多摩川散策日記2007年11月)

文と写真:上田大志

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11月1日 永田橋上流

晴れのち曇り。福生六小6年生の総合学習。多摩川やカワラノギクの様子は1年前とどう変わっているか。

いきなり、かに坂公園下の河原でオオタカが鳥を押さえ込んで食べているところに遭遇。フィールドスコープを持ってきていないので、双眼鏡を手すりの上に置いてひとりずつ順番に見る。「えっ!まじー!」、めったに見られない野生の姿に衝撃を受ける。架け替え工事でつくられた仮橋を見ながら永田橋を渡って実験区へ。昨年は鍵を開けて入った入り口の門は基礎から倒されている。さらに、ハリエンジュやススキが生い茂っていた場所が一面の丸石河原に変わっていてびっくり!ブルーの羽がきれいなカワラバッタを見ながらA工区へ。カワラノギクは満開だが、一列に並んで観察した昨年と比べてかなり少なく感じる。台風で倒されたのかな?、きっと夏の猛暑で枯れちゃったんだよ、それとも・・・?。

自然の姿は同じということがないし、答えがひとつということもない。教室では得られないいろいろな発見がある。身近な自然の中での体験学習がより活発になればと思う。

 

11月2日 大栗川合流点

曇り。連光寺小4年生の総合学習「川は自然の宝箱」で野鳥観察グループを担当。オオタカとカワセミをはじめ、ダイサギ、アオサギ、トビ、ハヤブサ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、キセキレイ、モズ、ジョウビタキなどがいきいきと生活しているようすをじっくりと観察することができ、子どもたちは大満足だった。

 

 

11月4日 永田橋〜友田町地先

晴れ。カワラノギクPJの活動日。A工区を見てから上流の自生地へ。地面を掘り起こしたり、石を並べて播種したりしているので、純粋な自生とはいえないが、開花、ロゼットともに200株強を確認。しかし出水で泥を被り、石は地面に埋もれる一方。カワラヨモギは元気だ。その後、はむら自然友の会の育成地(冠水したが流失は免れたようだ)、羽村堰上流の花壇(大半が流失)を見て、最上流の自生地へ。先月確認した唯1本が開花していたが、ロゼットも2個体しか見つからず、存続はきわめて厳しい。カワラニガナは10株ほど見つかった。こちらは群落の復活が期待できる。

 

 

11月5日 一之瀬高原

晴れのち曇り。トビ、ノスリ、コゲラ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、マヒワ、ウソ、イカル、コガラ、ヒガラ、カケス、ハシブトガラス、ソウシチョウ。

 

 

11月7日 睦橋周辺

晴れ。屋城児童館の自然観察会。オニグルミの実を拾ったり、朽木を掘ってみたりしながら川原へ向かう。林の中には砂が厚く積もり、大きなニセアカシアも倒れている。草原だったところは広い石河原になり、みんなで自然のエネルギーを感じた。

 

11月12日 永山丘陵

晴れ。根ヶ布の森へ。降雨後の月曜日とあって、新宿の高層ビル群や富士山もくっきりと見える。昨年の同時期には湿地のあちこちに見られたイノシシの“ヌタ打ち”した痕跡はほとんど見られない。茅原にはクロジ。午後は青梅一小の野外学習。木から木へ飛び移るニホンリスに大興奮。黒沢川に下りてサワガニやカワセミなども観察した。

 

11月16日 一之瀬高原

曇りときどき晴れ。上空をツグミやマヒワの群れが次々と通っていく。ノスリ、アカゲラ、コゲラ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、エナガ、アトリ、マヒワ、ウソ、コガラ、ヒガラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ、カケス、ハシブトガラス。

 

11月18日 白丸から奥多摩へ

快晴。多摩川の自然を守る会、定例自然観察会。

山村の秋を味わいながら白丸集落を抜けて数馬の石門へ。日陰に入ると急に空気が冷たくなる。山を下りて数馬峡橋を渡り、紅葉を楽しむ人々が絶え間なく行き交う遊歩道を上流へ。海沢大橋から先は幹線道路を歩くしかない。昭和橋は多摩川と日原川の合流点。9月の台風直撃から2ヶ月以上経つのに、多摩川上流部の水がいまだに白濁しているのは、日原川に溶け出した石灰が原因だと思っていたのだが、予想に反して濁っているのは小河内ダムから流れてくる本流の方で、日原川の水はきれいに澄んでいる。氷川渓谷を軽く一周して奥多摩駅へ。

帰宅後、東京都水道局のHPを調べると、この濁りの原因は、台風に伴う観測史上最大の豪雨で奥多摩湖に大量の濁水が流入し、現在も湖水が濁っているためとのこと。濁りは土砂によるもので、水質に異常はないそうだが、今後もしばらくは濁った水が放流され続けるようで、生物への影響はないのか気がかりだ。

 

 

11月19日 奥多摩

快晴。路面の水たまりが凍る季節になった。ハイタカ、クマタカ、コゲラ、ヒヨドリ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、メジロ。

 

11月22日 清水公園から江戸川へ

快晴。北西の風が強く、寒い。金乗院の境内でメジロとシジュウカラの群れを見てから、園内の散策エリアを一周。アオジ、ツグミ、シメなど冬の小鳥たちの姿はまだ疎ら。その後、旧河道?の沼でカモ類やアオサギなどを見て、水路沿いに江戸川へ。帰り道、ようやくジョウビタキをじっくりと観察できた。

 

11月24日 程久保川源流域

NACOTの知人から、多摩動物公園駅前の程久保川で河川改修が始まったと知らされた。現地には10年以上も行っていないが、学生時代の1993年から4年間は、毎日のように見ていた場所である。駅の下流側は当時すでに三面護岸の直線水路になってしまっていたが、上流側は曲がりくねって流れるナメの美しい小さな渓流であり、水際には樹木が張り出して木陰をつくり、心安らぐ場所であった。

さて、この日NACOTのメンバーで現地を確認してきたが、現況河川を埋め立てて直線水路にするという予想通りの最悪の状況だった。唯一救われるのは、改修するのは126mの区間で、その上流側には今後も手を付けない(一級河川外となるため)ということである。その風景は、モノレールができ森が切り開かれて道路建設が進んでいることを除けば、当時とそう大きくは変わっていなかった。しかし、里山風景を懐かしみながらさらに源流を目指すと、その水のほとんどは、新しくできた温泉施設クア・ガーデンから流れてくる温排水だったのである・・・。

  

 

11月25日 河口右岸(福生水辺の楽校「多摩川の達人になろう!」)

■ ■ 第8回「多摩川の河口〜海への入り口」 ■ ■

●参加された皆さんの声

・多摩川河口の川崎側を歩いた。いすゞ工場跡地は着々と工事が進んでいて不気味。どうなるのか心配だ。穏やかな東京港や羽田空港に離着陸する飛行機、冬の水鳥などが見られて楽しかった。カンムリカイツブリがたくさんいたのが意外だった。

・穏やかな一日で、多摩川河口付近の自然観察がのんびりとできて良かった。まだ11月なので、カモの雄と雌の見分けが難しいものも観察できた。

・天気がよく気持ちよく歩けた。多くのカモが見られておもしろかった。ダイサギとコサギの大きさの 比較ができておもしろかった。

・マガモ、カルガモ、オナガガモ、キンクロハジロ、スズガモ、ユリカモメ、セグロカモメ、カワウ、アオサギ、ダイサギ、オオバン、ハクセキレイ、ウグイス、シジュウカラ、メジロなどの野鳥や、干潟を歩きまわる無数のヤマトオサガニなど、たくさんの生き物が観察できた。

・この講座には初めて参加した。鳥は1回ではなかなか覚えられないが、これを機に観察していきたいと思う。

 

 

11月26日 大栗川合流点

晴れ、暖かい。連光寺小4年生の総合学習「川は自然の宝箱」で野鳥観察グループを担当。前回の活動を基に、各自が興味を持ったテーマ(野鳥のすみか、食べ物、子育て等)に着目して観察した。カワウ、ダイサギ、アオサギ、イカルチドリ、ユリカモメ、カワセミ、ハクセキレイ、ウグイス、カワラヒワ、ガビチョウなど。

 

11月28日 信濃川上

曇りときどき晴れ、寒い。ハヤブサ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、カワラヒワ、ベニマシコ、コガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ハシボソガラス、ハシブトガラス。

 

11月30日 一之瀬高原

冬を目前に濃い霧の立ちこめた一日だった。