食虫植物 FAQ 日本語版

水苔やピートのある湿地に関する議論とは?

 Kay Klier さんがこの問題に関する優れた論評を書いてくれたので、下に挙げます。

 ミズゴケは、本物の苔で、ミズゴケ(Sphagnum)属に属します。これらの苔は、“barrel細胞”(barrel とは樽の意)と呼ばれる特殊な細胞を持ち、乾燥ミズゴケ(Sphagnum)は驚くほど大量の水を吸収します。湿地や沼地で成長し、しばしば“pillow”(枕状のふんわりしたもの)を形成します。自然の抗生物質の働きをします。腐敗に対する強い抵抗性があります。長繊維でも、刻んでも、粉状にしても利用できます。世界的なバイオマスの見地からいって、世界の苔の中のほとんどがおそらくミズゴケ(Sphagnum)です。北米・ユーラシア両大陸の寒帯に巨大な蓄積があります。(ミズゴケ(Sphagnum)は、英語では スファグ−ナム と発音します。)

 ミズゴケ以外の苔は、MniumBryumAndraenaFunaria など、たくさんあります。これらの苔は、樹皮とか土壌の表面とか湿地や沼地など、湿った場所を占有します。それらはbarrel細胞を持たないので、一般にミズゴケ(Sphagnum)ほど園芸的価値を持ちません。私は、“シートモス”が、ハンギングバスケットや鉢の表面を覆うために売られているのを見たことがあります(土がむき出しになっているのを好まない人もいるのです)。

 ピートは部分的に分解された有機物です。ピートを良く観察すると、葉や茎の小片が入っているのが分かりますが、基本的にはかなり良く分解されています。最も良く売られているピートはミズゴケ(Sphagnum)のピートで、部分的に分解されたミズゴケ(Sphagnum)です。しかし、元の物質が何かによって、様々な種類のピートがあります。ミズゴケ(Sphagnum)のピートは、“普通のピート”よりも保水性が高いです。

 ピートは燃えます。アイルランドやその他の北方の寒冷な国々の人々が切って燃やす“泥炭”は、ピートをスライスしたもので、掘り起こされ、乾燥されて燃料として使われます。悪天候のため木が使えないときには極めて実用的です。また、あなたが木をすべて薪として切ってしまって、何も残っていないときにも役に立ちます。

 “ピートモス”とは何でしょうか?理論的には、それはミズゴケ(Sphagnum)のことで、長繊維あるいは切り刻まれたり粉状になったものです。しかしそれは他のものを指すのに使われることもあります。私は部分的に分解したスゲが、“ピートモス”として売られているのを見たことがあります。

 長繊維のミズゴケ(Sphagnum)は、ミズゴケ(Sphagnum)の植物体を丸ごと乾燥させたものです。一つの繊維をつまみ出すと、それは粗いシェニール糸のように見えます。ミズゴケは冷たい水だとすぐには吸いこみません。(私はいつも、必要な量をバケツに取り、それに沸騰した水をあけます−−ミズゴケが冷えて、手で扱えるようになるまで待ちます。そうすると十分に水を吸いこんでいます。一握りほど取り、水を切ります。それは驚くほど多量の水を含んでいます。それを絞れば、台所の食器洗い用のスポンジを絞るよりたくさんの水が出てきます。)ミズゴケは偉大なものです。非常に多用途に使えます。そして悲しいことに、これに代わる代用品は見つかりません。

水苔のマット
Carolina bay
 ミズゴケ(Sphagnum)の収穫に伴う生息環境の破壊は、気がかりなものです。他の何名かの人々が言っているように、これらは湿地の植物です。その収穫方法はかなり荒っぽいもので、ミズゴケ(Sphagnum)の中に他の色々なものが混じっています。モウセンゴケ、ムシトリスミレ、ガンコウラン属(Empetrum)の植物、ツメクサ属(Sagina)の植物 などです。この種の活動が広いエリアで行われれば、それは明らかに破壊的で回復不可能なものとなります。英国の湿地や沼地がその証拠です。私もミネソタ州で“ピートの収穫”を見たことがありますが、涙が出てきました。

 持続可能な方法でミズゴケ(Sphagnum)を収穫するのは可能でしょうか?もちろんできます。一般にそれには、湿地を縞状に、間を残すように刈り取っていく方法も含まれます。刈り取られずに残った植物は、すぐに刈り取られた場所にまで広がり、生態系に与えるダメージも最小ですみます。そこはまた数年で収穫可能になるでしょう(正確な時間は、成長するシーズンの長さなどにもよります)。

 英国の自然保護団体(The Nature Conservancy in Britain、米国のTNCとは違います−−我々の個人的な団体と違って政府組織です)は、何世紀もの間ピートの収穫に使われてきた湿地や沼地をいくつかもっています。ほとんどのケースで、新たに補充された分を収穫している限りは、これは持続可能な活動です。Wicken 沼がその良い例です。

 ミズゴケ(Sphagnum)はとても素晴らしい材料で、いくつかの用途では他に代用するものが見つかりません。しかし、生物学的な多様性も、他に代用するものがないかけがえのないものです。それで、ミズゴケ(Sphagnum)を園芸用途に使用する場合は、他に代用するものがない場合に限って、賢くそして注意深く使用して下さい。

 前に述べたように、私はミズゴケ(Sphagnum)を使用しています。そして、商業目的の温室でトレーニングした古い時代の園芸家に教わっていない非営利の園芸家よりも、私の方がおそらくたくさんのミズゴケ(Sphagnum)を使います。しかしそれでも、私が昔買ったミズゴケ(Sphagnum)の包みは、おそらく12年から25年は持つでしょう。それは、lowaの沼地の 0.05エーカー(約 200u)の約 1年分のミズゴケ(Sphagnum)生産量に当たります(いえ、私のミズゴケはlowa産のものではありませんが、そこでの成長率を良く知っているので、例としてあげました)。

 そして、あなたの考えや意見をミズゴケ(Sphagnum)を商業的に収穫している会社に伝えて下さい。そして受け入れることの出来る回答が得られなかったら、その会社の製品を買うのは止めて、それが何故かを伝えて下さい。ミネソタ州であの湿地を見てから、私が全商品をボイコットしている大きな園芸会社があります。それは他の点ではかなり良識ある会社で、“有機園芸”の優れた商品群を持っており、いくつかの立派な園芸番組のスポンサーもしています。しかし彼らが問題を解決しない限り、私からお金を稼ぐことは出来ないでしょう。

Kay Klier Biology Dept UNI

前の項目に移動 英語版 食虫植物 FAQ へ 次の項目に移動

食虫植物 FAQ インデックスページに戻る

bar

このページの最終更新日 : 2000年11月 Original copyright (C) 2000, Barry Rice
Japanese version copyright (C) 2001-2006, JIPS
All images on this page are used by permission of sarracenia.com