食虫植物 FAQ 日本語版

質問 水苔について

水苔
Sphagnum
回答  ピートモスと違って、水苔 (Sphagnum) は、通気性、排水性に優れています。この特性は、水苔がピートモスと違って微粒子を少ししか含まないことによります。そのような微粒子は、水や空気の流通を妨げます。
 水苔 (Sphagnum) は優れた用土で、様々な状況で食虫植物の栽培に使われます。

 水苔 (Sphagnum) は 3通りの方法で使われます。
 一つ目は、生水苔としてです。右の写真を見てください。
 水苔 (Sphagnum) は、長くてとてもきれいな苔で、特に吸水性と保水性に優れています。
 もしあなたが生水苔がどうしても欲しいなら、悩むよりも忍耐を持つことです。食虫植物を栽培していれば、いつかはどこかの鉢から生えてくるでしょう。どこかで買った植物の鉢から、気づかないうちに小さな生水苔が生えてくるものです。
 そして、ゆっくりと、しかし着実に(あなたの食虫植物の栽培環境が良ければ)、成長します。そして、生水苔を切らすということもなくなるでしょう。
 生水苔は、私のお気に入りの用土で、モウセンゴケやハエトリグサの葉挿し用に使っています。

 生水苔を大量に手に入れるのはとても難しいです。時々販売されているのを見ますが、これはどこかの湿地から採ってきたものだと思います。生水苔を買う際にはまず、許可を得て採集されてきたものか確認して下さい。
 あなたが水苔 (Sphagnum) の生えている湿地の近くに住んでいても、大量に水苔 (Sphagnum) を採集するのは好ましいことではありません。どうしても採集しなければならないときでも、せいぜい数本にとどめるべきです。たとえ少量でも採集するときは、地主さんの許可を得てからにして下さい。

 二つ目ですが、ロングファイバー (長繊維の意) と呼ばれるものです。これは単に、枯れて乾燥させた、特別な処理をしていない水苔 (Sphagnum) です。
 実のところ、このロングファイバーの水苔 (Sphagnum) を湿らせておくと、再び成長を始めることが時々あります。これは奇妙なことです。なぜなら、完全に死滅するようにしてあるはずだからです。
 また、水苔 (Sphagnum) は無性生殖で繁殖することは稀です。(なかには、絶対に有性生殖で繁殖しないと考えられている種類もあります!)ですから、胞子を持つ可能性は考えられません。
 ロングファイバーの水苔 (Sphagnum) の園芸的な特性は、生水苔と類似しています。ピートモスと同じように湿らせて使用して下さい。

 三つ目は、粉状の水苔 (Sphagnum) です。これは、まさにロングファイバーの水苔そのものを、粉々にして、個々の錐状の切片にまで細かくしたものです。
 私はかつて、粉状の水苔 (Sphagnum) 単用でサラセニア (Sarracenia) を栽培し、非常に良い結果を得たことがあります。ピートモスを湿らせるのと同じ方法で湿らせてから使用して下さい。

 不幸なことに、北アメリカやヨーロッパではピートや水苔が再生不能な状態で収穫されているようです。これはとても困った問題です。
 Kay Klier さん が食虫植物メーリングリストに投稿した記事には、環境への影響も配慮した ピートと水苔の利用法 が述べられています。
 過去10年を振り返ると、市販の水苔 (Sphagnum) の品質は落ちてきています。葉っぱや小枝や他のごみがたくさん袋の中に入っています。どうも収穫業者が、既にさんざん採り尽くした湿地内をあちこち探し回って、最後に残されたスクラップのようなものを収穫しているように思われます。
 身近な地域で収穫された水苔 (Sphagnum) の品質がどんどん落ちているので、ニュージーランドやタスマニア産の水苔 (Sphagnum) を買う人が多くなっています。ただし、ニュージーランドで実際どのようにして水苔が収穫されているのかは知りません。最悪の状況ではないかと心配しています。

S. purpurea
サ、プルプレア
 私はとても憂鬱になった日を覚えています。その日は、北米産の水苔 (Sphagnum) の袋から小枝や枯葉を取ってきれいにしていたのですが、何とその袋の中に、枯れて乾燥したサラセニア プルプレア (Sarracenia purpurea) が入っていたのです。
 その日以来、私は水苔 (Sphagnum) の代替品を探し続けていました。最近は、パーライト、砂、ピートモス の、2:2:1 の混合土を試していますが、かなり良い成績のようです。

 水苔についてもっと興味がおありなら、Crum さん の "A Focus on Peatlands and Peat Mosses" がよい参考書になります。

 食虫植物の中には、ピートモスではなく、ロングファイバーの水苔 (Sphagnum) を使う方が好ましいものもあります。生水苔を好むものもあります。
 良質の水苔 (Sphagnum) は、扱っている園芸店も少なく、入手困難です。
 「グリーンモス」 とか 「シートモス」 の名称で販売されているものは避けましょう。これらは、ごみのような代物で、本当の水苔 (Sphagnum) ではありません。園芸店の人が善意でそうだと言ったとしても、信じない方がいいでしょう。
 ほとんどの園芸店では、それらを水苔 (Sphagnum) として扱っていますが、実際にはピートモスだったり、役に立たないグリーンモスだったり、シートモスだったりします。ヨーロッパで出回っているものに、スゲのピートがありますが、これも同様に役に立ちません。
 上記は海外での話しで、日本国内ではほとんどの園芸店やホームセンターなどで、ちゃんと本物の水苔 (Sphagnum) が売られているようです。
 水苔 (Sphagnum) は、ピートモスと同じように湿らせて使用して下さい。

 ミズゴケ (Sphagnum) 属は、ミズゴケ科に属する唯一の属で、日本では約 40種が知られています。
 ウロコミズゴケ (S.squarrosum) は大型の種で、枝の葉の先が急に細く尖り、先端が背方に反り返るのが特徴です。オオミズゴケ (S.palustre) は、ウロコミズゴケと同じくらい大型で、茎の葉と枝の葉で形が異なり、枝の葉は鱗状です。園芸に使われます。
 イボミズゴケ (S.papillosum) は、オオミズゴケと同じくらい大型で、顕微鏡で見ると、葉の透明細胞と葉緑細胞の間の膜の上に細かいいぼがあります。スギバミズゴケ (S.nemoreum) は、赤紫色をしています。
 ヒメミズゴケ (S.fimbriatum) と ホソバミズゴケ (S.girgensohnii) は、湿地に多い種で、オオミズゴケと比べずっと小型で密な群落を作ります。色が赤くなることはありません。
 ムラサキミズゴケ (S.magellanicum) も、湿原に生える大型の種で、葉が赤紫色になるのが特徴です。チャミズゴケ (S.fuscum) は、小型の密な群落を作り、全体が褐色になります。

 注意 : 乾燥水苔を扱う際には、マスクと手袋を使用してください。スポロトリクム病 にかかる可能性があります。

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このページの最終更新日 : 2000年10月 Original copyright (C) 2000, Barry Rice
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