多摩川散策日記2007年2月)

文と写真:上田大志

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2月5日 奥多摩

快晴、暖かい。コジュケイ、トビ、ハイタカ、クマタカ、ハヤブサ、コゲラ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、ベニマシコ、ウソ、カケス、ハシブトガラス。ニホンカモシカ。

 

2月6日 北浅川

晴れ、春の陽気。八王子市立楢原小学校6年生の野外学習でバードウォッチング。学校近くの北浅川で、カワウ、コゲラ、ヒヨドリ、ムクドリ、カワラヒワなど、それぞれの鳥が何をしているのか、その行動に着目して、じっくりと観察した。

 

2月8日 一之瀬高原

快晴、暖かい。ヤマドリ、トビ、ツグミ、エナガ、コガラ、ハシブトガラス。

 

2月9日 福生南公園〜昭和用水堰

晴れ、暖かい。福生五小の全校野鳥観察会。筆者は3年生に同行し、多摩川でコガモ、カルガモ、ミコアイサ、トビ、ノスリ、バン、ヒヨドリ、ツグミ、ホオジロ、カワラヒワ、ムクドリなどをかんさつした。その後、学校の会議室で反省会を行い、今後の活動について話し合った。

 

2月11日 多摩川中央公園

晴れ。福生水辺の楽校「多摩川で遊ぼう!〜手作り凧揚げに挑戦」。

 

2月13日 奥多摩

晴れ。トビ、ハイタカ、クマタカ、コゲラ、ジョウビタキ、ホオジロ、ベニマシコ、ヤマガラ、ハシブトガラス。

 

2月15日 一之瀬高原

晴れ、北西の風強し。「チリリ・・・、フィー」と鳴きながら、ヒレンジャクの群れが通り過ぎていく。

 

2月16日 北浅川

晴れ。八王子市立楢原小学校5年生の野外学習でバードウォッチング。サギ類(コサギ、ダイサギ、アオサギ)、セキレイ類(ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ)、スズメとカワラヒワ、ヒヨドリとツグミ等、姿の似た鳥を見比べながら、じっくりと観察した。

 

2月17日 皇居東御苑〜北の丸公園

曇り。カイツブリ、カワウ、カルガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、オオバン、オオセグロカモメ、キジバト、コゲラ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、スズメ、シメ、ムクドリ、ヒガラ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、オナガ、ハシブトガラス、コブハクチョウ、アヒル、ドバト。

 

2月18日 多摩川河口右岸

干潟やヨシ原の広がる生き物たちの楽園―多摩川河口に連絡道路を造るという「神奈川口構想」。最大の課題である連絡道路のルートと構造が、年度内に決定されるという報道もあり、日本野鳥の会やWWFジャパンをはじめ、多くの自然保護団体が行動をおこしている。多摩川の自然を守る会も、橋梁案の見直しと干潟生態系の保全を求めて、昨年10月に「多摩川河口干潟の保全に関する要望書」を提出し、12月にはNACS-J自然観察指導員東京連絡会(NACOT)も、多くの人に呼びかけて自然観察会を開催し、かけがえのない多摩川河口干潟の保全を訴えた。今回は多摩川の自然を守る会の定例自然観察会にNACOTが共催して、あらためて現地を〈歩き・見て・遊び・考え〉ようと企画した。当日は横殴りの冷たい雨と強風の中、自然観察を楽しめるような状況ではなかったが、熱意ある10名の参加者が集まった。

遮るもののない多摩川に出ると、風雨は一段と激しくなるが、土手に咲きはじめたハマダイコンの花や、鮮やかな夏羽に変わりつつあるカンムリカイツブリが春の訪れを教えてくれる。水際に目を向けると、ハマシギの群れが飛び交い、ボラの死骸に近寄るユリカモメをウミネコが追い払い、さらにそれをセグロカモメが奪い取っている。いすゞ工場跡地は、西側が都市再生機構、東側がヨドバシカメラの所有地となり、前者ではスーパー堤防化のための盛り土が始まり、後者は暫定利用として新車の仮置き場になっている。もし、ここから対岸の羽田空港に向けて連絡橋が造られることになったら、三番瀬や谷津干潟などとともに東京湾の奥にわずかに残された干潟の自然環境と、そこに暮らす生き物たちの生活は破壊されてしまうことだろう。わたしたちは、事業者に対して計画の見直しを求め続けていくとともに、多摩川河口干潟の魅力を多くの人に伝え、身近な自然の存続を願う仲間を増やしていかなくてはならない。

NACOTは毎年、日本湿地ネットワーク(JAWAN)が呼びかけている「干潟・湿地を守る日」キャンペーンに参加して多摩川河口干潟で自然観察会を開催しており、今年は4月7日(雨天の場合4月21日に延期)に行う。こちらには多摩川の自然を守る会が共催する。春の大潮の干潮時、天候に恵まれ、多摩川河口干潟の自然を満喫できることを願っている。

 

2月19日 睦橋上流右岸

晴れ。あきる野市立屋城小学校2年生の野外学習でバードウォッチング。カワウ、コサギ、ダイサギ、ノスリ、キジバト、セグロセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、アオジ、スズメ、カワラヒワ、シメ、シジュウカラなど。

 

2月20日 かに坂公園上流〜睦橋左岸

曇りときどき小雨、寒い。福生六小5年生の野外学習。野鳥を観察しながら、福生市を流れる多摩川を1日かけて歩いた。

・かに坂公園の上流で蛇籠づくりが行われていた。

・永田橋架替工事について西多摩建設事務所より説明を受けた。

・雨が降ってきたので川の志民館に避難して昼食(80人がすし詰めで!)。

・五日市線鉄橋下の河原で石の観察をした。

・帰路は崖線沿いに牛浜駅へ。

    

 

2月21日 奥多摩

晴れ。カワウ、トビ、ノスリ、クマタカ、コゲラ、ミソサザイ、ジョウビタキ、エナガ、ベニマシコ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

2月22日 皇居東御苑〜北の丸公園

晴れときどき曇り、暖かい。東京駅丸の内口から皇居外苑へ。和田倉濠〜馬場先濠〜桔梗濠で、キンクロハジロ、ハシビロガモ、コブハクチョウなどを観察。ミコアイサの姿も。大手門から皇居東御苑に入る。武蔵野を思わせる二の丸雑木林で、ヤマガラ、シジュウカラ、シメ、モズなどをじっくり観察。奥の林床にはアカハラとアオジ。本丸を回って昼食。見事に開花したツバキカンザクラに、ヒヨドリとメジロ(人も)が集まっている。北桔橋門を出て、北の丸公園を通り、九段下駅へ。カイツブリ、カワウ、カルガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ミコアイサ、オオバン、キジバト、コゲラ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、モズ、アカハラ、ツグミ、アオジ、スズメ、シメ、ムクドリ、ヤマガラ、シジュウカラ、メジロ、ハシブトガラス、コブハクチョウ、ドバト。

 

2月23日 睦橋上流右岸

曇りときどき小雨。あきる野市立屋城小学校3年生の野外学習でバードウォッチング。芝地にはツグミ、ムクドリ、タヒバリ・・・、沼にはオオバン、コガモ、オカヨシガモ・・・というように、野鳥の生態や生息環境について考えながら観察した。

 

 

2月25日 多摩川中央公園周辺(「多摩川の達人になろう!」第11回)

多摩川の自然を守る会の篠清治さんに、福生周辺の多摩川で見られる河原の石を紹介していただいた。まず川の志民館で、多摩川の石河原を代表する岩石は砂岩とチャートであること、他には泥岩、礫岩、石灰岩、輝緑凝灰岩、石英閃緑岩、ホルンフェルスなどが見られること、岩石の種類は川の上流域の地質によって決まることなどを教えていただいた。

今日のフィールドはJR五日市線鉄橋下の石河原。砂岩とチャートが多いことを実感しながら、上記8種類の岩石を見つけることができた。また、ひと口にチャートや石灰岩などと言っても、いろいろな色や形状のものがあることや、複数の種類の岩石が組み合わさってできたものがあることもわかった。そして、ルーペで見た石英の結晶の輝きは「ダイヤモンドよりも美しい!」と大評判だった。

広い石河原は多摩川の中流域を代表する景観だ。小学校の総合学習などで下流域の子どもたちを連れてくると、みんな「河原にこんなに石があるの!」と驚く。生き物と比べて地味な存在だが、多摩川の自然そのものと言える河原の石。水辺の楽校の活動でも楽しみたい。