食虫植物 FAQ 日本語版

質問 「ドロセラ ビナタ マルチフィダ エクストリマ」のような長い名前にはどのような意味があるのですか?

回答  時々、単純な属と種による分類では対応できない植物があります。その植物の自生範囲内において、通常のフォームとは明らかに異なると思われる個体群が出現することがあります。
 そのような個体群が、それほど変異が大きくなく、完全な新種として分類されるだけの根拠がない場合、元の種とは異なる 亜種 (subspecies) として定義されることがあります。

S. purpurea subsp. venosa var. burkii
サ、プルプレア
ベノサ バーキー
 例として、カナダから米国東海岸に沿って分布する サラセニア プルプレア (Sarracenia purpurea) が挙げられます。カナダと米国北東部に分布する植物が、米国南東部に分布する植物とは異なるということを植物学者が気付くのにそれほど時間を要しませんでした。
 それで、彼らは南東部に分布する植物を、サラセニア プルプレア ベノサ (Sarracenia purpurea subsp. venosa) と命名しました("subsp." は subspecies の略号です)。同時に、カナダと米国北東部に分布する、残りの植物は自動的に、サラセニア プルプレア プルプレア (Sarracenia purpurea subsp. purpurea) と命名されました。(もちろん、私はこのケースがこうして書くほど単純ではなかったことを知っています。)この場合、亜種の名前が単に種の名前の繰り返しとなることに注目して下さい。

 亜種だけが種の下位の分類階級ではありません。“変種 (variety)” という分類階級もあります。例えば、ドロセラ ビナタ (Drosera binata) (ビナタ=葉が分岐しているの意)の中には、葉が何回も (multi) 分岐するものがあり、ドロセラ ビナタ マルチフィダ (D. binata var. multifida) と呼ばれています。
 特異な個体群を示すのに亜種とするか変種とするかは、科学者の間でも意見が分かれています。しかし、一般的には“亜種 (subspecies)”は、サラセニア プルプレア (Sarracenia purpurea) の北方産と南方産の亜種のように、同じ場所には自生していない個体群を記載する際に用います。一方、同じ場所に自生する異なったタイプの植物に対しては“変種”が用いられます。

D. binata var. multifida f. extrema
ド、 ビナタ マルチフィダ エクストレマ
 最後に、“品種 (form)”という分類階級もあります。品種は、通常の植物に比べわずかな変異しかないものに用いられます。品種は、進化論的見地からはあまり重要視されていません。
 もう一度、ドロセラ ビナタ マルチフィダ (D. binata var. multifida)を例に取ってみましょう。その中には、葉が十六又以上に分岐する稀少な品種があり、ドロセラ ビナタ マルチフィダ エクストレマ (D. binata var. multifida f. extrema) と呼ばれています。

 ラテン語の学名には厳格なルールがあるということが分かったと思います。それは、好きなときに勝手に付けられるものではありません。植物学上のラテン語の学名は、学術的な刊行物に発表されて、はじめて、有効であると見なされます。
 非公式にラテン語に類似の名前を付ける人がいますが、園芸家にとっても科学者にとっても、非常に大きなトラブルの元になります。

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このページの最終更新日 : 2000年11月 Original copyright (C) 2000, Barry Rice
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