■ 青茶辞典 ■

■ Encyclopedia of Blue Tea ■


■ 「大紅袍」ダーホンバオ(da4 hong2 bao1) だいこうほう

 武夷岩茶は宋代にはすでに皇帝に納めるお茶として天下に名を知られる存在となっていた。武夷山はその天然資源の豊富さで有名であり、茶の種類も豊富であり、「品種王国」と呼ばれていました。武夷山の岩肌に生える茶樹から取れる岩茶は「奇種」「単叢」「名叢」「名種」に分けられ、その中でも「名叢」は「岩茶之王」と呼ばれています。さらに、その「名叢」の中でも「大紅袍」「鉄羅漢」「白鶴冠」「水金亀」の4種類を四大岩茶と言い、「大紅袍」はその中でも最も高貴なお茶として珍重されている。天心岩にある樹齢300年を越える母樹は数本しかなく、毎年多くても1kgしか取れず、この樹から取れた「大紅袍」には驚くような値段がつきます。もしも買いたいと思っても、市場には出回らないので入手は不可能です。我々が手に入れられるのは第二代(根分けした樹から取れたもの)、もしくは第三代(第二代からさらに根分けしたもの)くらいまでの茶葉です。

 昔、この土地の県長が難病にかかったとき、武夷山に住む和尚がこのお茶を飲ませた所、たちまち治り、感激した県長が赤い布を樹にかけて感謝したことから「大紅袍」と呼ばれるようになったという伝説が残っています。その他にも、お茶を飲んで病が治った皇后がこの樹に爵位を授けたなど、様々な伝説が残っています。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「鉄羅漢」ティエルオハン(tie3 luo2 han4) てつらかん

 武夷山四大「名叢」の一つ。武夷山慧苑岩で取れる。四大「名叢」の中で最初に有名になったお茶である。古くから難病を治すことが出来るお茶として、薬効が強調されてきました。現在では武夷山市茶葉研究所により色々な場所に移植されているが、生産量は少なく貴重なお茶である。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「白鶴冠」バイハーグアン(bai2 he4 guan1) ???

 武夷山四大「名叢」の一つ。慧苑岩のあたりで取れる。茶葉の周りが白くなっており、若葉が鶴のトサカのようになっているためにこの名前が付いたという。このお茶は昔、風土病に良く効くとされ薬用として早い時期に有名となっていた。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「水金亀」シュエイジングェイ(shui3 jin1 gui1) ???

 武夷山四大「名叢」の一つ。もともとは蘭谷岩と呼ばれる岩地で取れる。もともとは天心岩にある天心寺の和尚さんが所有していたが、ある日猛烈な大雨が降り、茶樹が流されてしまい磊石寺に流されてしまった。その後、二つの寺がこの茶樹の所有権をめぐり訴訟合戦をしたために、この茶樹の名が有名になったと言う逸話が残っている。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「武夷肉桂」ウーイーロウグェイ(wu3 yi2 rou4 gui4) ぶいにくけい

 武夷山岩茶の中でもかなり有名なお茶。シナモンのような香がすることから「肉桂」(ニッキの意味)という。このお茶には「清香」のすっきりとした香の種類もあります。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「不知春」ブージーチュン(bu4 zhi1 chun1) はるしらず

 春が訪れる前に摘み取られることからこのような名前が付けられたという話があるが、本当の所は不明。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「水仙」シュエイシエン(shui3 xian1) すいせん

 青茶の中でも最も有名な種類。日本でペットボトル等で発売されている烏龍茶は、この茶葉を使っている物が多い。華僑が好むお茶としても有名。

地方福建武夷山、福建省北部、広東省
分類青茶

■ 「梅占」メイジャン(mei2 zhan4) ばいせん

 味と香が梅を独り占めしたようであることからこの名前が付けられたと言うが本当の所は不明。中国ではおめでたい時に飲まれる。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「半天腰」バンティエンヤオ(ban4 tian1 yao1) ???

 香と味がまとまっていて、上質な味をしている。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「金鎖匙」ジンスオチィ−(jin1 suo3 chi2) ???

 茶樹が巨大な岩の間に生えており、まるで岩に鎖を巻いたように見えることからこの名前がついたと言われているが本当のことは不明。岩茶の正統派と言われている。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「毛蟹」マオシエ(mao2 xie4) ???

 見た目はちょっと濃い目の黄緑色。香はちょっと渋めの匂いと甘い匂いが混ざっている感じがします。味も甘みと、渋みが混じっていて独特な味がします。かざらずに日常生活で飲むお茶である。ちなみに雑談ですが、このお茶がよく「鉄観音」の偽物として売られています。

地方福建武夷山
分類青茶

■ 「鉄観音」ティエグアンイン(tie3 guan1 yin1) てつかんのん

 中国青茶の最高峰といえばやはり「鉄観音」です。福建省の「安渓鉄観音」のものが最も有名であり、福建省安渓県西坪郷を中心として栽培されるお茶で、「鉄観音」の中でも最高級の物とされている。見た目はすこし濃い目の金色です。香は、本当に良いものはオレンジ系の甘い果実の香がします。この香にはリラックス効果があります。味もオレンジ系の甘い果実がします。すこし、カチッとしまった味がしますが、とても口当たりがよい。本当に良い鉄観音を飲んでみて下さい。お茶のイメージを変えてくれることは間違いなしです。名前の由来は「鉄のように重く、黒味がかっており、香が高い、観音様の恵みの茶」という所から来ているという説があります。

地方福建省安渓
分類青茶

■ 「黄金桂」フアンジングエイ(huang2 jin1 gui4) おうごんけい

 日本ではコンビニで売っている黄金のウーロン茶として有名。安渓が原産のウーロン茶。黄旦という樹から取れるお茶。見た目は金のウーロン茶と呼ばれるほどなので当然澄んだ金色をしています。香はオレンジ系の果実の甘い香がし、一嗅ぎでとても気分を落ち着かせてくれます。味は入れてもオレンジに似た甘く豊穣な味がします。鉄観音とよく似た味がするが、鉄観音よりも味はやさしい味で、口当たりもとても良い。私が好きなウーロン茶の一つです。ちなみに、シンガポールあたりに行くと「黄金桂」が「黄金貴」になってしまう。これは桂と貴の中国語発音が「gui4」で同じで、「黄金桂」を好む華僑の人たちが「貴」と変えてしまったということです。

地方福建省安渓
分類青茶

■ 「桂花烏龍」グエイフアウーロン(gui4 hua1 wu1 long2) けいかうーろん

 烏龍茶の花に金木犀(「桂花」)の匂いをつけてある香ばしいお茶。このお茶の分類を「花茶」にするか「青茶」にするか「再加工茶」にするかはは難しいところですが、いちおう「青茶」の中でも解説しておきます。見た目は普通の烏龍茶。最大の特徴である香はもちろんキンモクセイの上品な香です。味はキンモクセイの甘味と軽い渋味が混じった不思議な味。好き嫌いが分かれるお茶です。ちなみに、茶葉は福建のものだけに限らないようです。

地方福建省
分類青茶

■ 「鳳凰単叢」フォンフアンダンツォン(feng4 huang2 dan1 cong2) ほうおうたんそう

 広東省にある青茶で最も有名なのが「鳳凰単叢」である。「鳳凰単叢」は古い歴史を持つ銘茶として知られている。「単叢」とは一株ごとに単独で栽培されているお茶の総称である。「鳳凰単叢」にはフルーティーな香で有名な「芝蘭香」や、花茶のような香がする「黄枝香」、冬に取れる高級な「冬片」など様々な種類があり、「鳳凰単叢」と名前のつくものだけでも60種類以上もある。

地方広東省
分類青茶

■ 「嶺頭単叢」リントウダンツォン(ling3 tou2 dan1 cong2) りんとうたんそう

 広東省餓平県坪渓鎮嶺頭村の茶畑で発見された歴史の浅いお茶。白みがかった黄色い花を咲かせる。ほのかに密の香がする。このお茶は歴史が短いにもかかわらず1986年に全国銘茶評選会で全国銘茶の一つに選ばれている。

地方広東省
分類青茶

■ 「凍頂」ドンティン(dong4 ting3) とうちょう

 台湾ウーロン茶としては最も有名で人気の有る茶葉の一つ。典型的な球状の茶葉を特徴とする。味、香などのバランスが良く人気が高い。南投県鹿谷郷凍頂山が原産地。見た目はちょっと薄いかんじがします。あえて言うなら、黄緑の美しい色です。香は、感じられるか、感じられないかくらいのかすかな甘みをしています。味は、口の中ではすっきりとしておりまろやかな甘味、のど越しがとてもさわやか。飲んだ後にも、さわやかな後味を残します。私が最も好きなお茶です。香は春茶、味は冬茶と言われています。

地方台湾
分類青茶

■ 「阿里山」アーリーシャン(a3 li3 shan1) ありさん

 今や「凍頂」にとって変わって、台湾を代表するお茶。

地方台湾
分類青茶

■ 「木柵鉄観音」ムージャーティエグアンイン(mu4 zha4 wu1 long2) もくさくてつかんのん

 台湾の木柵地方で作られる鉄観音。大陸から移植された「鉄観音」を安渓から伝わった製法で作っている。茶葉が茶色いのが特徴であり、密のような甘い香がする。日本人にはこちらの「鉄観音」の方が親しみやすいかもしれない。

地方台湾
分類青茶

■ 「金宣」ジンシュエン(jin1 xuan1) きんせん

 「乳香」というミルクに似た甘い香がするのが特徴の不思議なお茶。1500メートル付近の山の上で作られる高山茶。見た目は、濃い目の黄緑色です。香はミルクに似たとても甘い匂い。本当にお茶なのかと疑わされます。 しかし、味はちょっと軽い渋みがあり、とてもカチッとしています。香と味のギャップが大きく、不思議なお茶なので女の子受けしそうです。

地方台湾
分類青茶

■ 「人参」レンシェン(ren2 shen1) にんじん

 香も味もとにかく甘ったるいお茶。お茶を入れた見た目は、ちょっと濃い色をしていてにごっている感じがします。 香は「金宣」よりも濃厚な、あまい香がします。 味は、あまーいの一言です。とても強いお茶で3〜4杯飲んだ後だと、水を飲んでもあまく感じます。 甘すぎるので私はそんなに好きではありませんが、女の子受けします。お茶とは思えないと言われること間違いなし。

地方台湾
分類青茶

■ 「東方美人」ドンファンメイレン(dong1 fang1 mei3 ren2) とうほうびじん

 醗酵度が70%と、まるで紅茶のようなウーロン茶。見た目は紅茶をもうすこしだけ薄くしたような色です。烏龍茶としてはとても濃い色をしています。香は、極上紅茶に似た甘い匂いがします。私はこの香が1、2を争うくらい好きです。味もその他の「青茶」とは違い、どちらかと紅茶に近い味がします。喉を越えるときかすかに甘いのも特徴です。普段飲むお茶という感じではありませんが、落ち着きたい時の定番茶葉です。別名「香檳烏龍」(こうひんうーろん)、「白毫烏龍」(はくこううーろん)。

地方台湾
分類青茶

■ 「文山包種」ウェンシャンバオジョン(wen2 shan1 bao1 zhong3) ぶんさんほうしゅ

 醗酵度が15%と低く、緑茶に近い味をしていますが緑茶とはやはり違います。台湾の文山地区で作られており、色は黄緑色をしています。香はかすかに甘い香をしています。味は、ちょっと緑茶に似ていますが、ほのかな甘さがあり、台湾烏龍茶の特徴を良く表しています。台湾烏龍茶のスタンダードとも言われるこのお茶をのまずして、台湾烏龍茶は語れません。ちなみに、その昔紙に包んで出荷されていたことから「包種」と呼ばれている。

地方台湾
分類青茶

■ 「四季春」スージーチュン(si4 ji4 chun1) しきはる

 比較的歴史のあたらしいお茶。すっきりした香と、花のようなかっちりとした甘味を持つお茶。

地方台湾
分類青茶

■ 「翠玉」ツゥエイイー(cui4 yu4) すいぎょく

 烏龍種から改良された翠玉種から作られるお茶。台湾各地で生産されており、爽やかな味わいとやさしいながらも鋭い香で飲む人を飽きさせない。

地方台湾
分類青茶

■ 「梨山」リーシャン(li2 shan1) なしさん

 準備中

地方台湾
分類青茶

参考文献
『中国茶の辞典』(成美堂出版編集部、成美堂出版、2000)