■ 紅茶辞典 ■

■ Encyclopedia of Black Chinese ■

■ 「祁門紅茶」(qi2 men2 hong2 cha2) Keemun

 中国でも、世界でも有名。エリザベス女王が誕生日に飲むという由緒ある紅茶です。この独特な甘い香は病み付きになります。中国では良いものはほとんど見かけません。でも、安い物でも香はそこそこいけます。味は苦味が出やすくなってしまいますが。そこは、腕の見せ所ということで(^^;)。元々、喉越しで甘味を感じられるので、ストレートで飲む時にはどこまで苦味を押さえるかが勝負だと思います。

 キーマン紅茶は安徽省が生産地です。シーズンは6〜9月であり、生産量(年間1500〜1600トン)もそんなに多いわけではないので、日本で良い物を手に入れるのは一般的に困難であるといわれています。この中国のキーマン紅茶の発祥に関する定説はありません。歴史はそんなに古くなく、19世紀後半くらいであるとされています。安徽省の住民が緑茶を作ろうとして失敗して、醗酵させすぎたところ、美味しい紅茶が出来上がってしまったというのが始まりであるという説もあります。嘘のような話ですが、起源は大体この辺でしょう。それにしても、中国ではお茶の起源は何故か伝説のようになっています。まだ、中国自体でも”お茶学”が発達していないからでしょう。

地方安徽
分類紅茶

■ 「英徳紅茶」(ying1 de2 hong2 cha2) Intou

 中国第2位のお茶。でも、そんなに有名ではありません。個人的には名前が好きです。味と香はキーマンとあんまり変わりません。当たり外れの少ない紅茶ですが、中国では低価格の物しか市場に出回ってないように感じます。今まで良いものを見かけたことがありません。

地方広東
分類紅茶

■ 「dianhong」(dian1 hong2) Yunnan

 雲南省西部から南部一体の1000メートル以上の高地の森林地帯で生産されている。茶色が赤いのが特徴で、ゴールデンリング(コロナ、茶杯と水面の境に出る金色の環)が出るのが特徴。一度だけ飲んだ上質なものの香は格別でした。でも、良い物なんかにはめったにお目にかかれません。もちろん、北京ではほとんど見かけません。

地方雲南
分類紅茶

■ 「正山小種」(zheng4 shan1 xiao3 zhong3) Laspangsouchong

 別名がラプサン・スーチョンというロシア貴族のような面白い名前の紅茶。松の煙で燻ってあるので、独特の刺激臭がします。とあるページでこの香を「正露丸」と表現していましたが、妙に納得してしまいました。イギリスでは過去に一部貴族に愛飲されたという話です。一度は試してみる価値ありです。

地方福建
分類紅茶

参考文献
『中国茶の辞典』(成美堂出版編集部、成美堂出版、2000)