多摩川散策日記2007年10月)

文と写真:上田大志

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10月1日 大丸堰周辺

曇り。先月の出水で堰上流の中州が削られ、随分と見通しが良くなった。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、トビ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。

 

10月3日 睦橋周辺

曇り。屋城児童館の自然観察会。睦橋下の沼から流れ出す小川で、シマドジョウ、ジュズカケハゼ、オイカワ、アメリカザリガニ、サワガニ、スジエビ、ヌマエビ類、コオニヤンマのヤゴなどを観察した。

 

10月6日 宿河原堰周辺

晴れ。27日に行われる「多摩川河口の自然を考えるシンポジウム」のプレ集会でせせらぎ館へ。

出水で宿河原堰の根固めブロックが剥がれて散乱したため、現在その状況調査が行われている。起伏式ゲートを完全に開放し、水位がここまで下がっているのを見たのは初めて。

 

 

10月10日 奥多摩

曇りのち晴れ。コジュケイ、トビ、クマタカ、アオゲラ、イワツバメ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、カワラヒワ、シジュウカラ、カケス、ハシブトガラス、ガビチョウ。

 

10月14日 かに坂公園〜羽村堰

曇りときどき晴れ。福生水辺の楽校「多摩川で遊ぼう!」。オニグルミの実を石で割ってみたり、トウネズミモチやクサギの葉のにおいをかいでみたり、エノキの実を味わってみたり、フクラスズメの幼虫をネコジャラシで脅かしてみたりしながら、左岸の土手をかに坂公園から羽村堰まで歩いた。

 

10月15日 奥多摩

曇り。ミサゴ、トビ、ノスリ、クマタカ、キジバト、アオゲラ、コゲラ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ホオジロ、カワラヒワ、メジロ、カケス、ハシブトガラス、ガビチョウ。ここでも道端のカラムシはフクラスズメの幼虫だらけ。スズメバチが“肉だんご”にしようと近づくと、すばやく身をよじって葉から転がり落ちるようにして攻撃をかわしていた。

 

10月19日 大丸堰周辺

曇り。東京都公民館連絡協議会の新任職員研修。テーマは「自然体験学習って?」ということで、野外実習として、南多摩駅から是政橋〜大丸用水堰〜大丸用水〜城山公園〜城山体験学習館へ、カワセミをじっくり観察したり、豊作のどんぐりを拾ったりしながら、地域の自然を知ろうという設定で歩いた。その後、歩いたコースをふりかえってグループワークを行い、また野外事業の作り方や注意点などを紹介した。限られた時間だったが、多摩川や雑木林の観察を通して、身近な自然の中にたくさんの題材があることを確認し、住みやすい環境やまちづくりについて話し合うこともできた。

 

10月20日 永田橋上流

晴れ。ジョウビタキ飛来。カワラノギクPJの活動日。開花状況は3分咲きといったところ。今年も半径2mの円形コドラートを多数設定して、その中にある開花株とロゼット個体を数えて、実験区全体での数を推計した。作業後の速報によると開花株は1万前後ではないかとのことで、昨年の4分の1程度になってしまったことになる。台風の影響はもとより、夏の猛暑で枯れたものもあるだろう。それに何よりも、洪水攪乱なしに石が地面に埋もれていくのを止めることはできない。数年をかけてA工区から下流側に広がりつつあったカワラノギクは、残念ながら9月の出水でそのほとんどが流失した。しかし、そこは広大な丸石河原になった。再び分布を拡大していくことに期待したい。

 

10月21日 河口

快晴。多摩川の自然を守る会、定例自然観察会。河口の観察会は、風のないポカポカ陽気の日が何よりもうれしい。今回は天空橋駅から左岸を下流へ。カワリミタンポポモドキ、ハナハマセンブリなど、初めて知る外来植物を教えてもらう。コンクリート護岸に「0.0km」の標を見つけて感慨深い(右岸は工場敷地内にあるため見ることができない)。海老取川合流点まで戻って昼食、午後は漁港を思わせる船溜まりを通り、大師橋を右岸に渡る。お目当てのウラギクが干潟で風にそよいでいる様は実に美しい。

      

 

10月23〜24日 銀山平

紅葉が見頃。今年はブナの実も豊作のようだ。高原にカシラダカがたくさんやってきた。トビ、ハイタカ、ノスリ、イヌワシ、アオゲラ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、カシラダカ、スズメ、ベニマシコ、ウソ、イカル、コガラ、シジュウカラ、カケス、ハシブトガラス。

     

 

10月28日 羽村堰上流〜永田橋(福生水辺の楽校「多摩川の達人になろう!」)

■ ■ 第7回「多摩川と人とのつながり〜羽村から福生へ」 ■ ■

●行程

羽村駅〜まいまいず井戸〜根搦み前水田〜阿蘇神社〜羽村取水堰〜羽村市郷土博物館〜永田地区〜柳山公園

●参加された皆さんの声

・川原の探検は楽しかった。カワセミをはじめいろいろな鳥をじっくり観察することができた。羽村を歩いたのは初めてだが、ゆったりと歩けて気持ち良かった。カワラノギクの保全活動についても初めて知った。

・羽村周辺をゆっくり歩いたのは初めて。思った以上に自然が残っており、カワセミ、ジョウビタキ、ノビタキなどの野鳥に会うことができた。永田橋までの河原の道も良い雰囲気で、カワラノギクの保全活動も知ることができ、とてもためになった。

・朝、電車から富士山が見えた。今日は気持ち良く歩けた。河原なのにまるで山の中を歩いているようだった。郷土博物館の庭などもゆっくり見たかったので、今度自分で来てみたい。

・台風一過の青空にくっきりと富士山。気持ち良い一日、たくさん歩いた。ピンク色のきれいなエナガや白黒模様のシジュウカラなど可愛かった。実験区のカワラノギクは少なくなってしまったが、下流側に石ころの河原が広くできたので、来年が楽しみ。

・多摩川のあちこちに台風の爪痕を見た。土手が崩され、蛇籠やコンクリートブロックなどが流されていた。永田橋寄りの実験区を見て、昨年との様変わりにびっくりした。台風の雨が原因で葦原がすべて流されたようだ。大自然の力はすさまじい。

・初めて生態系保持空間の河原を歩くことができて良かった。昨年と比較してカワラノギクの開花数が少ないことに驚いた。自然のものを人が手を加えて育てることの難しさや意味を考えさせられた。

 

10月30日 永田橋上流

晴れ。福生六小5年生の総合学習で実験区のカワラノギクを見学。また、6月に水生生物の観察をしたかに坂公園下の多摩川は台風でどう変わったか。蛇籠の護岸がはがれていたり、陸地だったところが流れになって渡れなくなっていたり、草が茂っていたところが石ころだけの河原になっていることなどに気付いた。

 

10月31日 奥多摩

曇り。コジュケイ、トビ、クマタカ、キジバト、アオゲラ、コゲラ、ヒヨドリ、モズ、ウグイス、ジョウビタキ、エナガ、ホオジロ、イカル、ヒガラ、メジロ、カケス、ハシブトガラス、ガビチョウ。クマタカの親鳥が幼鳥に餌を運んできた。独り立ちするのはいつ頃になるだろうか。