ると、梅雨前線の雲は日本海に北上中。
南風が次第に強まってきまたようです。
8時に朝ご飯。広島県御手洗港で購入しておいた「そばめし」。兵庫名物らしいのですが、焼きそばと冷や飯を一緒に
ソース味で炒めるというなんともユニークな食べ物。でもこれが結構イケル。

9時過ぎに雨が止んだので腹ごなしに散歩。
以前、切り抜いておいたクルージングワールド誌によれば、温泉津の入り江の入り口から北東に切れ込んだ日村浦に、
ヨット自作のベテラン宇谷さんという方がおられるとのこと。およそ5分でたどり着きましたが、それらしいハードドジャーの
取り付けられたヨットが舫われているだけで人の気配がありませんでした。

また、このあたりの防波堤には、「集団密航防止、あやしい人、車、船を見たら110番」という看板やのぼりが多く見られます。
つい数ヶ月前、ここ温泉津港で、北朝鮮からの覚醒剤の密輸船がつかまったニュースを見ましたが、地図を見ても、朝鮮半島は
目と鼻の先。たしか不審船の追いかけっこがあったのもこのあたりだったはず。
あらためて、西の国境の海なのだと実感しました。
確かに、日本海に入ってから、ラジオでは日本の放送局とまったく同じ強さで韓国語の放送が受信できます。

でも、現在、この港で一番怪しいのはKasayanだったりして。

日中も小雨が降ったり止んだり。一旦北上した梅雨前線が再び南下する前の小康状態のようです。
トビウオのさつま揚げ入りうどんで軽い昼食。食べることしか楽しみがない。
11時発表の気象庁予報では、明日は朝の内からくもりのち晴れ。
天気回復のタイミングが今のところ明日の朝になるらしい。でも計算結果が不安定なので、まだまだ安心できません。
夕方までには再び雨が強まりそうなので温泉へ。
47度の鉄分を含んだ熱湯風呂。「2分以上浸かると危険」と書かれている浴槽に5分浸かりすっかりユデダコになって帰艇。
再び強い雨が降り出してきました。前線はまたまた南下を始めたようです。

女房にウチワであおいでもらいながら5時の予報をダウンロード。
11時の予報よりも回復が遅れて午前中は雨の予報。回復は昼前後。
やっぱりな・・・・・・・・・・と思いましたが、レーダーアメダスを見ると、明日の朝のどんでん返しもありそうな気配。
明日朝に期待して寝るとします。

PS、明日28日は、5時〜8時まで3時間サーバーメンテナンスがあってこのHPの更新、閲覧ができなくなるようです。
  無事3時間で終了すればよいのですが、前回のメンテナンスでは、トラブルが発生して予定より12時間復旧が遅れました。
  場合によっては、明日いっぱい「今日のKasayan」が更新、閲覧できなくなるかも知れませんので、その時はご勘弁を。




 

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