多摩川散策日記2006年7月)

文と写真:上田大志

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7月1日 羽村堰〜永田橋

曇り。東京学芸大学の野外授業があり、環境教育を学ぶ学生15名ほどが参加。京浜河川事務所と自然環境アカデミーのメンバーで、羽村から福生の多摩川を案内した。

羽村堰を見学後、河床低下対策として積まれた土砂を見つつ左岸を下流へ。かに坂公園から川原に下り、手網を持って水生生物を観察。平瀬でカジカが数匹とれ、土砂供給実験との関係が興味深い。また、調査員から流れの速い場所と遅い場所とで、みられる生物が異なる旨説明があった。右岸に渡渉し、カワラノギクの保全活動を紹介。永田橋まで歩いてバスで川の志民館に移動した。昼食後のまとめで印象に残ったのは、「こんなにも人が手を加えなければ自然を守っていくことはできないのだろうか?」という疑問を持った人が大勢いたこと。

その通りだと思う。わたしたちがすべきことは、あくまでも自然が自力で回復できるようにするためのお手伝い。ここはそのための実験区なのだ。

 

7月3日 大栗川合流点

曇りときどき晴れ。カワウ、ササゴイ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、キジ、コジュケイ、トビ、オオタカ、イソシギ、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、キセキレイ、ウグイス、オオヨシキリ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

7月4日 大栗川合流点

曇りときどき晴れ。カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、コチドリ、イソシギ、コアジサシ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

7月6日 大丸堰上流

曇り。1回目の除草を控えてもらった土手のあちこちに群生しているノカンゾウが見頃で、散歩の足を止めて眺めている人も。ニッコウキスゲのような黄色いものから赤味の強いものまで、花の色にはかなりの個体差がある。カワラサイコの花は盛りを過ぎたばかりで、まだしばらくは楽しめそうだ。カワラナデシコ(花はまだだろう)は見つからないが、草むらの中に紛れているのだろう。レンリソウの結実株は見つからないが、個体群は健在。法面ではコマツナギが咲き、ナワシロイチゴが熟している。ススキやチガヤなどのイネ科草本が伸びてきているが、繁茂しているというほどではなく、今年は外来種も少ないようだ。

 

7月8日 秋川(あゆみ橋下)

曇りときどき晴れ。五日市児童館の自然観察会(小学1〜3年生)。今回は本流から分かれて流れている浅瀬で水生生物を観察(ガサガサ)した。ヘビトンボ、トビケラ・カワゲラ・カゲロウ類、コオニヤンマやハグロトンボのヤゴ、シマドジョウなどが見つかったが、地元の子どもたちにとっても初めて目にする生き物が多かったようで、みんな興味深く観察していた。

 

7月10日 上河原堰上流

曇り。カイツブリ、カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、ヒメアマツバメ、カワセミ、ツバメ、コシアカツバメ、オオヨシキリ、セッカ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト。高圧線はカワウ、中州のヨシ原はツバメのねぐらになっている。

 

 

7月11日 大栗川合流点

曇りときどき晴れ。蒸し暑い。カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、オオヨシキリ、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。ニイニイゼミが鳴いている。気の早いミンミンゼミも1匹。

 

7月20日 大栗川合流点周辺

曇り。17日朝から19日午後にかけての雨で、多摩川流域の累加雨量は小河内で159mm、中〜下流域でも100mm弱に達した。カワウ、ゴイサギ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、ハイタカ、キジバト、カワセミ、コゲラ、ヒバリ、ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、メジロ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

7月22日 多摩川橋周辺

曇り。カワラノギクPJの活動日。多摩川は水量豊かにたっぷりと流れている。多摩川最上流(と思われる)の自生地を見に行くと、丸石河原に今秋開花しそうなものとロゼット、合わせて700株以上が見つかった。カワラニガナも分布を広げ、大群落になりつつある。出水や他の草の繁茂など、今後どうなるかはわからないが、しばらく自然の推移を見守ることにした。

 

7月23日 多摩川中央公園周辺(「多摩川の達人になろう!」第4回)

今回の目的は、福生水辺の楽校〜多摩川で遊ぼう!のメインイベント「多摩川カッパまつり」にスタッフとして参加して、子どもたちが川で安全に遊べるように気を配りながら、一緒に楽しもうというものだった。

かなり前から、いかだレースのためにペットボトルを集めるなどして、運営協議会のメンバーも子どもたちに負けず劣らず楽しみにしていたのだが、7月17日から19日にかけて降り続いた雨で多摩川は増水し、水はなかなか引かない。そこで23日のカッパまつりでは、いかだレースをはじめ本流での活動は無理なので、浅いワンドの岸際で魚とりをしようということにしたのだが・・・迎えた当日の朝は肌寒く小雨模様。協議会メンバーみんなで話し合い、残念ながらカッパまつりは中止することにした(多摩川で遊ぼう!の参加者は近所の子どもたちなので、最終判断は当日朝にしている)。難しい判断だったが、安全面での配慮が不可欠なカッパまつりというイベントを成功させるためには、スタッフみんなで盛り上げようという雰囲気をつくることが重要だと感じた。

講座では、増水した川の様子を観察し、ワンドでの魚とりやゴミ拾いなどを行ったが、結果的には間もなく雨は上がり、増水後ということで魚や水生生物もたくさん観察できた。

* * *

■参加者の声

・川が増水しているときは、本当に魚がよくとれるものだと驚いた。最初のひと掬いでジュズカケハゼとシマドジョウがあわせて3匹とれたのに続いて、カワムツ、ギバチ、アブラハヤと、数に加えて種類が多いことにも感激した。いろいろな花が咲く河原歩きも楽しめた。

・自分は楽しみにしていた川の中に入ることができず、本当に残念だった。みんながいろいろな魚やドジョウ、エビ、ヤゴなどをとっているのを見た。川の中は面白さでいっぱいだ。

・川が増水したことでたくさんの魚がとれて良かったが、子どもたちの楽しみにしていたカッパまつりが中止になってしまって残念だ。来年は天候に恵まれることを願っている。

・カッパまつりが中止になってしまいとても残念だったが、講座に参加してとても良かった。多摩川の下流では見られない魚がたくさんとれて観察できて嬉しかった。カジカがいるというので頑張ったが、姿を見ることはできず残念だった。また多摩川に遊びに来たい。

・魚のとり方がわかったが、1匹しかとれなかった。川の水が冷たくて気持ちよかった。川で遊ぶことを楽しく感じた。

・思っていたよりも多くの生物がとれて楽しかった(シマドジョウが多かった)。川底の石の大きさがさまざまなので、たびたび踏み外して冷や汗をかいた。

・普段は水量が少ないところが増水してヘドロ等が流された。柳の木にカナブンが集まることを初めて知った。

・大雨の後の川の水量の増加には驚かされる。テレビで見た川の氾濫の様子なども含めて、川の恐ろしさをつくづくと感じさせられる。また、大きなギバチがとれたのには驚いた。“ガサガサ”をやるたびに魚や虫の名前と姿が一致してくるのが嬉しい。

・カッパまつりが中止になり残念だったが、安全第一。水量が多く、川は流れているという実感があった。ニセアカシアの大木が先日の強風で根元から倒れていて驚き、カワラニガナやメマツヨイグサなど河原の黄色い花が可愛い。水生生物ではシマドジョウ、ハグロトンボやガガンボの幼虫などが興味深かった。

・増水による川の流れは想像以上に速いことがわかった。多摩川も豹変する。カッパまつりが中止になり子どもたちは残念だったが、安全第一で判断して良かったと思う。溜まりにたくさんの種類の魚がいて驚いた。水温が冷たく気持ちよかった。

・雨の後で水が冷たく、あまり中には入りたくなかったが、ワンドになっているところで魚とりをしてみた。増水のため本流から避難していた魚が多かったようで、稚魚、スジエビ、ヌカエビ、ヤゴなどがたくさんとれて勉強になった。

・メマツヨイグサの咲く石河原は、大雨で水を被り、草が倒れ、ゴミが引っかかっている。水温はどのくらいだろうか、冷たく感じた。“ガサガサ”ではみんなでかなりの収穫があった。自分はアブラハヤ、シマドジョウ、稚魚などがとれて楽しかった。ハグロトンボの幼虫と成虫の両方が見られて良かった。

 

7月25日 大栗川合流点周辺

曇り。カワウ、コサギ、ダイサギ、アオサギ、カルガモ、コジュケイ、トビ、オオタカ、チョウゲンボウ、キジバト、カワセミ、アオゲラ、コゲラ、ツバメ、イワツバメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、セッカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、シジュウカラ、メジロ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト、ガビチョウ。

 

7月29〜30日 南秋川(数馬〜檜原都民の森)

多摩川の自然を守る会、夏の水源合宿。都民の森バス停〜三頭大滝を往復した後、“夢の滝”を見て、騒がしい周遊道路から静かな旧街道に入り、民宿「たいら荘」へ。夕食後、隣の家の中に入ってきたという小動物を見せてもらうと何とヤマネだった。翌朝は周辺を散策。宿のすぐ下には“九頭龍の滝”。スミナガシの幼虫やルリボシカミキリなどを観察して、数馬からバスで五日市へ。