食虫植物 FAQ 日本語版

質問 どうして普通の名前で呼ばないで、わかりにくい学名で呼ぶの?

Sarracenia flava
サラセニア フラバ
回答  草、オーク、ザゼンソウ、スイレン など、植物の普通名 (common name) は一般大衆が使うにはいいですが、植物についてある程度真面目に、あるいは注意を払って議論しようとするなら、ラテン語の学名を使用すべきです。

「でも、どうしてーーー?」泣き言ですか? 3つの理由がすぐに心の中に浮かんできます。

なぜ普通名が良くないのか:レッスン #1a:  普通名の問題のひとつは、全ての生物がそれぞれひとつずつの名前を持っている訳ではないということです。例えば、私に思い浮かぶのは、小さな小さなデイジーに類縁の植物には明らかに普通名が付けられていないということです。かわいそうなかわいそうな小さな植物!

resupinate bladderwort
"resupinate bladderwort"
 最近発見されて命名されたばかりで、まだ一般には知られていない種のことを考えてみて下さい。このような植物に普通名をつける必要がありますか? 一般の人の間ではまだ何も言及されていないのにですよ。それなのに“普通”名なのですか?誰にとって普通なのですか?
 そのような奇妙なケースでは、普通名がよく考えもしないで付けられる場合があります。その結果、"resupinate bladderwort (逆さまのタヌキモ)"(学名は、Utricularia resupinata)とか、"sub-glabrous corkscrew plant (やや無毛のコルク抜き状植物)"(学名は、Genlisea subglabra) といったぞっとするような名前がつけられてしまいます。
 二人の猟師が生命について議論して歩きながら、一人が地面を指差して、「テッド、俺のキーを取ってくれるかい?そこに生えているやや無毛のコルク抜状植物の中に落としちゃった。」なんて言うのを聞いたらどう思います

 ライターやレポーターから、普通名のついていない植物の普通名は何かと時々聞かれることがあります。普通名はないと答えると、普通名を作ってくれといわれることがあります。そんな時は頭が変になりそうです。私がでっち上げた名前を普通名と呼べるのでしょうか?
 もういちど繰り返します。全ての植物が普通名を持っている訳ではありません。

Parnassia
これは "草??"

なぜ学名が良いのか:レッスン #1b:  普通名とは対照的に、科学的に知られている生物には全て学名が付けられています。学名は、最初はなじみのないものに思えますが、私の初めてのガールフレンドに対してもそうでした。

 実際にあなたが学名に触れているうちに、それ程奇妙なものとは思えなくなってくるでしょう(これと好対照を成すものとして私が指摘しなければならないのが前述の彼女との経験です #1)。
 シャクナゲ属 (Rhododendron) とかキンポウゲ属 (Ranunculus) とかアヤメ属 (Iris) といったものならそんなに難しくはないでしょう? それらも学名なのです!使っているうちに違和感はなくなってきます。

Drosera aliciae
"モウセンゴケ"
Drosera capillaris
"モウセンゴケ"
なぜ普通名が良くないのか:レッスン #2a:  普通名のもうひとつの問題点は、違う種類の植物が(それも全く関係がないのに)同じ普通名で呼ばれるということです。例えば、2種類の植物が両方とも ザゼンソウ (skunk cabbage) と呼ばれたり、多くの異なる植物が タンブルウィード (tumbleweed) と呼ばれたり、非常にたくさんの植物がすべて デイジー (Daisy) と呼ばれたり、数百もの植物が単に コケ (moss) と呼ばれたりしています。
 しかし、前にもお話した通り、あらゆる形の生物は、それぞれ固有の学名を持っているのです。
 食虫植物の世界では、サラセニア (Sarracenia) とダーリングトニア (Darlingtonia) が両方とも コブラリリー (Cobra lily)と呼ばれたり、約 8種類の異なる種からなる サラセニア (Sarracenia) がすべてトランペットピッチャープラント (trumpet pitcher plant) と呼ばれたりしています。全ての食虫植物を指して フライトラップ (flytrap、ハエ取り) と呼ぶ人もいます。

なぜ学名が良いのか:レッスン #2b:  科学的に知られているすべての生物には学名がありますが、それぞれがただ一つの学名を持つということが重要です。これは学名があいまいなものではないということを意味します。
 ドロセラ バービジェラ (Drosera barbigera) と呼ばれる生物はただ一つしかありません。一方、「ピグミードロセラ」 (pygmy sundew) というのはとても良い普通名で、ドロセラ ピグメア (Drosera pygmaea.) を含む、多数の種に対して使われます。

なぜ普通名が良くないのか:レッスン #3a:  3つ目のレッスンのヒントをあげましょう。私がメキシコのオアハカに住んでいる人から手紙をもらったと仮定しましょう。その手紙の内容は、"Hola Barry! Quiero ver "mala mujer". Donde vive esta planta?" というものです。問題点が分かりましたか?
 使用する言語によって普通名は異なります。"mala mujer" とは一体何でしょう? オアハカに住んでいる友人にとっては良い普通名でも、スペイン語を話せない人にとってはそうではありません。

なぜ学名が良いのか:レッスン #3b:  オアハカの植物友達の手紙は、"El nombre Latino es Cnidoscolus angustidens."と続いていました。やっとこれで彼女の言っていることが分かりました。

 ついでながら、バードウォッチングに熱心な人によると、私が上に書いた問題のうち、少なくとも上二組の問題を彼らの間で妥協して解決したそうです。鳥の種ごとに、正式な普通名が与えられています。
 このケースでは、「普通名」はラテン語ではないが、もっと公式な英語の名前と考えられます。ラテン語の Stelgidopteryx serripennis よりも、"Northern Rough-Winged Swallow" の方が明らかに覚えやすいです。また言いやすいことも確かです。

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このページの最終更新日 : 2000年11月 Original copyright (C) 2000, Barry Rice
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