食虫植物 FAQ 日本語版

質問サラセニアの交配種とは?

S. x moorei
サ、ムーレイ
回答  さて、全ての種の解説を聞いてもらったところで、更に複雑なお話をさせて下さい。
 サラセニアの全ての種は、交配可能です。そして交配種は結実可能です。(何ですって? それらがすべてひとつの種であるという意味ですか? いや、あなたは過度に制限された“生物学的な種の概念”を用いていますね。それは植物よりもむしろ動物に適したものです。)
 原種間の交配種は、通常、両親の中間的な形態をしています。

 天然の交配種は多数あります。これは驚くべきことではありません。同じ場所に複数の種が自生していることがしばしばあるからです。
 植物学者にとっては、このような自然交配種に学名を付けて記載することは普通なことです。それは、意図的あるいは新種と間違えないように行われます。
 以下に全ての交配種の名前を挙げておきます。交配種と原種とは、“×” という記号がついているかついていないかで区別できます。
 たとえば、サラセニア フラバ (S. flava) と プルプレア (S. purpurea) との交配種は、サラセニア フラバ x プルプレア (S. flava x purpurea) と表示され、サラセニア × カテスバエイ (S. x catesbaei) と呼ばれることもあります。単に、サラセニア カテスバエイ (S. catesbaei) と表示されることもあります。

 サラセニアの原種、アラタ (S. alata)、フラバ (S. flava)、レウコフィラ (S. leucophylla)、ミノール (S. minor)、プシタシナ (S. psittacina)、そして プルプレア (S. purpurea) の自生範囲は部分的に重なっています。
 それらの交配種の多くには学名が付けられています。それを挙げると以下のようになります。

サラセニア アラタ x フラバ (S. flava)  ---
(S. alata) x レウコフィラ (S. leucophylla)  = × アレオラータ (S. x areolata)
  x ミノール (S. minor)  ---
  x プシタシナ (S. psittacina)  ---
  x プルプレア (S. purpurea)  = × エクソーナタ (S. x exornata)
  x ルブラ (S. rubra)  = × アーレシー (S. x ahlesii)
サラセニア フラバ x レウコフィラ (S. leucophylla)  = × ムーレイ (S. x moorei)
(S. flava) x ミノール (S. minor)  = × ハーペリ (S. x harperi)
  x プシタシナ (S. psittacina)  ---
  x プルプレア (S. purpurea)  = × カテスバエイ (S. x catesbaei)
  x ルブラ (S. rubra)  = × ポペイ (S. x popei)
サラセニア レウコフィラ x ミノール (S. minor)  = × エクセレンス (S. x excellens)
(S. leucophylla) x プシタシナ (S. psittacina)  = × リグレヤナ (S. x wrigleyana)
  x プルプレア (S. purpurea)  = × ミッチェリアナ (S. x mitchelliana)
  x ルブラ (S. rubra)  = × ファーンハミー (S. x farnhamii)
サラセニア ミノール x プシタシナ (S. psittacina)  = × フォーモサ (S. x formosa)
(S. minor) x プルプレア (S. purpurea)  = × スワニアナ (S. x swaniana)
  x ルブラ (S. rubra)  = × レウデリー (S. x rehderi)
サラセニア プシタシナ x プルプレア (S. purpurea)  = × コーティー (S. x courtii)
(S. psittacina) x ルブラ (S. rubra)  = × ジルピニー (S. x gilpinii)
サラセニア プルプレア x ルブラ (S. rubra)  = × チェルソニー (S. x chelsonii)
(S. purpurea)    

 もっと複雑な交配種に対する学名もたくさんあります。例えば、サラセニア × ウムラウフティアナ (S. x umlauftiana) は、(サラセニア プルプレア x プシタシナ)x (レウコフィラ x プシタシナ) ((Sarracenia purpurea x S. psittacina) x (S. leucophylla x S. psittacina)) です。また、怪物のような交配種 サラセニア × スコエンブルンネンシス (S. x schoenbrunnensis) は、(サラセニア プルプレア x プシタシナ ) x ((フラバ x ミノール) x プルプレア) ((Sarracenia purpurea x S. psittacina) x ((S. flava x S. minor) x S. purpurea))です。
 しかし、これらを全てリストアップすることはしません。
 ところで、あなたが自分で作出した交配種の名前は考えないで下さい。広く配布される学術雑誌に発表されて初めて正式な名前となります。それには、国際植物命名規約 (ICBN) に基づいた適切な記述と、基準標本が添えられていなければなりません。

 Galleria Carnivora (英文) には、サラセニア (Sarracenia) 交配種の部屋がひとつあります。たくさんの写真が展示されているので、興味があればご覧になって下さい。

 サラセニア (Sarracenia) の交配種が好きな人と、原種しか好まない人との間で、飽き飽きするような哲学的なバトルが行われています。その議論は次のようなものです:

交配種嫌いの人 : 「うーっ! 交配種は嫌いだな。原種は自然の美しい造形物だし、それぞれに語りかけてくる自然の歴史というものがあるよね。原種にも色や形にとても多くのバリエーションがあって、どんなコレクターでも満足するんじゃないかな。交配種はなんか不自然で人工的な感じがするな。それに食虫植物として機能しないこともあるし。。。だいいち、これ以上温室に入れるスペースなんてないよ。」

交配種好きな人 : 「交配種ってかわいいよね。そう思わない? 原種よりずっと丈夫なこともあるし。。。交配種を作るのって、クリエイティブで芸術的だよね。そもそも交配種って、天然にも存在するじゃない? いずれにせよ、誰が交配種は“自然”じゃないって気にするの?どんな基準があるって言うの?」

交配種嫌い : 「そんな考えを持っているなんて信じられない! こそ不自然だよ!」

交配種好き : 「そんなにいびるなよ、馬鹿野郎!」

交配種嫌い : 「馬鹿野郎? 馬鹿野郎だと? お前のその服の着かたは何だよ!」

交配種好き : 「これはファッションセンスって言うんだよ、豚野郎。」

 ...こんな風に続きます。傍から見れば愉快ですが、すぐにうんざりしてしまいます。

 あなたが栽培したいものを栽培して下さい。それを楽しんで下さい。そして、ついでながら、園芸学的見地から言うと、原種を育てるのと同じようにして交配種は育てられます。

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このページの最終更新日 : 2000年11月 Original copyright (C) 2000, Barry Rice
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