食虫植物 FAQ 日本語版

質問 食虫植物に薬草になるものはありますか?

回答  この質問は一見単純なようにも見えますが、色々議論のあるところです。そこで、4つのポイントに絞って考えてみましょう。
1) 正式な西洋医学の薬として利用されている食虫植物はありますか?
2) 食虫植物を成分とする民間薬はありますか?
3) 食虫植物が薬として利用されてきた歴史は?
4) 食虫植物を使ってハイになれますか?

Drosera scorpioides
ドロセラ スコルピオイデス
 このように 4つの質問に分けても、議論が分かれることでしょう。例えば、1番と 2番のどちらに分類されるかといったことです。実際には、インドでは広く使われているが、米国では登録されていないような薬を分類しようとするときに、文化的な帝国主義が問題になるでしょう。  それでも、これについて簡単に触れさせて下さい。(それから、この FAQ の著者である Barry さん の名前の前についている Dr. という博士号は、医者あるいは獣医という意味ではないということも忘れないで下さい。)

1) 西洋医学の薬
Pinguicula
ムシトリスミレ
 右の、粘液を分泌したムシトリスミレ (Pinguicula) 接写写真を見てください。そこが本物の製薬工場になっているのです。そして、そこが薬になる可能性のある物質を探す場所であると人々が考えるのもわかると思います。
 悲しいことに、私の知っている限りでは、米国内では食虫植物は医薬品として使われてはいません。ヨーロッパでは、食虫植物のエキスを含有した特殊な医薬品があると聞いたことがありますが、インチキっぽく聞こえます。咳止めのドロップに モウセンゴケ (Drosera rotundifolia) のエキスが使われているなどと言うのですが、どうも効果がないように思われます。

2) それ以外の薬
 科学的に研究された訳ではないけれど、実際に薬効があるために使われている薬があります。例えば、Lewis & Elvin-Lewis (Medical Botany, John Wiley & Sons, 1977) は、クルマバモウセンゴケ (Drosera burmannii) がヒンズー教徒の間で発赤剤として用いられてきたと述べています。

エイズやガンのような悲劇から、あるいは新薬開発に時間がかかると思われていることから、医薬品として登録されるための正式な試験をパスしていない薬に目を向けてしまう人がたくさんいます。これらの薬は、健康食品などと言うあいまいな分類で販売されています。

 こういった範疇に入る、Carnivora という薬があります。かつて、エイズやガンへの恐怖を煽って、それを売ろうとしたウェブサイトがあり、私は Carnivora には批判的でした。しかし、アメリカの販売業者と話しをして、幸いなことに、彼が倫理に反するような販売はしていないと分かりました。
 その薬の効果については、私は判断を保留していますが、その薬はあらゆる点で優れていると主張されています。それも、他の薬に気休め薬としての効果もないとしてもです。(研究によると、その強力な効果によって、全ての薬の 15-30% ほどが有効であるとされています。)

 ハエトリグサ (Dionaea muscipula) も薬として利用されています。アメリカの販売業者の話しでは、自生地で採集されたものではなく、きちんと人工的に増殖されたものが使われているそうです。

3) 食虫植物利用の歴史
D. anglica
ナガバノモウセンゴケ
D. anglica
ナガバノモウセンゴケ
 古い植物誌には食虫植物の利用法が多数あげられています。Culpeper さん の Complete Herbal (Nicholas Culpeper, 1616-1654) によると、ナガバノモウセンゴケ (Drosera anglica)について、次のように述べられています。
葉をすりつぶして皮膚にあてれば、なかなか治らない炎症を治すことができる。抽出液を少しずつこまめに塗れば、いぼや魚の目を直すことができる。。。花の咲く 6月に葉を収穫するのが良い。」

 American Medicinal Plants (Charles Millspaugh, 1892) によると、アメリカ北東部の原住民が サラセニア プルプレア ベノサ (Sarracenia purpurea subsp. venosa) を、天然痘の湿布薬として用いていたそうです。
 「その根は、恐ろしい病気である天然痘に非常に効果がある。私自身の経験から言って、この貴重な根は、兄弟の命を救うだけでなく、色々な病気で起るみっともないあばたを完全に除去できると言えるだろう。」

しかし、同じ薬を用いて行なった最近のテストでは、ひどい結果だったと言わなければならないでしょう。「この薬は、バージニア州アレクサンドリアの Claremont にある天然痘病院で、1864年の春に John Thomas Lane 氏によって徹底的にテストされた。数週間のテスト期間中、Third Division Hospital の医療スタッフが見守る中、この病気に対して何の効果もないことが証明された。彼の担当する天然痘患者の 50% 以上の命が失われ、他の治療法によっても、さらに多くの人命が失われた。」

 同様の研究として、Millspaugh は Rafinesque を引用して、モウセンゴケ類 (Drosera) の抽出液が 「いぼや魚の目、ミルクと共にそばかすや日焼けの治療、南米では胸部にも効くとしてシロップとして喘息の治療」にも使われているといいます。
 Millspaugh は更に、多くの医療関係のライターが「気管支の病気や肺結核のような色々な肺の病気」が関わっている「様々な種類の」せきに使用することを推奨していると述べています。

4) 食虫植物でハイになる方法

馬鹿野郎!
 は、は、は。あなたが私に何度もメールを出して、食虫植物を使ってハイになろうとしているなら本当にばか者です。食虫植物にそんな精神的作用をするものはありません。
 しかし少しだけ助け船を出しましょう。右の写真を見て下さい。これは、サラセニア (Sarracenia) の葉の模様の接写写真です。どうですか?
 この写真を瞬きしないでできるだけ長い時間眺めていて下さい。そうすれば、この宇宙に働いている秘密のメッセージが見えてくるでしょう。耳に指を突っ込んでふさいで、口をぽかんと開けていればより一層効果があります。これによってあなたの宇宙観が変わります。そしたら、私にお金を沢山送って下さい。は、は、は。

 薬としてではなく、「民族植物学的利用」については、次の FAQ 項目をご覧ください。

このページを作る情報を提供して下さった Joseph Kinyon 氏、Ken Skau 氏、David Wales さん (Carnivora の販売業者) に感謝いたします。

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このページの最終更新日 : 2001年05月 Original copyright (C) 2001, Barry Rice
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