■ 「養壷」のコツ ■

■ How to [YangHu] ■

■ 「養壷」って何?

 紫砂製の「茶壷」には、目に見えませんがこまかい気泡があります。これは、「紫砂」だけの特徴で、これがあるからこそ、「茶壷」がお茶の悪い成分を吸収してくれて、美味しいお茶を入れることができます。

 「養壷」とは、この小さい気泡にお茶の成分を染み込ませ、お茶をもっと美味しく入れられるようなコンディションに「茶壷」をすることです。決して、成長させることではありません。人間の子供じゃないんですし・・・。

 グッドコンディションにもっていく事=「養壷」なのです。「養壷」がうまく進んでいる「茶壷」は黒光りして、品格を漂わせます。紫砂製の「茶壷」以外では、このような現象はおこりません。

 よく間違えられていますが、茶渋をつけてむりやり古い感じを出す事は絶対にしてはいけません。茶渋がつくと、そこが斑になります。見ていて見苦しいですし、清潔感もありません。このような「養壷」をしている中国人をよく見かけますが、そんな人の真似は絶対にしないようにしましょう。


■ 新品「茶壷」の扱い方

 買いたての「茶壷」は土のいやーな匂いがします。そこで、この匂いを取り、「養壷」を始める下準備をしなければいけません。

方法1「茶壷」全体がつかる大きななべに、水と「凍頂」(安いもので、香がきつくない物なら何でもOK)などの茶葉を少しいれて15分くらいぐつぐつと煮ます。火を消して、やけどしない程度に水温が下がったら、「茶壷」を取り出して冷水で洗いましょう。「茶壷」自体の強度もあがり、泥臭い匂いも確実に消えます。
方法2台所の温水器などを最大にして、熱湯で内部を流し洗いします。その後、冷水で人差し指を使って内部をごしごしとこすりながら流し洗いします。これで、内部の泥が浮き出してきます。その後、ポットからアツアツのお湯を入れます。これまた安めの「凍頂」、もしくはその「茶壷」をどの茶葉専用にするかが決まっていればその茶葉を入れて、一晩置いておくだけです。これで、匂いはほぼ取れます。

 上記二つの方法のうち、どちらでも結構です。下の方は簡易方法ですが、私は好んで方法2をしています。こちらの方が、ゆっくりと「養壷」をしていくという気がし、愛着が湧いてきます。本当は1の方が良いのですが・・・。


■ 日常「養壷」のやり方

「養壷」1  「養壷」は普段、お茶を飲む時に行なう活動です。茶壷を使ってお茶を入れる時に、左の図のように「養壷筆」を利用して、あまったお茶などを「茶壷」の周りに塗りこみます。ひたすら塗りこみます。塗り、塗り。女性の肌をなでるかのようにやさーしく、塗り塗り(セクハラでしょうか?)。乱暴に扱ってはいけません。

 またお茶を入れます。表面が乾いてしまいますが気にせず、また余ったお茶を塗りこみます。2回くらい繰り返しておけばよいでしょう。

「養壷」2  その後、お茶を飲み終わる前に、もう一度お茶を塗ります。ここから注意です。

 今度は、お茶が乾かないうちに左の画像のように乾いたタオルで拭きます。丹念に拭きます。磨きます。ごしごし。決して、茶渋を残さないように。また、お茶が乾いてまだらになってもいけません。

 茶葉を「茶壷」の中に入れたままにして香をつけようとしている人も居ますが、決して真似してはいけません。次に淹れる時に、お茶の香が鈍ってしまいます。一回お茶を淹れる毎に、きちんと冷水を使って中を綺麗に洗いましょう。冷たい水道水で洗うのは「気孔」が開いて水道水のカルキを吸ってしまうのを避けるためです。間違っても温かい水道水で洗うのは止めましょう。その後、お茶を吸ったタオルなどでまた磨き、その後乾いたタオルで磨きましょう。

 すると、なんともいえない輝きが出てきます。よね?


■ 中国(北京)風「養壷」(それはちょっと違うんじゃない)

 なお、上に例を示したのは、元々台湾で行なわれてきた方法をベースにしたものですが、最も良い「養壷」の方法だと個人的には思います。しかーし、中国人はあまり上記のようにはしません。以下のような「養壷」をします。

 まず、お茶を淹れても「茶壷」を磨きません。一日に何回使おうとも、磨きません。そのままずっと使いつづけて茶渋をつけてしまいます。何時磨くのかと聞くと、”そのうち”という答えが返ってきますが、”そのうち”は何時までたってもきません...

 ただ、ちょっと知っている人は、夜寝る前にちゃんと洗って「茶壷」をします。これだとかなり違います。ただ、長く使ってさえいれば、おいしくお茶を淹れられるようになると考えている人が多いように思います。日本人や台湾人のように、「養壷」という事に対する配慮というか知識というか、そういものがあまり広く行き渡っていないと感じることがあります。北京では「茶芸館」に行っても、茶渋が付いた「茶壷」を出されること多々あります。きちんと拭くのが面倒くさいだけなのか、本当に知らないのか・・・。一応プロのはずなのに・・・。

 私が懇意にさせてもらっている「茶壷」販売店では、正しい知識を広めようと、買いに来る客に色々と啓蒙を行なっています。北京で工夫茶が流行りだしたのは、最近の事ですから、あまり知識が行き渡っていないのでしょうね。福建から来た中国人の知合いも、北京の人はまだあまりお茶について知らないと常々言っています。


■ これは良いんじゃない?(テク編)

  • 養壷を早く進める方法



    使
    まず手を綺麗に洗い、表面の油などを流します。その後、茶壷がやけどしない程度温かい内に、手を使ってお茶を表面に塗るという方法です。この方法だと、タオルや「養壷筆」を使うよりも全体にお茶を染み込ませることができます。その後、タオルを使って磨きます。知合いの中国人が薦めている方法で、実際に「養壷」も早く進みます。特に「養壷」し初めの頃には役に立ちます。賛否両論の方法だとは思いますが、試してみる価値ありです。

  • 基本ですが、「茶壷」が熱い内には表面の気泡(「気孔」)が開いている状態なので、お茶を良く吸収します。ので、熱いうちにたくさん磨くという基本を守るのが一番でしょう。


  • ■ これだけはやっちゃ駄目!!

  • 何度も繰り返しますが、茶渋をつけるのはやめましょう。特に、ふたと本体の間の部分には茶渋が付き易いので注意してください。

  • お茶を入れ終わった後は、茶葉はすぐに捨てて、ちゃんと中を水洗いしましょう(軽く水でそそぐだけでOKです)。茶葉をそのままいれておいて匂いをつけようとしている人をよく見かけますが、そんなに急いだら駄目です。茶葉はお湯に入れてから24時間経つと有害物質を出します。

  • 水洗いしたら、その後、中が乾くまでちゃんと蓋をはずしてひっくり返してほしましょう。中が濡れたまましまってしまうとカビが繁殖していまい、イヤーな匂いがついてしまいます。