多摩川散策日記(2006年9月)
文と写真:上田大志
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*9月2日 石田大橋下流(右岸)
晴れ。多摩川の自然を守る会、定例自然観察会(鳴く虫を聴く会)。護岸工事、堰の改修、河道整正と工事が続いたが、今後の出水で地形はどのように変化していくだろうか。自然が多く残されているところには、ゴルファーやラジコン愛好者、サバイバルゲーマーなども多い。とりあえずカワラナデシコの花とマツムシ、スズムシは健在。ショウリョウバッタモドキ、ホシササキリ、ウスバカマキリなども見られたが、楽観はできない。
*9月3日 永田橋上流(右岸)
晴れ。暑いが風あり。モズの高鳴き。カワラノギクPJの実験区除草作業(秋季2日目)。明治大学学生、多摩川の自然を守る会会員、地域住民、京浜河川事務所関係者など大勢の参加があり、A工区3/4程度の除草を終えたが、植生の密集している水際は手付かずの状態。
*9月4日 大丸堰上流
晴れ。風が爽やか。今年生まれのオオタカが姿を見せる季節になった。カワウ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ツバメ、コシアカツバメ、セグロセキレイ、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、シジュウカラ、オナガ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。
*9月5日 大栗川合流点
快晴。湿度が低く風もあったので、それほど暑さは感じなかったが、帰ってから35℃近くあったと知って驚いた。
保育園の子どもたちがやってきたので、ダイサギ、アオサギ、カワセミなどをフィールドスコープで見せて、お家の人にも教えてあげてくださいと伝えた。いつまでも多くの野鳥が観察できる多摩川を残していきたい。
カワウ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、コジュケイ、トビ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、セッカ、ホオジロ、スズメ、シジュウカラ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。
*9月8日 かに坂公園上流
福生一小3年生(3クラス約90名)の川の生き物調べを福生水辺の楽校でサポート。スタッフが大勢集まったので、活動場所を本流とワンドの上流側と下流側の3つに分けて、クラスごとにローテーションして活動した。
*9月9日 五日市
曇り、蒸し暑い。五日市児童館の自然観察会(1〜3年生)で小庄の田んぼへ。用水路にまだたっぷりと水が流れていて、ドジョウやヌマガエルがたくさんいた。
*9月11日 大栗川合流点
曇り。未明の雷雨で多摩川も大栗川も増水して茶色く濁っている。植生調査区間の除草作業が行われている。オオブタクサが花粉を飛ばしている。イヌ?キクイモ満開。カワウ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ホオジロ、スズメ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。
*9月15日 野川(三鷹市大沢)
曇りときどき晴れ。三鷹羽沢小3、4年生の体験学習「野川ワールド」。秋雨前線の影響で天候がぐずつき2度の延期。ようやく雨が上がり、野川は落ち着きを取り戻した。澄んだ湧水の流れる野川だが、雨が降るとすぐに下水が流れ込んでしまうのだ。
野川ワールドは、4年生が3年生と組んで魚の捕まえ方を教えるというスタイルで活動しており、子どもたち同士のつながりを強めるとともに、注意事項や活動の手順などもスムーズに伝えることができる。今回の収穫は、メダカ、モツゴ、ギンブナ、コイ、コオニヤンマ、タイコウチ、スッポン!など。午後はこれらの入った水槽を並べて、川の構造と生き物の関係について話をした。
*9月16日 秋川(五日市)
曇りときどき晴れ。五日市児童館の「少年探検隊」。秋川の流れの中をバシャバシャと歩いてさかのぼる予定だったが、秋川はまだ増水しているし時期的にもちょっと遅すぎた。ということで、あゆみ橋から沢戸橋まで自然観察をしながら歩き、川原で昼食、水遊びを。先週まで勢いよく流れていた用水路の水が抜かれていた。
五日市よりも東では、秋川周辺の風景もすっかり変わってしまったが、沢戸橋付近の清流と風景は、20年前と比べてほとんど変わっていない。子どもたちが大人になったときにもそのままであることを願って・・・
*9月19日 大栗川合流点
晴れのち曇り、暑い。カワウ、コサギ、チュウサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、キジバト、アマツバメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ホオジロ、スズメ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ガビチョウ。
*9月20日 一之瀬高原
晴れ。「シュッー!」びっくりするくらい大きな音をたてて風を切り、ハリオアマツバメたちが通り抜けていく。「ピーヨ、ピーヨ、ピョピョピョピョ・・・」穏やかな鳴き声に空を見上げると、3羽のクマタカが仲良く飛んでいた。ハチクマ、トビ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、ノスリ、クマタカ、アオバト、ハリオアマツバメ、アカゲラ、ヒヨドリ、ウグイス、アカハラ、ホオジロ、ウソ、ヒガラ、ゴジュウカラ、メジロ、カケス、ハシブトガラス。
*9月21日 かに坂公園上流
晴れ。福生四小3年生(2クラス56名)の川の生き物調べを福生水辺の楽校でサポート。水量が多く、川原に出るまでに膝くらいの深さの溜まりがあったので、ビールケースを並べて橋をつくった。この辺は水際に下りやすい場所がないのも難点だ。今回は本流には入らず、ワンド(複流路)で活動した。
*9月22日 多摩川橋上流(友田)
曇り。タカは渡らず。カワウ、カルガモ、トビ、オオタカ、ツミ、イカルチドリ、イソシギ、キジバト、コゲラ、ツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、スズメ、シジュウカラ、メジロ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。
*9月24日 多摩川中央公園周辺(「多摩川の達人になろう!」第6回)
地元福生の環境教育に長年取り組んでこられた栗原仁さんを中心に、季節の話題を川の志民館に持ち寄った。
バッタを調べることで、その場所の自然環境がわかること。地球温暖化の影響なのか、ツマグロヒョウモンをはじめ、本来この辺りにはいなかった生物が増えていること。サシバやハチクマなど、この時期に多摩川の上空を南へ渡っていくタカについて。多摩川から石河原とともに“カワラ”と名の付く植物が減っていること・・・。
この後は秋空の下で自然観察。周辺の草地には、オンブバッタやクルマバッタモドキが目立つが、多摩川の石河原では、飛ぶとブルーの羽がきれいなカワラバッタも見られる。オニグルミが実り始め、ハリエンジュ(ニセアカシア)の林では、渡りの途中で立ち寄ったエゾビタキに出会うことができた。
* * *
■参加者の声
・バッタ捕りは初めてだったが、本当にたくさんの数と種類がとれてびっくりした。蝶もアゲハ、キタテハ、ヒメアカタテハなどが捕れ、この辺りにはまだ自然が残っていると感じた。
・バッタを捕まえるという単純な遊びながら、時間を忘れるほど楽しかった。川原でカワラバッタの大きいものを捕まえた喜びと、トノサマバッタを手の隙間から逃がした悔しさは忘れられない。
・久しぶりにバッタを追いかけた。クルマバッタモドキ、トノサマバッタ、カワラバッタの見分け方がわかりうれしかった。コオロギの鳴き方や顔の違いも楽しかった。
・オンブバッタ、クルマバッタモドキ、ヒロハヒナバッタ(ヒロバネヒナバッタ)、トノサマバッタ、カワラバッタ、ヒシバッタ、コバネイナゴと7種類のバッタに出会えた。昆虫採集を始めてしまったが楽しかった。
・昨年は捕れなかったクルマバッタモドキが、今年はよく捕れた。年によって違ったバッタが捕れるのが楽しい。
・カワラバッタは素早くて、なかなか捕まえることができなかった。
・土手のところで多くの昆虫を捕ることができた。
・むかし小学校で教えていただいた先生に、また教えていただくことができて最高に感激した。
・虫のことを詳細に教えてもらったので、子どもにも話したい。
・「コオロギ右上、キリギリス左上」(羽の重なりについて)という覚え方や、三角頭のミツカドコオロギ、ツヅレサセコオロギなどを教えてもらったり、観察できて楽しかった。
・「コオロギみぎうえ、キリギリスひだりうえ」を覚えた。
・カワラバッタは本当に石ころと同じ色で、飛ぶと羽のブルーが美しい。自然の造形は、種の保存も含めいつも驚きだ。
・カワラバッタが飛ぶと、羽のブルーが青空に負けず美しい。
・ミツカドコオロギ、ヒロハヒナバッタ、カワラバッタ、ウスバキトンボ、エゾビタキ等、すべて目からウロコだった。
・エゾビタキをはじめて見て驚いた。
・ツルヨシ、オギ、ススキの見分け方がわかった。
*9月25日 多摩川橋上流、羽村堰上流
晴れ。渡るタカはほとんど見られず(23、24日は多少飛んだとのこと)。カワウ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ノスリ、サシバ、ハヤブサ、チョウゲンボウ、イカルチドリ、イソシギ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、スズメ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。
*9月29日 大栗川合流点
曇り。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ツミ、チョウゲンボウ、キジバト、アマツバメ、ヒメアマツバメ、カワセミ、アオゲラ、コシアカツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、モズ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、カケス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。
*9月30日 青梅市成木
晴れ。青梅上成木森林環境保全地域の「東京グリーンシップ・アクション」で、川と山の生き物たちを紹介した。