■ さらば、わが愛−覇王別姫 ■

■ 覇王別姫 ■

■DVD-さらば、わが愛−覇王別姫(中国名:「覇王別姫」)\4,700

覇王別姫
Amazon.co.jpレビュー
 中国激動の時代に生きた、京劇俳優の程蝶衣と段小樓。女形の蝶衣は段小樓を愛していたが、彼は娼婦と結婚してしまう…。戦争が、京劇という芸術の世界も侵しつつあった時代を背景に描かれる、ふたりの男たちの愛憎のドラマ。
 前半は、京劇の学校で厳しい訓練に耐える主人公の少年ふたりの友情にスポットをあて、後半は、時代の波に飲まれながらも、愛と演劇を貫く男たちのストーリーがつづられる。段小樓を愛しながらも、その愛を得ることができず、苦悩する程蝶衣を演じるレスリー・チャンの艶やかな美しさが圧倒的な存在感を見せる。段小樓と結ばれる娼婦はコン・リー。監督はチェン・カイコー。カンヌ映画祭パルム・ドール賞受賞作。

 もはや語るまでもない。中国映画の名作にして、レスリー・チャンを世界的俳優に押し上げた普及の名作と言えばこの作品、覇王別姫である。この作品を単なる同性愛と思ってはいけないだろう。京劇の男方を演じる小樓(チャン・ファンイー)と女形を演じる蝶衣(レスリー・チャン)の報われぬ愛という形を取ってはいるものの、もっと純粋に愛するとは何か?、そして激動の時代に流される者たちの数奇な運命を見事に演じきっている。

 この作品は二つに分かれている。京劇学校での少年時代、そして中国が激動の波へと飲み込まれる30年代の青年時代。その映像美には息を呑まされるだろう。特に、レスリー・チャン演じる女形。男の面影を残しつつも女形を演じる、報われぬ愛を求める蝶衣の苦悩の姿。そして、小樓と結ばれるコン・リー演じる女性の生々しさ・・・。この二人の姿に、中国激動の歴史が花を添えている。

 映画には、ハッと息を呑むシーンがひとつはなければいけないと思うが、開始30分頃の幼少時代に蝶衣が口にキセルを入れられるシーンを始め、映画に心奪われるシーンがいくつもある。

 この作品、監督が30年代の北京語を完璧に再現することを目標としており、中国語がわかる人にはそれも一つの楽しみとなる。この映画を見なければ中国映画は語れないだろう。。。

監督陳凱歌(チェン・カイコー) 製作1993 DVD音声日本語/北京語
配役 張国栄(レスリー・チャン)
張豊毅(チャン・ファンイー)
鞏俐(コン・リー)

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